2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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藤田功博氏(以下、藤田):企業に入ってから起業すべきか、いきなり起業すべきかというような、よくある堂々巡りがあって。
アンリさんの投資先を全部は知らないですけど、イメージはわりとキャリアが浅くて、まずいきなりチャレンジするタイプで、やる気があって真剣な若者を応援しているイメージがあるんですけど。
アンリさんがもし「そういう(いきなり起業する)のどうですかね?」って言われたら……ご自身はリクルートって会社に入って、(そこから)チャレンジしたじゃないですか。その観点から見ると、どういうアドバイスになるんですかね?
佐俣アンリ氏(以下、佐俣):やれちゃうやつはやっちゃえばいいですよね。僕は単純に小心者なんですね。
驚くほど小心者なので、「やっぱり大学出たら企業入りたいじゃん」って。企業っていうと、就職活動偏差値ランキングというのが2チャンネルにあって、上のほう入ったほうが給料も良いらしいぞと(笑)。
僕はもう超小心者で、自分で何かつくる能力も覚悟もなかったから入って、それでもやりたかったからいただけで、必ずしも若いほうが良いとか、年上のほうが良いとかないと思って。
僕が投資させてもらってる会社で最年少は21歳、最年長は52歳。その範囲までは見たんで、(年齢は)何でもいいと思います。
ただ、本当にこれがやりたいというのが見つかったり、本当に会社がやりたいみたいな決意が決まったらやればいい。それは何歳でも何でもいいと思います。
藤田「そういうときに出る恐怖を克服するには?」っていう議論で僕が思うのは、「恐怖と感じてる時点で立ち止まっちゃってるんじゃないかな」とか思うんですよね。
だからもう、恐怖というものを意識した時点で、それをどう克服するかって考えたとしても、なかなか克服ってしにくいのかなと思ったりするんですよね。
佐俣:まあ影の中にいるお化けみたいなものなので、「お化け何者だよ」と考えれば考えるほど強い武器持ってるみたいな。意外と目からビームが出るみたいな(笑)。敵がシャープに強くなっていくだけなので、そんなの別にしょうがないですよね。
大体やってみちゃうと、その考えたことじゃないものが出てきたりとか、考えたことが(実は)たいしたことなかったりするので。もう馬鹿になるしかない。
僕「えいや!でやる」ってすごいいい言葉だと思ってて。「えいや!」って感じじゃないですか。
藤田:じゃあ、投資家として「えいや!」ってやる。上手になってもらう応援の仕方っていうのはあるということですね。
佐俣:そうですね。やっぱりそういう恐怖をすごい見ちゃう人は、もうなんかバンジージャンプ、「こいつすごい飛ぶ才能あるのに!」って思ったらお尻をたたくわけです。
「パーンと!飛べー!」っていう人もいれば、放っておくと縄を付けるのを忘れて飛んじゃうやついるので。「待って待って、縄だけは!縄だけは!」っていうやつもいますし。
万人に共通したことってないと思ってて、その人なりのリズムのつけ方ってあると思うので、最低限死なないように、最低限楽しめるようにという部分を人によってちょっとカスタマイズして、コミュニケーションするだけかなと思います。
藤田:その恐怖というのとちょっと違うかもしれないですけど、ベンチャーキャピタリストや起業家で女性って、やっぱりまだまだ少ないのかなと。
特にベンチャーキャピタリストで女性ってすごく少なくないですか? それは何でなんですかね?
佐俣:そうですね。サイバーエージェントベンチャーズのさとまき(佐藤真希子)さんと……あまりいないですね。なんでなんですかね?
藤田:なんでですかね。
佐俣:もっとなればいいと思うんですけどね。
藤田:女性の起業家というのもまだまだ少ないですよね。
佐俣:すごく少ないですね。正直、スタートアップをやっている起業家はすごく少ないと思います。やればできるんですけどね。
僕、これは始まってないだけだと思っていて、「みんなできるじゃん」ってなったらくるくる回りだすと思っています。
そもそも女性が総合職で働くってこと自体の歴史が、まず日本ってあんまり長くないじゃないですか。
それぐらい女性の働くっていうことの後進国なので、なんかのタイミングでポンと回りだすと思うんですよね。普通に「あっ、やっていいんだ」みたいな。
僕は女性のほうがベンチャーキャピタルや、起業家に向いていると思う。女性が本気で働き続けるためには、自分の会社つくったり投資家になったほうが有利だと思うんですよね。
やっぱり女性って結婚したり出産したりあるので、そのキャリアと正規雇用を組み合わせるのは難しいと思っていて、起業家とかのほうがむしろコントロールできるじゃないですか。
なので、誰かがポンと踏み出した瞬間に一斉にそのキャリアが始まると思います。男女の優秀さなんて基本的に変わらないので。
藤田:なるほど。
佐俣:なので、僕はもっと増えて欲しい。僕も奥さんが起業家なので、すごい大変なこともわかりますけど。でも逆に、起業家だからできたということもたくさんあるので。
藤田:ちょっと脱線するかもしれないですけど、お子さんが生まれて、ご自身も奥さんも起業家であるという家族ですよね。バランスというか……どうやって日常の時間の使い方の配分をしてるんですか?
