2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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南荘一郎氏(以下、南):まずは自己紹介をお願いします。
曽山哲人氏(以下、曽山):サイバーエージェント取締役人事本部長の曽山です。みなさんよろしくお願いします。人事とか採用に関する話題なので、楽しみにしております。
須藤憲司氏(以下、須藤):KAIZEN platformのCEOを勤めてます、須藤と申します。そうですね、去年つくった会社で今50人ぐらいなんですけれども、まさに今絶賛採用中でして、今日逆に曽山さんと南さんにいろいろ聞きたいなと思っていますので、ぜひよろしくお願いします。
南:株式会社ビズリーチ代表の南と申します。本日のテーマは「成長企業の採用力」ということで、ぜひですね、まず曽山さんから。曽山さんもう、9年ぐらい人事本部長やられてると思うんですが、サイバーエージェントの採用に対する取り組みの歴史、このあたりちょっと触れていただけないかなというふうに思います。
曽山:まずサイバーエージェントは1998年、15年ぐらい前にできたわけですけれど、特徴的なのは第一期から新卒採用をやっていたというのが大きくて。まぁこれは代表の藤田晋が元々インテリジェンスから独立したわけですけれども、新卒採用が重要だということで第一期からやっています。
現状は、毎年190名くらいの新卒のうち100名くらいが技術者、で残りの90名くらいをビジネスコースという文系の、企画とか営業のメンバーで採用しているというような感じです。
南:須藤さんは(会社を)始めて1年くらいだと思うんですけれども、この1年間、会社の成長とともにどのように採用に取り組んできたっていうのは印象にありますか?
須藤:そうですね。丁度去年の7月ぐらいから本格的に始めたので、最初は私とCTOと2人でやっていまして、どちらかというと最初はエンジニアから採用していって、実は去年の12月くらいまで8人くらいしかいなかった。今5月で、40人ぐらいに増えてきているんですけれど。
そうですね、もう最初からなるべくグローバルでビジネスをするっていうことを考えたときの、チーム構成はどうするかっていうところから考えていたので。実は最初のころ採用は本当に苦しくて、要は人手が足りないので、人欲しいなと採用するんですけれど、どうしようかなって悩むときってあるじゃないですか。
その時に、でも悩むんだったら採用しない、っていうふうにしてきたんですね。その辛抱が実を結んできまして、要はチームとしていいメンバーを採用すると、逆にメンバーが魅力でまた入ってきてくれるっていう構造になっていくので。
最初のその、最初の辛抱みたいなときは本当に南さんのところみたいに、南さんがめっちゃいろんな人に会いに行ったっていう話を聞きましたけれども、もうまさにあれで。「ちょっと会ってください」とfacebookでメッセージして会いに行ったり、とかっていうのをずっとやってましたね。今となっては50人ぐらいのチームになったので、逆にそのチームのメンバーが集めてくれるっていうような感じになっていますね。
曽山:結構、迷ったら採らないっていうのは、南さんのところは大事にしてますか?
南:そうですね。本当にうちの会社も先月ちょうど5年たったのですけれど、今400人くらい。5年前は2人でした。結局須藤さんもおっしゃっていただいたように、試行錯誤。僕も採用やったことがなかったので、でも一番重要なのは今言ったことだからじゃないですけれども、迷ったら雇わない。妥協しない。
妥協しないためにはいつでも面接待ちの人がいるように、とにかくそれが一番の精神安定剤で。5人の中から選べって言ったら妥協せざるを得ないですけれども、50人待ってますっていったらちょっと違和感がある人は、どんどん「ごめんなさい」っていうために。妥協しないためにも面接数を稼ぐっていうことはやっていましたね。
曽山:よくでもそこに行きつきましたね。迷ったら採用しないっていう風に、なんかあるんですか?
