2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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質問者:12卒の○○と申します。今社会人になって2年くらい経つんですけれども、そもそも「女性」を普段どのくらい意識されていますか?というのも、私会社で2年間サラリーマンやってきて、自分が女だからって意識してることはほとんどないんですね。多分これから年を重ねていくと色々壁にぶち当たるのかなと思っていて。
普段どのくらい意識されているのか、それとも女性はなんたらと言われると違和感があるのか。あともう1つ、どういう場面で自分って女だからやっぱ違うんだなとか、性差を感じて辛かったことでもいいんですけど。事例があったらお伺いしたいです。
小林:はい。趙さんどうぞ。
趙:幾つかありますね。会社に入って30手前くらいまでは、あんまり自分が女だからとか考えたことなかった。電通はすごいフェアな会社で、仕事を男女関係なくものすごく平等にくれる、かつみんな仕事多いみたいな感じだったんで、全然男の人と差を感じなかったし、優秀な人が徴用されて、そうでない人はそうでないみたいな感じだったんですけど。
多分1回目に女としてどうしようかなと思ったのは結婚を考えた時と、結婚した後、出産を考えた時で。結婚を考えた時は、会社の中に、結婚してなくてめちゃ頑張ってる女子の先輩がいっぱいいるんですね。私達の7つとか8つ上の、今50前後の先輩なんですけど。部長とかになってるんですけど。
「結婚なんかしてたらこんなになってないわよ」みたいなすごい気合いが入っていて、「やべー超怖い」みたいな。「結婚しました」とか言うと「眠てー」みたいな感じで怒られて、「怖いんですけど」みたいな。自分の中で「ああなってはいけない」「女子のロールモデルとしてあれは駄目だ」と。
私は仕事もできる人でいたいけど、でもやっぱり結婚もちゃんとして、人として幸せなプライベートライフが欲しいと思ったから、意を決して結婚したんですけど。すごいディスられたこともあり。「仕事やる気あんのか」みたいな。
それが1つ大きな決断だったのと。あとその後で子供をすごい欲しかったんですけど、産むかどうするかって時に、本当に日本の大きな会社は、電通だけなのかもしれないけど、2択しかなくて。
加藤:そうですよ。
趙:やっぱりそう? 勇ましいオッサンみたいに働かせません? まあ、そうなんですよね。子供を産んだら、フロントに残るのはほぼ現実的に無理。例えば徹夜とかできないわけですよ、乳幼児がここにいて。
徹夜とかしてないとプレゼンとかできないから。そうするとちょっとバックオフィスまでいかないけど、セカンドラインくらいのところに引き下がらないことには、職種を変えないと生きていけなくて。
フロントラインでせっかく油がのってる時なんですよね。30過ぎて、私結構何でもできるわ、みたいな自信に満ち満ちている時に、「今ここで赤子が出てくると」みたいな引き換え感がすごいあって、すごい悩んで。
選ばなかったわけではなく、自然にできなかったんですけど。結局子供、私は持てない人として仕事をそのまま続けて、私の同期なんかはみんなその時期に大体子供を産んで、セカンドラインというか1.5列目くらいに下がった。
っていうと、その後の10年後って仕上がりだいぶ違うんですよね。1列目で10年暮らした人と、1.5列目とか2列目になって10年暮らした人と。別に後悔はないんですけど、なんで両方手に入らないのかなって。なんでこれ女の人、私だけが考えなくちゃいけないことで。さっき言ったけど、産むのは私だけでも、育てるのは別に私だけじゃないのになって。
趙:あと、もう1個だけ。体力。私電通辞めた時、36歳だったんですけど。辞める時に一緒に仕事してる先輩とか上司見てて、50歳とかで私と同じ生活をしてたんですよ。例えば2日寝てないとか。「これはやばい」と。
20代の頃は体力あるから全然徹夜とかできるし、アドレナリンが出てるからすごい仕事できるんですけど、35歳を超えると体がしんどい。これは男女の筋力の差だなって初めて感じて、気合いでは負けてないんだけど、筋肉の量で負けてるから。
小林:それ僕は結構つらいですよ。
趙:本当ですか? 筋力あってもつらいのかしら? なんかこれを50歳まで男の人みたいにやったら体壊すかもなっていう危機がすごい訪れて。それでちょっと全然違うところに人生を変えるのがいいかも、早死にしないためには必要な手段かもしれないって思ったのが、3つ目の女を感じた時ですね。すいません、長々と。
小林:向田さんはどうですか?
