2024.10.01
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テーマ「タカタ エアバック問題」について(全1記事)
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堀潤氏(以下、堀):さぁ、続いて真由さんお願いします。
山口真由氏(以下、山口):はい。
(テーマ「タカタ エアバック問題」について)
脊山麻理子氏(以下、脊山):エアバックの異常破裂でアメリカを中心に死傷者が出ている問題で、製造元のタカタはアメリカ議会の上院議員から要求された被害者や遺族への補償基金の設立について、否定的な姿勢を示していたことがわかりました。
堀:はい。こちらなんですが、タカタの主張です。まず、タカタはですね、設立を求めていたブルメンサール上院議員への7日付の書簡で補償の申立件数が少ないことを理由に「現時点では全国規模の基金は必要ではない」と回答。さらに、「検討は続ける」とも述べているということです。
堀:真由さんは、どういう観点でこのニュースを取り上げたんですか?
山口:これは、タカタとホンダっていうのは、全然異なる対応をしているんですけれども。その2つの対応の違いっていうのと、そうは言っても、タカタにはタカタの必然的な理由があると思うで、その理由っていうのを検討してみたいと思っていて。
まず、経緯からなんですけれども。2007年くらいから、エアバックの不具合というのが見つかっていて。初めのほうは、「タカタの構造的なミスだ」っていうふうにして、それだけを直していたんですけれども。それが、2014年春くらいに、どうも死亡事故が起きちゃったんですね。
その原因がわからないと。ただ、2014年春ぐらいに、上院議員で「全米全体でのリコール」っていうのを請求されたわけなんです。これは、すごく異例のことで、原因不特定なままのリコールって、いまだかつて例がない。
堀:あのトヨタの時は、それなりに理由を見出して。
山口:そうですね、あれは、一応「理由がある」というふうにされていて。
理由がわかっていないけれどもリコールっていう今回の要求に対して、タカタはずっと抵抗したんですね。「もしかしたら、すごい湿地帯でのゴムが劣化するってことはあり得るから、湿地帯に限定します」ってずっと言っていて、ホンダもずっと同調していたと。
山口:こっから、ホンダとタカタの分かれ目なんですけども。ホンダはそこで変えたんですね、方針を。「予防的リコール」っていう言葉を使ったんですね。
堀:あぁ、なるほど。
山口:「原因があるかどうかわからないけど、我々は全面的にリコールします」って。
堀:かなり思い切った判断ですね。
山口:これ、相当ですよ。だって、2000万台っていうのは、ホンダの売上の4年間分ですからね。それを対象にしてリコールするっていうふうに言って。
堀:まぁ、よくでも経営者は英断というか、企業信用は保つってことになりますね。
山口:ホンダっていうのは、北米で強いんですよ。だからこそ、「北米でのイメージで絶対負けたくない」っていうのと、あと、ホンダは今、すごくアグレッシブな計画を引いていて、売上を倍にしようという計画を引いていると。
何とかしてこの計画を損ないたくないっていうので、ある意味タカタを切りに入ったというか、「タカタというのは、一線を画します」というふうな判断をしたと。
堀:なるほど。サプライチェーンというか。仲間をある種置いてでも、自分たちの企業ブランドというのを優先するということだ。
山口:「僕たちは違います」という形にしたと。
堀:構造変化が起きてますね。
山口:起こったんですね。
堀:自動車産業に。
山口:そこっていうのは、やっぱり、タカタにはタカタの必然があって、ホンダはやっぱり底力がある企業で、そうは言っても、売上2割減とかなんですけれども。タカタの場合には、多分全てをリコール対象にして、それが原因が特定されて、全ての損害がタカタに負わされた場合には、これはもう企業として成り立たないんですよね。
