2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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宮田拓弥氏(以下、宮田):いくつかポイントがあったかと思うんですけど、最初の年齢のダイバーシティの話で、クオリティとボリュームという意味でいうと、実務家がすごく集まってくるという話をされてたんですけど。
日本はお金はあるけど……ということでいうと、両方比べたときに、クオリティという意味では、僕ら日本で起業している人たちはまだキャッチアップできていないのか、それとも単純に数が少ないだけで、日本の起業家とシリコンバレーを比べたときに、クオリティは変わらないのか、そこはどう感じていますか?
青柳直樹氏(以下、青柳):まず量という意味だと、シリコンバレーは圧倒的で、日本でこういうG1とか、他のいろんなイベントとかに行くと、だいたい自分が見える範囲でコミュニティーが存在している感じがするんですよね。
宮田:みんな知っている感じ。
青柳:シリコンバレーの場合は、それが果てしないような感じがしていて、自分が属している周りの1000人くらいの人たちはシリコンバレーマフィアの一部でしかないという、全体を司る人たちがいなさそうだという感覚があって、そこが量という意味で違うと思います。
質に関していうと、僕はそんなに大差がなくなってきたなと思うところはあります。コーポレートファイナンスのテクニックとか、ここ4、5年でかなり輸入されて、優先株の使えるマネジメントが劇的に増えたと思うんですよ。
そういうところの共通理解は上がってきたと思うんですけれども、ゼロから立ち上げて100人の会社にするという「知」とか、そこに対する圧倒的なサポートとか、そこに対する仕組みが足りないせいで、個人の資質とかはあまり変わっていないんですけど、ダッシュのスプリントの速さがまだ違うなという感じはします。
宮田:なるほど。Megは何か言いたいことある?
Meg Nakamura氏(以下、Meg):起業をするというところの話なんですけど、YCだとソフトウェアで起業されるんですね。正直「2時間かかったかな?」という感じなんです。
それがこっち(日本)で株式会社を作ったときは、もう2ヵ月というような感じだったので本当に難しいんだなというのがよくわかりました。
宮田:僕も3年前にシリコンバレーでベンチャーキャピタルを始めてものすごくびっくりしたのは、僕のベンチャーキャピタルのオフィスには紙がないです。35社と契約をしているけど、いわゆる日本の原本主義がないので、契約書がないんですね。
今朝も1件投資したんですけど、PDFで送られてきて、そこに署名をして送ると終わりなので、それを誰も印刷しません。
これってたぶん日本の感覚ではありえない話なんだけど、みんなメールで数千万、数億の投資をしていて「それって証票大丈夫なの?」「それはクラウドにあります」という話で。
原本さえないというのはものすごく実務が早くて、なんでそんなにテンポが早いのかというと、今の技術でできる無駄は完全に省いていっている。
株券もiシェアーズドットコムできて、「これが株券です」って画面に表示されているだけで、株券はないわけですけれども。
そういうのが当たり前になっているというのは、すごく大きいかなと思います。
さっきの青柳さんの話がおもしろかったので、吉川さんに同じことを伺いたいんですけれども、年齢とかダイバーシティという話。
さすがに15年いるとみんな知っている感じになりました? それとも、やっぱり人が入れ替わっているのか、増えているのか、コミュニティー自体はどんなイメージですか?
