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新しい仕事を創る(全3記事)

グリー・青柳氏「同じことを長く続けるより、100日で100種類のアプローチをする」 新しい価値を生む生き方とは?

各企業を代表するSFC出身の若手ビジネスアスリートたちが、どのような考えと意志を持って大きな仕事を成すに至ったかを語りながら、これからの時代の新しい仕事の作り方について議論しています。これから変革の時代を生き抜いていく若いビジネスマンは必読です(IVSより)。

伝統や旧勢力をどう見ていけばいいか

小林:時間も進んできたので、質疑応答に移りたいと思います。質問者:お話ありがとうございました。独立行政法人国際協力機構JICAというところで1年生としてアフリカの農業案件のODAをやっています。24歳で、去年の夏にSFCを卒業した卒業生でもあります。

質問ですけれど、話のなかにもあった「伝統に対する見方」ということで、おそらく佐々木さんの話の中で、伝統を見てそこから自分で仕事を作っていくということがあったと思うんです。実際、自分も仕事をする中でJICAという組織は国の組織で、伝統のど真ん中にいるような組織で、おじさんしかいなくて。

ただ、自分が意識していることに、新しいことをしようとした時に、新しいことを見るのも大事だと思うんですけど、じゃあなぜその新しいことを伝統ができていないのかを自問自答するようにしています。その中で、4人の方々はそれぞれの業種があるので、それぞれの視点で構わないので、今ある伝統に対して新しいことをしようとした時に、伝統というものをどういう風に見ていけば良いのかを聞いてみたいです。

メディア産業では、破壊的創造しかない

小林:それぞれ伝統というか旧勢力があると思うんですけど。それに対してどうか、ということで佐々木さんからお願いします。紙メディアについて。

佐々木:紙メディアですね。そこは、難しいですね。今メディアでおきていることって、どの産業よりも一番激しくって、旧勢力を説得して一緒に楽しくやっていくというのはもう無理だと、最近は達観してきました。やはり破壊的創造をするしかないと。でも破壊だけではダメで、一緒にもっとワクワクすることを作る、おじさん説得路線はもう捨てようと思っています。時間の無駄なので。

おじさんがみんな悪いわけではないですよ。おじさんでも素晴らしい方もいっぱいいて、そのノウハウは大事なんです。でも、そこよりも、新しいものを作ることに時間を費やしたほうが良いと思います。

産業によると思います。あまり変化のない産業では、新しいことをトップにやってもつぶされたりするだけなので、おじさん方を説得することに時間を費やした方が良いと思うんです。劇的な変化があるところは、外に出て面白いことをやった方が早いと思うんです。

小林:外に出てできる仕事って幸せですよね。国際協力とかって外に出てできないんじゃないかと。

佐々木:NPOとかは多いですよね。

目に見えるベネフィットや驚きを共有していくことが大事

青柳:僕は、今、大きいメディアテクノロジー業界に関わっているんですけど、伝統との二項対立構造とかってあまり意識したことはないです。むしろ、ただ今あるような世の中のサービスとかが、テクノロジーとあいまって破壊的にリプレイスされていくのは過去20年も続いてきたし、これから数十年続いていく大きな流れでもあるし、二項対立にせずに、どうやって方向を変えていくかってテーマだと思います。

わかりにくいので具体的な例を出すと、アメリカに住んでいて、ここ数年くらいでUber(ウーバー)という、簡単に言うとリムジンとかタクシーの配車アプリケーションなんですけど、そういうのが流行っていて。サンフランシスコで数年前はタクシーがつかまらなかったし、質も悪かったんですけど、今は3000台くらいあると、先週くらいにウーバーのドライバーに聞きました。

今まで、インターネットで買い物をするとかインターネット上で完結していたものが、amazon、楽天とかapple、docomoやKDDIの携帯で、その中でインターネットがブラウジングできる、ゲームができる、コンテンツで遊べるといったものがあったんですけど、より、SFCの人たちが見ている、まさに「未来」というものがどんどん訪れていて、ハードウェアとの融合とか、実際に生活サービス自体がテクノロジー化しているところを見ていると思っています。