向田:私はご質問にあったように、こういったタイトルで何かを話すことへの違和感がものすごくあります。女だからって何かを意識したことはほとんど(ない)。女であることは意識はしていますが、それによって何か社会的に不都合だったことはあるかっていうと、今のところそういうことはないですね。
かつて70代のフロントランナーの新聞記者の女性達と何人か、「女性で一致団結してやっていこうぜ」みたいなイベントで登壇した時も同じようなことを言ってしまって、ものすごい叱られたんですよ。「あんた達はまだ、私達の世代はすごく大変だった」と。「だから、私達が戦ったから、あなた達は楽なんだ」っていうことを教えていただき、それは本当にそうだと思ったんですね。
女性が制度的に制限されていたところはなくなってきているんだと思います。ただやっぱり趙さんがおっしゃるように、体力っていう面では私も感じるところはあります。大変だと思うところはあります。
例えば私はネパールと日本と行ったり来たりして暮らしているんですが、ネパールでちょっと離れたところまで1時間とか2時間、4時間、支援先に歩かなければいけない時とかに、持てる荷物の量が限られてくるとか、手首はいつも大体腱鞘炎なんですが、そういう身体的なディスアドバンテージはあります。
あと、夜ネパールって大体1日4時間とか6時間しか電気がつかないので、日が暮れたらもう真っ暗なんですね。真っ暗な中を仕事から家に帰ってくるっていうのがすごく危ないので、男の人だったら襲われても防御したりできるかもしれないですけど、私アジアの中でも小さい方なので、何かあったときに体力的な部分で攻防しても押さえつけられたら終わりとか、そういったディスアドバンテージは感じることはあります。それ以外は特に、日本で暮らしてる分にはほとんど感じないです。
小林:加藤さんありますか?
加藤:そうですね。私も20代は、全然男とか女とか関係ないじゃんと思ってましたね。でもやっぱり違いますね。30歳くらいから違うなと思って。最近結構、女性としてみたいな感じの取材とかが増えてきて、やっぱり今流行りなんですよね。これ一定の周期で繰り返してて、前は2007、8年、リーマンショックの前ぐらいは結構また女性活躍みたいなこと言ってました。
私なんでこの流行りが繰り返すんだろうと思ったんですけど、景気が連動してるんですよね、おそらく。景気が良くなると企業とかもたくさん人の募集が増えるじゃないですか。そうすると、ここの座れる座席が増えるみたいなイメージです。
そうすると優秀な男だけじゃ足りなくなるんで、不優秀な男を入れるか優秀な女を入れるかって話になるんですよ。そうすると優秀な女を入れた方がいいかも、みたいな議論になるんですね。
これがディセンションというか不景気になってくるとどうなるかっていうと、女性活躍みたいなことを言われなくなります。多分。だから多分あと2、3年すれば言われなくなると思います。
小林:それはもう景気が悪くなるということですか?
加藤:多分そう(笑)。座席が減ってくるんです。そうすると優秀な男と優秀な女による座席奪い合いバトルじゃないですか。そうなると、まだまだ男性の方が強いと思いますね。
というのが1点と、あとジェンダーバイアスっていうのはやっぱりあって、男の人はどんなに家庭が充実していて幸せな人生を送っていても仕事上で認められていないと駄目なやつって思われがちなんですよ。
逆に女の人は、どんなに頑張っていて大企業で出世しても、プライベートが寂しそうだと可哀想な人レッテルを貼られるんですね。これって実はジェンダーバイアス。私達の知らず知らずに植えつけられてる偏見の1つなんですよ。こういうことを理解してうまく生き抜いていかないと、プライベートも仕事もですね。
だから男女はやっぱり違うし、世間から見られる目も違うし、景気の波とか世間の流行り廃りによって、女の扱いっていうのはどんどん変わっていく。男性も女性もですけど、「なんでこういう風なことになっているんだろう」っていう風に、客観的に見て上手く泳ぎぬける方法として身に付けられれば、男の人でも女の人でも、もっとうまく生きていけるんじゃないかなと思います。
小林:はい、ほかに質問いらっしゃいますかね。
質問者:大学1回生の○○です。私はまだ学生なので社会をまだ見てないんですけども、女性としてでも、ビジネスパーソンとしてでもどちらでもいいんですが、学生時代に思い描いていた社会と、実際働いてみられた社会でのギャップとか差っていうのはありましたか? どんな差がありましたか?
