2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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池谷大吾氏(以下、池谷):他、いかがですか? 質問ある人。
質問者:入試改革がこれから行われるなかで、皆さんは例えば「入試改革がこういうふうに変わってほしい」だったり、「実際こういうふうに変わるから」と。具体的なことは、僕はわからないので、どういうふうなアプローチをしたりとか、お考えになるようなことがあったらお伺いしたいなと思っています。
池谷:入試改革っていうのは、2020年度にセンターのやり方が変わって、考える力とか筆記とかを持ってくるって、そういう話をされてます? そうなんですよね。文科省がついに決めて。
今までも文科省さんが決めたことって、来年には起こらないですよね。必ず市場が動く話でもあったりするんで、保守的な業界なんで、だいたい6~7年前に出されるんですよね。ちょうど去年2014年に出されて、2020年からセンター変えますよと。
日本の教育って、大学受験をゴールにしてる。これがそもそも超問題なわけですけど、その中でいくと、今の小学校6年生くらいからは偏差値教育じゃなくなっていくと言われていて。
なので今、上流のほうの予備校さんとかからバタバタと……。この前、代ゼミさんがリストラしてみたりとか、予備校さんも完全に昔みたいな偏差値対策できない状態ですし。
もちろんもっと早く変化してる学校も結構あって。センターなんか使わないよ、と。もっと個性的な、自分が欲しい学生をもらう。そういう時代になってきてるんで、そこの流れはあるかなとは思うんですけど。今ご質問されたのは、そういう流れについてどう思うかっていう質問でいいですか?
質問者:事業とかに落としこんで、こういうことやりたいなとか、ビジョンとしてあったらおもしろいかなと。
池谷:なるほど。入試改革の影響を受けて、自分たちの事業に何か取り入れられる部分があるかっていうこと。いかがですか?
水野雄介氏(以下、水野):やっぱり、教育のポイントは入試と新卒の一括採用。これが教育を変えるには大きなポイントだなと思っていて。まず、自分たちができることからいうと、ドラフト会議っていうのをやってるんですね、「ITドラフト会議」って(笑)。何でかっていうと、まずはITのヒーローが日本に出る仕組みを作りたいっていうところがあって。
今は大学生でやってるんですけど、もともと考えてたのは、スーパー高校生がGoogleで働くのか、東大で……。つまり、野球だったら、マー君(田中将大選手)が楽天にいったけど、斎藤佑樹が早稲田にいった。大学で4年間やるのと、プロとして働くのと、どっちが伸びるかって、人によってわからないじゃないですか?
それってITだったらできるなと思って。つまり高校からそのまま行くんじゃなくて。そこからGoogleに行きますか、東大に行きますか? それをくじで決めます、じゃないけど、そのくらいあってもおもしろいんじゃないかなと思って始めたんですよね。
例えば、今の大学生がそのあと院生になったときに、MITのメディアラボの人が来てくれて、Googleの人も来てくれて、たとえばグリーとかDeNAとか、そういうところの人も競い合う。まずITの分野からだったら、そういうプロ野球みたいな仕組みで、そこの部分を変えていけるんじゃないかなと思って、自分はチャレンジしています。
プラス、あとは大学入試と新卒一括採用の大きな問題でいうと、なかなか自分の……。長谷川さんなんかは、もしかしたら政治系のところとやられてるかもしれないので、いけるかもしれないですけど。なかなか変える力ってないので。それよりは、やっぱり僕は、自分たちでできることをやっていこうという考え方ですかね。
池谷:ただ、プログラミング自体って、別にもう今の中で1教科あってもいいじゃないですか? 僕、よく子供たちに言うんですけど、プログラマーって21世紀の大工だと思うんですよ。そういった意味では、本当に2020年になったときに、プログラミングとかに特化した受験採用ってされる場合があるかもしれないし、そうすると「ライフイズテックでちょっと鍛えてから行くかな」って、出てくる可能性もあると思うんですね。
そういう問題解決を、別に国がどうこうじゃなくって、事前にやられてるってことだと思っていて、教育が多様化するってことなんですよ。皆が同じこと学んでもダメダメ、4教科をバッチリ覚えてもあんまり意味がないという話であって。
池谷:そういったことを、皆さんそれぞれやられてるんじゃないかと思うんですけど、何かそういう入試改革についてとか、意識されることってありますか? 長谷川さん、どうですか?