サンフランシスコに住んでいて、事例としていかにこのサービスが面白いとか言うのは、メディアを通して、こういうものがテッククランチで紹介されていました、というのは良くわからないんですけど。サンフランシスコにいらっしゃった方にウーバー乗りましょうと言って、乗るとわかってもらえるんです。

僕らみたいにテクノロジーで世の中を変えていくという場合には、こういう、目に見えるベネフィットや驚き、「ワオ!」見たいなものを作っては出していって共有していくことが必要だと、サンフランシスコと日本にいて感じるところです。

"死んでいない伝統"をどう活用するか

川村:色々なレイヤーで話ができる話題だと思うんです。特にテック系の人が集まっても話ができるかなと思います。僕自身の伝統に対する関わり方として、良い教師がいたり反面教師がいたりしても、教師は教師で自分は自分だから、親殺しをするとか、最高の恩返しはその人を超えていくのが良いと思うんで。

学んで、その上でここが上手くいっていないということも学んで、違うことをやる、というのが一番良いのかなと。伝統って、死んでない伝統があって、それには理由がある。ある種の使命がある、ということでリスペクトしていいかなと。

ただ、僕も古株はもにゃもにゃ、という感じでやっていたこともあるけれど、そういうものは存在し続けるから、そこをどう自分が活用するか。上の世代の人たちはいるから、そこでどういうポジションを取っていくか、自分の会社を考えた方が良いかなと思います。

で、業界的な話でいくと、2つレイヤーがあって、1つはコミュニケーションをデザインする会社として、どういうスタンスであるか。自分たちを対伝統という二項対立ではないけど、あえてそういう風に見ると、特に博報堂出身だから、業界的にもオールドスクールエージェンシーとニューエージェンシーという形で切り分けされちゃっている。

その中においては、旧来依然の広告のメソッドとか、そもそもビジネスのリベニュー・モデルが、旧来の広告を守ってきた方がより効率的にお金を稼げるモデルになっているから、具体的には長くなるので話せないですが、そこでは新しく面白いものを作っていく構造にはなっていないです。どうやったら安定してメディアとかの広告をして、どうやったらお金を稼げるかということがベースだから、そもそものスタートが「「面白いものを作る」ではないんです。

それに気付いたときに、そこにはいられないなと思ったんです。それはやっぱり一番ファンダメンタルな問題として存在しているから、そこに対しては嫌だなと。健康的なクリエイティブな環境じゃないなと思ったんです。それは変えていったほうが良いと一番思うことです。表面的な問題では、テレビのチームはテレビをやって、インタラクティブはインタラクティブやってみたいな細分化の問題があって、さっきからの話の通り、ぶち壊したほうが良いし、日本だけでやっているのはくだらないし、そういうのはどんどん変えていく。

もっと大きい話をすると、そもそもコミッションされてクリエイションを作っていくっていうのは、大きくクリエイティブ業界が陥っている仕組み自体も変えていきたいなという気持ちがあって。それは大きな理想だから、どうしたらいいかわからないというのはあって。クライアントからブリーフを受けて作って下さいと言われて応えているだけだと、いつまでたっても下働きですね。

もちろん、受注側になっちゃうから、そうじゃなくて僕らがやりたいのはフリップというか、タクラムさんもやっているけど自社で開発した商品だったり、アイデアのプロトタイプを世の中に出していって、それを欲しいというクライアントを捕まえるような感じで、こっちが上流に立って、本当に世の中に足されたら新しい価値を生むだろうなという。

ある種のスタートアップみたいな気持ちだと思うんだけど、マイクロスタートアップみたいなものを、こういうクリエイティブな会社とかがやっていった方が、世の中面白くなるんじゃないかなと思っています。それはなんとなくうちの業界で言う、伝統と向かって行きたい方向です。

守りに入らない伝統は輝き続ける

渡邉:伝統の話ですが、輝き続ける伝統と忘れ去られる伝統があると思うんです。輝き続ける伝統って何かというと、守りに入らない伝統だと思うんです。新陳代謝とか動的変更といった、常に新しさが何割かを占める伝統は成長していく。それで、忘れ去られないと思います。それは大きな企業でもそうだし、文化でもそうだと思います。