恐らく、今のところでは、純資産っていうのがあるんですけど、純資産を超えるか超えないか、ギリギリの額になると言われていて、売上が落ちて、懲罰的な損害賠償なんかが起こってしまったら、もうこれは、債務超過になります。債務超過っていうのは、東証では上場維持できないレベルと言われていて、私的整理に入っていくと。
これって、コンプライアンスの基本っていうのは、驚くほどホンダっていうのが見本なわけですよね。みんなが「そこまでしなくてもいいんじゃない?」っていうほどの措置を、なるべく早くとるっていうのが重要ですけれども。
タカタの場合には、もしかしたら、この措置は必ず「自殺に至るレバー」かもしれない。それを引けるかどうかっていうのが問題だと思うわけですよ。
山口:ただ、やっぱりここで、さっきの国家論の話じゃないですけども、どういうふうな判断をすべきかっていうのがあって。国家には国家論があるわけじゃないですか。企業にはビジョンが大事ってさっき申し上げましたけども。やっぱり、「ビジョンっていうのは、未来を描けるか?」っていうことだと思うんですよね。
堀:自分たちの企業の使命、企業の役割、誰のためのサービスか、誰のために組織が維持されるべきなのか。ここが非常に問われるわけですからね。
山口:本当におっしゃるとおりで。
国家には、首相っていうのが国家論を立てなくてはいけない。それは、例えば、「30年先の国家はどうあるべきか?」っていう未来を描いて、そっから5年間の具体的な計画を立てなきゃいけない。
企業の場合も同じで、CEOが企業の未来を描かなきゃいけないんですよね。30年先の未来、そして、5年先の事業計画っていうのを練って、「ここに進んでいかなきゃいけない」と。
それ以下の人たちっていうのは、いかに偉かろうと、COOとか、そういう人たちは、その計画を着実に実行していく。企業の未来を描けるのは1人だけなんですよね。
山口:タカタの場合には、恐らく、私的整理っていうのを視野に入れた未来を、勇気を出して描かなきゃいけないんだと思うんですよ。
もし、このままいくと、もしかしたら、自分たちの会社じゃなくなるかもしれないと。もしかしたら、ホンダに、救済的な吸収合併してもらうっていう手もあるかもしれないし。
また、タカタのエアバックっていうのは、重要なんですよね。エアバックを大量に生産できるメーカーっていうのは、なかなかなくって。だから、自動車業界全体としては、殺したくないと思っているわけですよ。
そこに、何とかみんなに出資してもらっていいかもしれないし、何か、抜本的な施策を描かなきゃいけないんじゃないかなというふうに、そういう段階に来てるんじゃないかなというふうに思いますけどもね。
堀:さぁ、どう対処すべきですかねぇ。ここは。経営者の判断。何を優先すべきだと?
山口:そうですね。ここで優先すべきなのは、「安全と安心」っていうのを。やっぱり、自動車メーカーっていうのは、安全っていうのが一番大事なんですよね。特に、エアバックっていうのは、1000万台に1台も故障があってはいけないと言われるもので。
ここの「安心」っていうのを、「どうイメージ作り保つか」「どう信頼を回復するか」っていうのが、一番大事なんじゃないかなというふうに思いますけれどもね。
堀:そうですね。「坂上二郎ラモ」さん。ホンダと違ってという意味だと思いますが、「タカタはエンドユーザー相手の商売をしてないからですよ。それだけのこと。」ということで。ホンダとの対応は分かれることについてお話されていると思うんですが。
ただ、企業イメージということでいうと、同じですよね。
山口:そうですね。確かにおっしゃる通り、ホンダの場合には、最終メーカーではないっていうのがタカタの最後の方針だったんですけれども。そこも、今、部品メーカーですら責任が問われる時代になってきているっていうふうに言われてますね。
堀:ホンダはね、実を言うと、アメリカでも付き合う企業を、だいぶこの間で変えてきて。ベンチャー系の新しい技術系のグループと一緒に仕事をし始めてますから。今までの自動車産業、サプライチェーン。それぞれの、城下町があるっていうのとは、またちょっと変わってきたのかもしれませんけどね。
ありがとうございました。
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