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5月28日大阪維新の会代表・橋下徹氏定例会見(全2記事)

橋下徹氏「都構想の敗因は有料のメルマガで書きます」定例会見・質疑応答より

5月28日、大阪維新の党の定例記者会見において橋下徹・大阪市長が会見を行ないました。会見後の質疑応答において橋下氏は、大阪都構想の可否を決める住民投票後の所感と残り半年の任期で進めていく取り組みについて語りました。

枠だけつくっておいて、次の知事や市長が考えてくれればいい

記者:読売新聞の○○です。なにわの芸術応援募金についてなんですけど、知事時代から芸術分野に対する公金支出のあり方を改革してこられたと思うんですけど、センチュリーなんか知事時代にいろいろあったんですけれども、今回は大阪市内を活動拠点とする団体が対象とのことなんですけれども、知事との間で府市連携の拡充みたいな話は進められているんでしょうか?

橋下:まだ話ししてませんね。ただ、僕らが言わなくても大阪市がこういうことやれば、府のほうで同じようなこと考えてくれれば、やれるはずですから。大阪府でもやってくれればいいと思うんですけれどね。

記者:対象分野とか対象の団体はどういう基準で決まったのですか?

橋下:いろんなものが入ってくると不正もありえるので、いわゆる脱税とかそういうことにもなり得るので、まず一般社団法人は基本的に入れない。公益社団法人か公益財団法人。特定非営利活動法人は審査が必要で、通常のNPOでは駄目。

職員:特定非営利法活動促進法で定められた特定非営利法人のみを対象にするということで。

橋下:一般のNPOじゃなくて、一定の審査が必要な団体で、あとは活動分野を扱う手法でみてもらうという仕組みでやっています。

記者:これまで行政が公金を支出してきたメリットというところでいうと、使途を明確にしてもらうっていうところである種管理できることだと思うのですが、寄付に変わるということで行政の監視が届かないという可能性があるのでは?

橋下:そのほうがいいと思いますよ。寄付なんですから。ただ……運営には使えないんでしたっけ?

職員:運営には使っていただけますが、税金などの使えないものは定めています。

橋下:この場合には税金で補助する場合には団体運営補助は駄目だよといっているんですが、寄付の場合は運営の人件費とかでもいい。税金の支払いとかいくつか駄目なやつが……。

職員:たとえば原価償却費でありますとか、食糧費でありますとか、交際費でありますとか、そういうものには使っていただけないと。逆にいま市長がおっしゃられましたように、今なにか事業をやられる経費や、それに関わる管理費については充当していただいて結構であるとしています。

橋下:だからできるかぎり自由にしていいんじゃないですかね。寄付者が寄付するわけですからね。それで評価というものが入るので、各団体も漫然と活動しても寄付者から評価を受けませんからね。しっかり寄付者の寄付の意志を湧き起こさせるような活動をやってもらいたいと思います。

記者:明日の本会議で府市連携局の議案が出てくると思いますけれども、これはどういう仕事を担わせるのかと、どういう趣旨で設置するのかを教えてください。

橋下:知事と話をしまして、府市連携局なので府市で調整が必要なこと。そこを考えてもらおうという趣旨です。大阪市や大阪府でそれぞれ進めていけるような案件は府市連携局じゃないところでやればいいわけで。調整が必要なところ、枠だけ作っておいて、あとは次の知事や市長が考えてくれればいいなと思ってるんですけれどね。

住民投票の疲れはとれましたか?

記者:ABCのキリハラです。住民投票お疲れ様でした。10日たちましたけど疲れはとれましたか?

橋下:疲れ……、ずっと一緒ですけどね。

記者:今後の市政についておうかがいしますが、投票翌日の幹部会議で半年でやるものの優先順位をつけたとおっしゃいましたが、優先順位の高いものを教えていただけますか。

橋下:民営化案件ですかね。これはあまり大都市の問題とは関係ないので、府市の統合案件とか大阪都構想がらみの話とはちょっと違うんですけど、民営化案件についてはこれまでは大阪都構想とからんで、政争の具にされていたようなこともあるので、進められるところまでは議会のほうで進めたいなと思います。

記者:そうすると、交通局民営化案は否決されましたけれども、9月議会でもう一度出すと。

橋下:議会が出し方とかいろいろな意見があると思いますから、それに従ったような形で出して、9月で決着着けれるとは思っていませんけれども、進められるところまでは進めていきたいと思っています。

記者:同時に風呂敷をたたまなければいけないともおっしゃったので、風呂敷をたたむものはどういうものですか?

