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プチ鹿島の「朝からタブロイド」(全7記事)

首相を「かわいそう」と思って投票する、その危うさに気づいているか? SNSが生み出す「感情の政治」が民主主義を侵食する [2/2]

国民審査の罷免率も過去2番目 「わかりやすさ」が事実を飲み込んでいく

鹿島:その関連で「SNS」という関連で、僕がちょっと注目したのがこちらの記事で、読売新聞なんですが、最高裁裁判官の国民審査ってあったじゃないですか、選挙と一緒に。それは過去2番目に高い罷免率だったと。

これ、SNSで影響があるんじゃないかと。近年、罷免の投票を呼びかける投稿が関心を呼んでおり、今回も「忘れずにバツをつけよう」という投稿が相次いでいて。

もちろん、これまでニュースを見た中で「この裁判官のこれは納得できないな、じゃあ自分はこのニュースに基づいてバツを入れる」というんだったらいいんですけど、ただあんまりふわっとした感じで「バツを入れようよ」というのに触発されて罷免率が高くなるというのは、ちょっと今回のSNSと選挙にも似ているのかなという。

武田:なるほどね。

鹿島:ふわっとした感じでね。何度も言いますが、自分の判断で「この判断が気に入らなかったからバツ」というのは良いと思うんですけど、SNSで言われたからというのは何かちょっと関連づいているなと思ったんですよね。

武田:なんか「今こっちの判断をしておくのがいいんじゃないの?」という感じでいろんなものを決めてしまうというね。

鹿島:だからふわんりとした、もしくは「わかりやすさ」。武田さんの『わかりやすさの罪』という名著がありますけれど。僕、今回やはり高市さんの選挙戦を見ていて印象深かったのは、やはり「わかりやすさ」なんですね。これは鍵括弧付きですよ。

だって第一声では涙を浮かべて、歯を食いしばって30年以上かけて総理になったと訴えたんですけど、これわかりやすいじゃないですか、構図としては。でも問われているのは「なぜ今選挙なのか」であり、首相個人の物語ではなかったはずなんですよね。だけど、その「エモさ」というのが多くの共感を集めて。

さらに肝なのは、「わかりやすさ」が売りのはずなのに、政策論争に入ると、例えば消費税のことを言わなかったりとか、わかりづらい。実は政策論争に関してはね。

ところが、討論番組を欠席しても大きな再設定論は起きなかったし、円安容認発言が出ても、メディアが公の場で説明を求める動きは広がらなかったし。

何なんだろう。本来なら最も選挙期間中にこそ首相の発言は問われるはずなんですが、むしろそうした事実が、もう「わかりやすさ」「エモさ」が事実を飲み込んでいくという状況を今回見たような気がして。

武田:そうね。選挙の翌日に高市さんが会見していましたけれども、記者から「日曜討論欠席したじゃないですか。あれはどういう経緯だったんですか」と言った時に、「いや私はもう別に答えたいことなんてありませんから出るつもりでしたよ」と言った後に、あらかじめ用意された原稿を目にしながら、「お洋服も準備していましたので」と言ったんですよね。

あれってまさに今、鹿島さんがおっしゃっていた、非常にわかりやすい。それを聞くと「あ、そうか、もう用意していたのか」と思うかもしれないけれど、経緯を遡ってみると、もうグチャグチャなわけですよね。あそこに至るまでの。

でも「お洋服も準備していましたので」と聞くことによって、これまでの高市さんの言い分をそのまま受け止めてきた人は、「あ、そうか、もう準備していたんだ。答えたくないことなんて別にないんだ」と思わせるような言葉遣いを。まさにテキストとしてね。

鹿島:あれ、すごく興味深いですよね。「お洋服」とか、さっきの太田さんの発言に対して「意地悪やな」みたいな、急にわかりやすいギアを変えるというか、「エモさ」に変えるギアを変えていますよね。

武田:それは本当に、まさにわかりやすすぎるぐらい作られているわけですが、なかなかそれをそのままパクっといただいちゃった人が多かったということなんでしょうかね。

「エモさ」にギアを変える巧みさ 大勝後の国会運営と大阪ダブル選にも同じ構図

鹿島:で、今回自民党が大勝したわけで。実はこれ昨日の朝日新聞かな、選挙後、首相は本来自民党側が担うべき国会運営にも関与を強めて、今、党内を困惑させていると。

つまり国会召集日ですね。前倒しして早くやりたい、つまり経済政策を先送りしているじゃないかという批判があったから、「早くやりたい」という首相側が、でもやっぱりもう決まっているから難しいんだなと思って。そうしたら今度は予算案の審議時間を従来より短くしようと検討し始めている。

