2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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池谷大吾氏(以下、池谷):続いて金山さんお願いします。
金山裕樹氏(以下、金山):こんにちは! VASILYの金山です。丹下さんの会社がすごすぎてあれですけど、僕からも3枚、自分がすごいなあと思っていたいなというところを紹介させていただけたらなと思います。
まず、僕らVASILYは女性向けのファッションアプリを運営してるんですけど、(社員に)女性がめっちゃ多いです。今従業員が50名いるんですけど、半分女性です。つまり合コンしても余らないです。
(会場拍手)
池谷:今日最大の拍手ですよ(笑)。
金山:飲み会を社内全員でやったとしても、大丈夫です。1対1でそのままお家に帰っていただいても、誰からも不満が出ないです。
池谷:これはログミーで(書き起こしても)大丈夫ですか?
金山:……もちろん大丈夫です! だって事実ですから!(笑)
(会場笑)
池谷:他のセッションでも、「女性を活用しよう、起用しよう」とか。こういう言葉がいいかどうかわからないですけど、自然にこういう流れになってるわけですもんね。
金山:でも、これは意図してやっています。正直言うと、ITってデータだったりとか、すごい定量的なものでもって意思決定していかないと、なかなか厳しいと。アートじゃないので。
その中で、どうしても女性は言語化とか定量化というものが難しいので、たくさんいることで、「もしかしたらマイナスに働いてしまうところもあるかな」と思っているんですけれども。僕らの会社だと、彼女たちはユーザーなんですね。
本当にプロトタイプ、ベータに出す前、マーケットに出す前のアルファ版の一番最初のユーザーとして、この(社内に)半分いる女性たちにツアーをするんですね。
僕が考えた企画でも、普通にスマホを持って彼女たちの席にいくんです。「これ、正直どう思う」って。「気持ち悪い」とか(笑)。前に言われて一番傷ついたのが、「この機能っておっさんが作ってるような感じがして、プラモデルみたい」とかボロボロに言われるんですけど。
ただ、マーケットに出る前にそういった意見が検知できるっていうのは、すごいいいかなと思って。
単に僕の趣味で女性を増やしているわけではなくて、会社の意思決定のスピードを上げるために、彼女たちがファーストユーザー(になる)。彼女たちの意見が、マーケットに出る前の意見として抑止力となっているところで、女性を意図的に増やしています。
なので女性がめっちゃ多いので、僕らオフィスが恵比寿ですけど、もしよろしかったらいらしていただけましたら、会えると思います(笑)。
池谷:これは(男女の)比率を壊しちゃうかもしれないですけど、大丈夫ですか?
金山:大丈夫です。
池谷:必ず女性と1対1でいくとか、そういう必要はないんですね?
金山:大丈夫です、そしたら男性減らすんで。
池谷:(笑)。
金山:という(笑)。なかなかスタートアップというと、どうしても男男しい世界だと思いますけど、その中でも女性比率が多いのが僕らの会社のすごいところかなと思っています。
あと、次はこの真ん中にいる方なんですけど、ただのメガネのおっさんかなと思いきや、実はRubyを作られたまつもと(ゆきひろ)さんに僕らの技術顧問に就任していただいておりまして、そこがちょっと自慢できるかなと思っています。
僕らの勝負する領域がIT×ファッションなんですけど、やっぱりファッションってITが入り込めなかったんですね。というのも、変数が多すぎるというのがあるかなと思っていて。例えば丹下さん、今日すごい素敵なシャツを着てると思いますけど、僕には似合わないですよ(笑)。
同じシャツでも、その「人」っていうコンテクストによって、価値だったり良さっていうのが変わってしまう。そこをコンピューターに計算し切らせて何かしら最適な解を出していくっていうのが、やっぱり結構コトでして。
僕らみたいなベンチャーが単独で立ち向かえる分野ではないかなと思ってます。ただ、とはいえ衣食住と言われるような分野なので、マーケットはある、けれども実現が難しい。であれば、「一番すごい人にお願いしたらいいんじゃないの?」みたいなノリでお願いしていまして。
まつもとさんは、大手の会社の技術顧問もやっていらっしゃって。「どうしてこんな一介のベンチャーが、まつもとさんを技術顧問に迎えられたのか?」というような話を今日はちょっとしたいなと。
たぶん今日は全部自慢(話)だと思うので、持ち帰れるような気づきがないかもしれないので、少しは持ち帰れるような話をと。
(会場笑)
池谷:もう、終わっちゃいますよ(笑)。
金山:今日は僕らが、「まつもとさんにどうやって技術顧問に入っていただいたのか」のエピソードを本邦初公開ですね。
どうやったかというとすごいシンプルな話で、実はここに写っているエンジニアの1人が、たまたままつもとさんが来る、Ruby好きが集まる飲み会にいくと。「そこにまつもとさんが来ると思うので、自腹で顧問をお願いしようと思っています」と。
「うちの会社って顧問って取れますか?」みたいな話をしてきて、「自腹だったら全然いいよ。取れるの? 取ってきなよ」って言ったら、エンジニアがまつもとさんに面識ない中で、多人数の飲み会に行って、「僕の自腹で技術顧問になってくれませんか?」みたいなことをシンプルに言ったら、「いいよ」っていうのがスタートでした。
(会場笑)
池谷:スタートアップって技術者の採用が難しいじゃないですか? でもやってみるってことですね。全然面識ないですよね?
