2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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早速なんですけども、女性の方に質問をしていただきたいんですけど、何か女性の方で聞きたい人っていらっしゃいます? 男性でもいいんですけども。あ、じゃあ男性の方で。どうぞ。
質問者:早稲田大学の○○と言います。よろしくお願いします。質問は、女性が働きやすい環境作りについてです。例えば、女性が働きやすい環境作りをするために、色々なことがあると思うんですけども、実は女性の敵は女性だったみたいなことが良くあるっていう風に聞いてて、男性としてはどういう風に環境作りをしてあげたらいいのかっていうことを。
小林:いいですねえ。逆に言うと、今働きやすいですか? っていうところですかね? 環境作りっていうか、働きやすいってそもそもどういうことかっていう話と、こうしたほうがいいんじゃないかっていうのを、じゃあ加藤さんから。
加藤:そうですね。女性の敵は女性っていうことは無いと思います(笑)。私、一応ビジネス社会に出て約15年ぐらい経ちますけど、男の人はすごくかわいがってくれるんです。女性で頑張ってる人って、すごくかわいがってくれるんですけど、「あ、こいつ自分のライバルになるな」ってわかった瞬間に牙をむきますんで。普通に競争者として、女の人の敵は女の人ってことは実は無くって、ビジネス社会だとむしろ本気になれば本気になるほど、男の人が相手かも知れないですね。
自分のことをコントロールできてないんですね。本当はどの場所に居ても、朝働いても夜働いてもパフォーマンスが出せるのであればそれは認められるべきで、それが多分自分の仕事とか、自分の評判とか、自分の働き方をコントロールできる状態だと思います。
コントロールできないと、夜遅くまで働いてないと、サラリーマンとしてちゃんとしてないじゃないけど、頑張ってないみたいに見られる。こういうような状態に置いてしまうと、女性の場合、年齢が上がってくると、私も今4歳と7歳の子供がいますが、保育園のお迎えに早く帰らなきゃみたいなことがある。
そうすると、早く帰ってるから駄目な奴ってなっちゃう可能性が無きにしもあらずですよね。でも、それまでに完全に自分の評判とか、私は時間や場所に囚われずアウトプットや成果が出せる人間だっていうことを、周りを含めて自分がコントロールできるようになっていれば、それは非常に働きやすい環境だし、男女ともに作れる環境だと思います。
小林:自分の仕事をコントロールできるようになったのって、どのぐらいのタイミングからですか? いきなり最初からって難しいじゃないですか。
加藤:最初は全くコントロールできなくて、大変だったんですけど、2年目か3年目ぐらいからですね。で、やっぱり幾つかの気づきがあって、人に言われたことをやってちゃ駄目なんだとかですね。SFCで教わった一番大きなことのひとつは、課題を解決する能力じゃなくて、何が課題かを発見しろとかですね。こういうことを意識して仕事ができると、自分の時間と自分の仕事を自分のものにすることができると思います。
趙:加藤さんがおっしゃったこと、すごい、ああそうだなと思うことが多いんですけど、私、最初新卒で電通に入って、電通で働くってことはですね、オッサンのように働くってことを余儀なくされる。
加藤:リクルートもそうです。
趙:そうですよね(笑)。かなり似た感じの会社だと思うんですけど。フロントでトップランナーとして、輝き続けたかったら、徹夜できませんとか言ったら、ありえませんみたいな。断るんだったらもういいです、みたいな感じがあって、最初の15年はオッサンと同じ働き方をしてたんですね。ほとんど家事やらなかったし、子供産むとか絶対に無理。
