2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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森川亮氏(以下、森川):今回はとっかかりとして、女性向けのメディアを考えました。これは理由として、もともとLINEも女性から広がったというところがあるんですけど、モバイル機器に関しては、圧倒的に女性のほうが利用時間、利用頻度が高いんですよね。
PCの時代は、どちらかというと男性、ディープな男性(から広がっていった)。Googleさんがいい例だと思うんですけど、Googleが流行ったのは、エンジニアが使いはじめたから良かったと。
でも、スマートフォンのサービスで、エンジニアが気に入って広がったものってのは無いんですよね。
基本、若い子供とか女性が使うようになって、そこからパパも使うようになって。昔はLINEもそうだったんですけれども、LINEの場合は、おっさんたちは完全に否定してこんなもの使うなと。それが自分が使わないと仲間外れになっちゃうということで使うようになって、それが日本だけじゃなく世界に広がるということで、まずは若い方から使っていただきたいなということが一つ。
あと、特に僕も含めたおじさんたちが、どうしても頭が固くてですね、今まで成功しなかったものは、これからも成功しないという、すごい強い信念があるんですよね。一方で若い女性とか、子供たちっていうのはすごく純粋で感覚的におもしろいと思う物は使いはじめるので、新しい物を、そういう人たちに響くようなものにして、そこから定着していくということを考えています。
次に映像業界の課題を、お話ししたいと思います。
皆さんご存知かもしれないんですけど、とにかくスピードが遅いということですね。職人たちが古いやり方で製作をしていて、かつ中間業者が多くて、意思決定に時間がかかって。じっくり時間をかけて作るので、作っている間に、トレンドが変わってしまうことがある。
かつ、代理店さんとかが入ると、コストも高くなっちゃうということで、今の業界のやり方では良いコンテンツが生まれるのにすごく時間がかかっちゃうかなということを考えます。
こういうことをいうと、いろんな職人の方々に怒られるんですが、これまさに僕が経験したゲーム業界が、そうだったんですよね。
昔のコンソールゲーム業界というのは、職人の人たちが手作りで細かく作っていて、もちろんものすごい世界観ではあったんですけど、時間がかかっていたと。
料理でいうと、フレンチのフルコースみたいなものを作っていた、ということだと思いますが、ただ、フレンチのフルコースをみんなが食べないですよね。
やっぱり、ファストファッションのように、いいものを早く届けるような、そういうサービスがウケている時代なので、そういうふうに映像業界も変わらなきゃいけない、と考えています。
そのためにですね、大きくこの3つをやりきろうと思っています。
高品質でスピードを速く大量にコンテンツを生み出す仕組みとして、まずオープンスタジオですね。
原宿に、ちょうどあそこの(アソビシステム株式会社の)中川(悠介)さんの会社の向かいに、文化屋雑貨店というお店があったんですが、その跡地を使って、1階をスタジオ、2階を事務室という、真っ黄色な建物を作りました。
ここで、いつでも好きな時に撮って、配信できると。映像の世界でいうと、どうしてもスタジオを予約する、そしてスケジュールを調整するということがあって、思った瞬間に作って出すって無理なんですよね。
自社の中にスタジオがあって、その場で作れれば、すぐに作って出せるという環境ができています。また、ファストファッションのように、考える人と作る人と流す人が一か所にいて、まるでSPAモデルのように速いスピードで出せるということもやっています。
ファストファッションが生まれたファッション業界がまさに、昔はデザイナーが考えて、工場に持って行って、職人と議論して作ったものをまた流通に載せていくと、中間マージンもものすごくかかってしまうし、ファッションのトレンドにいけないという状況があったんですね。
それをファストファッションという仕組みが変えたように、映像の業界に関してもまさにそうで、今やろうとしているのは、クリッパーと呼ばれる女性たちが、自ら撮りに行く場所を考えて、そして自分でしゃべって、かつ自分で撮って、自分で編集して、そのままアップできる。そういう環境を作りました。
今、僕たちが出しているのは、スマートフォンで動画を編集するアプリです。そして、そこから簡単にアップできるツールを作りまして。それで、世界中の人がそこで編集をしてアップするという状況ができています。
かつ、1分動画ということで。もうちょっと短いんですけど、スマートフォン上で映像を見るという文化に関しては、スキマ時間に見るということもありますし、また今パケット代がどうしてもかかってしまうので、いかに短い時間に楽しめるか。そしてまた、ただおもしろいだけではなくて、そこに情報性を盛り込めるか。そういったことを考えて作っています。
それで、機能的にはInstagram的なものに、動画が載っていて、かついろんな人が投稿して、それをキュレーションしていくような、そういう機能になっています。
縦長で始めまして。僕たちがかなり先行して始まったんですが、今SnapchatとかYouTubeとかInstagramも多用していて、縦長の時代が来るだろうと言われています。
(縦動画は)アメリカでむしろ注目されてまして、実際、広告に関しても、縦長のほうが広告効果が多いというデータも出ています。これからは動画広告も縦長なのかなと思っています。
それでアソビシステムさんを含め様々な方が参加しています、ということです。
戦略的な部分なんですが、今年の4月10日にサービスを開始しまして、当初動画のあるブログ的な形でいろいろ自由に動画をアップするということをやっていました。
ただ、初動がなかなか伸びなくて、いろいろ悩んだんですが、やはり勝手に自由に上げるだけだと、その情報に意味があるのかどうか分かりにくいという声もありまして。
