お知らせ
お知らせ
CLOSE

マライの気になる世界のアレ!(全5記事)

米移民局ICEが「殺人集団」に? 日本人画家の絵を無断使用&市民射殺の衝撃…トランプ政権下で起きていること [1/2]

【3行要約】
・米国移民・関税執行局(ICE)の実態と問題点――トランプ政権下で予算10倍、人員120%増の大拡張を遂げる一方で、ミネアポリスでは殺害事件が相次いでいます。
・ マライ・メントライン氏によれば、ICEは2003年の9.11テロ後に設立され、トランプ政権下で権限が強化。
・ 組織の「イキり」と余裕のなさが悲劇を招き、トップが正当化する構造が今後も同様の事件を引き起こす懸念があります。

「ICE」とは何か? 米国移民・関税執行局の正体

西村志野氏(以下、西村):ここからは前半レギュラーのラジマガコラム、月曜日はマライ・メントラインさんの『マライの気になる世界のアレ!』。今日はどんなお話でしょうか?

マライ・メントライン氏(以下、マライ):今日はアメリカのICE(アイス)について紹介したいと思います。ICE(アイス)ってわかります?

西村:アイスクリームではないですよね。

マライ:ではないですよね。そんなにハッピーな話じゃないですよね、残念ながらなんですけど。今日は申し訳ないんですけど、またちょっとアメリカとトランプ発のトピックだったりします。

今、すごくニュースにもなっているので。アメリカで理不尽な殺人を行う集団、ICE(アイス)、が話題なんですよね。しかも、ガンガン動画を撮られているのに、そこを止めずに、なぜか人をあやめてしまうという。そんな事件が、また週末に起きたわけなんです。起きている場所は毎回、ミネアポリスなんですよね。

だからまず、ICE(アイス)って何なのか。あと、なんでミネアポリスでそれが起きているのかというのが、たぶんみなさんが気になるということなので、ちょっと調べてきました。

まずICE(アイス)ってそもそも何なのか。ICE(アイス)の正式名称は「米国移民・関税執行局」ということになります。

何をやっている機関かといいますと、移民法関連とか、それこそ名前にある税関とか貿易問題とか、麻薬密輸、人身売買、あと強制送還。そういったタスクを担う機関なわけなんです。

ICE(アイス)が連邦の機関なので、すべての州で捜査とか逮捕が一応できるというのが、まずポイントなわけなんです。一応憲法を守る必要はあるんですけど、州の権限よりもちょっと上にあるというところですね。

ICE(アイス)というのが、また別の機関に所属していて、それは「米国国土安全保障省」というところですね。Department of Homeland Security(DHS)。ホームランドセキュリティ、なんとなく聞いたことがある方もいるんじゃないかなと思うんですけど、そこには属するんですね。だからDHSとICE(アイス)の話を今日したいと思います。

DHSなんですけど、これは現場部隊をいくつか持っているんですよ。まずICE(アイス)を持っていますね。これは移民送還とか関税とかの話なんですけど。あとCBP、国境警備とか、あと空港の入国審査とかね。それは私たちがよく会う人たちだと思うんですけど。

あとTSA、なんか聞いたことがあるかもしれないんですけど、空港保安検査とか。あとFEMA。これはちょっと意外なんですけど、ハリケーンとか洪水、災害担当局なんですね。すごく割と平和っぽい感じがしなくもないかなという気はするんですけど。なんでそこで人が死ぬのかなと気になるわけなんですよ。

このDHS、ホームランドセキュリティとICE(アイス)というのが、ともに2003年に業務を開始しました。これはブッシュ政権のときだったんですけど。もちろん前に移民帰化局とか、あと税関サービスとか、そういったものはあったんですけど、それをちょっと新たに統合していて生まれた機関なんです。

きっかけは、2001年の9月11日の同時多発テロだったわけなんです。そのときのアメリカの危機感がすごくて。もっとこう、移民とか、危険人物とか、外から入ってくるものに対して、特化した部隊を作ったほうがいいんじゃないかなということで、このホームランドセキュリティができたわけなんですよ。