小林:どうでしょう? 向田さんどうでしょう、最初。
向田:私、学生時代がやたら長かった人で、高校卒業した後、2年アメリカの大学に行って、日本の大学に1校行って、3つ目が実はSFCだったんですよ。
小林:そうなんですか。
向田:はい。だからその間実は色々アルバイトも山ほどして、有り得ないすごい色んなアルバイトをやりまくった後にSFCの受験をして、奨学金で全部行ける大学ってことで来たので、SFCの大学1年生の時に、相当スレてたんですね。「学位を買いに来た」みたいな気分で来たんですよ。だからあんまり学生の時の社会の認識と、卒業した後の認識っていうギャップはあんまりなくて。
小林:無いってことですね。加藤さんどうですか?
加藤:そうですね、私がSFCの時は自分で「何でもできる」っていう万能感に溢れていて、それはもしかしたら皆さんも一緒なのかもしれないですけど。会社に入ったら「自分って何もできない」っていう無能感というかですね、打ちのめされて、やっぱり実際に社会人としての基本というか、ビジネスの基本はわかっていなかったんで、無能感に苛まれるっていう感じでした。
だから学生から見ていた時の社会って、何かもっと自分の掌で何でも動かせそうな気分がしたんですけど、結構、実際入ったら荒波に揉まれたっていうのが1つあって。その中でようやく最近ですね、また万能感というか「やろうと思えば何でもできる」っていう気持ちになってきて。
人生長いので、何度でも学生時代のような気分、自分には何でもできるし、どんな可能性もあるんだっていう気持ちを、今はもうまた取り戻していてですね。何度でもそういう風な気分に。社会に出てギャップがあるかもしれないんですけど、また色んな意味で取り戻せるという風に思います。
小林:ちなみにリクルートに入ったのは、旦那さんがリクルートにいたからっていう話を聞いたんですけど。
加藤:そうなんですよ。私1学年下なんですよね。だから彼の方が先にリクルートに入っていって、私も追いかけたわけじゃないんですけど、結果としてリクルートに入るという形になりました。これも一応自分の中で分析したんですけど、やっぱりCMでも何でもそうなんですけど、基本、接触量が多いものを人は好きになってしまうんですって。
だから、長い時間一緒にいる人のことを好きになっちゃうっていうのはSFCでもよくありがちなことだと思うんですけど、それは脳がストレスだった。隣の人が嫌いなのに一緒に長い間いるっていうのはすごくストレスだから、「一緒に長い間いるということは、自分はこの人が好きに違いない」って思うっていう風に、脳が変換するらしいんですね。
それで言うと私は就職活動の間中、リクルートに入ったばっかりの旦那さんからずっとリクルートの話を聞いてたんですね。そしたら、なんかリクルートっていい会社だなって思い始めちゃって、結果として追いかけて入ったことになってしまいました。
小林:ありがとうございました。
趙:私、結構、加藤さんとすごい感覚似てて、SFCすごいいい学校なんですよ。自由で、何でもしてごらん、みたいな感じで、実際したらよくできるねとか言って褒めてくれたりとかして、とてもいい学校だったんですね。私も全然社会のこと知らなくて、本当にわかってなかった割には、「私超できる」みたいな万能感に溢れていたっていうの、すごいわかるなと思ってて。
私そもそも全然就職を望んでなかったんで、会社に入ること自体もハイパー舐めていて、「まあ、適当にやればこなせんじゃね?」ぐらいの、すごいイヤな新入社員で。入った瞬間から先輩から「お前本当会社とか舐めてると痛い目あうよ」って4月に言われたことがあるくらいなんですけど。社会に出たら全然違くて、加藤さんが言った通り。
学生の時に私が「これが社会」って思ってたのは全然社会じゃなくて、本当に針の穴ぐらいからしか社会を見てなくて、会社員になったら「社会ってこんな仕組みで、こんなことになってんだ、マジか」みたいなすごく大きな驚きと挫折感、無力感。本当に私、この中で何もできないんだな、みたいなのが何年かあって。
でも確かに何かを一生懸命やってたら、40歳近くなると、今だからこれができるとか、今だからこういう影響を社会に及ぼせるみたいな、あのSFCの頃の万能感再び。でもそれは根拠のない万能感というよりも、自分のやってきたことにある程度裏打ちをされて、今だから、自分が世の中をこうしていける、みたいな自信。でもそう思うには大学出てから16年ぐらいかかってるんで、全然違うと思います、結論としては。
質問者:ありがとうございます。
小林:そろそろお時間ということなんで最後に一言ずつ皆様にメッセージをいただきたいなと思いますけど、何かメッセージありますかね?