それを次の段階として、キュレーションメディアと組み合わせようという考え方で、様々な女性誌であったりメディアと組み合わさってテーマ性を設けて、テーマ性と自由な動画ブログを組み合わせるような、そういう形にして月間250万再生と伸びまして。
さらに今ちょうど英語版と中国語版、あとアメリカと中国との提携も決まりまして、かつ個人参加もすることによって、9月は月間800万再生まで伸びたという状況です。
どんなことをやってるかと言うと、non-noさんって出版をしていて、ネットもやっていますが、紙に関しては強いんですけど、動画に関してはいろんなノウハウがないし、お金がかかりそうだということで躊躇されてたところが、我々と組むことによって、non-noさんの情報を動画に、短い動画にしてそれを配信すると。
その配信は我々のサイトでもやりますが、non-noさんのサイトでも配信できるという形で、お互いにタイアップ形式で、相互に融業を図ってるという形です。
そういった展開を4meee!さんですとかYahoo!さん、@cosmeさん、食べログさん、あと紙媒体だとViViさん、non-noさん、Zipperさん等々とご一緒させていただいています。
単純に動画ブログを配信するところから、メディアもしくは編集という機能を持って、それをある程度信頼性を持ってやっていくというところまできて。更に参加型を加えて、みんなが投稿する仕組みを作るんです。
大きく分けると2つやっています。1つは趣味の領域ですね。最初にやったのが「東京ガールズコレクション」で、元VOGUE編集長の軍地(彩弓)さんと組んで、その場でコーディネート動画を上げていただいて、それで審査をして、ということをやりました。
今後はこういったものに限らず、食だったり旅行だったり、様々な、例えば世界中のきれいなビーチを動画でみんなで撮ってアップしましょうとか、かわいいペット動画をアップしましょうとか。昔、mixiで盛り上がったコミュニティみたいなものの動画版をやって、かつその規模を世界に広げていくということを進めているのが1つと。
あと、もう1つはコンテストですね。
実は来年からテレビ番組を連動させようと思って進めていまして、ネット上で様々なコンテストをやって、その決勝戦をテレビでやるというような展開をすることによって、日本中に埋もれた様々な才能を表に出すような、そういう仕組みをして、かつそれをまた世界に持っていきますので、世界中でコンテストをやって、最終的に何かそれを選ぶものも、各地域のテレビと組み合わせるような、そんなような新しい展開をしようと思っています。
そのために海外にいろいろと広げておりまして、先ほどお話した女性、クリッパーと呼んでいまして、撮って編集してアップするという役割りなんですが、単純に東京だけではなくて、世界で言いますとニューヨーク、台北、シンガポール、バンコク、ジャカルタ、ドバイ、韓国、ベトナム。
国内も札幌、福岡、東海、関西ということで、どんどん広げていますし、言語も英語、中国語、日本語で配信をしています。
今のイメージとしては、この半年くらいで「世界中をつなぐ女性だけの通信社」を短期間に作りまして、今後は単純にファッション誌の分野だけではなくて、ある意味スマートフォン時代のCNNのように、世界中からリアルタイムで様々なニュースが配信されて、かつそれが位置情報と連携をして、その位置とか時間に合わせて自動編集するような、そういった機能を来年からスタートしようと思っています。
一方で、広告も早速8月から始めまして、ローソンさんとかJINSさんとかマルコメさんとか、そういうナショナルスポンサーさんと開始をしています。
広告に関してもメディアに関してもそうなんですが、どうしても今までのメディアというのは、一方通行が多かったと思うんですよね。ただこれからはコミュニケーションの時代だと思います。じゃあコミュニケーションとは何かというと、キャッチボールなんだと思うんですよね。
単純に自分たちのメッセージを押し付けるのではなくて、もっと同じ目線で語り合えるような、そういうコンテンツであり広告を作りたいなと思いまして、撮影の時にはなるべく自撮りに近いような形で、話しかけるように撮るようにしています。
広告も、スマートフォンで撮って編集をしてることによって、より一般のコンテンツに近いメッセージとしてすっと入ってくるのが1つと、あとは有名人を使うと明らかにその人はその商品を使ってないということ、みんな分かってるわけなんですよね。
僕たちが契約してるクリッパーさんだと、良くも悪くも素人的なところもありますし、実際出たあとに自分でTwitterで拡散するような、そんなようなことまでやるので、すごくリアリティがあるという状況になっています。
ちょっといくつかご紹介したいと思います。
(動画再生)
ちなみにこれはネスレさんの広告ですね。
これショートフィルムでちょっと長いんですけど、お楽しみください。
これは有名な女優さんを使ってて、お金がかかってるんですが、実は、ほとんどのCMはうちの社員が出てまして、ちょっとお見せします。
(動画再生)
もうちょっと手作りっぽい感じのものになります。この子はうちの社員ですね。
縦長を活かしてこう撮ったりとか、そういうことをやっています。
もともと人は縦長なので、人がひとり映る分には縦のほうがきれいに撮れるんですよね。特にファッションの領域は。ファッション誌の写真っていうのは、ほとんど縦なので。
広告はこんなことやっています。
あとコンテンツをちょっとご紹介します。
(動画再生)
これシンガポールからですね。これ英語でやっておりまして。尺が短いので、実は英語でも中国語でもあまり関係ないと思います。
今1日に30本くらい世界中から上がってきてまして、個人動画がどんどん増えるにしたがって、こういったものが増えていく。それをデータベース化して地図と連動していくような、そういったものを来年強化をしていきたいなと思っています。
そんなところですね。ありがとうございました。
(会場拍手)
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