佐俣:普通の家庭だと思いますけどね。僕も家で仕事できますし、奥さんも家で仕事することもできます。もちろんオフィスにいること多いですけど。
なので、普通に帰って子供を保育園から引き取って見るとかは、あんまり変わらないと思うんですよね。
僕らはすごい会社をやっていて良かったなと思うんですけど、子供が産まれて育てるってすごい大変じゃないですか。
会社をつくるぐらい大変だと思うんですよね。ということは、会社をやってればわかるんですよ。「これぐらい大変か!」と。
僕らはそれぞれ会社とファンドと立ち上げてて、子供が生まれて、「なんかまた1社できたね」みたいな。
「また1プロジェクト始まったね」ぐらいの大変さってわかって。すごい大変なんだけど、すごい楽しいってことがわかってるじゃないですか。
だから逆に怖くないんですよね。やっぱりそれをやったことがない、自分で旗掲げして、「何かやるぞ」っていうのをやったことないと逆に怖かったと思うんですけど。
僕がすごく尊敬しているnanapiの古川健介さんが、「子供を育てるのはすごく大変だ。どれくらい大変かというと、Webサービスつくるぐらい大変だ」と。
「だから俺、本当に良かったよ、Webサービスやってて。そんなものだから」とおっしゃっていて。僕はすごい感銘を受けたんですけど、その通りだったと思っています。
藤田:十分両立できるし、逆に子育てができた人は起業もできるっていう話ですよね。
佐俣:そうです。いろんな人に言っているんですけど、「子育てと起業は同じぐらい大変だ」というルールがわかっていると、奥さんも旦那さんの大変さがわかるし、旦那さんも奥さんの大変さわかるんですよ。
だって同じぐらい大変なんですもん。僕は両方やってるんでわかるんです。同じくらい大変なんです。同じぐらい大変だったら、やるしかないんですよ。どっちもやるしかないじゃないですか。やればいいんですよ。
いろんな人と話すと、年をとったり頭が良くなったりすると、やらない理由、やれない理由を探すんですけど、やればいいんですよね。やってやれないことはないし。人類史上、子育てをしながら会社をつくった人がいないのかというといるので。
さすがに気功法を出したとか、四身の拳を成功したとかあんま見たことないですよね。魔貫光殺砲出たヤツもあんま見たことないですけど、子供を育てながら会社をつくった人はいるので。これは心強いなと。
藤田:今そういう中で実際にトライしていて、自分自身の現状に対してはどういう評価なんですか?
佐俣:しょっぱいですね。何でこんなしょっぱいかなと。
藤田:まだまだだってことですか?
佐俣:なんかイケてないですね(笑)。何ですかねぇ。
藤田:どの辺に納得できないんですか?
佐俣:もうちょっとなんとかなるだろうって。一応「この産業で頑張るぞ」っていうのは、4年ぐらい頑張っているんですよ。4年頑張ってこれかというと、どうよっていう。
世界でMidasっていうベンチャーキャピタルのランキングがあるんですよね。毎年更新されてるんですけど、載ってないんですよ。一応確認するんですよ。載ってないんですねぇ。日本人1人も載ってないんですよ。
過去に載ったことがあるのは伊藤譲一さんだけなんですけど。おかしいんですよねぇ。載ってないんですよ。おかしいなぁ……。
ということは、100位にもなってないんですよ。4年もやっていて100位にもなっていないって、やっぱりダメですよね。もうちょっと頑張れよって。もうちょっと頑張るルールあったんじゃないのって。
Midasって毎年更新されるんですけど、仮にランキングされていたら、去年のランキングは明らかに孫正義が1位なんですよ。なぜかっていうとアリババへの投資があるので。おかしいですよね。
僕が云々かんぬん言っている間に、ちょっとサイドプロジェクトでやってたもので1位になっちゃう孫さんがいて。
僕はフルですよ。フルで一生懸命やっているのに、なんでまだ100位にもなっていないのかなって。これはちょっとなんかしょっぱいなって思ってます。
藤田:なるほど。実際、世界一への道のりっていうことで、これはアンリさんの中では何年計画ぐらいなんですか?