須藤:全然そんな計算していたわけじゃなくて、自分で会社つくりましたと、死ぬほど結構大変ですねと。せっかく会社つくったんだったら、働きたい人と働きたいっていう、結構プリミティブな思いだったような気がしますね。
あとはもうそこで、人の問題なので、採用する側にも責任があるじゃないですか。なので、やっぱりこの人と心中できるかみたいな感覚で、この人とだったらっていう、ちょっとあれですよね、重いかもしれないけども、そのくらいでやらないと。
南:今の話って本当に重要だと思って。これ曽山さんにも聞きたいんですけれど、今のってたぶんトップも思いだったり、マネジメントの思いだと思っていて、どう発信していくか、伝えていくか、非常に採用力っていうところで会社のブランディングって大事だと思うんですよ。
僕曽山さん見ると、例えば新卒の子でも子会社の社長にしたり、新しくできたCA18っていう制度に新卒3年目の子を入れたりですね、いろんな対外的に目立つような制度、仕組みを導入していると思うんですけれども、それは意識されてるんですか?
曽山:意識していますね。結局若手をどんどん抜擢する会社にしたいという、会社内の方針があって。で、当然抜擢するためには新規事業が必要なので、新規事業をやるという決断としてまずありましたと。そうすると、結局採用でそういう人にも入ってもらわなきゃいけないし、中にいる人にもそれを実感してもらわなきゃいけない。
この両方がやっぱりセットになってないといけないので、そういう事例を、藤田は創業の当初から若い人をどんどん早くから抜擢することが、その本人のためにもなるし、対外的にも社内の影響にもプラスになるからどんどんやっていこう、というのはかなり意図的にやっていますね。
結果的には、採用的にも大学生とかが見てくれると、「3年後にもしかしたらなれるかもしれない」というのは可能性があるので、すごく反応としてもすごくいいですね、事例をつくるっていうのは。
南:メディアに出ることによって、応募してくる学生の質だったり量だったりっていうのは、そのうち変わってくるっていうのは感じてらっしゃいます?
曽山:ありますね。社内での子会社社長、実際にキャッシュも持ってもらって、銀行口座も(会社の)登記もちゃんとするので、新卒3年目に面接官として出て来てもらうと すごい衝撃的な印象を学生も受けるみたいで。出てもらうと、非常に年齢若くてちょっとお兄さんなのに、言っている経験が全然違うみたいな。そうなりたいと思って起業家意識のある……。
南:わかりやすい。シーンが描きやすいですよね。
曽山:イメージしやすいようにするっていうのはすごく大事にしてますね。
南:逆に須藤さんなんかは、僕が採用業界の中で見てると、非常にまず創業者として、対外的に発信もされているなっていうように思いますし、メンバーも積極的に採用に関わっているなっていうふうに感じるんですけれども、何かこう意識されていることってあるんですか?
須藤:最初にすごい大事だったのはそもそもの事業活動もそうだと思うんですけれども、そもそも 会社を知ってもらうって本当に最初大事だと思っていて、それこそ去年のLaunch Padに出させてもらったりとか、とにかく恥ずかしがらずに全部出る、みたいなのは、要は会社を知ってもらうことがそもそも採用の一番スタートだと思ったので、やっぱり活動をまずやるっていうのは意識していましたね。
あとは、今逆に私以外のメンバーもいっぱいいろんな技術カンファレンスとか、技術者の中にいっぱい出て行ったりとかしているんですけれども、これもやっぱり同じで、知ってもらったり、あるいはちょっと名前が知れてきましたと。「KAIZEN platform頑張っているらしいよ」って。
そうするとこう、次にどんな人がいるのかっていう「KAIZEN platformやってるんですか。どうですか?」みたいな感じで、そうすると要は触れる人が増えていくので、メディアとして知ってもらって触れてもらうっていう。そこから採用って生まれてくるのかなって思っていて。
先ほどの面接の話もそうですけれど、受けに来てもらって触れていくことで、それ自体が企業の事業活動を促進するものだと思っているので、僕ら新卒はやっていなくて中途ですけれども、そうやって知ってもらうことで事業も当然知っていただけますし、採用ってことにもつながるのかなと。なので営業活動だと思って。
