お知らせ
お知らせ
CLOSE

Angel to Series A:次のステージへの壁をどう越えるか(全4記事)

会社の成長に遅れるチームをどう動かすか ファウンダー主導のカルチャー設計と“役割基準”の組織づくり [1/2]

【3行要約】
・起業家に求められる「自信」と「顧客理解」のバランスが難しく、多くの日本人起業家は謙虚さから自信を表現できていません。
・嘉陽氏や高宮氏は「今の日本市場はポテンシャルが高く、競争も海外ほど激しくない」と指摘し、チャンスの時期だと強調します。
・起業家は週1回以上顧客と対話し、自信を持って市場に挑むべきです。

前回の記事はこちら

自信とストーリーテリングが起業家の説得力を高める

嘉陽ティファニー氏(以下、嘉陽):直近、海外の投資も始めたこともあって、海外の起業家と会う機会も多いんですけど、やはりみんな、何もできていなくてもめちゃくちゃ自信あるんですよね。その自信の大事さを本当に感じています。

やはり日本人ってすごく謙虚でコンサバで、それが出てくる時があるんですよ。自信を付けて、いい感じにストーリーテリングをするだけで本当に変わる気がするので、健全なFOMO ( Fear Of Missing Out:見逃すことへの恐れ)作りは、すごく大事だなって思いますね。

中村真理氏(以下、中村):確かに。ファウンダーが考え方をしているのかとか、自信とか、組織のカルチャーは競争優位の源泉にけっこうなっていたりもしますよね。

成長に対応するカルチャーは危機感から生まれる

中村:次は、「Angel to Series A」。どんどん成長していくステージなので、変化に強いチーム設計やカルチャー設計みたいな話を進めていければと思います。成長フェーズに入っているのに、なかなかそこにチームが追いついていかないとか、変化を恐れてしまうケースって、けっこうあると思っています。

そんな時に、ファウンダーはどうカルチャー構築を進めていけばいいのか。有安さん、お考えはありますか?

有安伸宏氏(以下、有安):えぇ? 難しい質問ですね。

中村:難しいですか?

有安:会社がうまくいっているかは別として、「もうこのままだと死ぬ」みたいな非常事態モードになっている起業家っているんですよ。例えばEBITが1億円出ている。すばらしい、利益出ているってなっても、(本人は)これは絶対長く続かないと(思っている)。

必ず「こんなに儲かっている」と業界で噂になるし、成長率がこんなに高かったら、参入が入るから、2年後にはめちゃくちゃレッドオーシャンになるという危機感をすごく持っていて、それが社員にも役員にもちゃんと伝わっていて走っている、みたいな会社があって、そういうのはすばらしいなと思います。

「Only the paranoid survive」みたいなマインドがある企業がたまにいて、コロナの時もリモートになったじゃないですか。ガッとみんながリモートになった時も、「有安さん、ヤバい、チャンスです」「うちは全員出社にします」みたいな逆張りをしている会社があって。その会社はその後もすごく伸びていたんですよね。伸びて、上場もしていて、すばらしいなと思いました。そういうノリでやっている起業家が勝つことがけっこう多いと思っています。

顧客とプロダクトを理解する責任は最後までファウンダーにある

中村:確かに。福山さんはどうですか?

福山太郎氏(以下、福山):僕、10年ぐらい起業をしていたんですけど、めちゃめちゃ頭良さそうに見える人が、「経営は、早くいい人を雇って任せたほうがいいんだよ」と言うのを信じて、役員を探して任せた時期があって、もうそれが一番の後悔です。

お客さんの解像度とプロダクトの握りの2つだけは、やはり絶対に任せちゃいけないなと思っています。

中村:必ず代表がやるべき?

福山:そう。じゃあ、具体的に何かというと、お客さんに関しては、少なくとも週一でお客さんに会っていない起業家は、絶対に解像度が低いです。逆に言うと週一でお客さんと会っていれば、解像度がめっちゃ高くて、かつプロダクトのロードマップを決めているから変な方向にぶれないので、そういう組織は結果的に変化にも対応できる。顧客の解像度がないしプロダクトも人任せにしているところは、変化を求められた時に、絶対に対応できないので、プロダクトとお客さんの解像度は絶対手放しちゃいけない。

有安:組織規模に関係なく、ファウンダーが顧客に会うべきだと言っていますか?

福山:プロダクトはできるだけ最後までですね。最近、Airbnbのブライアン・チェスキーですらやって、ファウンダー・モードという言葉ができたぐらいなので、絶対やり続けたほうがいいです。

どんなに忙しくなっても、それは優先度の問題だし、1週間に1社会うのって1時間、2時間しかかからないじゃないですか。1週間に1回会っていれば年間で50社に会えるので、これで解像度がぶれることは絶対ないですね。

有安:これ、めっちゃいい話をしていますね。突然真面目になるセッション。

変化に強いのではなく変化を受け入れられる組織をつくる

中村:高宮さんはどうですか?

高宮慎一氏(以下、高宮):僕は、変化に強い組織は無理だと思っていて、変化に対応して変化できる組織を目指すべきだと思っています。今の福山さんがおっしゃったのは、経営者自らが変化を早く察するために顧客に会いに行って、それをいち早くトップダウンで変化に応じて変化できるようにしろということだと思います。

泣いて馬謖を斬る的なところもあるかもしれないけれど、シードステージから1,000億円、5,000億円になるところまで同じチームでやろうと思うのはたぶん無理です。

事業の成功のためには、どういう機能を備えなきゃいけないかを決めていくことが重要で、「この機能を誰が担当するの?」という視点で埋めていって、場合によってはそこの入れ替えも行う。

「役職を外れたからといって、人格否定もしくは『パフォーマンスを出していないよ』というわけじゃなくて、役割が変わったんだよ」と言って、そこを替えられる組織が強い。

なので、そういうところを許容できる。必ずしもネガティブじゃないという空気を作るカルチャーがけっこう大事なんじゃないかなと思っています。

中村:そうですね。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

すでに会員の方はこちらからログイン

または

名刺アプリ「Eightをご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!

スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ

名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は

デジタル名刺で
ログインまたは会員登録

ボタンをタップするだけで

すぐに記事が読めます!

次ページ: 急成長期こそ採用時のリファレンスチェックが組織を守る

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

この記事をブックマークすると、同じログの新着記事をマイページでお知らせします

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

人気の記事

    新着イベント

      ログミーBusinessに
      記事掲載しませんか?

      イベント・インタビュー・対談 etc.

      “編集しない編集”で、
      スピーカーの「意図をそのまま」お届け!