武田砂鉄氏(以下、武田):逆にいうと、そんなに長い歴史があるというわけではないということになるわけですかね。

マライ:ではないですよね。20年ちょいということ。我々からすると、すぐに「あ、2003年ってすぐ昨日だよね」みたいな(笑)。

武田:20年ちょっと前ってことね。

マライ:四半世紀弱みたいな感じではあるんですけど、たしかに新しいものではあるんですよね。ずっと存在していたわけなんですけど、今回のトランプ政権になってから、ICE(アイス)ってけっこう変化したんですよね。

特にトランプ大統領の2期目以降なわけなんです。トランプ大統領は、移民取り締まりとか、あと送還を強化するよということを、わりと就任してからすぐ発言していて、もうそれを開始しているんですね。

今回は例えばなんですけど、学校とか病院とか宗教施設への捜査も可能になったわけなんです。今までそれはなかったみたいです。それに対して反発している州もあるんですね。

例えばカリフォルニア州。もう今年(2026年)の1月1日からの法律で、ICE(アイス)エージェントが学校とか病院に入る場合は、入れるんですけど、一応捜索令状は持たないといけないよという、急遽新たな条例を決めたりとかするわけなんですよね。反発もあるわけなんです。

トランプ政権で予算10倍、人員120%増の大拡張

マライ:じゃあどういうふうにICE(アイス)が今、組織的に強化されているのかということで。まずは予算と人員ですよね。去年成立した「One Big Beautiful Bill Act」。名前もまたすごいんですけど、「Beautiful Bill Act」。何がビューティフルなんだろうという感じなんですけど。

「Beautiful Bill Act」の中では、まずICE(アイス)の予算を、去年は約10億ドルの規模から、2029年までに100億ドルに増加させる枠組みを決めたんですね。だから10倍にしていくよということですね。だからすごく機関としては、メチャクチャ実は予算があるわけなんです。

30億ドルは人員採用とか訓練に使いますよとか、45億ドルは施設拡充に充てるとか、そういったことを言っているんですけど。すでにそこらへんは動き出していてですね。

ICE(アイス)は自ら、今年に入ってから歴史的な人員120パーセント増加を発表しています。だから数でいうと、1万2000人の新規採用を行ったよという、まあそういう感じなんですね。

武田:お金もいっぱい出すぞ、人もいっぱい増えたぞ、どんどんやっていくぞということを高らかに宣言しているわけですよね。

マライ:そういうことなんですよ。

SNSを駆使した「戦時採用」と日本人アーティストの画像無断使用

マライ:で、採用方法がちょっと斬新で興味深かったんですよね、調べていたら。

今までの職員募集は、従来のページでももちろんやるんですけど、それだけじゃなくてSNSでもガンガンやったんですね。TikTok、X、YouTube、Spotify、Snapchat、Huluとか。動画配信サイトとかね。広告が流れるじゃないですか、動画の前とか。そこで動画とかを流しているわけなんですよね。

実はなんですけど、これ調べていたらすごいのが見つかって。今年の1月1日なんですけど、DHS、ホームランドセキュリティが、なんと勝手に日本人アーティストの画像を自分たちの広告に使っちゃったんですよね。それが問題になったんですよね。

我々の原稿にはあるんですけど、アーティストの永井博さんですね。ちょっとシティポップ系のポスターとか絵を作っている方なんですけど。何が写っているかというとビーチですね。アメリカのビーチなのかな。クラシックカーが止まっていて、波がいい感じになっているんですけど。そこに何が書いてあるかというと、「不法移民1億人の強制送還後のアメリカ」。