向田:私はまだ生き方のアドバイスのような、そんな経験も少ないですからできませんが、私はSFCに入った時、さっきお話したように、22歳でSFCに入ったので、もうお友達できないかな?って。普通だったら卒業する時の年齢で大学1年生じゃないですか。
でも在学生の皆さんはもう既に感じてると思われるんですが、すごくそれぞれ全然違ったバックグラウンドを持って、ある種、それぞれの社会のはみ出し者みたいな人が集まって、それぞれ自分の道をただひたすら進んでる、みたいな人達が多くいらっしゃると思うんですね。
私の大学の時の友人は、今音楽家として活躍していたりとか、脳科学者になっていたりとかNASAで研究していたり、本当に私の分野とは全然違う人達が大学時代に友達で、今のそれぞれの道を進んでいるんですけど。それぞれの分野で、自分達が他に分かれた後に、また出会った時に、色んな化学反応が起きるだろうなということを私も今予感していて、すごく楽しみなんですね。
なので、皆さん色んな分野の研究をしている方々とそれぞれお友達だと思うんですが、そのお友達、すごく将来も繋がっていく人達なんじゃないかなと思っていて、みんな友達をたくさん作って生活して下さい。
小林:どうもありがとうございました。では次は、趙さん。最後のメッセージを。
趙:そうですね。あんまりこれといったことは言えないんですけど、1つだけ言うとしたら、就活する時に黒いみんなが着ているスーツを着るのを辞めたらどうかな、ということを一言言いたくて。それ何かと言うと、自分がこうしたとかこう生きたいとか、みんな一人一人違ってあるはずなんですね。今日同じ格好してる人、ひとりもいないじゃないですか。
日本の社会って、生きてく時にものすごく同調圧力が強くって、私は外国人で生まれてきたんで、同調圧力っていうものを皆さんより少しだけ強く感じて生きてきたんだと思うんですけど、違ってることや人に対して、社会ってすごく厳しいと思うんですね。
その時に「違ってていいじゃん」って。「違ってるけど、こんなことができるよ」っていうことを突き通していくことって結構大変なことだと思うんですよ。でも起業したりすることってそうだと思ってて、普通に大きな会社に入るのがいいよねってされてる中で、「いやいや、俺はこれがやりたいから、こうやってビジネスを起ち上げるんだ」っていうのって、自分が他にやりたいって思ってることを強く主張を通す、っていうことだと思うんです。
なので、黒いスーツ着たら受かるって思って、でも本当は黒いスーツとかダサいから着たくないなと思っていると、自分に嘘をつくことになりますよね。「それで落ちたらいいじゃん」って思えるくらいの強さを持っていただけたらいいかなと思います。ちなみに黒いスーツじゃないと受からない業界は1個も受けなかったんですけど。はい。
加藤:さっき猿山とか猿芝とか猿海の話してたと思うんですけど、やっぱり起業でも就職でも留学でも何でもいいと思うんですけど、1個最初に猿山、猿芝を決めたら、そこでまずすごい猿山を頑張って欲しいなという風に思っていて。難しいことなんですけど、猿山に入ったばっかりの段階から猿芝の方が良かったかもとか、猿海の方が自分は力を発揮できるんじゃないかとか思わないで欲しいっていう感じですかね。
猿山をとりあえず頑張って、でも危険なのが、猿山がワールドだと、世界の全てだと思っちゃうこと。それはすごく危険なので、そこで努力もできるし結果も出せるし、なんならトップになれるんだけど、いつでも猿海や猿芝に行ける自由さを同時に持っていれるような人材に、ここに来ている皆さんにはなっていただきたいし、それが多分自分の人生を自由に生きる、やりたいことややるべきことはやって社会や世界に貢献するっていうことなんだと思います。
小:はい、ありがとうございました。それではこのセッション終わりにしたいと思います。
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