これまでは野党がたっぷり質問していた。選挙の結果を踏まえ、野党の質問時間はそんなにいらないだろうと、政権幹部が語っている。別の政権幹部によると、去年の臨時国会では野党側からの質問が高市さんに集中して時間を要したことに不満を募らせていたということで。

そもそも国会とは何かというのが、これでさらに危うくなりそうな気配がプンプン漂うんですよね。

武田:それで言うと、鹿島さんが「表デロ選挙」と言っていたこの大阪のダブル選。

鹿島:維新ですよね。これ、維新の社説に関しては昨日ぐらいから全国紙で取り上げて、「そういえば維新どうなった?」みたいな。この時間差もちょっと興味深かったんですが。

僕、絶対これ読んじゃいけないなとみなさんに言っているのが、昨日の読売新聞です。大阪ダブル選、「都構想支持の民意とは言えぬ」という記事の中で、これキラーフレーズの連続だったんですよね。

「意味不明な選挙」と言っていたり、「これで都構想を前に進められると考えるのは筋違いだ」。あと「税金の無駄遣いと言われても仕方なかろう」とか、「維新は地元のことばっかり考えている姿勢が見透かされたんじゃないか、今回衆院選でそんなにパッとしなかったのも」みたいなことを書いていて。

まあ全部そのとおりだと思うんですけど。一方でこんな記述も気になったんですね。「選挙に勝つことで民意を得たという口実を作り出し、都構想実現への手続きを強行しようとしているとしか思えない」。

まあそれはそうなんですけど、「選挙に勝つことで民意を得たという口実を作り出す」って、大阪だけなの? っていう。そう考えると、高市さんと維新の手法というのは、相性がいいのかな、という感じです。

辞職届に日付なし 維新の「脱法体質」はこれからも続くのか

鹿島:それで言うとね、これ最後、これ雑誌なんですけども、元神戸新聞の記者で現在ノンフィクションライターの松本創さんという方が、『週刊金曜日』でコラムを、「維新の背信的な脱法体質」というコラム書いていて。これ本当におもしろいんですよ。「他党や世論の追及をかわすための強硬な選挙か」とかも指摘しているんですがズバズバ。ぜひ読んでほしいんですが。

なるほどなあ、と思ったのが「選挙制度の悪質な誤用」ということで。今回ね、吉村さんの辞職の申し出からわずか6日後の告示という前代未聞の日程。短すぎじゃないですか。なぜこんな不条理を通ったのか。関係者はこんなことを言っているんです。

「吉村知事の辞職届に日付が入っていなかったからです。いつ辞職するか決まっていないから、同意するための議会を招集できない。そうなるとどうなるか。公選法が優先されて、選挙管理委員会が選挙日程を先に決め、知事は立候補した時点で自動失職することになる」。

つまり、こういう法解釈を、知事もしくは知事のブレーンたちは利用したんじゃないか。

武田:なるほど。

鹿島:つまりこれ、この番組でも言ったけど、「違法じゃないだろ」と。でも脱法的な、維新のよくやる「コスパが良い」みたいな、その体質が具体的にこれ松本さん指摘しているんですよね。なるほどなと思いました。

武田:好きですよね、この脱法がね(笑)。

鹿島:僕ね、大阪で選挙現場を見てちょっとおもしろかったのが、維新を批判する候補者が「今回、国保逃れとか組織的な脱法集団って言うんですけど、それは違うんです」と。「むしろ脱法的なことをする人が維新に集まっているんです」と言っていて。これちょっとおもしろかったんですけど。

武田:なるほど、順番逆だと。なかなか辛辣な言い分だけれどね。

鹿島:そうかもしれないなと思って。だからこの、なんかこう「違法じゃなければいいだろう」というこのやり方は、これからも続くんだろうなと。

武田:ねえ、でも読売新聞がこの大阪ダブル選について「意味不明な選挙」ってね、まさに日刊ゲンダイかというぐらいの言葉遣いをしているというのもね。

鹿島:これ無料で読めますから。無料で読めるからといって絶対読まないでくださいね。

武田:これ読まないでください、本当にね。

西村:このコーナーはPodcastQRでも配信しています。ラジマガコラム『プチ鹿島の「朝からタブロイド」』でした。

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