吉川欣也氏(以下、吉川):蓄積されていくんですよね。シリコンバレーって名前の通り「半導体」なんですよね。
結局、パソコンの出る台数って、半導体の数しか出ないわけですよね。シリコンバレーっておもしろいなと思っていて、そういう半導体メーカー、インテルにしても彼らの業績にプラスして、今日も新聞に出ていた東京エレクトロンとか、製造する人たちがどういう予想をしているかを見られるので。
いわゆる数というベースで、シリコンバレーは10年経っても、20年経ってもシリコンバレーだろうと。なぜかというと、そういう会社があるから。
何が言いたいかというと、結局ハードのところ。僕は今の会社の前はルーターとかをやっていたので、そうするとレイヤーの低いところから高いところまで、全部ちゃんとコメントできるんですよ。
「東京エレクトロンって今何やってるの?」「アップライドって今どこにお金入れてるの?」と。そういう話をパーティーの中で「ドイツ方面行ってんの?」「中国方面行ってんの?」と。
「最近液晶どうなの?」「パネルってどうなの?」「太陽電池どうなの?」とか。「ソーラーのパネルのほうはどうなの?」みたいな話ができて「おお、そっちなのか」と。
日本だとアプリケーションのレイヤーは多いんです。低いところにいったときに、「すぐ電話して」とか、近所で「どうなの?」みたいな。
僕も47になったので、自分と同じレベルの人たちが役員になっているんです。良くも悪くも。Appleの中でも、Googleの中でもそうです。
もっと若い人間も出てますけど、その幅がすごく増えてくるので、長くいればいるほど、レイヤーの低いところ、素材レベルからアプリケーションのところまで、非常によく見られると。プラス、会社も形を変えると。
僕の今いる会社のとなりに元々Lyft(リフト)がいたんですね。ジョン・ジマーなんかがいつもプラプラしてたわけですけど。近いところにおもしろい起業家がどんどんいると。
私はブラナンにいるんですけど、ブラナン沿いに元々Ustreamがあったりとか、Pinterestがあったりとか。10年前はあんなところにオフィスなんてほとんどなかったわけですよね(笑)。
宮田:僕ら「シリコンバレー」で話してるんですけど、実はみんなオフィスはサンフランシスコにありまして。イメージでいうと、今日はつくばの話をしていますが、僕らは渋谷から来てますと。
これはけっこうおもしろくて、元々シリコンバレーってスタンフォードのあるパロ・アルトの周り、もっと昔はサンノゼを中心とした半導体のところがあって、だんだん北になってパロ・アルト、マウンテンビューと。
実は今、イケてる会社はみんなサンフランシスコにあるんですね。Uber、Twitter、グリーもサンフランシスコにあります。
これは僕の理解でいうと、元々いわゆる研究開発型、ハードコアなものが潮流だったのが、クラウドも含めていろんなプラットフォームができて、一気に会社も作れる、ビジネスも始められるというのがひとつのトレンドだと思うんですけど。なぜ都会なのか?
吉川:さっきのダイバーシティもですけど、行ったり来たりするんだと思うんですよね。僕は今子どもが4人いて、元々ロスアルトスにいたんですね。
やっぱりエンジニアを取りやすいということで、今サンフランシスコになってて、若いエンジニアたちはやっぱり田舎はイヤだと。
ただ今度子どもができると、サンフランシスコはダメかもとなるんで、たぶんあと10年くらい見ないとわかんないですね。行ったり来たりすると思うんで。
バークレーとかオークランドのほうに行くのか、もうちょっと南のほうを考えないとダメなのかは10年くらいのスパンを見ないと……あと水とか! シリコンバレー、水不足は大丈夫なのか(笑)。
(会場笑)
宮田:実はシリコンバレーは1年間で水はなくなると言われているので、そもそも住めるのかという議論になっているんですけど。まあ、それはいいとして(笑)。
そういう意味で、青柳さんはあのタイミングだけど、いきなりサンフランシスコに作ったというのはちょっと早かったですよね? たぶんまだ「ジンガ」くらいしかなくて、けっこう早いタイミングでサンフランシスコに作ってどうだったかという話と、今見ていて実際の人の流れとか。
青柳:場所という意味では、おっしゃったようにサンフランシスコに移ってきて5年くらいですね。
僕らの場合、一時的に南に作ったんですよ。選択を迫られて、サンフランシスコに行くかもっと下に行くかしないと、採れる人材が完全に違うんですね。
ファミリーの人か、シングルの人かというのでまず選択がありました。真ん中にいるといい人が採れないんですよね。
サンフランシスコに行った理由は、特にエンタメ・ゲーム系のビジネスをやっていたので、UI・UXとかのデザイナーとか比較的新しい、変化が大きいところのエンジニアを採りたかったのでサンフランシスコしかないという選択をしました。
そうするとサンノゼに住んでいた人たちは辞めちゃうんですけど、僕らが存在していた業界がそこだったというのがありますね。
宮田:Megはローカルの人間として、今のムーブメントというのは、なんでみんなサンフランシスコに集まっているか? 日本のメタファーで言うと、都会、渋谷とか六本木に人が集まっている状況もあると思うんですけど、なんでサンフランシスコなんだろう?