具体的な例は、去年、虎屋と一緒に未来の和菓子というのを作ったことがありました。社長の黒川さん、17代目ですごい伝統があるんです。でも、彼自身伝統は革新の連続という哲学を持っている人だから、未来の和菓子を作ってくださいという話をもらったときに考えたんです。

でも、5年後、10年後のものではなくて、明日食べられる和菓子という話があったんで、機能食品としての和菓子を提案したんです。5つ、朝起きてから寝るまで、その時間帯に必要な栄養素が入った、その時間の光を現した和菓子のシリーズを作って。朝はおはぎのようなものから始まって、夜は漆黒の羊羹、アニスの香りが入って、安眠にいざなう。

それを作ったときに、職人さんたちも社長を含めて全員興奮しているんです。「よし、これをやろう」という風に一丸となることができたんです。企業の480年の歴史の中で守りに入らず、常に新しいものを作ろうとすることで、自分たちが生まれ変わりを果たしている企業だなとそのとき思いました。輝き続ける伝統と忘れ去られる伝統、新陳代謝、動的変更があるかなと思いました。

佐々木:虎屋の次の跡継ぎの方って、インド人の方と結婚したんじゃなかったっけ? 週刊誌で読みました(一同笑)。すごいな、良い話だなと思って。

小林:答えになっていますか。

質問者:はい。ありがとうございます。

人脈を増やしたいなら、飲み会が手っ取り早い

小林:では他に。女性の方、お願いします。

質問者:青柳さんと佐々木さんにお伺いしたいのは、もっとキーパーソンになるような方々と出会って、お友達になっていく方法を伝授していただきたいのが一つです。特に佐々木さんに関しては、古い体制を壊したいけど、今現状古い体制のおじさんたちの方がお金を持っているんです、動かすお金を。それをどうやったら若い世代に流していって、もっと面白いことをするためにはどうしたら良いんだろう、という点でアドバイスをお願いします。

佐々木:人脈のほうはとにかく飲み会です。私はこの半年間くらい毎日飲んでいます。で、やっぱり普通に話すと、仲良くなるのに5回6回かかりますけど、飲むと本音がすぐ出てすぐに仲良くなれます。あとは、お金をどうするかという点では小林さんに投資してもらうということです(笑)。小林さんみたいなベンチャーキャピタリストってどんどん出ていますし、今お金がジャブジャブ余っていますよね。

小林:いやー、そんなことないですよ(一同笑)。大変ですよ!

やり方を考えないと組織を動かすのは難しい

佐々木:ベンチャーキャピタルはどんどん規模が大きくなっていますよね?

小林:そうでもないですね。業界全体は、お国のお金とかが動きがあって増えています。でも日本が増えているイコール、日本にいると日本のベンチャー増えているとか思うんですけど、明らかにシリコンバレーの方が圧倒的に増えているんで、相対的にすると減っているくらいの感覚の方がいいです。既得権益が金を動かす力を持っているんですけど、人事とか、やっぱり突き詰めるとそういうことになっているじゃないですか。

川村さんみたいにクリエイティブの力でお金を集めるっていうのも、アメリカでもキックスターターとかやっていたと思うんですけど。

川村:そうですね。クラウドファウンディングというのも手数料は高いですけど。1つはありますね。キックスターターとか日本にはまだ入っていないみたいですけど。

小林:新しい仕事を作るといったときに、お金を作ることは必要です。僕はベンチャーキャピタルで仕事していますけど、僕も「おじさん化」してきているんです。クラウドファウンディングじゃないですけど、新しい時代を作っているじゃないですか。

今だったら新しい仕事をしたいときに、やりたいことで何億も集めて、バーチャルリアリティで作ってFacebookに買収されちゃったりして、Oculus(オキュラス)ですね。こんなのあるんだと思っていたら3か月後に買収されて、すごいことになっていますね。