橋下:法定協議会と府市とそれと大都市局をたたむということで決まりましたけれども、あとの市政運営の基本方針は別にたたむ必要がないので、教育委員会のほうからもICT事業をどうしようという話もあったんですけれども、予算がすごく大きいので。

僕の任期中は予算までの案は練ってくださいと、その先のところは次の市長判断になると。そこを全部撤回するとかそういうことはしませんと、教育委員のほうには伝えています。学校の公設民営の話だとか。教育改革、教育予算とかその他の市政運営についても予算を落とすってことは基本的にはしないと。そこは次の市長判断になると思うんですけれどもね。完全にたたむというのは大都市局や法定協議会、府市協定本部。これは完全に店じまいということにします。

記者:統合本部というのは統合はなくなったにしろ、調整は必要なので今すぐたたむ必要はないのかなと思うんですが

橋下:府市連携局ができて、行政的に9月までに全部がまとまるわけないので、後々来年は調整会議になるわけでしょ。いまは僕と知事の間で会議を行えばいいので、ちょっと政治色のついている府市統合本部とかは一回、店じまいということで。

調整会議と総合区について

記者:あと調整会議と総合区についておうかがいしたいのですが、調整会議については自民党がもう一度案を出すようですが、あの案に関しては違法の可能性を指摘されてましたけれども、組長や議会を縛る点ですね、その見解は変わらないと?

橋下:変わらないですけれども、僕が違法猜疑にかけるまでもないと。あとは維新と議会のほうで議員提案があれば話し合いをしてもらって決めてもらえばいいんですけれども、それが機能するかどうかは甚だ疑問です。絶対あのメンバーと大阪府と大阪市と堺市で30人の規模でそんなのまとまるわけない。

ただ、自民党と公明党がそういう形で大阪都構想に変わらんとするなら、それでしっかりやってもらったほうがいいと思います。それが来年の4月には自治法に基づく調整会議もできるので、そのあたりの兼ね合いもどうするのかわからないんですけれども議会のほうがそれでやりたいとおっしゃるならそれでいいと思いますけれども。

記者:今おっしゃられたメンバーの問題で、議員を入れること自体に関しては、入れるとまとまらないから、反対と。

橋下:僕はもうだから基本的には反対ということはしません。それは次の市長が判断すればいいので。

記者:あともう一点、総合区に関して。自明党、公明党がいろいろと考えているようですが、基本的に自民党の案は合区を前提にしていなくて、公明党の案は合区を前提にしているようですけれど。市長は総合区を導入するにあたっては合区は必要だと思いますか?

橋下:合区をしない総合区はもう無理だと思っています、今の大阪市の状況からすれば。住民投票は絶対に成り立ちません。今の区を前提になんの権限となにを渡すのかっていうのはあり得ないので。合区をしないと総合区は成り立たないと思っていますので。

記者:最後にもう一点だけ、住民投票以来、今までずっと行ってきた朝の囲み取材受けていただけてないですが、明日からはやっていただけますか?

橋下:もういいんじゃないですか? 他の都市でみても別に毎日やっていないでしょ。

記者:そうですけれども。今うかがったように市政は半年続きますからそれはお願いしたいんですけれども。

橋下:いやまあ、定例会見を基本にさせてもらったらありがたいんですけれどもね。

記者:またじゃあお願いします。

橋下:はい(笑)。

自民党・公明党は民意の重みを受け止めてほしい

記者:住民投票の際にも民主主義向上に、という話をおうかがいしたんですけれども、0.8ポイント差の賛成票が今後どのように大阪市議会に重みを持ってくるのかをおうかがいしたいと思います。

橋下:すごい重いと思いますよ。これだけ住人の皆さんが大阪市政・大阪府政に、100パーセント完璧な理解でなかったとしても関心をもってそこに1票投じたわけですから、大阪都構想でなくても改革ができると自民公明は言い切ったわけですからね。

