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スタートアップ・ピッチ2 Fringe81(全1記事)

Fringe81田中氏「30年ベンチャーをやり続けたい」インターネット広告事業の未来を語る

2015年6月26・27日の2日間にわたって、起業やスタートアップへの関心が高い大学生に向けて、起業家の生の声を届ける「IVS SEEDS 2015 Summer」が開催されました。初日のスタートアップ・ピッチに登壇した、Fringe81・田中弦氏はインターネット広告事業の領域で10年にわたって成長を続けている同社のビジョンと今後の目標を語りました。

Fringe81・田中社長の激動の人生

田中弦氏(以下、田中):みなさん、こんにちは。Fringe81の社長をやっております田中です。

最初に自己紹介からなんですが、僕の人生はなかなか楽しく、つらく、ぶっ飛んだ人生だったなと思います。なんか死んだ人みたいになっちゃってますけど(笑)。僕、こんな感じで人生を過ごしてきまして。左上に書いてあるのが年齢ですね。

僕、大学時代は平家物語を専攻していまして、インターネットは全く関係なかったんですけどソフトバンクに入って、めちゃめちゃ怒られながらも半年で辞めて、ベンチャーをつくっちゃいました。そのあとちょっと血迷って戦略系のコンサルファームに入って、28歳で上場企業の役員をやって。

35歳で……雇われ社長だったんですけど、そこの子会社を自分で買い取るという。子会社社長からオーナー社長になるという、かなり激動の人生だったなと思っています。

「Fringe81って(社名は)どういうふうに付けたんですか?」とよく聞かれるんですが、8日本に国際電話をかけるときにみなさん81番を押すと思うんですけど、81番は日本の国番号なんですね。なので、「日本の最先端のことをやっていきたいね」と思ってつくった会社です。

うちの会社はやってることがけっこう難しいので、今日はビジョンとか「ベンチャーって何?」という話をしたいと思います。初めに、我々のビジョンから……けっこうぶっ飛んでますね。

もう地球の未来創るぞというところまで。これは、今年の1月に変えたんですよ。我々(の会社は)10年歴史があるんですけど、今まで3回ぐらい(ビジョンを)変えているんですね。だいぶぶっ飛んだビジョンになってきて、起業家なので、みなさん「ホラ吹いてるな、こいつ」と思ったと思います。

ベンチャーの先に見える光とは

「ベンチャーってそもそも何だろうな?」というのをちょっと考えてきたんですけど。こういうイメージかなと思っています。

ベンチャーというのは、スポットライトなんですけど、すごい遠くのほうに光がさしてるんですよ。それは何が待っているかよくわからないけど、「あの光を目指して行こうぜ」というふうに、知的好奇心を持ちながら、その一見実現不可能に見えるビジョンを現実のものにしていく。そういう、現代社会にとって必要な存在なんだろうなと僕は考えています。

僕はやっぱり、青臭いベンチャーを創りたいんですね。今10年経ってますけど、まだまだ青臭くやりたい。どれくらい青臭いかというと、イメージこんな感じです。

夏、草刈りするじゃないですか。そうすると、むわっ......と匂いしますよね。ああいう感じの香り。そういう香りが常にし続けるベンチャーを創りたいと思ってます。

伸び続けるインターネット広告領域

今、何をやっているのかというと、インターネット広告領域でテクノロジーをコアとした事業開発集団。何言ってるのかよくわからないと思いますけど、こういったことをやってます。今100人ぐらいですね。

事業開発と技術開発の両方を会社の中に持っていて、全部自主開発で1年に1個ぐらい新しいサービスをつくってきました。

「広告領域でベンチャーやっていて楽しいんですか?」とよく言われます。BtoCではなくBtoBなので、ちょっと目立たないと言えば目立たないですよね。でも、これがすごくよかったことは、まず市場としてすごい伸びています。かつ、ハードなテクノロジーが必要です。これは市場規模なんですけど、この10年でだいたい10倍ぐらいになってきたんですね。

