【3行要約】
・日刊ゲンダイが「チンピラ維新」と報じ続ける中、維新の会は大阪都構想の3度目の投票を目指す動きを見せています。
・プチ鹿島氏は「勝つまでじゃんけん」と批判し、2回の否決結果を尊重しない姿勢を指摘。
・民主主義のプロセスを無視した「表出ろ選挙」という手法に、有権者は疲弊させられる危険性があると警鐘を鳴らしています。
日刊ゲンダイの「チンピラ維新」が連載化した
西村志野氏(以下、西村): ここからは前半レギュラーのラジマガコラム。木曜日はプチ鹿島さんの『プチ鹿島の「朝からタブロイド」』です。今日はどんなお話でしょうか。
プチ鹿島(以下、鹿島): 今日のテーマは「維新しぐさの真骨頂を味わい、考える」というテーマにしました。
先週もちらっと触れたんですが、昨年末のこのラジオマガジンの僕のコーナーや、文春オンラインで連載しているコラムで、日刊ゲンダイというタブロイド紙が維新のことを「チンピラ維新」と書き始めたという記事を紹介しました。
その「チンピラ」というのはどういう意味なのか、ゲンダイの文脈で言うと、連立離脱カードをちらつかせて自民党を脅す手法とか、あと「国保逃れ」などの様子について、ゲンダイが維新をチンピラと呼び始めたと。(そのことを)ラジオで喋ったりコラムで書いたんですよ。
すると、日刊ゲンダイがその後、ほぼ毎日のように「チンピラ維新」と、見出しというかコーナーのように書いているんですよね。
武田砂鉄氏(以下、武田): 今日のチンピラ維新、みたいな書き方をしているんだ。
鹿島:そうです。年明けもこんな感じです。例えば1月6日付。『チンピラ維新 年明け早々、誇大広告は焦りの裏返し』という。新聞に維新が広告を出したんですけど、「それは誇大広告だろう」みたいなツッコミですよね。
7日付。『チンピラ維新 吉村代表やる気満々も、肝心の副首都構想に暗雲』。
10日付。『チンピラ維新 国保逃れ、止まぬ炎上』。
直近だと一昨日ですね。『チンピラ維新ピンチ』って普通に書いてあって。もうチンピラ、チンピラっていう。ある種ちょっと調子づかせてしまったかなと思って。
武田:ああ、もう鹿島さんがね。もうレイアウト的に「チンピラ」ってところまで入っていて、そのあと何続けるかという感じになっていますもんね。
鹿島:昨日一昨日なんか、そのチンピラ記事の上にすごい告知があって。「今度パンダだらけの新聞が読みたい」というので、日刊ゲンダイが『日刊パンダイ』という増刊号を出すっていう。メチャクチャギャップがありませんか?
武田:そうですよね。
西村:(笑)。
鹿島:「こんな時代だからパンダだらけの記事が見たい」というのと、その下には「チンピラ維新ピンチ」って書いてある。
西村:気持ちがついていかないですよね。
武田:これこそタブロイドの振る舞いということですね。
鹿島:なので、もう「チンピラ維新」というのは連載名であり、ジャンルであり、様式美のようになってしまったんですよね。
国保逃れのきっかけは「維新の議員さんもやっている」という勧誘
鹿島:ただ、そうは言っても維新にも責任はあるんじゃないかなということで。年明け、例えば全国紙でも維新のやり方についてどんどん調査報道があって書き始めているんですよ。
これは1月6日の朝日新聞なんですが、『国保逃れ疑う事業主、届いた資料と勧誘』という記事で、今回の国保逃れのきっかけとなった、告発した人に取材しているんです。
その人によると、去年大阪のホテルで開かれた交流会があったんですって。これは個人事業主の方が集まっている会で、その人にスーツ姿の男性が近づいてきて「国保安くなりますよ」という提案をしたと。「怪しそうだな」と思ったら、勧誘側の人が「維新の議員さんもやっていますから問題ないですよ」と言ったと。
実際これ、その人がいろいろ資料を取り寄せたら、コスト削減の提案とか、一般社団法人に理事として名を連ねて、わずかな報酬を得て働いている体裁をとる。そうすると社会保険に切り替えられるよという。
で、誘われた男性は「倫理的にまずそうだし、どう見ても気持ちが悪い」と思って、そのあと自民党の大阪府議に事情説明して問題が表面化したというんですよね。
「違法ではない」で片付ける、維新10年来のキャラクター
鹿島:この構図って、これもラジオマガジンでずっと報じてきましたけど、維新の共同代表である藤田(文武)さんを巡る政治資金の構図にもちょっと似ているんですよね。
あれも「しんぶん赤旗」がきっかけなんですけども、いわゆるポスターやビラの印刷代などの名目で、公設秘書が代表を務める会社に対して公的資金を支出していた。つまり「公金還流の構図だ」と指摘されていましたよね。藤田さんは取材に対して「違法性はない」と説明しているわけですよ。
ここなんですよ、僕が今日これから言いたいポイントというのは。その国保逃れも、その公金還流疑惑というのも、大事なのは新聞各紙も「違法」とは報じてないんですよね。実際違法じゃないですから。だから維新の説明としては「違法ではない」「制度の枠内だ」「ルール上は問題ない」という説明をするんですけども。