子供産んだらフロントから離れなくちゃいけないっていう完全に2択で、私は子供より仕事を選んでしまった部分もありなんですけど。今、ヒューマン・ライツ・ウォッチに転職して、今すっごい働きやすいんですね。ヒューマン・ライツ・ウォッチ、すごいグローバル組織で、私の同僚って世界中に散らばってて、スカイプとかメールで一緒に仕事してるんですけど、フランス人とか、上司ドイツ人なんですけど、夏休み5週間取るんですよ。
フランスとかも法律で決まってて。私も「来月夏休みだから、よろしく」みたいな。「頑張ってね」みたいな。「1ヶ月喋らないわ」みたいなのでも全然平気みたいな感じで。労働時間もすごくフレキシブルで、子供がいる人も多いんで、今日ちょっと子供が熱を出したから、在宅で働きますとか言っても、どうぞどうぞみたいな。
それがメール1本で連絡してOKみたいな、日本企業から考えたら有り得ないっていうすごくパフォーマンスさえ出せれば、どこで仕事しても、何時に仕事しても構いません。その代わり、これだけの提示されたパフォーマンス出してね、みたいな感じなんで、今すごい生活が楽なんですけど。
さっきの質問なさった方へのお答えとしては、男性にして欲しいことっていうか、日本の会社がこれから変わらなきゃいけないんだとしたら、男性が早く帰って家事をやる時間を、会社が確保すべきですね。そうしない限り、女性に働きやすさっていうのは絶対に訪れないと思います。
なんでかって言うと、男性に1個だけ取って代われないことは、出産なんですよね。本当は育児は、男でもできる。お母さんが育児放棄して、旦那さんだけ、お父さんだけで育てようと思ったら育てられるはずであって、例えば私、小林さんの、急に話を振りますけど、お弁当ブログをすごく愛していて。
趙:そう、美味しそう、かつ、それをしょっちゅうフェイスブックにあげていらっしゃるのを。
ああ、いいなあと思って、愛してるコンテンツなんですけど。
結局でもそういうことで、旦那が23時まで帰ってこないような社会で、女の人に家事もやって育児もやって、仕事で輝けとか言って、「眠たいこと言ってんじゃねえよ!」みたいな話だと私は思うんですね。なので、女性にもっと活躍してほしいとか、社会でなにがしの仕事ができるようにするんだったら、とにかく会社は早くお父さんたちを家に帰すべきと思います。
小林:日本の社会ってね。皆さんご存知の通り、日本の経済ってそんな発展もせず、停滞していって、賃金水準も年々右肩下がりで落ちていて、働く時間も変わらず長い時間残業して会社から帰ってこない。不幸そのものですよね。これこそ人権問題じゃないですか?
趙:そうですね。どっちかっていうと効率が悪いっていう問題だと思うんですよね。フランス人の同僚にもよく言われるんですけど、日本人、なんでそんなに長時間働いててGDPが成長していないの? 何してるの? って言われて返す言葉がなくて。ですよね、みたいな。
加藤:すいません。
趙:すいませんですよね。
向田:あるんです。
5ヶ月だけ居たんです。
小林:5ヶ月ですか。どうですか? 働き甲斐、働きやすさ。
向田:おふたりのように、電通やリクルートのような大きな組織で働いたことがないので大変だなと思って聞いていたんですが、私はまだ小さい会社なので、自分の組織も男性だ女性だと言ってる暇はなく、やんなきゃいけないことの山があって、それを適任だと思ったら男女問わずお任せするっていう、女性とか男性の差とかそんなことは何も考えてないです。
小林:なるほど、おっしゃる通りです。お答えになってますか? 大丈夫ですか?
質問者:女性がたくさん来てくれる会社を作るれるように頑張ります。
質問者:まず名前が○○と申します。SFC環境情報学部2年生でただいまインターネット企業でエンジニアとしてお仕事させてもらっています。ちょっと視点が変かもしれないんですけど、逆に女性から見た男性、可哀想だなと思うことってありますか?
