Angel to Series A:次のステージへの壁をどう越えるか(全4記事)
会社の成長に遅れるチームをどう動かすか ファウンダー主導のカルチャー設計と“役割基準”の組織づくり [2/2]
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急成長期こそ採用時のリファレンスチェックが組織を守る
嘉陽:私も変化については高宮さんと同じ意見です。やはりシードから例えば上場まで付いてこられる人って、一部になってしまうので、そこはしょうがないのかなと思っていますね。
組織というよりかは採用の観点になるんですけど、リファレンスを取らずに採用している会社さんがすごく多いなと思っています。
アーリーステージでメンバーも少なかったり、マネージャークラスで大事なポジションなのにリファレンスを取っていなくて、問題が起きた時に組織がごちゃってしますとか(笑)、降りてほしいけど交渉が難しくて、ちょっと問題になっているという話をすごくよく聞きます。
リファレンスを取ってフラグが立ったけど、良さそうだからそのリスクも踏まえて採用してみようというのはいいと思うんですけど、リファレンスを取ればわかっていたはずのリスクを把握できていないのは、すごくもったいないです。
人の影響はすごく大きいし、ファウンダーさんのマインドシェアもすごく取られるので、そこはぜひみなさんもやってほしいなと思いますね。
中村:組織が急拡大している時って、もうとにかく採用しなきゃ回らないという状態もあるじゃないですか。その場合でもリファレンスはやはり取ったほうがいいんですかね?
嘉陽:私は取ったほうがいいと思いますね。Coralはすごく小さいですけど(笑)、めちゃくちゃリファレンスを取っていますね。
違和感に気づくために顧客との対話を欠かさない
中村:ありがとうございます。ちょっと先ほどの話にも戻って聞きたいことがあるんですけど、とにかく福山さんは顧客に会うとおっしゃっていたじゃないですか。
顧客に会っておけばいいわけじゃないとも思っていて、PMFを達成するには向き合うことも大事だと思うんですけど、何を聞いていればいいんですか? 彼らのペインをとにかく深掘りすればいいのか。具体的に会った時に何を話しているんですか?
福山:もうこれは、会ったらわかります。
中村:わかる?
福山:お客さんと1時間話せば、そのお客さんが自分のプロダクトに満足してくれているか満足していないか、絶対にわかります。
ミシュランのフレンチレストランで、すごくおいしいところは、「最後、アンケートを書いてください」とか言わないじゃないですか。
中村:はいはい。
福山:お客さんの顔とか食べ残していないかとか、表情が弾んでいるかとかで満足しているかどうかがわかる。「これを聞いたらいい」とか「このアンケート、何点だったらいい」というのはもういったん忘れて、とりあえず年間50人会っていれば絶対にわかります。
有安:じゃあ、来週からそれをやろうと思ったら、週何人に会えばいいですか?
福山:最低週1社ですね。できれば2社。100社に会ったら絶対わかります。
有安:なるほど、なるほど。
福山:お客さんに会ったら刺さっていないかわかるんですよね。だけど起業家って、社内にも社外にも友だちにも「めっちゃ絶好調」と言うのが仕事なので。
中村:(笑)。
福山:「ちょっとヤバいな」と思っていても嘘をついて進んじゃう時があるんですよ。でもこれが一番危ない。ヤバいなって違和感があるのに、立ち止まらないとか、株主が成長が何たらかんたらと言ってくるからがんばらなきゃなってやっちゃうと、バケツに穴が開いているところに水を突っ込みながらいくので、絶対に失敗します。
有安:それ、めっちゃいい話ですね。そのとおりですね。
福山:そう。違和感をおぼえたら絶対に立ち止まったほうがいいんです。それを知るためにはお客さんと会わなけばいけないので、絶対に会ったほうがいいです。
顧客との対話と逆算思考こそがブレない経営をつくる
有安:だから最初に僕が言っていたことと通じるんですよ。イベントに出ないほうがいいとか投資家とそんなに会わないほうがいいというのはそこに通じていて、(イベントに行ったり、投資家と会ったりすると)うまくいっているという説明をすることになるんですよね。だから本質からどんどんどんどんずれていく。
あと助成金申請をやっている会社もたくさんあると思うんですけど、僕はあまり良くないなと(思っています)。なぜなら助成金を取ることにシフトしちゃうのね。わりといいセッションになったんじゃないですかね?
