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記子の気になる日本のほぉ~(全3記事)

性犯罪歴者を雇うこと自体が「犯罪」のイギリスと、日本の大きな差 下着窃盗は対象外、学習塾は義務なし…今年施行「日本版DBS」の実態 [1/2]

【3行要約】
・「日本版DBS」は子どもを性犯罪から守る制度として注目されますが、運用面での課題も多く存在します。
・ 弁護士の三輪記子氏は「イギリスと異なり日本では戸籍提出が必要で、人手不足の現場での配置転換も困難」と指摘。
・ 三輪氏は制度だけでなく性教育や再犯防止ケアを含めた「不断の努力」が必要であり、制度の継続的な改善が重要だと語ります。

「日本版DBS」を知っていますか?

西村志野氏(以下、西村):ここからは前半レギュラーのラジマガコラム、月曜日は三輪記子さんの『記子の気になる日本のほぉ~』です。今日はどんなお話でしょうか。

三輪記子氏(以下、三輪):そうですね。今日のテーマは「日本版DBSを知っていますか?」というテーマです。DBSは何の略かご存知ですか、お二人。

武田砂鉄氏(以下、武田):DBSって、どういうものかはわかってはいますが、何の略かと言われるとわかりませんね。

三輪:そうですよね。私もちゃんと言えないんですけど、Disclosure and Barring Service。この頭文字を取ってDBSなんですね。

Disclosureというのが前歴開示。開示ですね。Barringは取り除く、除去するというような意味だと思います。そしてServiceはシステム、制度ですね。これがDBSです。

前歴を開示して、前歴に問題がある人を排除する仕組みがDBSです。まず、この日本版DBSは今年の12月25日に施行されますが、本家本元というべきイギリスの制度について紹介したいと思います。

武田:うん。

40年前に導入されたイギリスでは、性犯罪歴のある人を雇うこと自体が「犯罪」

三輪:こども家庭庁のホームページに載っている資料によるんですが、「こどもまんなか」のこども家庭庁というところに、イギリス、ドイツ、フランスにおける犯罪歴照会制度に関する資料があります。

これを見ると、全部取り上げるとどうしても時間が間に合わなくなってしまうので、まずイギリスだけしっかりやりたいと思います。イギリスは、1986年に公的機関に採用される者の犯罪歴チェックの制度が確立されたとのことです。今からもう40年前ですね。

武田:うん。

三輪:この制度は、今どうなっているかというと、イギリスでは基本的に職種にかかわらず、使用者、会社が従業員の犯歴照会を求めることができることになっています。

しかも、子どもに関わる職業または活動。職業または活動となっているのは、ボランティアも含まれるんです。仕事ではなくても、ボランティアでも関わる人に関しては、会社あるいは事業者が、子どもに対する性的虐待等の犯罪歴がある者を使うこと自体が犯罪なんです。チェックするシステムがあるのに、それを怠ったりしてそういう人を雇ってしまうこと自体が犯罪化されています。

そして、この前歴開示、ディスクロージャーについては、まさにDBSなんですが、「前歴者就業制限機構」。こういう第三者機関のような機構があります。そこが行うんです。このDBSには他にも、子どもや脆弱な大人に接する仕事に就けない者のリスト、就業禁止決定も行っていて、そのリストを作成しています。

この機関の位置付けは、議会に対して直接説明責任を負うけれど、省には属さない公的機関が存在していて、そこでリストなどを持っていると。それに対して開示を求めていくのが、犯罪歴照会制度。これがイギリスの制度になっています。

 つまり、独立した第三者機関に対して照会を求めるのがイギリスの制度です。なぜイギリスの制度について説明するかというと、日本はこうはなっていないからです。

武田:はい。

学校は義務だが、学習塾やスポーツクラブは義務ではない「日本版DBS」

三輪:今の話を聞いていただいたら、イギリスの制度は良さそうだと思う方が多いと思うんですが、これが日本版DBSと言われるゆえんなんですね。本家のDBSとは違う日本版のDBSということで、日本版DBSという報道がされています。

この日本版DBSはどういう制度かと言いますと、まず対象について。子ども相手とか保育を提供する事業のうち、絶対にこのDBSの制度を使用しなければいけない義務があるのは「学校」です。これは当然だなと思われると思います。公立私立を問いません。あとは認可保育所とか認定こども園、児童福祉施設などは使用が義務付けられている対象です。

一方で、国の認定を受けた上でこのDBSを使うこととなっているのが、認可外保育施設。そして放課後児童クラブ、あるいは学習塾、スポーツクラブ。こういったところも子どもはたくさん出入りしますよね。むしろ子どものための施設だったりするわけですけれど、こういったところは義務ではありません。

武田:うん。

三輪:義務ではないので、この日本版DBSの制度を使わなくても、すぐに問題にされることではないんです。まずそこも1点覚えておいていただきたいと思います。逆に言うと、施行後にこちらは認定機関ですよ、認定しているスポーツクラブですよということが、少しは親にとっては安心材料になるのかもしれません。

まず制度の対象についても、ありとあらゆる子どもに関するところが対象になっているわけではない。ここも一つの問題点ではあります。

この「児童対象性暴力防止法」という法律に基づくものなんですが、性犯罪の前科があると性暴力の恐れがあるとの判断の下に、子どもに接する業務に就くことができなくなります。

これを聞くと安心だなと思われる方がいるかもしれないんですが、では対象となる性犯罪は何だろうと言いますと、不同意性交、不同意わいせつ、盗撮、児童買春、児童ポルノ所持などは含まれるんですが、例えば下着の窃盗。これは窃盗罪ですので入りません。

武田:下着の窃盗が入らない。含まれない。

三輪:あとは体液をかけるとか。これは暴行になったり器物損壊罪になったりするんですが、こういった性犯罪じゃないのと思われるようなものも含まれません。かつ、これは児童に関するものだけではなく、成人に対する性犯罪を含みます。そこには区別がありません。こういうふうに対象となる性犯罪についても、はたして十分だろうかという問題があります。

さらに、弁護士をやっていて思うんですが、もし神様がいるとして、神様の視点から見た時の性犯罪すべてが対象になるわけではありません。当たり前ですよね。不起訴になったり、そもそも事件化されていなかったりということが世の中にはたくさんありますから、そういったものも対象にはなりません。

そこはどうしても仕方ないですね。「この人は犯罪を犯す人じゃないか」と疑うのは当然あってはならないことなわけですから、実際に前科としてちゃんとついているものでないと扱われないというのは納得していただけると思います。一方で、じゃあどうやって子どもを守るのかというような疑問も起こってしまいますよね。

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