ラジオ、雑誌、新聞をぶち抜いて、2014年はだいたい1兆円弱ぐらいまで、インターネット広告市場はきました。10年で10倍になる市場ってなかなかないので、ここでやれているというのはすごく良かったなと思っています。

事業開発集団なので、Googleとかドコモとか、そういったところとも一緒に事業開発をやったりしています。

広告の配信システムは24時間365日止められない

今日ゲームの会社さんもいたので言いにくいんですけど、ゲームをやってるときに「メンテナンス中です」ってときあるじゃないですか。「なんだよ、コイン取れねえじゃねえか」みたいなときってあると思うんですけど。あれ、超羨ましいんですよね。僕らはだいたい1億人ぐらいに配信してますから、広告の配信システムって、24時間365日絶対に止められないんです。

もし我々のシステムが止まったら、そもそもメディアが読み込めないんです。なので、絶対に止められないんです。これ結構ハードコアなんですね。やっぱり世界最高峰のくそモダンなシステムが求められて。どのぐらいモダンかというと、本当に世界で最先端のシリコンバレーのエンジニアが使っている技術をそのまますぐ取り入れてやらないと、絶対に落とせないシステムはつくれない。なので、これをやっていたというのはすごく良かったです。

これ、10年やり続けてるんですよ。「よく飽きませんね」と言われますが、10年やってるとなかなか鍛えられて。僕、すごい苦労してたんですよ。今まで2つくらい、Googleと戦う事業をやる羽目になったんですね。自分の選択案がいいって言えるのか、なんでわざわざそんなマゾなところを選んだのかというのはなかなか答えにくいんですけど。こういうところと戦うというぐらい、頑張って体力をつけてきました。

スタートアップを10年続けて得たもの

10年経って何があったかというと、やっぱりタフになるんですよ。突然「あの企業が来きました!」みたいなニュースで「またきたか......またきたならやればいいじゃないか!」と。そういうタフネスはすごいつきました。あとは技術力と事業創造力はこの10年でついてきたかなと思います。

僕ら一番きつかったときは、残金20万円になったんですよ。けっこうつらかったですね。要は、来月のみなさんのお給料を払えないかもしれない、みたいなときもありました。今スタートアップって、「1年でカジュアルに売却しちゃうぞ!」みたいな雰囲気もありますけど、10年やると本当におもしろい世界が待ってるということもよくわかったんですね。

なので、何十年後の未来を想像しながらベンチャーをやるという人もぜひ出てほしいし、僕らもそれになっていきたいなと思っています。10年やってると、こういう株主にも出会えて、すごく応援してくださっているので、良かったなと思っています。

僕らマンションの一室じゃないんですけど、2009年こんな感じでしたね。

会議室は、壁があるのは1個しかなくて。謎のトイレがめちゃめちゃ臭い事件というのが起こりまして。大家さんに聞いても「原因不明です」って言われて、トイレの臭いに耐えながら仕事をすると。なので、手前の会議室が一番つらいですね。あそこはだいたい怒られるスペースなので、なんとなく臭いながら怒られるんですよね。そんな感じでした(笑)。

今10年やってて、最近ババンと倍増してまして。最初の5年間くらいは全然人も増えないし売上も増えないしという感じでした。これは棒グラフのほうが売上ですね。

今だいたい100人ぐらいになって、上場してないので公開できないですけど、2015年は数十億円ぐらいの売上は見込めます。BtoBでドカンと伸びるってなかなか(ない)。BtoBって着々と売上が伸びていくというタイプの事業なので、大きくなってきたかなと思ってます。

今オフィスはこんな感じです。

こんな感じで、真ん中を廊下でぶち抜いて、社内会議室を全部廊下に持ってきて、けっこう問題解決がスピーディーにできるという感じになってます。

あと、3月末には230人くらい入る(オフィス)、この間全員で見学してきたんですけど。こんなに大きくなるなんて自分でもなかなか想像つかなかったんですけど、すごいいい感じで今伸びているっていう最中です。

