2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会:それでは早速ですが、本日のパネリストの4名の先生方に、簡単に自己紹介をお願いしたいと思います 。
まずは、多田先生よろしくお願いします。
多田猛氏(以下、多田):弁護士法人Nextの弁護士の多田猛と申します。よろしくお願いします。
弁護士法人Nextの特徴なんですが、2014年9月26日に設立した若い事務所です。現在は、東京の渋谷、横浜、福岡の3拠点で弁護士6名が在籍してます。
いわば、我々が「ベンチャー法律事務所」というような事務所です。
取り扱い分野については、企業法務から個人案件。例えば、離婚相続、刑事事件、いろいろ幅広く扱っています、っていうふうに言っています。
あえて特色を挙げるとすれば、今、我々が注力しているひとつの事業として、厚労省や内閣府さんと一緒にやってます、「雇用労働相談センター」という仕事がありまして。
これは、福岡市はTSUTAYA TENJINというところで、「スタートアップカフェ」というベンチャー企業を支援する施設がありまして。東京では、アークヒルズにあるジェトロさんの7階に設置しています。
そこで、ベンチャー企業と、グローバル企業に特化したリーガルサービスを提供しています。今後の展望として、先ほどベンチャー企業が出てきましたけど、ベンチャー企業や中小企業へのトータル利用サービスを提供したいなと思っています。例えば、設立準備段階。それから、IPOまで。ずっと企業が成長していく過程の中で、全てのサポートをしていきたいなと。
多田:あとの人工知能の話とも関係してくるんですが、我々としては、ワンストップ的なサービスをやっていきたいなと。
ベンチャー企業は、私も昨年法人を設立して痛感したんですが、資金の問題が最大のネックでして、あんまりいろいろな「何とか士さん」をたくさん雇うことはできないんですよね。
弁護士があまり高くない価格でトータルサポートができる仕組みができないかな、と考えているところでして。そうすると、ITで補えるところは補っていきたいなと思っております。
ポリシーとしては、ここに書いてあります、「Next to You 市民・企業の経営者に寄り添う弁護士でありたい」。
敷居を低くして、さっき浦野さんからもご説明ありましたけど、「法律のトラブルにあったのに、実際に弁護士を利用した人っていうのは、統計では3割くらいしかない」というふうに言われています。
もっと我々は、弁護士の敷居を低くして、今まで弁護士を利用しなかった人も、気軽に相談できるような、そんな事務所でありたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
司会:多田先生、ありがとうございました。
司会:続きまして、荻野先生よろしくお願いします。
荻野恭弘氏(以下、荻野):司法書士法人名南経営の荻野でございます。よろしくお願いします。私ども、司法書士法人でございまして。
ただ、税理士法人と、それから司法書士法人と弁護士法人と、行政書士法人と社労士法人と何でも一応揃えて、名古屋のほうで。創業でいきますと、もうすぐ50周年になります。
士業を中心としまして、どちらかと言うと士業の仕事は、やはり、法律化、合理化されていくだろうということで、できれば「コンサルティング業をやりたい」という流れを作ってきました。
1980年代頃から、コンサルティング業務ということで、ワンストップサービスを表号して、各士業揃え、そしてコンサルティング・サービスも揃えてきました。
90年代くらいから、いわゆる、今、皆さんお使いの電子メールとか、いろんな情報を、社内インフラというんですかね、社内LANとかですね、そういうことをやり出しまして、士業の情報共有を進めてきました。
2000年代には、入力代行の会社を中国に作りまして、日本のデータを送って、中国人の方が打って、戻してもらうと。そんなことを、全国の会計事務所とやる。そんなビジネスをずっとやってきまして。
いよいよ、今日のパネルのテーマでもありますように、人工知能が士業の業界、士業の領域に確実に入ってくるということを考えまして、「これから10年、何をしていこうか」というのを考えている日々でございます。
今日は、非常に楽しみにしておりますので、よろしくお願いします。 司会:荻野先生、ありがとうございました。
司会:続きまして、山内先生お願いします。
山内聡氏(以下、山内): こんにちは。行政書士の山内です。
行政書士事務所Necogoryというのをやっているんですが、こちらのNicogoryのほうにも参加しているので、発音のほうで「Necogory」というのを作ってみました。