川村:そういうお金を得るとか、その上の人を説得することにもアイデアが必要で、アウトプットするものだけ、表層がデザインじゃなくて、それの裏側もデザインになると思っています。僕はデザイン寄りの人間なのでそういう風にしか表せないんですけど、それも1つだと思います。広告とか映像系のことに関しても、新しい映像をやろうとする時に、物を見たことがないとわからないと言われて拒否されちゃうんです。

そういうときに、僕らはプロトタイプを作るんです。その人を説得するためには、アプリでもフルの機能がなくても、見て触れてなんちゃって、だけど、わかるものがあるのとないのとでは全然違ってくるんです。

それもプロトタイプを作るっていうことのアイデアが出て初めて、作るということになるから、そういうところで狡猾になるとか。それこそ飲みにいって、というのも必要なアイデアだと思うんですけど、やり方を考えていかないと動脈硬化しちゃっている組織を動かすのは、難しいのではないかと。

長く同じ事を続けるより、小さく色々やる方が効果的

青柳:アプローチする人が意思決定できないんじゃないかということとか、もしかしたら全然違うんじゃないかなと。その山の登り方ではその山の頂上には登ることはできない、ということを早く悟るべきなのかなと思います。ちょっときついようですけど、思いました。

まさにそこで、どんなアプローチが良いかというのを早めに試してみるのが良いかなと思っていて、実際に物を作ってみるとか、仲間を増やしてみるとか、他の大学でうまくいっている事例を出すとか、それよりも佐々木さんのいう、寝技に出るとか(一同笑)。

同じアプローチを2年700日続けるよりは、1日ごとにアプローチを変えてみて、20個ぐらいのアプローチをやってみて、当たりが良いところにさしていくというやり方のほうがファイナンスもしやすいし、マイクロスタートアップ的にも始めやすいやり方なのかなと。物事を一般化しすぎると当てはならないかもしれないんですけど、アプローチとしては、小さく色々やる方が、長く同じ事を続けるよりも良いかなという時代に入ってきています。

小林:A/Bテスト的な。

質問者:ありがとうございます。

権威のなかで、自分らしさをどれだけ保ち続けられるか

小林:あと1問ぐらい、女性の方いきますか。

質問者:お話ありがとうございます。先月SFCを卒業しまして、新宿三丁目のチーママをしつつ、旅の資金をためつつ、海外旅行に行こうかなって考えています。すごく楽しい生活を送っています。もし飲み会とかありましたらぜひ来ていただければと(一同笑)。

1点聞きたいことがあるんです。新しいことをしたいんですけど、一方で新しいことをするとなると、すごく不安が付きまとったりします。さっきのセッションにもあった、初めの一歩がとても大変だ、というお話があって。皆さん新しい仕事を作られた方々が、初めの一歩を1回ないし数回経験したと思います。そのときに自発的に行動を取れた原動力というか、なんでそういう行動が取れてきたのかを聞きたいと思います。

小林:では初めの一歩ということで、渡邉さんお願いします。

渡邉:どっちかというと、これをしなければいけないという処方箋は存在しないと思っていて、多分、その人なりの初めの一歩の踏み出し方ができると良いんじゃないかと思っています。

最近日々感じているのは、仕事の仕方をお客さんのあり方、ビジネスに合わせなくてはいけないという時期から、本当に今まで誰も聞いたこともないようなことに挑戦して大丈夫だ、というフェーズに考え始められているので、今、始めの一歩を踏み出しているところにあるんです。

それで大事かなと思ったのは、それこそ、すでに権威を持っている人たちとの継続的な会話が仕事の中で、それに押し流されないというのが大事で、常に自分らしさをどれだけ保ち続けられるかということです。一見ナイーブと思われそうな部分こそ大事にするのが一番良いのかなと。

MITメディアラボの副所長の石井裕さんがいますけど、石井さんはあんなに日本でのキャリアがあったのに、MITに行ってバーンと新しいことを始めるということにショックを受けて。今すごいことになっていると思うんですけど。

彼自身、講演を聞いていると、宮沢賢治の詩を引用したり、すごくオーティックな側面があるんですけど、一方では、技術の先端とかすごく大きなスポンサーを捕まえてくるような能力を持っている。

