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記子の気になる日本のほぉ~(全6記事)

「法の支配」が静かに崩れている、日本人がまだ気づいていない危機 ICC所長・赤根智子氏が著書で警告する、20世紀への逆戻りとは [1/2]

【3行要約】
・国際刑事裁判所(ICC)は戦争犯罪人を個人として裁く機関として注目されていますが、米中露の非加盟や米国の制裁により存亡の危機に立たされています。
・ 弁護士・三輪記子氏は、日本人所長・赤根智子氏の著書を踏まえ、現在はトランプ政権の制裁でICCのシステム利用自体が危ぶまれる状況だと指摘します。
・ ICCの認知度向上と世論の後押しが政治を動かす鍵であり、日本は拠出国・所長輩出国として積極的にICCを守る立場を示すべきです。

元検察官が率いる国際刑事裁判所 赤根智子所長の著書が問いかける現代世界

西村志野氏(以下、西村):ここからは前半レギュラーのラジマガコラム、月曜日は三輪記子さんの『記子の気になる日本のほぉ~』です。今日はどんなお話でしょうか。

三輪記子氏(以下、三輪):「戦争犯罪と闘う国際刑事裁判所は屈しない。国際刑事裁判所所長、赤根智子さんの著書から今の世界を考える」というテーマで今日はお話ししたいと思います。

武田砂鉄氏(以下、武田):はい。

三輪:この本は昨年の6月20日に文春新書から出版されています。私は去年の7月5日に「国際刑事裁判所 意義とその役割」という講演会を聞いてきました。

市民参加ができる講演会で名古屋へ行ってきたんですけれども、赤根さんのお話が聞けるということで名古屋まで行ってきたんですね。

私は日本法のみの弁護士で、国際刑事法に詳しいわけじゃないんですけれども、赤根さんが本を書いたり、いろんなところで講演されたりしていることの心意気をすごく感じました。今世界の情勢がこうなっている中で少し紹介したいと思い、この本を取り上げました。

武田:はい。

三輪:赤根智子さんは今、国際刑事裁判所の所長でいらっしゃるんですけれども、もともとは日本の検察官なんですね。司法修習が34期で、私が63期なので30期以上上かな。私は7回落ちているので、アレなんですけれども。

 同じ法曹として身近にも感じられますし、お話もすごく誠実なお人柄がわかってとても良かったので少し紹介したいんですけれども。まず、国際刑事裁判所って、最近聞くと思うんです。

武田:そうですね。よく聞くけれども、実際どういう組織なのかとか、どういう力を持っているのかとなると、どうなのと思っている方も多いと思いますけどね。

三輪:そうですよね。国際司法裁判所と国際刑事裁判所が、よく似ているから間違えられたりするんですけれども、どちらもオランダのハーグにあるんですね。国際司法裁判所は1945年に設立され、国家間の紛争を解決する裁判所です。国連憲章などの国連の機関として存在しているんですね。

一方で、赤根さんが所長をしている国際刑事裁判所は国連の機関ではありません。ICC規程という条約によって設立された独立の機関なんですね。設立はなんと2002年です。

武田:うん。

個人の戦争犯罪を裁く使命 ICCが2002年に誕生するまでの道のり

三輪:対象は何かというと、個人による戦争犯罪の処罰です。国に対する処罰ではなくて、個人に対して成立する犯罪の有無を審理します。犯罪が成立する、とされた場合には処罰をするのが、国際刑事裁判所の使命なんですよね。

じゃあ国際刑事裁判所がどうしてできたのかというと、世界は20世紀に2回の大きな戦争を経験しました。第一次世界大戦後には、ドイツ皇帝のヴィルヘルム2世がオランダに亡命して処罰されなかったんですよね。

それだけじゃないんですけれども、やはり人道に対する犯罪について個人責任を追及しなければ、平和な世界が希求できないんじゃないかという考え方がありました。しかし冷戦時代にはそういう構想はあったものの、国際刑事裁判所はなかなか設立できなかったんですよね。

設立が、2002年になってようやくできました。日本は少し遅れて条約の締約国になったんですね。2025年の時点で、125カ国がICC規程、国際刑事裁判所の締約国になっています。

平和のために過去の戦争犯罪について処罰する機関なんですけれども、前向きな機関だねと思われる方がすごく多いと思いますし、私もそう思います。もし国際刑事裁判所がなければ、いろんな戦争犯罪人が処罰されません。20世紀の力による支配の時代に後戻りするんじゃないか、と考えられるからなんですよね。

ただもちろん新しい機関ですし、課題も多いです。課題として例えば、アメリカ、中国、ロシアは非締約国なんですね。あまねく国際刑事裁判所に服さないとなっているのが、大国でいうと米中露なんですよね。

最近のニュースで多くの方がご存知だと思うんですけれども、国際刑事裁判所から戦争犯罪人の容疑がかかっているとして、ネタニヤフやプーチンには逮捕状が出ています。

武田:うん。

三輪:プーチンについてはもちろんウクライナへの侵攻ですね。ウクライナの侵攻に関して国際刑事裁判所で取り扱ってほしいことについては、ウクライナが管轄を持っているので、プーチンが対象になっています。

もちろんロシアは非締約国なんですけれども、プーチンが締約国に立ち入ったら協力して逮捕しなきゃいけない状況があるんですよね。

プーチン・ネタニヤフへの逮捕状 機能不全が問われるICCの現実

三輪:しかし今現状どうなっているかというと、例えばハンガリーはプーチンの入国を許しました。その後国際的に非難を浴びて、締約国から脱退しました。そういうこともあって、国際刑事裁判所がうまく機能しているかは、評価として分かれるのかもしれないんですけれども。

しかし国際刑事裁判所がなかったらどうなるのかを考えると、20世紀の個人責任を追及できない社会に後戻りします。国際社会が平和を構築していくために必要だということで、かなり多くの国の合意の下でできた裁判所だから守らなきゃいけません。

これを赤根さんもいろんなところで発言されていて、ICCへの援助について主に締約国の政府要人などに会って主張されているのが今の現状なんですよね。

武田:うん。

三輪:今の現状としてどういう危機に直面しているかというと、ICCの裁判官や検察官に対してアメリカが制裁をしているんですよ。

武田:制裁?

三輪:何をしているかというと、銀行取引をさせないようにしたり、アメリカの企業に対してシステムを使わせないようにしたりしているんですよ。ICCのシステムもアメリカの企業のものだったりするから、このままではシステム自体が使えなくなってしまう可能性があって、存亡の危機にきているんですね。

ICCの裁判官などに対する制裁について、各国が「それはアメリカがやりすぎですよ」ということで、比較的穏当な声明を出したりしています。日本も所長が日本の方なわけですから、もっと国際刑事裁判所を守る動きをするべきなんじゃないのかなと思うんですね。

というのも、日本は締約国の中でかなり経済的負担を負っている国です。裁判官もずっと出しています。そういう中で日本が世界に対してできる平和への貢献は、実はこういうところでもやっているんですよね。

裁判官を出して、お金もかなり負担しています。拠出金もかなり負担していて、分担率としては多いです。もちろん私たちの税金がここに使われていて、私は平和的な国際機関に対する拠出は大賛成です。日本は国際刑事裁判所の所長を擁している国です。ましてや20世紀には原爆も経験した国ですよね。

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