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狩猟社が2015年にやった動画実験!海外でも100万再生される動画を作るまでのプロセス(全2記事)

150本の動画を作ってわかったこと~『自慰戦士テンガマン』が100万ヒットするまで

ついに“動画元年”が来たと言われている昨今。「VIDEOTECH:元TV局プロデューサーが語る、これからのオンライン動画戦略 」と題して行われたイベントに狩猟社のイセオサム氏が登壇。2015年の1年間で150本の動画を作成し、得た学びについて話しました。100万再生を越えた『自慰戦士テンガマン』のヒットは、ホームランを狙って生まれたものだそう。制作コストとスピードの問題、その後の収益化についてなど、さまざまな試行錯誤から判明した課題から学べることは多そうです。

日テレ、広告代理店出身 イセ氏の経歴

イセオサム氏(以下、イセ):みなさま、こんばんは。株式会社狩猟社のイセオサムと申します。よろしくお願いします。

忘年会やらなんやらで忙しいなか、今日はありがとうございます。たぶん、みなさん三枝さんの話を聞きにきたんじゃないかなと思っておりまして、なるべく今年やった遊びとかを足しながら、お話したいと思っております。

タイトルは「狩猟社が2015年にやった動画実験」。

あと1個、海外含めて100万回再生された動画が出ましたので、これを作るまでのお話などを申し上げたいと思います。

僕の資料は、マーケットのデータがほぼ三枝さんの資料にあったので、全部割愛しておりますのでご安心ください(笑)。

自己紹介なんですけど、たまたまというかなんというか、僕ももともと日本テレビにいまして、三枝さんは僕の16個先輩なんですよね。大先輩でございます。僕は2005年に入って1年で辞めましたので、辞めた時期は10年くらい早いです。

当時は『ZIP!』の前にやっていた『ズームイン!! SUPER』という羽鳥さんと西尾さんが司会をされていた番組のADをやっておりました。

僕が唯一活躍したことといえば、ズーミンというキャラクターをご存知の方もいるかと思うんですが、このなかに入っていて、動きが人一倍いいということで、広島の中継とか江ノ島とか、あらゆるロケに連れていってもらいました。これが1つ、大きな仕事かなと思っております。

もともとインターネットの会社を作ろうと思っていたこともありまして、翌年に人の縁でオプトという広告代理店に就職しました。「2年半だけ修業をさせてくれ」いうことで入りまして、約束通り辞めまして、2008年にハロという会社を共同創業しております。

ここでアプリ事業をやっていたんですけれども、「ボケて」というスマホアプリ、これもまた当時の日テレの同期がやっていたサービスをアプリ化しました。

ちなみに、今年9月を持ってハロ取締役を退任しました。「ボケて」には引き続き、別のスタイルで関わっているんですけれども、現在は7年勤めた会社を退社したというかたちで、感慨深い年末でございます。

150本の動画を作ってわかったこと

今は大きく分けて2つ事業をやっておりまして、今日のメインとなる狩猟社という会社で「ViRATES」というバイラルメディア(※2016年2月にグッディア株式会社に事業譲渡)と、動画の制作事業の2つをやっています。もう1つ、オモロキという会社で「ボケて」を運営しています。

ちなみに2015年度は、僕のなかで、この10年くらいで一番苦戦した年だなと思っています。というのも、もともとテレビにいた時代に「きっとみんなモバイルで動画を見るようになるだろうな」と思ったのが2005年。

当時、会社を辞めてからなかなか時代がこないなと思って、10年ぐらい経ちまして、やっと今年きたかなと思って始めたんですけれども、なかなか私の事業はヒットせず、暗中模索という感じでした。

狩猟社はどういうチームでやっているかといいますと、僕がCOOという公称なんですけれども、元々紙のライターをやっていた代表の孫がアプリのプロデューサーにいって。

もしかしたらやったことがある方もいらっしゃるかもしれませんが「ぼくのボッタクリBAR」とかでよく1位を取っている人間でした。あとは技術担当役員の大野というかたちでやっています。