Meg:私の経験からすると、今もちょっと別に投資しているんですけど、いろんな会社がサンフランシスコに集まっていて、「シフト」っていう会社に対しても便利なんですよね。
この間「コイン」という会社が日本でもいろんな会社から投資もらったという発表がありましたが、相談に行こうとか「誰から投資とったの?」とか、簡単にEメールひとつで「じゃあ、お昼食べに行こう」とか決められるんです。
宮田:ひとつ前提として、おそらく日本の方がびっくりされるのが、Megはとても若くて、僕の投資先なんですけど。
初期の頃驚いたのが、まだこれからのスタートアップのCEOなんですけど、エンジェルなんですね。
日本って、ちゃんと1回上がってエンジェルになるというのがあると思うんですけど、バリバリのCEOがお互いに投資し合っているというのは、日本の感覚ではあまりないと思います。
そういうのってMegはたぶん「コイン」も含めていろんなキーなFinTechの会社にエンジェルとしてたくさん入っていると思うんです。それはユニークじゃなくて、みんなやってると思うんですけど、なんでそういうふうになるの?
自分自身まだCEOとしてフルタイムで仕事をしているんだけど。きっかけ的なものというのはどこからどのように始まって、今どういうふうにエンジェルとしてやっているんですか?
Meg:正直……あんまり考えてやったということではないですね。元々「プロモントリ」というコンサルティング会社で働いていて、グレッグという方に出会ったんですけど、彼が元々ジャック・ドーシーを雇ったんですね。
彼とコンサルの仕事をしていて、いろんなことを見ていて、Twitterが大きくなっていく、squareも大きくなっていく、やっぱりそういう会社が近いと「ああ、できるんだな」という感じがしますね。
なぜ投資かというと、ネットワークの関係でいろんな人が相談に来るので、「アドバイザーになってくれないか?」とか。そういうことでナチュラルになったという感じです。
宮田:なるほど。
青柳:シリコンバレーでは投資をしていくことによって、自分のネットワークが強化されるというのがあって、ネットワークをレバレッジしないと、他の人がガッとお金を集めて、同じことをバーっとやってしまって、気づいたらやられてたみたいな。
日本だと最近起こり始めましたけど、そういうことがすごく多いので、シリコンバレーで何かやろうとしている人たちは、もはや生業として「僕も名前貸すし、応援するから100K」みたいなことを周りもやっていて、周りがもうほとんどやっているから自分もやるみたいな。
シリコンバレーに住んでいるということはそういうことだみたいな、ある種カジュアルな感覚があるんですよね。
吉川:まさにそうで、僕も個人的にお金を入れると、うちの若い社員から「自分の友達を助けてくれないか?」とビジネスプランが来て。
シリコンバレーの若い人たちのビジネスプランってすごいシンプルになってるんですよね。逆にそこは勉強になって。
(会場笑)
吉川:でもすごくわかりやすくて、最近シリコンバレーというか日本もそうですけど、イケメンなんですよね。若い子ってみんなかっこいいなって(笑)。
宮田:それ関係あるんですか(笑)。
吉川:僕も26で最初の会社作ったので、20代ってやっぱり勢いもあるし夢もあるし。このくらいになると、僕も胃痙攣で2回救急車で運ばれたりしてるので。やっぱり胃が弱くなったりして「ダメだなー」みたいな(笑)。20代ってそういうの全然大丈夫なので。
テンポの良さとか、個人的に入れたものが数ヵ月で買われていくと。そのときの弁護士から出てくる条件、こういう条件で売るんだという。伸びてきたときに、株をもうここでイグジットしないかとか、キャッシュにしないかとか。そういうことを勉強できる。
自分のやり方と今のやり方をお金を入れながら、「オーリック使うのかな、今回のディールは」とか、弁護士どこ使うのかとか。
その辺のセンスとか流れなどを自分の会社だけじゃなくて若い企業、若いアントレプレナーから学ぶというのは、シリコンバレーですごくできる。たぶん日本でもできると思うんですけど。
宮田:たしかに、すごくシニアなエンジェルの方がたくさんいて、でも20代の人も絡んでるというのはけっこうユニークな気がしますよね。
もうひとつ補足で言うと、僕も日本でも会社をやって、アメリカでベンチャーキャピタルをやって一番びっくりしたのは、僕シードで入れてるんで会社はまだデカくないんですけど。
日本の感覚でいうと、キャップテーブルって汚したくないから、株主ってそんなにたくさんいないと思うんですけど。
僕がシードでバリエーションを5億とか7億くらい入れるときに、もう20人とか30人とかエンジェルがいるのが全然普通で。
そのことに関して誰も何も言わないので、だんだん普通になってきたんですけど、最初見たときは「どんだけエンジェルがいるんだ」と、ものすごくびっくりしました。
日本のデューデリの感覚でいうと、これは誰で(あれは)誰でといちいち聞かないといけないんだけど、僕は投資するときに、正直誰が株主かまったく把握できないという感じです。カジュアルにエンジェル投資しているというのは、すごく大きなユニークネスかなと思います。
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