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記子の気になる日本のほぉ~(全3記事)

性犯罪歴者を雇うこと自体が「犯罪」のイギリスと、日本の大きな差 下着窃盗は対象外、学習塾は義務なし…今年施行「日本版DBS」の実態 [2/2]

人手不足の現場で「配置転換」は本当にできるのか

三輪:そこで「恐れ」がある場合には、いったん配置転換をしなければいけないなどのルールが定められているんですが、しかし「恐れ」の認定をして、いったん配置転換をするとして。でも、それは恐れはあったけれども、実際は何もなかったとします。そうすると、あの人は配置転換されたねということで、何か疑わしい人のように見えてしまうというような問題も実は生じます。

じゃあ実際にそのルールどおりに、恐れがあるということを認定すること自体もかなり難しいんですけども、仮にその恐れがあるとして配置転換をする場合に、本当に人手不足が叫ばれている昨今、子どもがいる現場、子どもがいる職場について、本当に配置転換とか可能なんだろうかと。

武田:はいはいはい。

三輪:こんなに人手不足で、例えば配置基準なども満たさなくなったらどうするのとか、いろんな問題があります。そうすると、現場はどうすると思いますか? 本当にそのルールどおり、何かこれはちょっと恐れがあるということで配置転換しなきゃいけないなという時に、本当に配置転換できると思いますか? という問題が出てきます。

武田:うん。

三輪:いろいろ実は問題があるんですね。さらに、イギリスのDBSというのは省には属さない公的機関があるよという話をしたんですが、日本ではどういうふうに前歴の有無を確認するのかと言いますと、今雇われている人も、これからそういう保育施設とか学校とかに就職しようと思うと、戸籍を出さなければいけないんです。

武田:はいはい。

三輪:なぜ戸籍を出さなければいけないかというと、日本の刑事裁判において本人の同一性の確認のために、住所と本籍が必ず起訴状には書かれています。そういうふうにして同一性を確認しているんですね。

なので、戸籍の情報。しかも今現在の新しい戸籍ではなくて、例えば結婚したりすると籍が変わったりしますよね。そういう籍の移動も含めて全部出して、ありとあらゆる時にそういう犯歴がないかどうかということを調べなければいけないんです。通常、就職する時に戸籍まで出す職場ってないですよね。

武田:ないですね。

三輪:そうすると、かなりこの教育現場とかに就職することも、実はハードルが上がってしまうという制度になっているんです。

制度が「隠蔽のインセンティブ」になってしまわないか

三輪:こういったプライバシー情報ですよね。戸籍自体もプライバシーですし、この犯歴自体ももちろんプライバシーなんですけれども、この取り扱いが非常に難しい。

これが本当に現場でこういった情報を適切に取り扱うことができるんだろうかということも、かなり運用が難しい、困難なのではないかと思われるという問題が、実はありまして。本当にこれはきっちり機能するんだろうかという問題意識を私は持っています。

私のYouTubeでもやっているんですが、愛知県の鈴木弁護士という学童保育なんかにすごく詳しい女性の弁護士と一緒に勉強をしているところではあるんですが、勉強すればするほど、これは本当に現場の方々がこの法律の運用を実行できるんだろうかと。

かえって、そういう危険な状態について隠蔽するようなインセンティブにならないかというところも、すごく心配ですし、何よりもこういった制度を運用するためには、人を増やす以外にはなかなかないわけですよね。だけど人を増やすためには当然お金が必要になってきます。

どうしてもこの日本のDBSは、現場にかなり負担をかけていくような制度設計になっているんじゃないかということが、非常に私としては懸念を持っているところで。

これは今日はもうこのへんで、という話になってしまうんですけれども、非常に心配のある、もちろんないよりはあったほうがいいですよ。子どもが安全に健やかに成長できる環境ってとっても大事だと思うんだけれども、本当にこの制度が上手くワークするのかということについてとても心配しているので、この実態を知っていただきたいし。

これが一回制度が決まったら「やった、これで防げる」ということではなくて、不断の努力で改善していく以外にはないなと思います。西村さんもスポーツをお好きだと思うんですけれども、スポーツの現場における子どもに対する性暴力というのも後を絶ちませんし、こういったことをどうやって大人が防いでいくのかということを一緒に考えていかなきゃいけない。

