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プチ鹿島の「朝からタブロイド」(全11記事)

産経「常識破り」、朝日「恐怖政治」 高市国会運営の読み比べ 自民幹部からも「トランプに近くなってきた」という声が [1/2]

【3行要約】
・高市首相の国会運営は"スピード重視"として支持者に評価される一方、審議短縮や閉鎖的姿勢への懸念も高まっています。
・ メディア評論家のプチ鹿島氏は、産経新聞が審議短縮を「ピッチクロック」に例えて擁護する一方、朝日は「恐怖政治」と報じていると指摘します。
・ 支持者も含め、首相の閉鎖的な判断姿勢や外交での懸念に対し、適切な批判や懸念表明を行うことが求められます。

「高市流」の審議短縮を各紙はどう報じたか 産経新聞の「常識破り」擁護に笑う

西村志野氏(以下、西村): ここからは前半レギュラーのラジマガコラム。木曜日はプチ鹿島さんの『プチ鹿島の「朝からタブロイド」』です。今日はどんなお話でしょうか。

プチ鹿島氏(以下、鹿島): 今日は高市首相の国会運営というテーマで読み比べたら、思わず笑ってしまいました、読み比べは楽しいというお話をしたいと思います。

武田砂鉄氏(以下、武田):はい。

鹿島:私はメディア野次馬です。この番組で何回か言っていますが、新聞にはいろいろな論調があります。野球スタジアムだとしたら、高市スタジアムの一塁側と三塁側に意見の違う人がいて、それを読み比べるのがおもしろいんです。

時には「これは度が過ぎていないか」というものも発見してしまいますので、それをご報告しようかなと思います。

武田:はい。

鹿島:おさらいをすると、先週の13日でしたか。衆議院を通過した2026年度予算案のニュースがありました。大きな特徴をまとめると、審議時間がとても短かったんですよね。

武田:そうですね。

鹿島:各紙を調べるとわかるんですが、通常は80時間程度が目安とされる予算案の審議時間が、今回は59時間しかありませんでした。これは過去20年で一番短いです。

他にも、予算を詳しく調べるための分科会というのがあるんですけど、これも開かれませんでした。分科会は各省庁の予算を細かくチェックする大事な場所なんですよ。これも37年ぶりに開かれず、丸ごと省かれてしまいました。

それぐらいのスピードを持って、スピードと言うと聞こえはいいですが、「拙速ではないか」ということがけっこう報じられていたんですよね。

ではこれを各メディアがどう表現していたか。朝日新聞は「強気の首相、強引な審議」と「強引」と言っています。毎日新聞と東京新聞は「与党、数の力」と批判的でした。ここは正直、そうだろうなという想定内だったんです。

一方で、ふだんは首相推し、高市推しの新聞は、これをどう叱っているのか。いろいろ注目して読んだんです。例えば産経新聞は、今回の短い審議について「高市流、審議の常識破る」と書きました。

武田:常識を破ってしまいましたか。

鹿島:大谷(翔平)選手のような言い方なんですよ。「お、高市さん常識破ったね」と。横の見出しを見ると「乏しい国対経験、慣例に無頓着」とあって、勉強熱心で政策通の首相は国会の与野党交渉の経験は少ないと書いて、予算委員会についての慣例も首相には通用しなかった。

武田:常識が「通用しなかった」ことを「常識破り」として「よくぞやった」という。

「高市さんは純粋な人」 側近発言と産経抄のピッチクロック擁護論

鹿島:大谷モードなんですよ、高市さんはすごいというモードで。さらに読み応えがあったのが、首相側近の言葉も産経新聞は紹介していて、首相側近は「高市さんは純粋な人だ。国民生活に影響を生じさせないよう、年度内に成立させたほうがいいでしょう。なぜそうしないの?」と考えているそうです。

武田:椅子から転げ落ちるところでした(笑)。

鹿島:そもそも、なぜここまで審議時間が短くなったかと言えば、衆議院解散があったからですよ。本来なら1月から始まっていた審議が、選挙をあれだけ豪快にやったものですから遅れますよね。

だから予算案が遅れるのは当然なのに、なぜ「年度内に成立させたほうがいいでしょう。なぜそうしないの、野党は?」と言っていて、それを側近は「高市さんは純粋な人だからそう願っている」と産経新聞が紹介しているんです。