佐俣:あとね、3〜4年でいくはずなんですよね。
藤田:じゃあ来年ぐらいにはMidasに載る。今年Midasに載る。
佐俣:だからおかしいんですよ。ペースが遅すぎて。ちょっともうこの半年くらいは悶々としているんですけど。こんな遅いのかなと。
僕は世界的に見ても若くスタートしたほうなんですけど、そのアドバンテージを食い潰すぐらい遅いんですよねぇ。
今僕は31歳なので、この仕事をあと50年ぐらいできるんですけど、これで4年やったとして50だと、あと12倍ぐらいしかできないんですよ。
あと12回繰り返しても、1位じゃない気がするんですよね。80歳になっても1位じゃないともう絶望的じゃないですか。どうしようみたいな。
やっぱりやってきたルールを変える。一緒に戦ってきたスタートアップにも言いますけど、「戦ってきたルールを変えないと200年かかるよ?」みたいなゲームに入っちゃってるなというのが。
医者の不養生みたいなもので。人様の会社がダーダーと言ってるのに、自分のファンドが勝負をしていないのが焦りですかね。
藤田:実際今は、ベンチャーキャピタルもすごく増えてますよね。
佐俣:日本ですごい増えてますね。
藤田:ある種ネットバブルと言われるくらいバリュエーションも上がっている状況ですよね。これは若干戦いにくい状況ではあるんですか。
佐俣:いや、戦いにくい感じはしていなくて、ファンドがすごい増えたのはすばらしいことだと思うんですけど。僕が戦うステージ、シードっていうところはあんまり増えていないんですよね。
ここのステージはなんか辛いんで、あんまりみんな来ないのと、たまにいらっしゃるんですけど、1年ぐらいで辛いって言っていなくなるので。
「もっと採算がいい方法がある」って言ってみんないなくなってしまうんですけど。なので、1人で粛々と戦ってるなっていう感覚はあります。
藤田:これからも自分の道を貫いてやっていくのみ、という感じですよね。
佐俣:そうですね。ただ、ちょっと全体的にしょっぱい感じがしているので。これはどうにかしないとなと。
逆転の一手を考えてるんですけど、「うーん……」みたいな。やっぱり自分で自分を破壊するぐらいの一手がないと。ここから先、非力でできないなと。
仲間に申し訳ないですよね。お金を出してくださってる方っていうのは、「アンリがどこまで行けるのか見たい」って言ってくださった方もいらっしゃるんですね。
お金預かってるし、「俺はトップ目指すよ」って言って、「お前もトップを目指そうぜ」って言って投資させてもらっているスタートアップもいるので。
ここの人たちに申し訳ないので、もっともっとすごい勝負を目指さないとなっていうのが最近の気持ちですね。
藤田:なるほど。では、アンリさんの世界一への道のりを、IVSスタッフ一同見守っております。
最後に一言、この動画を見ている人は主にIVSのスタッフになりたいなとか、IVSのスタッフに興味を持ってる人だと思うんですけれども、そういう人に向けて、これからの時代にチャレンジしていこうとしている、どちらかというと若い人に一言、カメラ目線でアドバイスをお願します。
佐俣:もうなんでもやればいいと思うんですよね。すばらしい時代に生まれてると思ってます。
やっぱり革命が起きてるんで、インターネットっていうすばらしいものが生まれている時代に生まれて、いろんなものが変わってくるタイミングで生まれたので、せっかくなら変えたほうがいいんですよ。
世の中が変わるのを予測するよりは自分で変えたほうがコントロールできるので。だったら明るい未来をつくりに行ったほうが良い。
自分が死ぬときに、「これはおもしろいことしたな」と思えたほうが楽しいと思うんですよね。それはとりあえずやりにいったほうがいいと思います。
IVSってすばらしいコミュニティで、インターネットっていう産業に対してポジティブに考えていて、その産業で何かおもしろいことをしたいぞって人の集まりなんですよ。
このポジティブなエネルギーっていうのは、なかなか他では見られないと思うんですよね。
東京駅に行っても見れないし、新橋に行っても見れないし、なかなか見れないですよ。こんなに熱量の高いポジティブなエネルギーって。
こういう場所を経験するとすごい衝撃を受けると思うんですね。なので、この場を体験しにきてほしいです。
僕はこの場に5年間、10回携わらせてもらって、なんかもうやめられないですよね、この空気。これにはまっちゃうと、次どんな明るい未来を考えようって思えちゃうんですね。
この場を一緒に盛り上げていきたいと思ってるし、それはひいてはインターネット産業っていうものに近い存在なので。
僕はここでいろいろなことを学ばせてもらったので、こういう場所を一緒につくる側にまわるというのを、何かやりたいなと思ってる大学生、若手社会人がいたら、「とりあえず飛び込んできてくれ」と。
まずIVSスタッフに来てくれれば、一番のキーマンが大量にウロウロ話しているので、「ちょっと、そこのあなた!」って話しかければいいんですよね。
「スタッフでもぐりこんで」って裏技だと思うんですよ。裏技の入り口、バックドアが開いているので、ぜひ挑戦してくれればなと思ってます。待ってます!
藤田:本日は、ANRIジェネラル・パートナーの佐俣アンリさんにお越しいただきました。ありがとうございました。
佐俣:ありがとうございました。
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