2024.10.10
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テーマ「”トヨタ配偶者手当廃止、子ども手当4倍”報道に疑問」について(全1記事)
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堀潤氏(以下、堀)さぁ、北条さんお願いします。
北条かや氏(以下、北条):こちら。
(テーマ「"トヨタ配偶者手当廃止、子ども手当4倍"報道に疑問」について)
脊山麻理子氏(以下、脊山):トヨタ自動車が家族手当を大幅に見直すことを発表しました。現在の配偶者手当月額約2万円を廃止する代わりに、子ども手当をおよそ4倍に増額する方針です。
堀:これ、先日オピニオンCROSSで実を言うと取り上げたんですよね。
トヨタの新しい家族手当。現在の「子ども1人あたり月5千円」を2万円に引き上げる予定で、子どもが2人以上いる社員は手当が増えるんですが、妻が専業主婦などで子がいない場合は逆に減るよねという話がありました。
北条:朝日新聞が大きく最初に報じて、その報じ方で誤解をされる方がいっぱいいるんじゃないかなと思いまして。それを今回お話させていただきたいんですけれども。
堀:朝日はどんなふうに報じたんでしたっけね?
北条:記事の冒頭から、「女性に就労を促し、子育ても支援する国の政策を先取りする形だ」とかですね。記事のまとめの部分ではですね、「『専業主婦の働く意欲を損ねている』との指摘がある所得税の配偶者控除の見直しを検討するほか」というのがあって。
「こうした産業界を代表するトヨタに続き、ほかの大企業にも配偶者控除の見直しにつながるような動きになっていくんじゃないか」と。そういう記事になっているんです。非常に拡散した記事ですが、実際は、ちょっとトヨタの制度は違うんですよね。こちらをご覧いただきたいんですけれども。
「夫婦が片働きの場合」、トヨタさんは、9割の社員が男性なので、恐らく、奥様のほとんどは、転勤などもあるでしょうから、専業主婦の方が多いと思うんですよね。
片働きの場合は、お子さんが1人あたり5千円だったのが2万円になって、お子さんが2人いた場合は、結局4万円なんですよね。専業主婦の場合4万円ですと。
今度、「共働きの場合」をご覧いただきたいんですけども。こちらも、奥様が働いていようがいまいが、お子さんがいれば4万円で、合計金額は子どもが2人だった場合は、専業主婦であろうが、共働きだろうが、変わらないのです。
なのに、朝日新聞さんの報道ですと、「これを機に配偶者控除もなくなって、専業主婦の社会進出が促される、それはいいことだ」みたいな論調になっているんですね。
堀:専業主婦か否かの話じゃなくて、子どもの有る無しの話なんですね。専業主婦かどうかの、女性の働き方の問題と結びつけるのは、一足飛びで。
北条:そうなんですよね。トヨタさんの制度は、お子さんベースです。子どもの数ベース。恐らく、トヨタ社内で運用されるにあたっては、専業主婦の女性の方が子どもをもっと産もうというモチベーションになると思われます。
例えば、今、転勤で各地を転々とされている中で、パートでしか働けない配偶者の方が、「今の働き方や収入でも3人産めるかな」とか。そういったインセンティブにつながる制度なんですね。
堀:先日のここでの議論もまさにそういう話で。子どもがどういう形で支援できるのか。モデルケースとしてはいいんじゃないのかという話は出てたんですけどね。
北条:女性が子どもを産み、育てやすい社会にするならば、女性が働いていようが、いまいが、シングルマザーであろうが、とにかく、子どもに手厚いものにすべきだと思うんですよね。この考え方からすれば、トヨタの制度改正は期待できるとは思います。
ただ、報道だけを見ると、「やっぱり女性は働いて、共働きで、かつ、子どもを2人以上産んだほうがいいですね」っていうがひしひしと伝わってくるまとめになっておりまして。ちょっとモヤっとするんですよね。
記事には、Twitter反応も、2200件ぐらいありまして。
堀:どういう反応が多かったですか?
北条:ずっとスクロールして見たんですけども、中には、少なからず、「制度がきっかけで子どもを1人しか産まない専業主婦が減るといいね」ですとか。専業主婦バッシングみたいなものもありました。ちょっと誤読の可能性があるのかなと。
本来は、「子どもを産む、産まない」っていうのは、女性の自由なのに……。
堀:なるほどね。そうですよね。専業主婦は悪で、しかも、産んだほうが優遇されて、そっちを目指してっていう論調にグッと振れちゃうと。
北条:共働きこそ善で、男女ともに働いてないといけない、とかですね……。
トヨタさんの制度は、そうではなくて、主婦でもパートでも関係なく。
堀:子どもに対して。
北条:そうなんですよ。
経沢:一人ひとりの価値観が認められる社会なるといいなとすごく思っていて。
堀:その通りですね。
北条:報道の仕方も気をつけていただきたいな、というお話でございました。
堀:ありがとうございました。
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