ベンチャーを30年続けたい

10年前に始めたときに、この未来が想像できていたかというと、全く想像できていなかったですし、逆に自分ではもっと早くいくものだと思ってました。2年目3年目でけっこういいオフィスに行って、みたいなふうに考えてたんですよ。

ただ、やっぱり想像できない未来を創っていくというのがベンチャーで働く一番おもしろいところかなと思うので。それは10年後、20年後を見据えてビジネスやってほしいなと思っています。

我々、「地球の未来を創る」というホラを吹いてるわけですよ。でもそのホラを、例えば3人とか4人とか小さな売上で実現していくというのもありますけど、僕らは今数十億円の売上で100人規模でホラをホラじゃなくしていくということをやろうとしています。こういうベンチャーもなかなかおもしろいです。

この間うれしいことがあったんですね。うちのエンジニアが、シリコンバレーにIoTのイベントに行ってきたんですよ。こんな感じでiPadをふーってやると光る電球とか、すごいの出したりしてるんですけど。

その人たちとうちのエンジニアが話したんですね。そしたら、「テクノロジーがうちで使ってるやつと全く一緒でした」と。なぜかというと、広告の配信システムって膨大なデータを集めて、分析して、アルゴリズムによって意思決定をしますと。IoTも、結局センサーからいろんなデータをぶわーっとかき集めて処理していくというものなので、実は全く一緒だったと。

これは楽しいなと思って。僕は今度はインターネットはリアルな世界に絶対に行くと思ってるので、そっちのほうの研究もやって未来を創っていくという会社をやっていきたいなと思っています。

繰り返しますけど、こんな感じなんですよ。何か光が見えるんですよ。それに対して、その光を追いかけていくということをやれば、すごくおもしろく、人生楽しくいけるかなと思ってます。僕あと30年間この会社やりたいなと思ってるんですね。30年経つと僕70歳なのでやばいんですけど。

最近気づいたんですね。よくベンチャーに国境はないとか、事業領域も限界はないとか言いますけど、時間が無限にあるんだろうなと思ったんですよ。30年という時間で、100人、200人、1000人の会社になるかもしれません。そのときに、一人ひとりの人生の一部をひたすらかけるわけですよね。

そうすると、何万時間という時間が手に入るはずで、そうすれば成長と創造、それしかないでしょというふうに思える。なので、けっこうこれが僕最近好きですね。

これはうちの社員ですけど、すごい楽しいです。

みんな笑顔じゃないですか。「地球の未来を創る」という非常にぶっ飛んだビジョンに共鳴して来てくれている人たちなので、楽しいです。

これ本当に僕、実現します。何十年かかるかわからないですけど、必ずやり遂げます。

最後に、サマージョブ。2017年卒向けなんですけど、リサーチのインターンジョブをやります。詳細は、今日配られた雑誌(IVS SEEDS)のQRコードを読み込むと見られます。

うちはリサーチのジョブなので、シリコンバレーのベンチャーを200 〜300社、ひたすら調べて未来予測をしてもらおうと思ってます。こういったジョブ、新卒採用もしてますので、ぜひ来ていただきたいなと思ってます。

あと2分あった。どうしよう……。(会場からの声に応えて)最近感動した話ですか? 取締役に2人目の子どもができたって聞いたんですよ。これ感動しちゃうんですよね。

まだ会社がふらふらしてる頃、彼は5人目ぐらいのときに新卒でうちの会社に入ってきたんですね。だから僕がパワポとかエクセルとかを教えて、叩き上げでうちの取締役になってると。

その彼が結婚して2人目の子どもまで生まれるというと、この子の人生、俺に懸かってるなと。次に思ったのは、その子を将来うちの会社に裏口入社させたいなと思ったんですよ。そのくらい、綿々と、脈々と30年ベンチャーをやり続けたいなと。そういうふうに最近は考えています。

どうもありがとうございました。

(会場拍手)

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