この3人なので、動画に関しても技術を使いながらやっていこうというアプローチがあったんですが、結果的にはほとんどお色気路線バリバリみたいなことをしました。

この12ヵ月くらいで動画を150本くらい作りましてこんな結果でした。合計再生回数320万の、最大ヒットは100万ですね。めちゃめちゃすごい数字かといったらぜんぜんそうじゃないんですけれども、いっぱい作って1本あたり2万再生くらい。

これはYouTube上の数字だけなんですが、そういうところです。ぐわーっとした伸びに比べますとこんなに数字はないんですけれども、学びを得ることはできたので、今日は3つのフェーズに分けてお話したいなと思っております。

メディア+動画モデルの追求

フェーズ1なんですけれども、最初、僕らが事業として展開しようと思っていたのが、メディアと動画を組み合わせるということです。

来月ですかね。日本でも公開すると思いますけれども、こういった「BuzzFeed」とか「VICE」の動きを踏まえました。海外で圧倒的なコンテンツ量とソーシャルのバイラル力を持って、圧倒的な動画再生回数を出していたので、この2つをベンチマークしておりました。

というのも、元々バイラルメディアの「ViRATES」を運営していましたので、これはいろんな動画を紹介していくんですが。「これがおもしろいよ」とか。

それでシェアを生み出す心理を解析してやっていくんですけれども、探してもあまりおもしろいものがなくて、「じゃあ僕らで作ったほうが早い」ということで、作ることに着手しました。

なので最初にあったのは、メディアを上に持っていて、下のほうのコンテンツも僕らが作ってしまう。たぶんNetflixさんもそうだと思うんですけれども、こういった発想でやっていました。

ViRATESは今のところ1万記事くらいのボリュームになってるんですけれども、そのなかに僕らが作った動画も150本くらい紹介しているという状況です。

男性向けのハウツー動画

どういった動画を作っていたかといいますと、わかりやすいのはハウツーものですね。

記事と画像、コンテンツを見てもわからないことってけっこう多くて、たとえばさっきの「Tastemade」のご飯のおいしさみたいなものかもしれないし、C CHANNELのファッションとかヘアメイクとか。やはりこういったものは動画のほうがわかりやすい。

僕らは、たまたまViRATESという男性向けのメディアをやっていましたので、「一瞬でTシャツをたたむ方法」みたいな企画、こういった女の子的なネタをちょっとセクシーに描いて、男性も見て楽しんで役に立つみたいなアプローチを取っていました。

動画はどういうふうに見られるかがポイントだと思っていまして、たとえばViRATESで動画に慣れてくる人が増えてくるので、これだと記事が3万8000回くらい見た時に動画を2万5000人くらいが視聴してくれているとか。けっこう多いということですね。

そのうちViRATESでは1万7000回ですけれども、約42パーセントの人が記事の誘導で動画を再生する。こういった結果が得られました。記事と動画というのはマッチするんじゃないかなと思ったきっかけでもあります。

こういうのもどんどんやっていたんですけれども、記事を1本作るのにそんなにかからないんですよ。普通に写真撮って記事を書くだけなので。なんですけれども、動画を作る場合は、普通にやればどうしても3日ぐらい経っちゃうんです。

急いでやれば1日で作るというのもいいんですけれども、僕らが満足いくようにやると、ぜんぜん制作費で割が合わない。ということで課題として残したまま、やめようという感じの5ヵ月くらいを過ごしていました。

再生数、登録数を追い求めた

その次に、より動画にフォーカスしてやはり再生率、そしてYouTubeチャンネル登録数を追い求めてみようという実験を開始しました。

とにかく見てもらわなければ意味がないということで、1000人とかじゃなく、数十万数、数百万人に1秒あたり当てたいなと思っていまして、最初こういうチーム構成でやってみました。

チームは、上は社内に僕が専属の人間を5人くらい置きまして、僕も含めてなんですけれどもWebをそこそこわかっていて、やったことがあるくらいの人間が大量生産するというのが1つ。

下は、テレビのバリバリのクリエイターたちを10名くらい作って、お題をどんどん作っていく。

それで内製チームでは1日1本出そうということで、YouTuberならこれくらい出さないとファンがついてこないということを考えましたので、とりあえず3ヵ月で100本出そうという感じで、バリバリ撮っていました。