一方で、何もやっていない人を犯罪者視するということももちろんいけませんし、そこのバランスというのがなかなか難しいんじゃないかなと思います。

制度だけでは足りない 性教育や再犯防止のケアも含めた「不断の努力」が必要

武田:僕も今『世界』という雑誌で「最後は教育なのか」という連載をやっていて、いろんな教育関係者にインタビューするという連載をやっているんですけれど、学校の関係者の方に聞くと、共通するのはやっぱり今教師が足りない。そして人材をどういうふうに確保するのかというのは大変だ。そして世間的にも、どうやら先生というのは大変なお仕事になっているぞということが認知されている、周知されている。

そうなると、例えば部活を外部に移行しようとか、朝のいろんな勉強教室みたいなものを地域の方にやってもらおうとか、放課後に地域の方にやってもらおうとか。先生だけではなく、地域の方とかOBの方とかOGの方とか、そういう方たちに入っていろいろ部活をやってもらうとか。

どっちかというと、これまで先生たちだけでやっていたことに対して、いろんな方ともこれからやっていかないと難しいですよという流れになってくるわけですよね。

三輪:そうなんです。

武田:そうすると、もちろんその中に、この人は大丈夫なのかと疑われるような方とか、実際にそういうことがあったら、もちろん出ていってもらわなきゃ困るけれど、いろんな人が入ってくると、どうしてもそういうことが起きるわけですもんね。

三輪:そうなんです。部活の外部委託が進んだ時に、学校は義務対象ですけれども、その外部委託先の部活動の指導者は義務ではないというふうになると、なかなかそこで、じゃあそこの外部委託先でこんな大変な制度について本当に導入できるのか。誰がそういう情報管理をするのか。こういったあたりも非常に問題になってくるんだろうなと思うんですよね。

私、教育という意味では、実は性犯罪とか性暴力に対する背景としては、日本における性教育の遅れという問題も欠かせないテーマだと考えていまして、子どもに対する、もちろん大人に対してもそうなんですけれども、性暴力はけしからんと。絶対に何とかして防いでいかなきゃいけないというところにはもちろん賛同はするんですけれども。

何か悪いことをやった人に対する処罰も必要です。だけれども一方で、どうしても女性とか子どもというのが多くの場合は被害者になるわけですよね。

その背景には、やっぱりそういう女性とか子どもについて物のように扱うとか、法教育とかあるいはジェンダーに関する教育の不足というのが背景にあると思うので、予防ということを考えるためには、こういう制度だけではなくて、その背景にある考え方についても(知らないといけない)。

もう少しどうしてそれがいけないのか、どうしてそういう犯罪に至ってしまうのか。そしてそういう犯罪に至ってしまった人については、処罰はもちろん、こういう現場には来ていただかないことはもちろんのこと、再犯を防ぐということもやっていかなきゃいけないと思うんです。

そうするとケア、再犯を防ぐためのケアですね。そういうことについてもなかなか日本は遅れているなと思うので、こういったことについても、防ぐのはこういう仕組みさえあればいいということじゃないということも、みなさんと一緒に考えていければいいなと思っています。

武田:まあ、子どもが朝起きて寝るまで、本当にいろんな人に会うわけですよね。いろんな人とコミュニケーションを取る。もちろん学校に通っている子どもであれば、学校にいる人、学校の先生に会う時間が多いわけですけど。

じゃあ外を出て塾に行くとか、どっかお店に行くとか、友だちとどっかに行くみたいなことを考えていくと、いろいろなところでどこまでそれを対象にするのかというのは、常に時代の流れと共に考え続けていかなくちゃいけないわけですから。

一度導入されたらそれでOKってことではない、それは三輪さんのおっしゃるとおりだと思うんですが、そこからその都度その都度どういうふうに、枠組み自体も変えていくことができるのかどうなのかということですよね。

三輪:そうですね。入っていかなきゃいけないと思います。

武田:イギリスもその1986年に導入をされて、まあ40年近く、40年経っているわけですけれども、それでもまだ当然いろんなところに問題が生じるわけですもんね。

三輪:もちろんです。だからこれでパーフェクトな制度って最初からできるわけじゃないんで、不断の努力で変えていかなきゃいけないなというお話でした。

西村:このコーナーはPodcastQRでも配信しています。ぜひチェックしてください。ラジマガコラム『記子の気になる日本のほぉ~』でした。

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