長谷川敦弥氏(以下、長谷川):僕も本当に水野さんと池谷さんと観点は一緒で、受験と就職活動をすっ飛ばすっていうのが基本的な考え方なんですね、無視するみたいな。あまり眼中に置かないというのがまず大前提としてあって。
教育を多様化させていくって非常に重要なんですね。その教育の多様化がなぜこれまで行われなかったか、進まなかったかっていうと、やっぱり今の大学受験の話だし、就職活動であって。どうやったらいいかっていうと、「多様な教育」と「社会での多様な活躍」が繋がってれば、多様な教育っていうのは促進されるんですね。
活躍が分断されてる。活躍のためには受験ていうとこを突破しなきゃいかん、就活を突破しなきゃいかんとなってるから、この2つを除いて、社会に直接的に繋がっていく新しいルートも作っていくっていうことが大事かなと思っていて。
そういう、個人から課金するタイプの新しい就職活動のスタイルみたいなものは、やろうかなと思ってますね。これ結構重要で、よく相談あるんですね。例えば、東京大学で理系の大学院生ってめちゃめちゃ優秀なんですけど、だいたい皆就活できない、みたいな(笑)。そういう人たちが大学院にどんどんたまっていってると。
僕、数学科だったんですね。数学科の人たちって数学大好きなんですけど、顔見てコミュニケーションあんまりしてくれないんですね(笑)、彼らって。PRって悪なんですよ、彼らにとって汚いこと、格好悪いことみたいな。美しい世界が大好きなんですよ。彼らを就活のプロセスに乗せるって、やっぱり社会的な損失で。
彼らは、例えば代理人つけてあげて、プロ野球選手とかメジャーリーガーが代理人つけて企業と交渉するとか。そういう世界観で、彼らの代わりにPRをして活躍に繋げるみたいな仕組み作りを、この就職のマーケットにおいてもやっていきたいなと。
今の就職のマーケットってBtoBだけなんですね。企業が価値を感じてるところしか発展しないので、個人の課金型の就職のマーケットを作っていくことができたら、もっと個性を爆発的に日本の中でも広めていけるんじゃないかなと思ってますね。
もう1個、影響が大きい法案はフリースクールですね。今後、フリースクールが学校としてちゃんと認められていく。フリースクールに通っても公立学校に行ったっていう出席のカウントになるっていうところと、あともう1個、これ認められるかわかりませんけど、補助が出る。フリースクールに通ったぶんの学費の何割かを、公立学校と同じようにサポートしてもらえるようになっていくかもしれないですね。
それができると、皆さんがいろんな学校を多分自由に作っていけるようになってくるので、その影響はすごく大きいなと思っていますね。まだわかりませんけど、これは。
池谷:安部さんいかがですか?
安部敏樹氏(以下、安部):僕は今の仕事、そのままそういうものを意識はしています。今の若い人というか日本人って何が足りないかっていうと、「問題を解く力」じゃなくて「問題を作る力」がなんですね。
僕らは課題設定能力っていいますけど、その問いを作る力がないと、結局起業するときに、「何の問いを解決するんですか?」っていう話にもなるし。何をするときでもスタートは、問いから始まるはずなんですね。
でもその課題が、皆どうやって作ればいいのかわからないと。自分で問いを作れないっていうのがあるので、そういった部分は僕らの仕事の中で作っていけるんじゃないかなっていうのは1つ、思っています。
もう1個はやっぱり世の中全体が、大学を出たらもう学ばなくていいよねっていう仕組みになっちゃってると。本当は人間ってずっと学び続けるものだし、社会人教育みたいなマーケットっていうのが、あんまりないんですよね。なので、そういうところを作っていけたらいいなとは思ってますね。
池谷:まあ、そういうことなんですよ。2020年の問題も、僕も普通に大学の経営者とかやってたらそうしますよ。だって、日本の大学ってどんどんレベル下がっていて。海外の留学生って日本の大学に行かないわけじゃないですか? 滑り止めで皆海外行くわけでしょ。なので経営改革としてやらないと、もう日本の大学って価値がないんですよ。そういう目線だと思っていて。
我々はそういった意味では、別に大学に全員が行く必要もないかもしれないし、自分たちがそういう機会を提供して社会と直結させようと思っているんで。僕らからすると、ようやく社会が動き出したな、と。別にそれも悪いとは言わないですよ。言わないけれども、社会がだんだんそういう当たり前な姿にゆっくりなり始めたねっていうこと。
長谷川さんが、お母さん向けとか保護者向けのメディアを作られてるっていうのは、もう1個ポイントがあって。やっぱり、子どもの教育に親って結構大きいところがあると思うんですよ。皆さんも親の影響受けて教育って受けてきたし。
そういう中でいうと、お母さんお父さんにこうしたことを考えて伝えていくことも結構重要なんじゃないかなと思っていて。こういう多様な価値観のある生き方、みたいな。なので僕、こういう場も、学生の採用でもそうだけれども、それこそ保護者さんとかにどんどん話していったほうが効果的なのかなって、ちょっと思ってたりしてて。
とはいえ、相変わらず「慶応大学入れたい」て思う人とか、たくさんいるわけですよ。僕も小5の子供がいたりするんで、皆変わってないですよ。皆、絶対東大入れたほうがいいと思ってますし。
そういう観点を、価値を、変えていかないといけなくって、もう教育は多様化してるんで。そういう時代になってるといいなっていう感覚でいるんだと思いますけどね。答えになってますかね?(笑)
質問者:ありがとうございます。
池谷:その他、いかがですか?