武田:なかなか舐められておりますね。選挙が始まる時に「予算審議の時間短くなりますよ。それでもやるんですか」という話をしていたわけですよね。

鹿島:高市さんには「いや、もうほとんど話をつけてあるから大丈夫だ」とXで表明していたし、てんやわんやだったわけですよ。

さらに新聞はおもしろいですよ。産経新聞の先週日曜日の1面コラム「産経抄」ですが、審議の短さをWBC(World Baseball Classic)のピッチクロックに例えていました。

武田:なんだかもう、まずい予感がする。

鹿島:出だしは「野球は間のスポーツと言ったのは名将の野村(克也)さんです。一球ごとに試合の切れ目があり、その間に考え、備えよ」と。「今回のWBC、新たなルールが景色を大きく変えた、ピッチクロックである」と。「制限時間内にピッチャーは投げなさい」という、あ、これはWBCの話なんだなと思って読んでいたら、2段目で変わりました。

「常識破りと評される審議時間の大幅な短縮は、高市早苗首相が国会に持ち込んだピッチクロックの産物と言えなくもない」と。

武田:言えないでしょ(笑)。

鹿島:びっくりしました(笑)。「高市さんの話につながるんだ」と思って。

しかも「常識破りと評される」と言いましたが、常識破りと書いたのは先ほど紹介した産経新聞、自分の紙面なんですよ。自分の紙面を「常識破りと評されていた高市さんですが」とする。これなかなか永久保存版だなと思って、笑ってしまいました。

「意味がわからない」ピッチクロック論から「恐怖政治」発言へ

武田:高市首相が国会に持ち込んだピッチクロックの産物と言えなくもないって、意味がわからないですね。

鹿島:もし持ち込んでいたらWBCの影響を受けすぎですよ。また別の問題があるわけですよね。

武田:そうですよね。

西村:一緒にはしてほしくないですよね(笑)。

鹿島:ピッチクロックは解散前からルールとしてあったわけだから、ピッチクロックだから政治も審議短縮、そうだWBCみたいだねと、これを1面コラムで書いている。エキストリームでおもしろかったですね。

武田:定数削減とか、これからいろいろなことがピッチクロックの産物になる可能性がありますからね。

鹿島:アメリカのような合理化だと言い出しますよ。大変だ、こりゃ。

これは高市支持でもいいと思うんですが、それでも疑問は呈したほうがいいのではないかと思うんです。叱りながら褒めるべきですよ。

武田:それはそうですよね。

鹿島:産経新聞は怖いことも書いていて、審議時間短縮は困難だと認識を示したのが自民党の梶山(弘志)国対委員長でした。その人を首相は「交代させたい」と言ったらしいんですよね。自民党内に「そんなことをしたら禍根を残す」と困惑が広がった。産経新聞はここはちゃんと書いています。

このあたりを他の新聞で確認しました。朝日新聞によると、梶山氏は留任しましたが、議会運営の中心にある衆議院運営委員長の濱田(靖一)氏を交代させました。これを見て政権幹部は「恐怖政治のようになってきた」と。自民党内の政権幹部が言っているわけですよ。

おもしろいですよね。同じ与党内政権幹部の言葉でも、産経は「首相は純粋な人」という言葉を紹介して、朝日は「恐怖政治のようになってきた」とある。両極端でどっちなんだろうと思うんですが、合わせ読みをしてみると、自分を疑わない純粋な人が恐怖政治を始めた。一番怖いパターンじゃないですか。

武田:まさに今、トランプ(Donald Trump)大統領が、自分に対してNOを少しでも突きつけてきたら辞めさせたりする動きをずっと続けてきましたが、そういったものと近く見えてきてしまいます。

鹿島:産経新聞は「高市さんは勉強熱心で」と書いています。確かに他の政治家が飲み歩いている間に自室にこもって政策資料を読み込んでいく。それは事実なんです。

ところが今回もトランプ氏と会うのをどうすればいいかという時に、意外と面談をシャットアウトして、一人でこもって自分で判断しようとしている。「これまずくないですか」と。いろいろな人に意見を聞いたほうがいいだろうし。

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