2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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山田雄介氏(以下、山田):では、次のテーマ。これはお2人とも背景が一緒(日本テレビ出身)ですので、この機会にぜひおうかがいしたいんですけれど。
いわゆるテレビの動画、番組もCMも。それとWebの動画、これもPRなのか広告なのかいろいろあると思うんですが・そもそも本質的に違うのはここなんじゃないのかというのを、定性でも定量でも、もしあれば教えてください。
イセオサム氏(以下、イセ):視聴態度が違うところも、もちろんあると思うんですけど、本当になにが違うかというと……。釣りが好きなんですけど、僕。釣りするときってどこで釣るかを選ぶじゃないですか、場所が8割ぐらいなんです。なので、いる人がもう全然違うということが今、思っているところですね。
先ほど言っていた、いい商品とかもそうですけど、こういう商品を買う人はテレビにいないとかって言いますよね。でもゲームやる人はいっぱいいるというのも、実は全然違うかなって思いますね。
山田:そもそも後ろにいる人たちが違うということですよね。
三枝孝臣氏(以下、三枝):おそらく視聴環境の違いが1番大きいので。
今、総務省が調査するとテレビの視聴時間って、1ヶ月で平均100時間程度というデータが出ていて。
イセ:1人当たりですか?
三枝:そうそう。それはなぜかというと、「テレビ見てますか?」って言われると、「いや、テレビ見てないです」って言うんだけど、「朝どうしてますか?」って聞くと、「ああ、朝は6時に起きてテレビつけて、出る時まで1時間くらいつけてる。家帰ってテレビつけて、確かに寝る前に12時半頃からテレビつけて……。あ、テレビの視聴時間って1日3時間ぐらいですね」って答えるんです。だから、テレビの総視聴時間で言うと、そういうデータが出るんです。
それは要は、ついてるという環境でテレビが消費されているということと、もう少し動的に画像を見るというか、そういうことに違いがあるのかなと。
これは難しいんですけど、おそらくテレビCMも、心地よさとか邪魔にならなさ加減とか、そういったものがテレビには向いていて。Webだともう少し、感情喚起しないといけないと。そういうところの違いがあるんじゃないですか。
山田:そこは近づいてくるものもあるんですかね。
イセ:なにか全然違う気がしてはいますけどね。せっかちな人ってテレビ見れないじゃないですか。時間をコントロールされるのが無理なので。なかなか難しいんじゃないかなと思います。
三枝:おそらくどうしても見たい番組をビデオに録画したりとか、あるいは見逃したものを見るとか、スタイルそのものが変わってくるんじゃないかなと。
山田:もう1つ質問がありまして、話が飛んじゃうんですけど。テレビ見てる人、Web見てる人の違いみたいなものってよくデータが出てくるんですが。いわゆる若年層も、触れるデバイスとしてはテレビよりも、スマートフォンとかPCのほうが多くて、30代以上から徐々にテレビをデバイスとして見る率というのが上がって行くと思うんですけれど。
今後、少子高齢化なのでシェアの割合はあまり変わらないかもしれないんですけれども、今10代の人が20代、30代になってきたときに、テレビってどうなっていくのかなということにすごく個人的に興味がありまして。
Webでのやり方、テレビでのやり方が、今はこうだというのがありますけれども、将来的にどう変わっていくか。どう思いますか?
イセ:子供ってYouTube見まくってますよね。
山田:うちの子供がずっとYouTube見てるんですよ。
イセ:そういう状況がより激しくなるんじゃないですか、どうですか。もう、アンパンマンをYouTubeでやったらそれでいいんじゃないですか(笑)。
三枝:おそらく編成をされたものを見るという感覚がもうどんどんなくなっているというか、自己編成になると思うんです。これはもう不可逆的で、見たいときに見たいものを見たいように見せろ、みたいな。なんで7時からやってるんだ、この番組って。
この間、すごくおもしろいお話を聞いて。「いや、本当になんでテレビって、あんなにおもしろいものを夜の7時とかにやるんですかね」って言う、若い男の子がいて。「11時とかにやってくれれば見るのに」と。ということは、もうテレビがやっている、時間編成の考え方は難しくなってくるのではと。
山田:話の軸が変わってくるんですけれど、今日動画関連でいろいろお話いただいたので、今お2人が注目している動画関連のサービス、Webのものでも、リアルなものでもまったく問題ないんですけど、なにかあったりしますか?