質問者:社会人です。さっき長谷川さんがおっしゃってた、理系の学生って結構就活が苦手な方が多いなと思っていて、でもめちゃくちゃ優秀でもったいない才能だなって思うんですけど。そのドラフト制で就活するって、すごくいいアイデアだなと思ってて。
ただ学生時代、私は量子化学の研究をしていて、「CP対称性の破れ発見した!」ってなっても、市場価値がないから、企業から見たらなかなか「売り」って思ってもらえなかったり……。
そこで需要がかなり低い研究分野……、優秀だとしてもそういったことがあって、なかなか就活市場でうまくいっていないっていう子も多いなって思うんですけど、そういう方々の就活ってこれからどう変わっていくとか、お考えのことがあったら教えていただきたいです。
水野雄介氏(以下、水野):東大で弁護士の法の研究をしてる子がいて、それを数学でやってる子がいたのよ。同じような感じだったんだけど。多分、1つはこれから大学発のビジネスっていうのが、もっともっと増えてくる。それは、「ビジネス化できる人が増えてくる」。インキュベーションとかがどんどん増えてるから、大学がファンドを作ったり。
大学が、そもそもそこでお金を稼いだりとか、そういうのを奨励していく流れってアメリカでもすごいあるし。それがどうビジネス化されるのかっていう流れが、多分できてくるから、就職はうまくできるように、少しずつなるんじゃないかなっていうことと。
後は、それを見据えて研究する。ユーグレナのミドリムシは、すっごくいい例だなと思ってて。すごくない? だって、ミドリムシの可能性をずっと研究し続けて、それが健康だったり、エネルギーだったり、食品だとかになってさ。ちゃんと企業にもなって、ああいうふうな成功事例が出たわけだから、そこにこれから焦点が当たってくる。
それって他の人にはやっぱりできないことだから、すごい僕は強みだなと思っていて。そういうような風潮になるんじゃないかなと思っています。
長谷川敦弥氏(以下、長谷川):今の社会の中で、確かにマッチングがうまくいってないなって思ってるんですね。これはやっぱり、学校の中の姿勢がすごい皆さんにも染みついていて、全部の企業に適応しなきゃいけないとか、たくさん内定もらわなきゃいけないとか、そういうのが強くて。
その人にピンポイントでジャストフィットする会社って、わからないけど1000社に1社とかいうレベル感だと思っているんですね。本当にジャストフィットの精度を追求したら。
10社の中ではここ、とかで、うまくフィットできてないんだけど、そこに無理やり適応していくっていうよりは、自分に最高に合う、ジャストフィットする1000分の1を見つけにいくっていうほうに、個人としてはシフトしていくといいし。そういうのを実現できるような、新しい仕組みを作っていくのが結構大事なのかなと思っていますね。
安部敏樹氏(以下、安部):僕もいきましょうか? 僕は研究分野が生命とかなんですよね。生命で遺伝子を研究とかそういうのじゃなくて、生命とは何かっていうの研究してるんですね。「意志とは何か」とか、まったくお金にならないですよね(笑)。
そういう研究分野やってて思ってるのは、研究分野をそのまま仕事にしなくてもいいんじゃないかなと。それを通して養われた力ってやっぱりあるし。
僕はもちろん、大学からもっともっとベンチャーが出てきたほうがいいと思ってるけど。でも、そうじゃない場合でも、基礎的な能力としてもっとつけられるものがあるはずだし。その部分って、本当に大学でつけられているのかっていうところ、僕は結構懐疑的なので。
大学教育のほうで本当に優秀な子を作れているのかっていうのが、僕はかなり疑わしいです。なので、そういう人たちは大学行かないでいいんじゃないかなと思うんです。逆に、大学でいい研究をしているんだったらそのまま仕事にすればいいし、あまり就活前提でそういうのは考えないほうがいいんじゃないかなと思いました。
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