今回の国保逃れもそうですけど、最終的に「違法性はない」で片付けるじゃないですか。これって結局、ここ数年どころか10年来の維新のキャラクターを表しているんじゃないかなと思うんですよね。
結果的に制度の隙間を誰よりも早く巧みに使ってきた姿を見せていて、でもそれって表向きには「ほらこんなに合理的でしょ」とか「スピード感でしょ」「コスパがあるでしょ」という、その合理的な維新の訴えとどこか表裏一体だと思うんですよね。逆に言えば「脱法じゃなきゃ何でもやってもいいじゃないか」という。
武田:はいはいはい。
鹿島:でもそれって政治家としてはどうなのかなと思うんですよね。やっぱり倫理観って問われるわけじゃないですか。「脱法じゃなきゃ何でもいいでしょ」というのはどうかな、というのがあったんですけど。
今回まさしくこの政治とカネの面でも、そういう改革よりも抜け道に詳しいという。既得権益を批判しながら、誰よりも抜け穴を突くという。そのなんと言うのかな、「やり手感」というか。「でもいいじゃんこれ、得しているんだから」という。
「勝つまでじゃんけん」の大阪都構想、3度目へ
武田:でもそれが行き着くと、最後には「表出ろよ」ってことになりますからね。
鹿島:それを僕、今回ここ数日のニュースと併せて言いたくて、ここ数日何が出てきたかと言ったら「大阪都構想」「ダブル選」という。「えっ?」と思って。これ何を言っているんだろうと思って。「都構想の信を問うために参院選に合わせて出直し選をする」というのを吉村さんが言い始めて。
「これどういうことだろう?」ということなんですよね。で、毎日新聞とか見ると、「吉村さんはこれまで民主的プロセスについて言ってきたんだが、具体的な言及を避けてきた」。つまりもう1回、もう1回どころか3度目ですよね。
武田:うん。
鹿島:都構想を言うんだったらプロセスが大事だ。どうやら吉村さん的には「今回選挙で掲げることがプロセスなんだよ」という。でもそれさっきの話も言いましたけど、逆じゃないですかっていう。
武田:しかも吉村さんは、もうこの2020年の2度目の住民投票の時に「もうこれはやりません」と。「もうやりませんよ」というふうに言っていたのに、またやるんですからね。「勝つまでじゃんけん」とよく言われがちですけれども、本当にそのとおり、「勝つまでじゃんけん」をし続ける感じになってきますもんね。
選挙結果を尊重しない人が「選挙で決めよう」と言うパラドックス
鹿島:これ、この毎日新聞の記事ではですね、ジャーナリストの吉富有治さんという方が、「吉村氏は2度目の否決後に『政治家として挑戦することはない』と明言しており、今回の判断は矛盾している。自分たちの都合の良いように知事選・市長選を実施している」と言っているわけですよね。
つまり、「もう勝つまでやるんでしょ」という。だから選挙をおもちゃにしているんじゃないかという、そういう批判まで出ているわけですよね。
武田:うん。
鹿島:選挙をおもちゃにするというのはどういう意味かと言ったら、やっぱり議論や説明の代わりに選挙を使っているということですし、自分たちが勝ちやすいタイミング、カタチでやっているという意味ですし。これひとつの争点の白紙委任のように見えますけども、でも選挙ってそうじゃないですよねって。
しかも府知事選とか市長選になればいろいろな議題があるのに、これひとつに絞っちゃっているという。だからこれ、民主主義の逆転みたいな感じになっちゃっているんですよね。
武田:しかも今回この3度目に挑む時に、わりと新聞いろいろ読んでいると、「万博の成功もあり」みたいなことを書いていますけど。それこそここで何度も繰り返し話していますけれども、「じゃああの万博ってただただ成功ってことでよかったのか?」っていうね。
鹿島:そうですよね、それもプロセスも含めてですよね。
武田:うん。
鹿島:都構想、もしあれだったら3回目なんですよね。2015年に否決されている。2020年に否決されて「もう挑戦しない」と。で、今回また選挙に。「いや、表出ろ、選挙で決めようじゃないか」って言うんですけど、僕ここ大事だと思うのが、むしろ逆にこれ「結果を尊重する姿勢が見えない」というのが見えませんか?
つまり「選挙で決めよう」って言うんだけど、2回の選挙結果を尊重しない人たちが「じゃあもう1回選挙やろうよ」って言っている、ものすごくねじれ現象だと思うんですよ。
武田:はいはいはい。
鹿島:だって2回結果出ているのに、「じゃあもう1回選挙で決めよう。選挙の結果尊重しよう」って言っている。
武田:「選挙大事だよ」ってね。
鹿島:「いや、選挙尊重してないじゃん」っていう。だからこのパラドックスというか、訴えってちゃんと聞いたほうがいいよって僕は思うんですけどね。このロジックのおかしさっていうのをね。