2700億円のなかに確かに市政改革は入っていますけれども、それは都構想をやらなくてもできるって言い切ったわけですから、これは市民の皆さんがしっかり見ていると思います。

それから二重行政の問題、住民に近い行政の総合区の問題、これを69万人の市民の皆さんが1票を投じた行動でみてるというところで大変重い、今までの日本の自治体や行政のなかでこれだけ市民が行政サイドに、または議会にちゃんと見てるよと突きつけた出来事ってなかったんじゃないでしょうか。

これはもう賛成・反対という言葉二文字を書くだけですけれども、これはむちゃくちゃ行政や議会に対する重いプレッシャーになっていますよ。だから次の4年間、自民党・公明党はものすごいプレッシャーを受けながら政治や行政や市政運営をやっていくことになるますので、やっぱりどっかでこういう刺激が必要なんです、日本の政治や行政には。

やっぱり日本の民意というか、プレッシャーってものは価値のあるものだと思っていますけれどね。

記者:その議会なんですけれども、最終的に議長選に、選挙になりまして。市長がおしゃったノーサイドというのはこういうことを言うような気がするんですけれども。

橋下:いいんじゃないですか、あれくらい。ノーサイドといっても馴れ合いしたってしょうがないんですから。あれくらいの話をやるのが政治ですから。ノーサイドだって皆で和気あいあいと笑顔でやるわけじゃないんで。その政策面について感情的な対立は横に置いて、しっかり進めるものは進めましょうというのがノーサイドの意味合いですから。議長をとるっていうのは政治的に真剣に取り合いをするっていうのは良いことじゃないですか。もしあんなところで密室で誰にしましょうって決めてるほうがおかしいと思います。

大阪都構想の敗因は有料メールマガジンで書きます

記者:住民投票後の会見で、敗因は「説明不足」という1言だけだったんですけれども、10日にわたりましてこういうところが伝わらなかったんじゃないかというのはありますか?

橋下:ぼくが言うところじゃなくて、それこそメディア含めて第三者が評価すればいいんじゃないですかね。

記者:ただ市長も非常に説明をどういうふうにするのかというのを心砕かれてきたと思いますので、それを結果を踏まえて、どうだったのかという分析をいただきたいのですが。

橋下:有料メールマガジンを、市長やめてから出しますので、そこで書きます。

記者:わかりました。

(会場笑)

橋下:自分で言ったってしょうがないからね、第三者がいろいろなところで言ってくれてるところでいいと思いますよ。自分で言うのは有料でやります。

記者:先ほど言っていた府市連携局の関係でおうかがいしたいのですが、市長は枠だけをつくって、あとは次の市長に具体的な部分は任せていくとおっしゃいましたが、昨日の松井知事の会見ではAB項目を含めた統合案件についても担っていくというような考え方を示されているんですが、そのへんは市長はどうお考えですか?

橋下:調整が必要になったものはそこでやっていくことになるんでしょうね。各局でやって話がつけばそれでいいんですけれども、調整というのが必要になってきた場合とかには連携局がやっていくことになると思いますし。これも次の市長のマネジメントの範囲になるんじゃないですか。

本当にそれでできるっていうのなら、次の市長にしっかりとやってもらいたいですし、僕はそれができないと思ったので大阪都構想というのを提示したわけで、話し合いでそういうことがうまくいくと自民・公明は言うわけですから、やってもらいたいなと思います。

記者:総合区の話は大阪市で完結する話なので、市議会と次の市長、半年間は橋下市長がいろいろと対話するなかで作り上げていけばいいと思いますけれども、一方で府市連携の話はいませっかく松井知事と橋下市長という同じ政党のトップが並んでいる、比較的恵まれた環境下においてどこまで形作れるかという。

橋下:もう案はできているわけじゃないですか。ただ、議会がうんというかなので、ぼくらは知事市長で行政サイドの案はつくっているわけで、あとはボールは議会に投げていますから議会が納得して「うん」と言ってくれるかどうかなので。