中村:確かにそうですね。けっこう金言が多いですね。
有安:同じ話をずっとしています。「顧客と会え」ってずっと言っている。
中村:確かに(笑)。
福山:逆算、逆算、逆算思考。
有安:そうそう、逆算のね。
今こそ挑戦の好機、自信を持って市場と向き合おう
中村:残りもあと数分なので、このセッションを聞いていただいている方に持ち帰っていただきたいことだったり、これは強調しておきたいみたいな、最後に一言ずつメッセージをいただこうかなと思います。ティファニーさんからお願いしてもいいですか?
嘉陽:今日本のマーケットってすごくポテンシャルがあると思っていますし、タイミングもすごくいいですし、海外に比べて競争もぜんぜん激しくないですし、AI領域で見てもこういう会社があれば投資したいのにという事業もたくさんあるので、とりあえず自信を持ってピッチだったり顧客と向き合いながらがんばっていただきたいなと思っています。
中村:ありがとうございます。
(会場拍手)
規模より本質、自分たちが信じるビジョンを描ききることが重要
高宮:「逆算が大事です。将来どんな大きな絵を描いているか大事です」「ファンドも700億円なので、5,000億円、1兆円目指しましょう!」と言ったんですけど、起業って規模を追求することだけがゴールじゃないし、ビジョンって、何を成し遂げたいかという定性的な話と、どれぐらいの高みにいきたいかという定量的な話と、どういうスタイルでいきたいかという美学みたいな話の3つのベン図の真ん中だと思うんですよ。
スタートアップ界隈に行くと、「いっぱい調達して、ユニコーン、デカコーンを目指すのが偉いんだ」みたいな風潮になっちゃうんですけれども、自分たちが本当に腹落ちしていて、めちゃめちゃそれを目指してやっていくんだと決まっていれば、その風潮に乗る必要もないし、風潮と外れても突き進めばいいと思っています。
シード調達にしてもA調達にしても、それってゴールを達成する手段にしか過ぎないので、自分たちが信じるゴールをちゃんと腹落ちして設定してください。そこで、大振りして1兆円を目指すんだったらぜひグロービス・キャピタルに来てくださいという感じです。
(会場拍手)
売上を伸ばす鍵は、熱い顧客との対話とシンプルな伝え方
福山:投資家って簡単なことを難しく言うのが仕事なので、すごくいろいろなことを言っていますけど、ぶっちゃけ1年で売上が1億円から10億円に伸びていたら、もう絶対投資家からオファーが殺到します。
それだけ伸びている会社をどう作るかというと、やはりお客さんの熱がないと基本的に売上は伸びないので、やはりお客さんとちゃんと話して、話の回答が短ければ絶対なんとかなります。というわけでよろしくお願いします。
中村:わかりやすい。ありがとうございます。
(会場拍手)
有安:短い。すばらしい。有言実行。
起業はそれだけで尊い挑戦、あとは顧客と会い続けるだけ
中村:(笑)。じゃあ、最後、トリをお任せします。
福山:短くておもしろいやつをお願いします。
有安:あぁ、最後、長くてもいいかな(笑)?
中村:トリで(笑)。
有安:そうですね。僕も10年シード投資をやっているので、たぶん4,000人とか5,000人とかの起業家の方と会っているんですけど、やはりテーマを決めるのって大変ですよね。
中村:確かに。
有安:なので、僕、最近のマインドとして、PMFしているとか伸びているとかは別で、起業した時点でけっこう偉いなと本当に思っています。起業している方は、何らかのテーマを人生の中で選び取って、そこに貴重な時間をぶっ込んでいるということで、それは本当にすばらしいことなので、そこには誇りを持ってもらいたいなと思います。
そして、もちろん事業を成長させたいと全員が考えていると思います。今日のセッションでの私の発言をまとめると、「顧客と会え」みたいな話がすごく多かったのですが、これはおそらく日本だけではなくて、サンフランシスコでも言われているし、太郎さん(福山太郎氏)がいたY Combinatorでも散々言われていることなので、教科書的な指針として良いと思います。
このセッションを聴いてくださった方が、自社のプロダクトの顧客と会う時間が増えたとしたら、それは、多かれ少なかれ事業の成功確率を高めていることにつながるので、そうすると登壇者の僕らもとってもうれしいです。
中村:ありがとうございます。ぜひみなさん、お客さんと会ってください。
(会場拍手)
中村:あらためまして、登壇者のみなさまに拍手をお願いいたします。ありがとうございました!
(会場拍手)
有安:ありがとうございました。
高宮:ありがとうございました。
中村:ありがとうございます。 続きを読むには会員登録
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