イセ:そうですね。サービスはわりと少ないなという印象があるんですけど。あまり詳しくは知らないですけど、Instagramのってなにかありますよね? 動画を解析して。そんなデータの時代になるのかなというのはなんとなく思っていて。それって要は、クリエイティブ好きな人にとっては、ものすごく人の感覚になるじゃないですか。それとデータの正しさが今、もうぶつかり合いになってくるので、そこに興味がありますね。
山田:可視化できていないものを、可視化していくサービスが今後増えていくと。
イセ:そうですね。人の感覚の部分まで、ある程度データがとれると思いますし、ほかの部分も増えていくとは思うので、作り方が変わることに興味がありますね。
山田:三枝さんはいかがですか。
三枝:動画自体のサービスでいうと、さっき言った「Now This」みたいなのと、あと「BuzzFeed」みたいなのがポイントかと。
あと、Amazonプライムって、これ僕が「やられたな」って思ったのは……Amazonに向かって「やられたな」って失礼だと思いますけど。Amazonプライムがすごいなって思うのは、おまけで動画がついてくる。Amazonのサービスに動画と音楽がくっついてくるという。しかもあの安さで。まったくサービスの考えかたが違うので、ああいうところがおもしろいかと。
今後、メタップスさんとかにもどんどん作っていっていただきたいところでいうと、動画のSEOっぽい、動画からどういうふうにデータを録っていくのかというのを、アナリティクスができるようになると、一気にサービス感が変わるので、そこら辺はGoogleがやるのかわからないですけど、1番気になりますね。
山田:2人ともそこの部分が共通して、データ化していきたいと思われているんですね。私たちが頑張っていきますので、ぜひよろしくお願いします。
イセ:Webの動画も全部メタデータにしてほしいんですよね。自分たちでするのめちゃくちゃ面倒くさいので。
山田:ええ。
三枝:検索流入ができないというのが1番で。動画で検索流入ができるようになると、一気にパワーが、ぜんぜん違ってくると思いますね。
山田:ありがとうございます。では続いて。そろそろお時間なんですけれど、お互いにもし聞いてみたいことがあれば。皆さんにも興味深いところがあると思いますので。
イセ:あのー、本当になんでテレビ局やめたんですか?
(会場笑)
イセ:しかも大先輩がやめることって、なかなかないんですよ。三枝さんクラスがWeb業界に来るのが大事だって言っていて、でも皆さん来ないんですよ。なんで来てくださったのか。
三枝:いや、本当に。僕49歳なんですよ。49歳っておそらくマスメディア逃げ切り世代なんですけどね(笑)。残り10年どっちにしようかなって思ったときに、新しいサービスを立ち上げる10年ををやるほうが性格に1番合ってるなって。
イセ:49歳になったときに、三枝さんみたいにチャレンジできる自信ないですもん。
三枝:大変なんだよ?(笑)。
(会場笑)
イセ:ありがとうございます。
三枝:イセ君に聞きたいのは、やっぱりどこでマネタイズをしていくか。どこで大受けのボリュームゾーンをどうやっていけばいいか?
イセ:はい。一番痛いところ突かれましたけれども。算段があまり立っておりませんで、メタップスさんになんとかしてもらおうかなと、マネタイズの部分を。
ただ、アプリの事業を5年ぐらい前にスタートしたときも最初全然立ってなかったんですよ。当時、iPhone 3Gが出た後ぐらいのアプリって有料課金で売るんだけど、スマホそんなに持ってないから、グローバルで売るしかないと。
でもそこから2、3年で一気にアプリが立ち上がったりとか、いい方向に行ったので、なにかあるだろうなと思って。ぎりぎりわからないぐらいで、とりあえず張ってくという感じですね。
三枝:ああ、それは近いね。
イセ:そうですか。C CHANNELさんのほうがマネタイズも早そうだなって思ったんですけど。
三枝:いやいや、まさにうちはベンチャーなので、確かにおっしゃる通り、なにかわからないけど、今走っておかないと、後ろから気がついて巨大事業にうわーってやられるときにやっぱり勝てないので、やっぱり来そうな感じがする時にわりとこう張ってみると。
山田:ありがとうございます。では、最後になりますが、会場の皆さんから、今日お答えいただいた内容とは別でもかまいません。改めてお2人に聞いてみたいことはありますか?