記者:あまり府市連携局というのをつくる段階でガッチリ枠をはめていくまでは今回はしないと。

橋下:いまは議会側がうんと言うかどうかという話で、連携局が作業するって話ではないので、調整が必要になれば連携局にやってもらうと。地下鉄とかああいうものは大阪市政のことですから、大阪市のほうの所管局がやると。その他の統合案件についても、議会側がうんと言うかどうかの話ですから、今僕らがまとめた案についてそれぞれの所管局の委員会とかで議論してもらって、調整が必要になれば連携局で調整してもらうとか、そういうことになると思うんですけれども。

記者:じゃあそれぞれの議会に対応した局のほうが頑張っていかないと進まないというところになるんですかね。

橋下:頑張るというか各局がやるかどうかでしょう。自民党も民主党も共産党も公明党も都構想やらなくても、二重行政の問題は解決できると言い切ったわけですから、あとは議会サイドだけの話だと思いますよ。

都構想反対派には民営化をはやくやってほしい

記者:その交通局の民営化については9月議会で決着がつくとは思わないけど、進めるところまでとおっしゃられましたけれど、決着と先ほどおっしゃられた意味合いというのは、今まで出していた民営化の条例が通ればすぐ民営化となっていましたけれど、ワンクッション置くようなものが必要ではないかという認識で。

橋下:議会サイドの話ですが、都構想が成立したらすぐ民営化できると。すぐ大阪府議会のほうに移って、過半数で民営化できるということになれば、大阪府議会のほうは今の大阪市議会なんかよりもはるかに、というか公務員が交通事業をやるという感覚は府議会のほうには全くないわけですから、僕は都構想をやったら交通局の民営化はすぐ進むと思ってましたんで。

賛成多数になっても実際に府に移管するのは2年後ですけれども、そうなればすぐに民営化ができると思ってましたけれども、今回大阪都構想に反対した自民党・民主党・公明党・共産党は都構想やらなくても、都構想の効果のなかに一番入っている民営化の効果、年間165億円が都構想やらなくても、今の大阪市のままでも効果が出ると言い切ったわけですから、はやくやってもらいたいと思います。

記者;自民党の川島議員からいきなり民営化ではなくて自主計画みたいなのを条例化して、ワンクッション置いた上で最終決済というかたちで民営化の条例案を出すべきだという二段階案をとなえられてましたけど、それについては現段階で理解も変わってきているのでしょうか。

橋下:個人の議員の意見じゃなくて議会からまとまった意見が出てくれば、それに対応しますけれどね。

記者:とくに自民党だけじゃなくて公明党ふくめたある程度のかたまりができてきた段階では対応するように。

橋下:民営化をやるには3分の2が必要なわけですから、議会の中で3分の2、自民・公明・維新ですね、ここでコンセンサスとれた案については従っていきます。はやく都構想やらなくても民営化できるって言い切ったわけですから、自民・民主・公明・共産も17年間で2700億円という効果は、都構想の効果は1億円と。今の大阪市のままでも効果が出るんだということを言い切ったわけですから、はやくやってもらいたいと思います。

バス・地下鉄の事業計画について

記者:民営化の話にからんで、交通局が先月末、住民投票の期間中ではありましたけど、昨年度の収支の見通しを示されましたけど、バスも地下鉄のほうも経常黒字というかたちなってますが今の経営計画についてはどう思っていますか。

橋下:よくやってくれていると思いますよ。ただ、独自の人件費カットをやっているのでこれが民営化にならないということであれば、大阪市の職員でありながら独自の給与カットはどうなんだって話も出てくるので、今のところこの黒字分でも限界ですということは交通局からきいています。これ以上はなかなか今の公営企業のままでは難しいと。

むしろこの人件費という部分をもとに戻すと、黒字分というのはどんどん減っていくだろうし。次の展開とかそういうのを考えたときにはやっぱり民営化が必要だって話は交通局からきいていますけれども、ただ、よくやってくれたとは思いますよ。

あれだけ税金いれて累積赤字をどんどん増やしていたバス事業も、きちっと民間的な経営をやって労働環境だって現場の職員だと厳しくなるかもしれないけれど、それは民間だって同じくらいのことをやっているわけですから。それくらいのことをやれば結局黒字になるわけですよ。

ということは今までの公営企業の経営というのがいかにずさんで甘かったかというのが端的にあらわれているんじゃないですか。ただ今は交通局もこうやって黒字になったので、本来だったらはやく民営化して黒字になった部分が自分たちに跳ね返ってくるような、そういう仕組みにはやくしてあげたいんですけれどね。政治や行政の監視からはなして、儲かれば、黒字になれば自分たちの給料があがるというような、そういう仕組みにはやくしてあげたいと思います。

記者:独自の給与カットというところについては今の状況が続くと今年度くらいがギリギリではないかというのが市長のご認識になってきてるんですかね?