加藤:あります、あります。
男性が可哀想なところは、うちの旦那さんとかはそうじゃないんですけど、ちょっと変わってるんで。ですけども、ずっと走り続けなきゃいけないとか、このラインは外れてはいけないっていう使命感とか責任感とかがすごく強いですよね、男性は。
だから必死で、よく男は家を出たら7人の敵がいるとか言いますけど、本当にそういう気持ちで、意識はしていないかもしれないですけど、ある程度DNAに刻み込まれているんじゃないかなっていう気がしてですね、「大変だな男の人は、偉いな男の人は」って毎日思っています。
趙:そうですね。女の人って生き方を色々選べる。本当は男の人もそうだと思うんですけど、男の人のほうがそんなに色々選べないよって思い込んでいるのが可哀想だなと思う。
例えば、私は大学出て大学院行こうと思ってたりとか、会社行ってからも会社すぐ辞めて大学院に戻りたいって思ってたりとか、すごい長いことある会社に勤めて、急に辞めてNGOとかもありかもとか、結構冒険的な選択をしてるわけなんですけど、でも男の人でも多分できる。
誰かに食わしてもらわなくても、そのくらいの冒険って自分のファイナンスの中で可能なんですけど、男の人のほうが例えば、電通辞める時すごい言われたんですけど、電通の先輩に「せっかくこんな大きな会社に入ってお給料も比較的いいのに、なんでわざわざそれを手放すことをするの?」みたいな。
加藤:男の人だと(電通の場合)マーケティング局長を目指すんですよ。だから猿山に入ったら猿山のてっぺんに登らないことには気が済まないように、DNAがなってるんですよね。
もしかして猿山の隣には素敵な猿芝生みたいのがあるかもしれないですけど、そこにぴょーんっていっちゃうことをあまり男の人はしないなって。でもSFCは違うかもしれないですね。結構、猿芝生にもぴょーんっていっちゃう男の人が集まってるかもしれないですね。
趙:でも、加藤さんがおっしゃる通り。猿山に残らなくてはいけないっていうのは、男の人が自分にかけてる自己暗示で、本当は男の人も女の人と同じように猿芝生とか猿川とかにぴょんぴょん移れたはずなのに、自分の暗示によって自由を失っているのがちょっと可哀想かなって思いますね。
向田:そのお話を聞いていて、本当にそういう猿山に登っている人周りにいっぱいいるなと思いました。私のLalitpurの事業計画とかを最初の0番、01号から書いてくれている、すごい履歴書のきれいな男子がいるんですけど、東大卒でマッキンゼー出身、高校もすごいし1回も外れたことない、すごい優秀な方が手伝ってくれてるんですけど。
彼はLalitpurがもうそろそろ軌道に乗るぞっていうことがはっきり見えたところで、ジョインするかどうかちょっとわからない。それは自分が今会社でそこそこいいポジションになりつつあり、会社の中でのぼり詰める、その価値感の中で気持ち良くなる。
初めは気持ちよくなっている自分を客観的に見ているんだけれども、だんだんそこで本当に気持ちよくなってしまうと。たまに私達と一緒にミーティングするとハっとしたりする……という風なことを話していて、いっぱいありますよね。
加藤:その人には猿芝とか猿海が見えてるじゃないですか。見えていない人が大多数だと思います。うちの旦那さんは結構猿山のボスなわりに、勝手に猿海とかに飛び込んじゃったりとか。いつも変わってるなと思っています。
加藤:そうですね、今って採用のシーズンだと思うんですけど、「人事は採用なのか研修なのか」みたいな議論って常にあると思うんですね。それを言うと、両方大事なので、できる旦那さんとかできる旦那様に関しては採用、つまり結婚相手を見極めるっていうのが70%くらいで、その後の研修が30%。
小林:それはあれですか、8割は納得できるロジックで、2割は夢みたいなそういうことですか?
加藤:そうです。
そこのところの「わけわからないけど無我夢中でやる」みたいなところを一緒に共有していないと、そのプロジェクトへの参加感ってないじゃないですか。だから赤ちゃんが「わけわからない。どうする? どうするこの生き物?」みたいなところは全部奥さんが実家で終わらせちゃって、人っぽくなってきたところからジョインしても育児ってできないんですよ、男の人は。
ただでさえ妊娠はしていないからちょっとビハインド(遅れている感)はあるので、少なくとも生まれた瞬間からは巻き込んで、わけわからないっていう状況を……義理のお母さんとか自分のお母さんとかは第三者ですよ、株主みたいなもんだから。そうじゃなくて、共同パートナーをまず巻き込むっていうこと。だから出産後の里帰りってよくないと思うんですよね。
加藤:スタートアップです。
小林:スタートアップ。できる旦那の作り方、わかった人? わかったみたいですね、はい。でもできる旦那というか男の人見てると、結構いい奥さんが多いですね。やっぱりお互い成長してきてるのもあるんですけど、(コロプラの)千葉さんを見ていてもですね、奥さん素晴らしいなっていつも思っていまして。本当に子育てもしながらですね、全国飛び回って講演活動して。
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