行政書士事務所のほうで、ひっそりと業務をしていまして。「Nicogory」のほうでは、法律系のほうのコンテンツの作成などをしています。
こちらの東京大学の生命・認知科学科というほうで、生物系とか、心理学系をやっていて。心理学、あるいは、心理物理学という、ちょっと聞き慣れない分野を専攻しています。
行政書士としてなんですが、取り扱い分野が、インターネット関係と、相続関係、あとは猫関係ですね(笑)。1回もやったことないんですが。
(会場笑)
好きなので、行政書士関係なく、猫であったらやりたいなと思っています。
取り扱わない分野は、主要な行政書士業務である、許認可申請、建設、風営、運送、産廃、あるいは、在留資格や、VISA関係、会社法務、農地法といった、その他多数の行政書士業務に関しては、ちょっと興味がないので扱いません。
(会場笑)
興味分野としましては、バックグラウンドからそうなんですけど、認知心理、言語データの分析であったり、統計分析とか、綺麗なアイデアとか。あとは猫ですね。そこら辺が好きなので、今日、人工知能について話せるということで、ワクワクしています。よろしくお願いします。
司会:山内先生、ありがとうございました。
司会:最後に、荒木先生よろしくお願いします。
荒木健治氏(以下、荒木):北海道大学の荒木です。よろしくお願いします。
私は北海道大学で30年以上前なんですけど、かな漢字変換とか、機械翻訳とか、音声関連のシステムとかをやっていまして、言語獲得というのを研究していました。
子供の人工知能で、「人間が赤ちゃんのように言葉を覚えて成長する」というものに興味を持ってやっていたんですけど。最近は、人工知能の感情認識とか意識、自我の獲得とか、自動倫理判断システムですね。そういうものに興味を持っております。
研究の目的は、「人間と全く同じ言語能力を持つシステムを作りたい」ということで。従来は、タスク指向型と言いまして、質問応答システムとか、だいぶ研究されてきたんですけど、人間というのは、普通雑談が出来るんですね。
普通の会話は、実は、人工知能にとっては難しくて、それを人間は、自由自在に切り替えながら話していると。その部分を実現したいと思っています。
研究室の特徴としましては、「多民族研究室」と書いてるんですけど、いろんな国から学生さんとか先生が来ていて、言語を研究していますので、多様な言語で研究しています。
学際的な研究室で、私は工学部の出身ですけれども、30%は文系出身。言語学とか、哲学出身者がいると。ゴールとしましては、「人間並みの言語能力があると、何がいいのか?」と言いますと、話し相手とかですね。あとは、情報検索、ロボットが常識を持って行動できるとか、いろいろあるんですけれども。
最終的には、今日パネルが終わりまして「実は、私が人工知能です」と。
(会場笑)
と言って、バレないで帰るというのが研究のゴールです。研究テーマはいろんなものをやっていると。ユーモアの認識とか生成なんかもやっています。以上です。どうも。
司会:荒木先生、ありがとうございました。
司会:本日は、この4名の先生方にディスカッションを行っていただくんですが、まずは私から、テーマの背景について簡単にご説明させていただきます。
皆様も、耳にされたことがあるかと思いますが、近年、実しやかに噂されているのが、「IT技術の発達に伴って、人間の仕事がどんどん減っていくのではないか?」と言われているお話です。
例えば、こちら。TwitterやFacebookでも一時期話題になったのですが、ITの進化で20年後には多くの仕事がなくなってしまう、というふうに言われています。
現実に、Googleカーといった車の出現で、運転する必要がなくなったり、建築物の自動設計ができるようになったり、遠い未来の話ではなくなってきているようでございます。
今回は、「こういったことが、法律専門家の業界でも起こるのか?」という点について、ディスカッションを行っていただきたいと思います。
とは言え、そもそも、法律専門家がどんなお仕事をしているのか、一般人の私たちにとっては、あまり知られていないっていうのが現状かと思いますので、まずは、法律専門家がどのようなお仕事をしているのかについて、ご説明いただきたいと思います。
それでは最初に、弁護士の多田先生から、お仕事について簡単にご説明願いますでしょうか。
多田:しゃべりやすいので立たせてください。仕事柄、法廷で「異議あり!」とかやっていると、立ったほうがいいのかな? みたいな。
(会場笑)
一般的な弁護士像って、さっき言った「異議あり!」みたいな。