橋下:これはもう次の市長が判断すればいいと思います。

記者:そこの部分をいま、橋下市長の段階でゆるめるとか見直すということに関しては……。

橋下:それはないです。

記者:あと、今回タウンミーティングで市内各地をまわられてですね、バス路線の見直しというのもひとつ改革として進められてきたわけですけど、その府営バスをどう維持していくかということに関して、市長の肌感覚として、改めて感じる部分というのはありましたか?

橋下:いや、今の大阪市内では、これだけ地下鉄とかが発達している中でね、今以上にバス路線を税金をつっこんで増やしていく必要はないと思ってます。地方じゃないんですから。

ただ、ちょっと地域地域のところで、もうちょっと細かく見ていった場合に、税をつっこんで、走らせないといけない路線があるのかもわからないです。

ただ、今の大阪市役所の体制でそこまできめ細やかに調整はできません。そこだけ路線復活させると、じゃあ違うところも復活させろって声が出てくるので。

そこは次の市長がどういう形できめ細かくバス路線を構築していくのか、次の市長と自民党、公明党、民主党、共産党がある意味責任を負っている大きな課題だと思います。

今の体制だったら僕は無理で、5つの特別区に分けたほうが細かな路線の構築ができるってことを僕はうったえたんですけど「今の体制でもできる」と、都構想反対派の人たちが言ったわけですから、そこはしっかりやってもらいたいと思いますね。

記者:天王寺の方に行かれたときに、坂のあるエリアについて対応取られるといったことをおっしゃられたと思うんですけど。

橋下:あれはバスじゃなくてタクシー。

記者:タクシーですよね。

橋下:タクシーチケットで。

記者:あのように、区であったり行政サイドのほうで対応するということではなくて、交通局のほうで改めて細かな路線の見直しというのを、再度行うという、そういう感じにはならないと?

橋下:交通局のほうは基本的には黒字の収支をやってもわらないといけないんでね。だから、赤字路線でも税をつっこんでもやるっていうのは、それはある意味福祉バスの感覚ですから。

それは、行政のほうが路線をきちっと見て、これだけの税金を投入して、赤字路線のバスを走らせると。これは、交通局にやらせていたからおかしくなったわけですよ。

だからそれはきちんと、福祉の問題として、行政サイドのほうがそういう路線を見つけて、構築していかなきゃいけないと思います。

記者:最後もう一点なんですが、交通局の中止したイベントの支出800万円の件なんですが、その後、市長のほうにどういう対応をすることになったかということですね。

橋下:まだ報告は聞いてないです。

記者:現状、対応は取られていないということなんですね?

橋下:はい、そうです。あれは、だから、調べることになってるんじゃないですか? 民間業者の方に返還請求か何かをかけて。監査で見てもらうってことになったんでしたっけ?

記者:まだ市長のほうに、具体的な……。

橋下:まだ聞いてないです。

記者:話は聞いてないということですね。わかりました。ありがとうございます。

総合区についての見解

記者:朝日新聞のイノウエです。先ほど出ていた、総合区について改めてなんですけど、市長のこれまでの考え方、お立場としては、今の大阪市以上のことは総合区になってもできるわけではないと。

そういうことで必要性について否定的なことをおっしゃってましたけど、今の時点では総合区の意義というのはどういう風に考えておられますか?

橋下:意義無いと思います。だって他の政令市も誰も検討してないじゃないですか。そんなん、区長特別職なんかにやって、成り立たないです。

今の政令市を前提とした場合では、なんでほかの政令市が総合区を導入しないか言ったら、特別職になってしまうからですよね。

これはもう、政令市を維持して、政令市の役所の体制でやろうと思ったら、単純な上司・部下の関係、なにかあれば区長をすぐ交代できるような体制にしておかないと、組織が動かないからですよこれは。

やっぱり特別職になったら簡単に人事異動なんかできませんからね。だから、僕は総合区は今の大阪市役所の中で絶対成り立たないと思ってますけどね。

記者:まぁ、それでも検討はすると?