武田:要するになんかこう、静かな海が戻ってきますよ、みたいな表現に使おうとしているのかな、このイラストをね。

マライ:たぶん。で、なんかクラシックカーなんですよね。50年代のアメリカにやっと戻れる的な。「昔のほうがよかった感」みたいな。画像に関しては、この日本人アーティストのものなんですけど、もちろん文字に関してはホームランドセキュリティが書いているわけで。アーティストの方は、ちょっと困っている感じのツイート(ポスト)を、いまだにアップされているんですね。

「アメリカ国土安全保障省に許可なく絵が使われています。どうしたものか」って。

武田:いや、そりゃ怒るよ、そりゃあ。

マライ:なんか日本人らしい書き方だなとちょっと思ったんですけど。ちょっとやんわり、自分がめちゃ困っていることをアピールされているんですよね。

ということなんですよね。まあだからそういうふうに、いろんなSNSにガンガン広告を打って。それがうまくいったのか、1万2000人の新規採用が叶ったということになっているわけなんですよね。

それ以外も、ICE(アイス)はいろんなマーケティング戦術を使っていて。例えば「ジオフェンシング」という方法を使っているんですね。

武田:ジオフェンシング。

マライ:ジオフェンシングは特定の場所、例えば大学キャンパスとか、アメリカあるあるかもしれないんですけど銃器見本市とか、軍事の基地とか。そこらへんの近くにいる人のスマートフォンに広告を送信することができるものですね。

日本にもたまにあると思うんですけど、JREアプリを入れるとJRの施設の近くで「今クーポンあるよ」みたいな。そういう平和なやつはあるんですけど。これをICE(アイス)が使っているよということになっているんですね。

あとそれだけじゃなくてなんですけど、New Yorkerの記事によると、今後は右派インフルエンサーの力を借りようとはしているらしいんですね。

ちなみに今回のこの広告戦略は、内部の文書では「Wartime Recruitment」、戦時採用になっているらしいんですよね。「今、戦時らしいですね」ということが、New Yorkerの記事に書いてあったんですよね。

まあその成果発表が実はこの間行われていて、1月20日ですね。ちょうどトランプ大統領が就任してから1年が経ったところで、ホームランドセキュリティのホームページでは、トランプ政権になってからの成果発表を行って。

タイトルは「トランプ大統領のもとで、DHSは今年も歴史的な記録を塗り替える1年に」という、宣言しているんですね。なかなかすごいなと思ったんですけど。

これからもすごい年にするんだけど、実は去年もすごかったと。何がすごかったかというと、出国した不法移民の総数は約300万人というふうに書いてあるんですね。そのうちの約220万人が自己送還、セルフ・デポテーション(Self-Deportations)したと。

これは別に強制送還されていないけど、なんとなくアメリカから出ていったのかなという数字なんですけど。それは実は人口調査のデータベースに基づく数字なので、正直どういう理由でアメリカから出ていったのかというのがよくわからないんですよね。だからちょっと統計的にやや問題ありな言い方ではあるんですね。

武田:トランプ政権下でこういう数値が出されたときの信憑性というのは、なかなか素直に信じられないところはありますけどね。

マライ:ちょっとそう、そこはなんかこう調べても、「うーん、どうなのかな」と、ちょっと曖昧な数字だなというのは私の評価ではあるんですね。でもそれとは別に、約67万5000人の強制送還は行えましたと。普通のデポーテーション。

まあそれは本当なんでしょうねという気はするんですね。それをすごく長い記事で紹介されているわけなんです。というのが、DHSのICE(アイス)の話なんですけど。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

すでに会員の方はこちらからログイン

または

名刺アプリ「Eightをご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!

スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ

名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は

デジタル名刺で
ログインまたは会員登録

ボタンをタップするだけで

すぐに記事が読めます!

次ページ: なぜミネアポリスで事件が相次ぐのか

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

この記事をブックマークすると、同じログの新着記事をマイページでお知らせします

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

人気の記事

    新着イベント

      ログミーBusinessに
      記事掲載しませんか?

      イベント・インタビュー・対談 etc.

      “編集しない編集”で、
      スピーカーの「意図をそのまま」お届け!