ネタは、さきほどのハウツー動画とか、僕が取材にいったり、プロモーション動画とか、広告を打ったりとか、なんでも実験する。もちろんドラマを撮ったりもしました。

右上の(スライドで)「田代まさし 依存症は病気です」というのがあるんですけど、これは公開しようと思った時にもう1回疑惑があったので、お蔵入りしたということでございます。けっこうおもしろいんですけどね(笑)。こういった取材物もやっております。

あとはキャストをアテンドするのも大変なので、自分たちで出るしかないんじゃないかということで、リメイクをやったり、あやまんJAPANを呼んで飲み会をぐちゃぐちゃにされてみるとか。初めてパンツをかぶせられました。 けっこう楽しかったです。こういった実験をしておりました。

外注チームでは3ヵ月で50本分くらい作る。内製に比べると半分くらいのペースで、かわりにクオリティをアップするということだったんですけれども、これくらいやってしまうとコストが合わなくなってしまうということで停止しました。

あと一方で、先ほどのTastemadeってテレビの方なんですよね。うまくシステムができているなと思うんですけど、けっこう日本のテレビマンって、三枝さんはやわらかいと思うんですけど、職人みたいな方が多くて「テレビはこうだ」「消費者はこうなんだ」とか凝り固まっていて、ニューメディアとしてあまり使い物にならないものにならないなと思いまして、解体しました。

もちろん対応できる方もいらっしゃるんですけれども、この人材の移動は日本は少ないなと思っていまして、だからもっとスムーズにいかないとおもしろくないのかなと思っています。

動画を作った“あと”どうするかが課題

フェーズ2の課題としましては、タレントとしてのセンスがないというのを1つ思ったんですけど、これは別にどうでもよくて、実際はこれを作ったあとにどうやって事業化するのか、メディアにしていくのか、例えばC CHANNELのようなプラットフォームにしていくのかという組み合わせみたいな、ここらへんを課題として残しました。

僕らのチームはわりと気が短くて、なかなか1本で100万再生とか出ないともう嫌になっちゃうんですよ。

これまでアプリとかを作っていて、一気に20万DLくらい出たりするので、その感覚が忘れられなくて、コツコツ毎日1本作るというのは向いてないなということを判断しました。

僕の事業判断というよりは、僕らはマインド的に向いていないので変えようというわけで、このバイラル動画を、1発ホームランを目指して作るほうにシフトしていきました。

考えていたのは、「コンテンツがおもしろければバイラルは起こるはずである」という仮説なんですけれども。とりあえず一発目、今年の7月「自慰戦士テンガマン」というやつを見たことある方いらっしゃいますか?

(会場挙手)

ちょいちょいいらっしゃいますね。手を上げづらい方もいらっしゃると思うので、ここにいる半分くらいが見てくれているんじゃないかなと思います。

これはもともと僕らがやりたくて、TENGAさんに許可を得て作ったんですけれども、こういう動画です。

予告編と本編を合わせて100万回再生が出たんですけれども、プロモーション費用なしでできました。

なんとなくヒットの感覚がつかめたので、ほかのところも工夫してみたいなと思っています。ただ課題として残ったのが、これをどうやって事業にするんだという話がありました。

おもしろいコンテンツを作り、例えばNetflixで配信するとかであれば、おそらくレベニューシェアでやるのか買い取りでやるのかということができるんですけど、自社事業にした時にあとから(資金を)突っ込むのか、まだ定まっていない状況ではあります。

参考までになんですけど、テンガマンの予告編を流してもいいですかね? 見たくない方がいたらあれですけれども。下ネタなだけで、エロい番組ではございません。けっこうがんばって作ったんです! 40秒です。

イセ:……という予告編です。本編はテンガマンで検索してもらえれば出ますので、よかったらスマホで見てください。本編は17分くらいあります(笑)。

(会場笑)

イセ:Wi-Fiで見ていただくのもオススメしたいと思います。

なんでこれを作ってしまったんだと、人からよく言われたんですけれども、なんででしょうかね(笑)。

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