橋下:そうです。住民投票の結果でね。そういう判断が出たわけですから。それは拒絶するわけにはいかないんで。議会から案が出てきたものについて、しっかり対応していきたいと思います。

記者:先ほどおっしゃっていた、やるのであれば合区しなければならないと。理由としてはどの辺が大きくなりますか?

橋下:役所、組織がある程度規模がないと権限行使なんてできないですよ。権限を与えるって言ったら、府のときも同じなんですけど、大阪府のときに大号令かけて各市町村に分権をやると。

当時は広島が全国で一番、権限委譲が進んでたんですが、今大阪府が一番になっているんですよ。権限委譲をやろうと思うと、権限を受ける側のほうは、人を整えなきゃいけないし、お金がかかるわけですよ。

だから、権限委譲をやろうと思ったら、年間40億ぐらいお金かかりましたよ。大阪府のときもね。各市町村に権限委譲やるのにお金も一緒につけなきゃいけないと。だから今の24区の区役所、ここでは権限を受けるだけの体力は無いです。

だからやっぱり合区にして、職員体制整えて、そうしないと。24区で今以上の権限を受けるっていうのは、これはもうまったく不可能です。

だから僕は総合区っていうのは成り立たないと思ってるんですけども、ただ合区っていうのが前提になれば、まだ可能性が出てくるのかもわからないです。

合区っていうのが、それは可能なのかっていうね。今回は、大阪都構想の場合には、5区の案を出しましたけども、今回公明党の皆様が出されている案、維新のあとを「うん」って言ってのっかれば、成立するんで、公明党の皆さんの案で行くっていうのであれば、その案を軸にしながら進めていけばいいと思うんですが。そこはもう、議会の話になると思います。

ヘイトスピーチはやっぱり許せない

記者:あと、ヘイトスピーチの対策条例が今の議員に出ているんですけど、基本的な内容としては、この間の答申のときに出てきた条例案と同じようなものになってまして、審査機関が審査して、市としてヘイトスピーチの該当性の認識をして、公表をしていくというような柱になっていくと思いますが。この条例の内容としては、市長としては妥当性はどう……。

橋下:それは、もう審議会が一生懸命議論してもらって、今の法律の範囲の中でギリギリいける条例というものを探ってもらいましたからね。

ほんとはもっとつっこんでね、ヘイトスピーチというものをやっぱり許さないというようなルールを作っていかなきゃいけないということもあるのかもわかりませんが、やっぱり表現の自由との兼ね合いの中で今回審議会が出した答申っていうのは、専門家の意見としてそれを尊重していかなきゃいけないと思ってます。

記者:今後もし仮に成立したら、実際の運用にあたって、どういうふうにどこまで認定して定義付けしていくのかですとか、それもやりすぎると表現の自由とかいろいろな指摘も出てくるでしょうし、いろいろな当事者としては反論することも出てくると思いますけど。運用するにあたって、どういうふうに気をつけて運用して、効力を発揮していくのかというところと。

橋下:だから、それは行政がやらないように第三者機関を作ったわけじゃないですか。実体的な用件というか、そういうものは定められないから。

もうそれは第三者の方に、しっかりと。ある意味司法的に、司法判断のように事例の積み重ねによって一定のルールを作ってもらうと。それしかないですよ。

演繹的にこれがヘイトスピーチなんてことを定義づけることは不可能なんで、これはもう機能的に、第三者機関、審査機関のほうが、各自で個別事例を判断していきながらね、一定のルールっていうものを形成していくと。そういうプロセスを取らなければいけないというところで、こういう審査機関というものを設けたのです。

一律的に、まず定義付けをやって、これはアウトだよってことはしなかったわけですが。もう無理だろうということで。

記者:あとさっきも出ましたけれども「ぶら下がり(会見)」あまりにも極端になくなってしまったんで、話を聞く機会が極端になくなってしまったなと。

橋下:定例会見できちんと聞きますんで(笑)。

記者:いやいや、定例会見も飛ばされるときもありますので、議会中ですとか。するとどんどん話を聞く機会がなくなってしまうんですね。もう少しあってもいいのかなと。

橋下:他、やってないでしょ?