そっちのほうの技ばっかり極めちゃう人がいるかもしれない中で、すごく多くの人にビジネスとは関係ないアートっぽい話、文学の話を堂々として、これが自分のやり方なんだっていうのを持てるというのは、ある種、超魅力的な強力なナイーブ性なのかなという。そういうのを忘れないでいたいなというか。

「欲望」と「ビジョン」を両輪で持つ

佐々木:2つだと思っていて、欲望とビジョンだと思うんです。欲望は、なんかそれがめちゃくちゃ好きで、それが大好きだという。私の場合は、本がめちゃくちゃ好きだという。しかも、ビジョンとしては、今、日本を変えるにはメディアを変えるのが大切だと思っていて。

僕は昔、留学した後、政治家になりたいと思っていたんですよ。竹中平チャン(竹中平蔵氏)にも影響されて。でも向いてないなと。今ひとりで政治家になるよりも、メディア業界全体を変えた方がよっぽど日本にインパクトがあるなと思ったんです。ですから欲望とビジョンが両輪であると初めの一歩も行きやすいですし、その後ガス切れしないかなと思っています。

「失敗しても傷つかない」とわかれば、どんどん前に進める

川村:すごいまとめられちゃって。基本はお茶すすっていたいんです。波風なくね。平和に布団で死にたいなと。そういう自分が嫌で、あるときルールを決めたんです。面倒くさいと思ったことはやる、と。

面倒くさいことは、自分が本当はやらなくてはいけないってわかっているんだけど、今自分はやりたくないから面倒くさいって思うんだという複雑な心理構造で。それは僕の中では危険信号なんです。本当はやらなくてはいけないことが前にあって、そうすると飛び込むことを無条件にする、というのが1つある。すごい大変だから、あまりお勧めはしないですけど。

もう1個は、さっきの話じゃないですけど、ビジョンですね。危機感のほうが強いかもしれない。このまま行ったら10年でここまで行けるのに、山の頂を目指しているはずなのに、この道行ったら、すごい時間かかっちゃうかもしれない。でもこっちにすっ飛ばして行ける道がある。ロープウェイ見つけてシュッて行けたりとかの方が良いので、本当は家にいたいけど、外に出て行ってやるっていうのが1個。

もう1個は、いろいろやっても死にゃしないよなって。色々やっても死ぬほどのものはなくて、所詮デザイン。別にこの平和なご時勢、100円のおにぎりでも生きていけるし、これ失敗しても傷つかないんだったら、どんどん前に進めるっていうことに気づけると、色んなことが楽になる。一歩踏み出すとわかる。「あ、死ななかったね」って、「思っていたほどじゃねえな」って。それが早めにわかっている人の方が強いと思う。

仲間を引き込んで、背水の陣をしく

青柳:僕も、違うアングルから2つ付け加えたいなと思います。1つは、一緒にやる仲間を見つけるのが良いなと思っています。私は海外で会社をやっていて、最初5人10人で始めて、今は370人くらい北米にいるんですけれども。

最初に2010年の終わりくらいにやるって話をしたときに、そこに座っている荒木というのが一緒にやろうと言って、それで始めて、荒木も当時ゲーム部門の半分を管掌してましたし、私も新しく立ち上げた事業の責任者で、立ち上げてから1週間くらいしか経っていなかったんですけど。それぞれ大きな事業を持っていたんですけれど、後任の人に任せて、ある種GREEという会社の積み上げてきたものを一旦全部置いて、他の何人かとアメリカに行きました。

アメリカに行くときに10億人のユーザーを獲得する。「Go Global. Go Big」みたいな形で、ある種の背水の陣を敷いているんです。世の中にあって、失敗するって格好悪いじゃないですか。失敗は良いっていうのもあるじゃないですか。

でも、失敗を是とする考え方もあるんですけど、失敗すると自分としては悔しいし、恥ずかしい。失敗しないように自分を追い込むかが大切。 追い込んだときに一緒に荒木を誘い合っているんですよ。1人だとやれないことも仲間がいればやれるじゃないですか。それでアメリカに行きました。アメリカ行って生活も、何もかも違うんですよ。半年くらいは慣れないんです。