質問者1:今日はありがとうございます。勉強になりました。
三枝さんにお聞きしたいのが、今、テキストとか写真をベースにしていたメディアがどんどん動画に来ているなかで、三枝さんたちは動画をベースにしたメディアで、1、2年で勝負が決まる感じが海外含めてなんとなくあると思うんですけども。どういったかたちにユーザーが選んでいくと算段されているのか、仮説を持ってらっしゃるのか、もしあれば教えていただければと思います。
三枝:おそらく人間って面倒くさがる生き物なので、テキスト書いてた人たちが面倒くさくなって写真に移ったと思うんですね。インスタみたいな感じで。その次にやっぱりインスタで伝えきれなかったものを伝えるようなカルチャーができた時に、動画に移るんじゃないかと。
動画の勝ち負けなんて、正直言うと、ここ1、2年で決められるかどうかもわからないですけど。インターネットで動画を見るということが日常になっていくということが1、2年で決まるんじゃないかなと思っていて、そこが、勝ち戦になることが。
質問者1:なんとなくなんですけれど、BuzzFeedとかってテキストからスタートして動画じゃないですか。海外事例がそっちの方が多い気がしていて。その辺りが動画をやっている身としては、少しこわいなと思うんですが。
三枝:いや、まさにその辺が我々の1番の怖いところで。やっぱりBuzzFeedの動きって、見ているとすごいですよね。そこがやっぱりベンチマークせざるを得ない。そこに来られて、わーってやられちゃうと。
質問者1:ありがとうございます。
山田:ありがとうございます。次の質問を最後にさせていただいて、その後今日交流会があるので、その場でもまた皆さんいろいろとご質問していただければなと思います。いらっしゃれば次の質問を最後とさせていただきます。
質問者2:今日はありがとうございます。質問なんですけれども、僕は中国の生まれなんですが、アメリカが今とりあえずWebの動画で今1番先進的だとは思いますが、そのアメリカのWeb上の動画のモデルをそのまま日本移しても需要はあると思います。そこで日本の動画産業とアメリカの動画産業は、どういう違いがありますか? あとは中国、これからどう動画産業が発展していくかをお聞きしたいです。
イセ:アメリカに住んだことないのであれですけれど、日本より多分アメリカが2、3年早いといわれています、おそらく。あとはコンテンツを出したときに、英語にしたりとか日本でもあるんですけど、それぐらい進んでいるんですけど、けっこうツボが浅いなとは思いますね。BuzzFeedとか見ても、「あはは」って笑う感じじゃないですか。
日本はけっこうコンテキスト重視なので、よっぽど刺さらないとシェアしないぞみたいな感じでみんな見るんですけど、アメリカはやさしいなと思いますね。あと、中国はなかなか見えないですね、こっちからは。台湾と香港に関してはけっこうコンテンツ出してるんですけど。
三枝:アメリカのマーケットって、映像の産業自体がハリウッドがあって、ハリウッドとプラットホームが分かれているので、そういう意味では1970年代からあって。そこが全然違う。あと、他民族でもあるし、カルチャーの違い。
アメリカ人ってけっこうシェアしますよね。それも軽く、「おう、お前どうだったー?」みたいな。「隣町の住人がよー」みたいな流れで。そういうカルチャーなので、そういうところがあるんですけど、日本人はものすごく自分の見え方を気にする。
これをシェアしたら……、例えば『テンガマン』をシェアしたら、俺はそういうヤツに見られるんじゃないかとか。
(会場笑)
三枝:そこがちょっと違う。中国に関していうと、確実にこれからマーケットが大きくなっていきますし、ある種、僕らのなかでいうと、日本と中国圏のマーケットはけっこう、親和性強いなと思っていて。うちも中国語のサービスをやっているのと、今、今週ぐらいから出始めた「Tudou」というサービスにも動画配信を始めていて。特に女性のファッションとかメイクみたいなところは注力しています。
質問者2:ありがとうございます。
山田:はい。もっといろいろと質問をおうかがいしたいんですけれども、お時間になりましたので、パネルディスカッションは以上になります。お二方に大きな拍手を、皆さまありがとうございました。
(会場拍手)
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