金山:まったく面識なくて。
池谷:「iQON」を知ってたんですかね?
金山:しかも(まつもとさんは)iQONを知らなかったんです。それに会社としてまつもとさんに技術顧問料を払ったら……たぶん5万とか6万じゃない、何百万(かかる)。ただ、「自腹だったらいいかな」みたいな(笑)。
池谷:そこはもうちょっと太っ腹に、会社で出すってことにはならなかったんですか?
金山:最終的には会社で。
池谷:当たり前ですけどね。
(会場笑)
金山:はい。しましたけど、でも「会社で払うと結構きついよな、P/L直撃だぞこれ」みたいな(笑)。というのもあって「自腹だったらいいよ」と。すごい器の小さい意思決定をした結果、わりと彼がガッツリとグリップしてきて。最終的には会社対会社の契約になったんですけど、まつもとさんに技術顧問になっていただけることが可能になりました。
なので、前提を疑い「これダメだ」と思ってることも、とりあえずやってみるといいんじゃないかなと思います。
次はプロダクトの話になるんですが、僕らはiQONというファッションアプリを運営しているんですが、2014年にGoogleさんのベストアプリ、Appleさんから2012年のベストアプリをいただいています。
日本だと何社か、同じようなベストアプリを両方とっているようなアプリもあるんですが、女性向けのファッションアプリでは、僕らのスタッフがくまなく調べましたけど、世界で僕らが唯一です。
(会場拍手)
あまりにも嘘っぽすぎてウケが悪いんですけど、女性向けのファッションアプリでGoogleとAppleのベストアプリを両方受賞しているアプリは僕たちだけですね。これは、本当に自慢してもいいんじゃないかなと思っているところですね。
吉田:それは何か、秘訣があるんですか? そのためにやったことっていうか。
金山:やったことは、とりあえずGoogleさんとAppleさんとたくさんお話をするっていうのが。
吉田:GoogleI/Oとか、ああいうのでプレゼンとか?
金山:それもそうですし、半分冗談半分まじめなんですけど、両者ともプラットフォーマーとしての開発ポリシーってすごいしっかりされてるんですね。デザインはどうあるべきか、UXはどうあるべきか。それをわからないとやっぱりこれは取れないと思います。
そこのガイドラインは、どちらもWebでオープンになっているんです。ベストアプリを取るためのメソッドではないですが、「どういうふうなアプリを作るべきか」みたいなメソッドはオープンになっているので、それに本当に愚直にやるっていうのがめっちゃいいと思います。
Googleさんのケースでいうと、ガイドラインに添って開発しようとすると、アプリをフルリニューアルするぐらいの勢いだったんですよ。
今日Googleさんも来てるんですけど、かなり上からこられるんですね。「そこまで言うか」みたいな。「デザインこれダメです、ガイドラインに添って全部変えて」みたいな。
そしてそれに従ってほぼ作り直した感じだったんですけど、結果的にDAU上がったんです。Googleさんは思想的な部分を持ちながらも、やっぱりデータで意思決定されてると思うので、わりと素直に言うことを聞くとDAUも上がって賞も取れて。賞を取れるといい枠も(取れる)。
池谷さんのところもめっちゃ(賞を)取られてると思いますけど、強い導線をいただいてさらにユーザーが伸びるといういいサイクルになると思うので、そこは特にアプリに関しては、オープンになってるドキュメントをかなり読み込んで、愚直にやるっていうのは秘訣かなと。
吉田:ちょうど発表してるんですけど、7月にクラウドワークスのアプリを出すことになるので、ちょっと今メモっときます(笑)。
池谷:さすが吉田さん、なんで今こんな食いつくんだと疑問に思ったんですけど、愚直ですね。本当メモってますね(笑)。
吉田:ポリシーには何て書いてあるんですか?
金山:あとでURL送ります(笑)。
池谷:でも、この中でアプリをやられてる方もいらっしゃると思うので、ダブル受賞っていうのはすごく難しいことで、ノウハウはあるかなと。
結構GoogleとAppleとコミュニケーションが取れるって、思って信じていてもなかなかできない人って多いと思うんですけど。さっきの採用も含めて、どうにかそういうルートを作っていくのも1個、ヒントかなと。
荒々しいことをやってどうにかコンタクトしてくるっていうのも、素晴らしいポイントかなと思いますよね。この3点ですね、ありがとうございました。
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