でも、半年どころか、最初の半年が辛かったって荒木が言っていましたけど、僕は2年位辛かったです。僕は何でこれをやっているんだって、辛かったけど辞められないんですよ。何でかというと、一緒にやろうと自分が声をかけて、その人たちが横ですごい頑張っているんですよ。それを俺が、「いやあ、マジでこれ無理だと思うんだよね」って言ったら終わっていますよね。

という感じの、お互いに、荒木も僕に対して同じことを思っていて、3年働いてもそういう弱いところを見せないんです。すごい感謝して、お互いにお互いを背負っているというか背水の陣を敷いているので、やりきんなきゃいけないみたいな、そういう人が一緒にいると、良い部分でお互いがポジティブな感化をし始めるんですね。

そういうことが起きてくると、普通では実現できなかったことが、保証はできないんだけど実現しやすくなる。実現したときはすごい楽しくなるんです。自分だけじゃなくて、分かち合えるというのがある。限られた経験の中でのお勧めは、背水の陣を敷いて、自分としては気持ちがよいコンフォート・ゾーンを、誰かと一緒に出て、お互いが人生の一部になりあうというのが、当然上手くいくチームといかないチームがあると思うけれど、そういうのはすごいいいかなと思っています。

一番大事なのは“人”

小林:時間を大幅に過ぎているんですけど。最後に一言だけお願いします。応援になるようなメッセージを。

渡邉:どうせ、何かに挑戦するんだったら前人未到でやっていただきたい。新しいビジネスモデルの作り方について、『TiSDT』という分厚いノウハウ本の監修をやっています。サービスデザインと英語で検索すると、日本語版の本が出てきます。宣伝会議でID発想法の連載をしています。アドタイ、アドバタイズメント・タイムズに連載しています。よろしくお願いします。

佐々木:私がこういう業界にいるからではなくて、色んな業界の人がいるんですけど、本をしっかり持っている人が多いですね。本をじっくり読む時間って学生以外の時代にないので、本を読みまくってください。私の本の名前は、『米国製エリートは本当にすごいのか?』『5年後、メディアは稼げるのか?』です。お願いします。

川村:一番大事だというのは“人”。それは何をするにおいても大事です。インスピレーションをもらって、惹きつけられる目標になることもあれば、一緒にチームを作って、前に進めることもある。

僕も個人活動をやっていたけど、チームだと楽しいし、作れるスケールも違うし、違う価値観を持っている人とやっていくのはいいなと。そういう人と出会うことをめざしてください。今日も良い機会で、同じ意識を持っている人なので、聞いている人同士仲良くなって、この後つかまえて「おっす」みたいなのもいいなと思います。

1日の意思決定や行動が、4000日後の「第一人者」を生む

青柳:たまたま今日は3人が2002年卒の同期ということで、卒業して12年、365日が12倍でも5000日もないんです。入学して僕が川村さんとお会いしたときから6000日くらいしかたっていない、4000、5000、6000の意思決定と行動を積み重ねると、結構良い意味で違っています。

同じ環境にいて、コースを選択して違うんですけど、これだけ違っているし、色んな所で活躍しているって、僕もそのとき想像できなかった。でも今こうやって実現しています。皆さんも400日、500日後には、この人たちは何かを成し遂げたスーパーマンみたいですけど、わずか4000日、5000日で4000、5000くらいの行動、半分くらいは失敗かもしれないんですけど、それでもやっていくと、結構面白い可能性が開けるということが皆さんにとってあるんだなということを、自分が言うのもなんですけど、バラエティ溢れる先輩を見て思ってもらえればなと思いました。

皆さんの1日1日の意思決定とか行動が、3000日4000日経つと、時に第一人者にしているんだということを、ぜひ自信を持ってください。ここにいる人たちも4000日、5000日前は将来に迷えるイチ学生だったってことを知っていますし、僕もそうでしたし、そういうことをここで感じ取ってもらえれば、このセッションとしては嬉しいなと思いました。皆さんありがとうございました。

小林:このセッション、延びてしまいましたけど、これで終了させていただきます。ありがとうございました。

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