記者:人によっては。官房長官毎日やってますね。発信力としてはそれぐらい。

橋下:それは、まぁ。普通に、神戸市とか京都市とかの例と比べてどうなの?

記者:それまではこの辺気にせずにやってもらえたじゃないですか。

橋下:それまでずーっとやってたのも、あとは任期半年ですか。きちっとやります。

記者:まぁ、検討していただければ(笑)。

総合区はお金のぶん取り合戦になる

橋下:総合区の話は、いわゆるサービスの差が出るとかね、サービスが下がるっていう話は、これは出てくるはずなんで。だって、総合区やってサービスが同じだったら意味がないから。

だから、都構想のときのあの議論で、いろいろ反対の理由として出てきたサービスが、格差が生じるとかね、それから総合区ってことになると、それだけの権限を渡すってことになれば、今ある既存のサービスを落として、違うことを膨らますっていうのをやらないと意味がないわけですよ。

もし総合区ってやっておきながら、他の区とおんなじ行政サービスをやっていたら、なんにも問題ないわけで。そのときに大阪都構想に加えていたあの批判っていうものが、論理的にどう結びつくのかが、僕はまったく頭が整理できてないんですけどね。

だから、都構想のときに、大阪都構想と対案の比較っていうのを、ずーっときちっとできてなかったから、総合区の案になれば、大阪都構想で加えられた批判っていうのが、おんなじ総合区に妥当するはずなんですけどね。

だから、それがきちっと検証を……。これはずっと僕がメディアのほうに言ってましたけど、きちんとした情報提供になってないんじゃないかなと思いますけどね。総合区になれば総合区で、サービスの差とね、サービスが減る分が出てくるわけですからね。

記者:都構想の反対派の人たちが言っていたのは、財政調整のからみで税収の流れが変わるってことで不安が大きいというふうに言っていたと。

橋下:いや、総合区だっておんなじじゃないですか。総合区もぶん取り合戦になりますよ。

記者:そうですね、それは大阪市が一手に分配は……。

橋下:それは、その違いぐらいの話でしょう?

記者:だから、それを府がやるのか、大阪市長がやるのかという話であって、だからそれは財政調整のところの大阪府、第三者機関がやるという話と、大阪市長と大阪市役所の財政局がやるという話と、それは直接大阪市を選んでるんじゃないかっていう、そういうところの議論があるかもわかりませんが。

ただ分取り合戦になるとか、そういうところは本質的な話じゃなかったっていうかね、だからそれは最後の調整が総合区の場合には、大阪市長が最後裁定に出す。都構想の前には、大阪府知事、それは第三者機関の意見をもとに大阪府知事、府議会が出すっていう。

そこでの違いが自治の問題でこう、議論があればいいんだけども、税金のぶん取り合戦になるというのは総合区の問題とまったくおんなじなんだよね。

だから、僕はそこで今回都構想に加えられた批判とか、問題点への指摘があったということは、総合区やったときに、それがそのまま妥当するかとか、有効批判じゃないと思っていたんだけど、それがどうやって成立するのか。

総合区になって、24区まったくおんなじサービスだったら、総合区の意味ないし、ここで財政についてもきちんと公平に分配しますけど、それこそ特別職になれば、ぶん取り合戦っていうのは当然やってくるしね。

だから、僕としては総合区をやるって自民・公明が言うんだったら、都構想に加えてた批判が来た場合に、どうやって整理するのかなっていうのは思ってますけどね。だから、成り立たないと思いますよ。総合区は。

あれだけサービスも、格差が生じることはダメだとか、サービスが下がる可能性があるから都構想はダメだと。総合区でもサービス下がる可能性あるんで。各区ごとで、お金のぶん取り合戦になるっていっても、それは総合区でも出てくるわけでね。

そうすると結局、彼らが言ってた、反対派言ってた批判、それを避けようと思ったら今のまんまと。総合区じゃなくて、今の行政区のまんまというようにならざるを得ないんじゃないかなと思ってます。

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