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テーマ「臓器売買」について(全1記事)

「三大貧困ビジネス」の1つ、臓器売買の実態とは

「腎臓を200万円で売らないか」と路上生活者の男に持ちかけ、臓器売買の約束を交わしたとして、暴力団幹部らが警視庁に逮捕された事件。このニュースを受け、フリージャーナリストの片岡亮氏が、臓器売買が貧困ビジネスとして行われている背景について解説。また、中国が臓器売買の巨大市場になっていることを紹介し、貧困格差が映し出す臓器売買の闇の部分について語りました。(TOKYO MXとの共同企画でニュース番組『モーニングCROSS』を書き起こしています)

三大貧困ビジネスのひとつ、臓器売買の実態とは

堀潤氏(以下、堀):さぁ片岡さん、テーマの発表お願いします。

片岡亮氏(以下、片岡):はい。僕はこちら。

:重たいのきましたね。

(テーマ「臓器売買」について)

脊山麻理子氏(以下、脊山):「腎臓を200万円で売らないか」と路上生活者の男に持ちかけ、臓器売買の約束を交わしたとして、暴力団幹部らが警視庁に逮捕されました。

:人工透析治療中の60歳代の暴力団関係者が腎臓の移植を希望。日本移植学会の倫理指針で、腎臓の生体移植は親族間に限られていたということなので、路上生活者の男に200万円の報酬を払い、提供先の暴力団関係者と偽の養子縁組を行おうとしたと。実際に移植手術は行われていないということです。

片岡:「臓器売買」っていうと、すごく都市伝説みたいなイメージがあると思うんですよね。「そんなの、本当にあるの?」と。これ、いわゆる貧困ビジネスになってるんですよね。

前、人身売買についてこの番組で話したことがあって、その内の3つというのが、「不当労働」と「売春」ともう1つ「臓器売買」の話。これ全て貧困からきてる話で。

昨年、ホームレスの炊き出し、ちょうど同じ現場の池袋の公園でやった炊き出しに、僕取材したことがあるんですけど。そこの主催者に聞いたら、ホームレスの方いっぱい集まりますよね。

そうしたら、貧困ビジネスの勧誘の人たちも来てる。ちょっと体の丈夫そうな人を見つけて、不当労働に連れて行ったり、何らかのことに勧誘したりしているっていうのがあって。まさに、貧しい人を見つける草刈り場みたいになっちゃってる。

:正当な報酬は支払われるんですか?

片岡:そのことが、今回の臓器移植になるんですよね。

この臓器移植っていうのが、そもそも、さっき言った通り親族間だったら認められるというのが1点あるのと。そういう親族間じゃない人のほうが大半ですよね。そういう場合は、臓器移植ネットワークというところにドナー登録をして、それを待たなきゃいけないんですよ、受けるほうは。

それが、だいたい15〜20年っていう、気の遠くなるような時間を待たないと順番が回ってこない。

:平均で。

片岡:数が少ない。というところで出てきたわけです。

臓器売買と組織犯罪

片岡:貧困ビジネスってのは僕、2002年くらいに東南アジア、日本は比較的豊かですから、これが始まったっていうのは、もっと貧しい国から始まってるんですよ。

例えば、フィリピンとか行くと、普通に「腎臓欲しいんだけど」っていうと、「あっ!」って、すぐに取り次いでくれるんですね。

中国が、今この10年くらいで、相当大きい巨大市場を持っていて。中国っていうのは、もちろん臓器移植自体は合法的なんですね。どっから調達してるっていう大義名分を表で言ってるのは、「死刑囚の臓器を提供します」ということでやってるんですけども。

これも、中国に行ってみると、20、30代の貧しい人たちが次々に「腎臓売ったよ」っていう話を普通にしてるんですよ。これがものすごい規模になっててて。

僕、今回注目したのが、今回の事件、200万円っていう金額が出たんですよね。

:これは、どういう相場観のある数字なんですか。

片岡:暴力団の方が200万。これは、昔、水嶋ヒロさんが小説に書いてた金額なんかが何千万っていう臓器売買になってて。これは全然大きな数字なんですけど。200万って実は、一番の巨大市場である中国の相場のど真ん中なんですよ。

:あぁ、なるほど……。

片岡:中国で、今、臓器をもし「腎臓が欲しい、移植して欲しい」と、「やってください」と言ったら、いくらって言われるかというと、10万元なんです。10万元は、ちょうど今日の相場で199.8万円なんです。まさに200万円っていう、その相場が出てきたところで、ちょっと気になるのが。

もしかすると、今回はたまたま暴力団の知人を助けるためになんとかって持ち出したんじゃなくて、これ組織犯罪の可能性があるんじゃないかっていうのが。

今回も、警察が動いたところも、組織対策班なんですよね。これが広がってくると、まさに社会問題になってしまうと。

:ある程度市場が出来上がってるってことですもんね。

片岡:そうですね。

中国で出回る妊婦の人体標本

片岡:中国での問題っていうのは、確かに自由に買えるようになっちゃってるんですけれども、日本人と韓国人がものすごく多いんですね。客として行って。

2002年に小さな町の病院だったのが、臓器移植を始めたら、4年後には巨大病院、10倍くらいの巨大病院に建て替わってんですよ。ビルができてるんですね。それぐらい、ものすごく儲かるってもので。

中には、「本当に死刑囚のものなのかどうか?」って部分があったりとか、この問題自体が様々な社会問題というのを集約している。

:命を救うってことは、大前提にあって大切ですけど、そこに倫理がすごく問われる分野ではありますよね。

片岡:韓国で数年前に、2007年頃だったと思うんですけど、ニュースが流れて、「中国に行って腎臓に困ってた人が、韓国だと星の数からひとつだけ見つけるくらいのすごく難しい確率なのに、中国で簡単に極上の腎臓と交換できたんだ」っていうのが、感動的なニュースになってたんですよ。

その負の側面っていうか、その真相っていうところには、全く踏み込まないで「すごく感動的でいい話ですね」って。そしたら、当然韓国人が殺到するわけですよ。だいたい年間1,000人くらいが中国に行って、今腎臓の移植を受けていると。

:その先にある貧困格差の問題。

片岡:「本当に死刑囚だけなのか?」っていうのが。

例えば、人体標本ってわかりますかね? 亡くなった方とかの人体標本を医療的に使ったりするんですけれども。あれが、中国に外資系でドイツの会社が人体標本の工場を作ったんですよ。そこから出荷されたものには、妊婦の標本があったりするんですね。

妊婦っていうのは、中国でも禁止されているんです。死刑が禁止されてるんです。死刑がないのに、人体標本がなんであるんだと。「全部死刑囚から成り立ってますよ」みたいなのが表になっているんですけれども。一応、表の大義名分になっているんですけれども。その辺は、裏があるとしか思えないので。ビジネスになる一方で、犠牲者っていうのが出てくる話は怖いなと。

:ありがとうございました。

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