南:なるほど。須藤さんのブログよく読ませてもらいますけれども。
須藤:ありがとうございます。
曽山:よくね、シェアもされて。
須藤:よく炎上してますけれども。
南:起業したいとか、創業したての経営者にとっては参考になる情報がある中で、非常にその、採用で創業以降どのぐらい何に時間を使ったのかっていう棒グラフがあったと思うんですけれども、僕それを見て非常に感銘を受けたんですが。相当の時間を採用に使っていたなと感じるんですけれども、そこについてちょっと、せっかく起業を志す方もたくさん見ていると思うので、再度触れていただければなと思います。
須藤:そうですね。起業してから最初にやったのは、単純な話営業と資金調達の2つです。やっぱりお金が入ってこないといけないので、それの目途が立ってきたときにやったのは営業と採用。
採用のほうが、逆に言うと重きを置いていたぐらいですね。当然、曽山さん9年人事やられてるからわかると思うんですけれども、人って本当に必要になったときに採用を始めると遅いじゃないですか。で、どう考えてもタイムラグがあって、どうでしょう、中途でいっても多分3か月……。
曽山:そうですよね。動き出してから面接して、向こうの会社辞めて、みたいな。
須藤:そうなんですよ。やっぱりプロセスを含めて4か月くらいのビハインドがあって、でスタートアップって4か月って1年間のうちの3分の1じゃないですか。4か月遅れると死んじゃうので、そういうことから考えても前もって始めないといけないという思いがすごくあったので、それを意識してやってましたね。
逆に即戦力って言っても、入っていただいてから活躍するまでってどう考えても中途だって多少のタイムラグ、1か月2か月かかっちゃうので。って考えると半年ですよね。「半年先のことを今やる」っていうことをやるのと、あと、とはいえやっぱり食ってかなきゃいけないので、その2つをやってましたね。
南:実際は、社長自身としてどんなことをやられてたんですか? その、面接以外に。
須藤:本当に、例えばですね、営業しながらこの人いいなって思ったら「あの〜」って言って、「ちょっと一緒にやってもらえないですかね?」みたいな(笑)。ちょっとそういうのを繰り出してみたりとか、あとは例えばいい技術者がいたら会いに行ったりとか、いい人事の方がいたら会いにいったりとか、本当そういうことをやっていました。
で、結局採用とかに繋がらなかったとしても、来てほしいとか、一緒にやりませんかとか言われて嫌な思いする人はいないので、そういう風にやって会社を知っていってもらっていくっていうのは、もう草の根活動ですよね。
曽山:今50人ぐらいでしたっけ? その人数にするまでに、大体どれぐらいの方に会ったとか、物量の問題もなんか肌感覚あるんですか?
須藤:物量ですか。それでいくと去年は多分どうだろう。2~300人ぐらいだったんじゃないですかね。
曽山:やっぱりそれぐらいの数に。
須藤:今年はちょっと減らしていて、多分まだ50人くらいだと思いますね。
曽山:2、300人に直接会って?
須藤:会って。はい。
曽山:なるほど。
南:僕もやっぱりそれは、いろんな経営者の方とか、結局みなさんに相談した結果たどり着いたのは、採用力、今日のテーマ採用力ですけれども、採用力=面接の数じゃないかっていう風によく思うようになっていて、自分の最初の3年間は、自分でKPI設定しましたね。毎週15人は面接しようって。
結局営業で契約とろうと思ったら、アポの数じゃないですか。アポの数は結局テレアポの数なので。もし、コードコールでやっていくのであれば。入口の母集団をどうつくるのかっていったら、やっぱりさぼっちゃいけないんだ、さぼらないためにも自分が前に立ってたくさん面接をするっていうのが大事なんじゃないかな、といろんな方に聞いていて。
僕が最後たどったところで、5年間で1300人くらい。スケジュールとか洗い出してKPI設定見たらそうだったんですよね。やっぱりやっていくと、すごい自分自身の面接力があがっていっている気がしたんですよ。
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