多田:例えば、被告人のために法廷で戦っているような、そういう弁護士のイメージの方が多いのかな、と思うんですが。
私も、割と法廷に行く仕事っていうのは、ちょくちょく週に2回か3回ぐらいかな、あるんですが。半分以上は、意外に裁判に行かずに済むような案件、行かない案件が多くてですね。
ひとつは、交渉案件。例えば、離婚をする交渉とか。労働紛争。労使間紛争とか。親族間の相続の争いとか。そういったケースというのは、平和に解決したほうがいいというのが多いわけですね。
必ずしも、「何でも裁判にしてやる!」ってことじゃなくて、「話し合って解決するのであれば、解決しましょうよ」というようなことがあります。
多田:あとは、企業法務ですね。企業に対して契約書をチェックするとか、新しいビジネスモデルを何か作りたいと。「こういうビジネスをやりたいんだ!」と。
話もそうですけど、「こういうことやるんだけれども、法律的にこれって合法なんですか?」とか、「監督官庁ににらまれませんか?」とか、そういう質問があるわけなんですね。
そこに対しては、「こういうふうにすれば、うまくいくんじゃないですかね?」
「ダメ」っていうだけじゃなくて、「こういうふうにすれば、うまくいくんじゃないですかね?」っていうようなアドバイスをしたりする。そういう仕事が、割と楽しかったりします。
あとは、社会的活動として、例えば、うちの事務所の倉持ってのがいるんですが、最近は、憲法を勉強していて、憲法を主婦とかお年寄り、子どもにわかりやすく普及する活動なんかをやっています。
川邊って弁護士がいるんですけれども、医療分野で未知なる法律問題が発生した時に、それと法律との関わりについて大学で研究していると。そういう活動もやったりしています。
弁護士の仕事っていうのは、いろいろ多岐に渡って、おもしろい仕事なんですね。
もうひとつよくある誤解というか、よく質問されることがあるんですが、「先生、弁護士になって、すごいですね! 六法全書、こんな分厚いの、全部覚えているんでしょ?」って、よく聞かれるんですけど、あんなの覚えるわけないです!
こんなぶっといもん、覚えられたら、それこそコンピュータじゃないか、っていう感じがしますね。司法試験というのは、法律は覚えなくても、ある種合格する。むしろ、六法見ながら解くんですね。
ここって、非常に重要なところなんですけど、今はもう法律の知識なんて、ググれば出てきます。全部。あらゆることっていうのは、答えが出てくるんですね。
だから、我々弁護士がする仕事っていうのは、「すでにある知識を使って、それをどう活かすか」っていうところなんですね。それを、我々は「当てはめ」と言います。
実際にあったできごと、事件に対して、当てはめて、そして、それを解決するというところ。そこが、弁護士の一番求められる能力なんじゃないかなと思います。
多田:あと他に、弁護士として求められる能力っていうのは「交渉能力」。あとは、「大局観」。将棋とか囲碁とかの先を読むような感じですよね。
例えば、企業同士の交渉でも「相手はどのようなことを考えているのか?」相手の心を読んで、それに対して次の一手を打つ。そうすることによって、「こう解決するよね」っていう全体の見通しを立てられないと、弁護士としてやっていけないんじゃないかなと思います。
あとは、「コミュニケーション能力」ですね。我々サービス業なんで、人と人との人間関係っていうのを円滑にしていくっていうのが重要なのかなと思います。
弁護士業界というのは、近年、大きな変革のうねりにありまして。弁護士の数は、着実に増えています。弁護士の数は、今35,000人まで増えているんですね。どんどん増えてます。
そういう中で、身近で敷居の低い、ある種お医者さんで言うところの「町医者」のような弁護士が増えつつあります。
弁護士の業務範囲というのは、複雑化する経済社会の中で、飛躍的に増えつつあります。言い方は悪いんですけれども、古いといいますか、旧来型の弁護士。法廷の仕事しか考えられていないような先生方っていうのは、仕事がむしろ減っています。そういう人たちは、弁護士が身近になることに反対しています。
我々は、個人のことを考えれば「どんな弁護士が増えればいいんですか?」それは、やっぱり「皆さんにとって身近な弁護士が増えたほうがいいですよね」っていうふうに思っています。そういうような活動もやって、がんばっているところです。
「弁護士にはいろいろなものがあるんですよ」ということを、ちょっと頭に置いていただいて、次の議論に進めればいいかな、と思います。
ひとまず、ありがとうございました。
司会:多田先生、ありがとうございました。
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