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Angel to Series A:次のステージへの壁をどう越えるか(全4記事)

優秀な起業家の条件は「話が短い」か「話がおもしろい」 投資家を動かす対話と機能発想の組織づくり

【3行要約】
・福山太郎氏は「優秀な起業家は話が短いか話がおもしろい」と述べ、投資家・採用・営業の30分面談で質問数と密度を最大化できる力が重要だと強調しました。
・高宮慎一氏はチーム設計を役職ではなく将来から逆算した機能で考えるべきだと述べ、成功に不可欠な機能を早期に内製しキーパーソンを配置する必要があると指摘しました。
・有安伸宏氏は起業家は投資家よりユーザーを見るべきだと説き、投資家の助言は活用しつつも仮説検証に集中し、投資家コミュニケーションをマーケ的に設計する姿勢が有効だと述べました。

前回の記事はこちら

優秀な起業家は「話が短い」か「話がおもしろい」

中村真理氏(以下、中村):福山さんはどうですか? ご自身も起業されていたわけじゃないですか。

福山太郎氏(以下、福山):優秀な起業家に投資したほうがいいって、みんな言うんですけど。

中村:はい、そうですね。

福山:じゃあ、それは何ぞやというのを、僕は最近ついに見つけたんです。

中村:おぉ、知りたい(笑)。すごい、解答が来た。

有安伸宏氏(以下、有安):聞きたい。聞きたい。

福山:これはまだ本邦初公開で検証もできていないので、間違っていたら教えてほしいんですけども。

中村:(笑)。

有安:なんかさっきから話法が全部同じじゃない?

(会場笑)

有安:「終止符を打ちます」とか、大丈夫ですか?

福山:いいですか、2つです。2つ。

高宮慎一氏(以下、高宮):アメリカの情報商材みたいな(笑)。

有安:そうそう(笑)。やはりね、米国仕込みだから。

福山:話が短いか、話がおもしろいかの、このどっちにも当てはまる起業家は……。

有安:あぁ、すごくメジャラブルですね。

中村:どっちも大事?

福山:基本的にはやはり話が短いほうがいいですね。唯一の例外として、話が長くてもおもしろい人だったら引き込まれるからOK。

有安:おもしろい。

福山:話が短い、早い人がいいというのには理由があります。例えばこれから投資家との打ち合わせが30分あるとか、採用面接が30分あるとか、営業が30分あるという時に、1回の回答に10分かかると3個しか聞けないけど、1回の回答が1分だったら30個聞けるじゃないですか。

中村:確かに。

福山:だから起業家人生の中で、回答を的確に短くできるというのはめちゃめちゃ大事なんじゃないかというのが最近の僕の仮説です。

有安:めっちゃいい話ですね。

福山:ありがとうございます。

有安:今後来る起業家はめちゃくちゃ話が短くなりますよ(笑)。

福山:いや、そっちのほうがすごくうれしいけどなぁ(笑)。

中村:確かに(笑)。YesかNoでしか答えない。

高宮:短すぎて何を言っているのかわからないとか(笑)

福山:(笑)。それはダメですよ。それはダメだけど。

中村:(笑)。

高宮:今の話で言うと、たぶん僕は福山さんに投資してもらえないんですけど。

福山:(高宮さんの)話はおもしろいですよ。

高宮:長いのは否定しない(笑)。

(会場笑)

チーム設計は「役職」ではなく「機能」から逆算せよ

高宮:福山さんを見習って、話法を統一しようと思います。さっきのチームの話に戻ると、全部将来から逆引き、とにかく逆引きしてほしいです。

結局(シリーズ)Aでどういうチームが必要ですかという時に、「役職でCTO、CMO、CPOが埋まっていますか?」というのが大事なんじゃなくて、「将来描いている事業の完成形に向けてどういう機能が必要ですか?」「業界で勝つためのキーサクセスファクター(Key Success Factor:成功の秘訣)が何ですか?」から逆引きした時に、「絶対内製で早いタイミングから備えていなきゃいけない機能って何ですか?」というのが大事です。役職ベースじゃなくて機能ベースでチームを設計することがすごく大事。

例えば、めちゃくちゃプロダクトドリブンな事業、成功要因なのに、PdMも含めて外注していますだったら、絶対うまくいかない。

中村:はいはい、確かに。

高宮:めちゃめちゃ営業ゴリゴリの事業モデルなのに、営業のキーマンまだいませんだとつらい。「この事業を成功するために一番大事な機能は何ですか?」に対して、そこのキーパーソンをちゃんとそろえていることが、すごく(シリーズ)Aでは大事です。

もちろん(シリーズ)Aなので、コンプリートで全部のマスが埋まっていなくてもいいんですけど、本当に大事なところは埋まっていることと、やはりワントップ、社長1人だけみたいなのだとつらい……(自分の話)長い? 長い?

有安:今、長いって言っていました。

中村:喧嘩しないでください(笑)。

有安:先輩だぞ。太郎、先輩にやめろ。

高宮:僕、投資断られたかな(笑)?

有安:(笑)。

戦略は投資家よりもユーザーを見ながら磨く

中村:ありがとうございます(笑)。最初はCEOが全部やっていくじゃないですか。そこから役割を移していくとか権限委譲するって、けっこう難しいと思うんですよね。起業家自身が成長していかないといけない部分もあると思っていて、有安さんとかは次のラウンドのピッチの面談とかに同席するとお聞きしました。けっこうハンズオンでファイナンスしていくって。

有安:そうですね。

中村:具体的に何を言っているんですか?

有安:資金調達の時に?

中村:そうですね。

有安:うーん。やはり僕は起業家はユーザーを見るべきだと思っていて、投資家に向き始めると間違った方向にいくと思っているんですね。なので、投資家のインサイトとか、どういう会社だと出資を受けられるかというのは基本的には二の次でいいと思っています。

もしエンジェルとかシードVCから出資を受けていたら、その人を使い倒して、その人に一生懸命インプットをもらって、戦略を投資家向けにアジャストすればいいかなと思っている派ですね。

複雑な事業は言語化より仮説検証に向き合うことが大切

中村:そこにおいて、VCとの壁打ちは必要という考えなんですかね?

有安:VCの人が何を考えているのかを理解するという意味では必要ですね。でもたぶんそれは、メディアの人たちがどういう打ち出しをしたら広報的に取り上げてくれるのかというのと同じで、それぞれのメディアインサイトがあり、インベスターのインサイトがあり、求職者のインサイトがあるみたいな感じなので、それぞれ理解するのは大事なんですけど。コアは……。

福山:質問していいですか?

有安:ちょっと、今話している途中なんですけど。今いいところだった……長い? 長い? 長いのに厳しい!

福山:待てない、待てない。尺が決まっているから待てないの!

高宮:めっちゃせっかちなだけじゃないですか(笑)。

有安:めちゃめちゃせっかちだね。これだからシリコンバレー帰りは。

福山:はい、じゃあ、続けてください。

有安:何を話していたか忘れちゃった。

福山:100人の投資家がいて、壁打ちとか言うじゃないですか。でもぶっちゃけ100人いたら、そのうちの何人がいい答えをくれるいい投資家なんですか?

有安:僕は7人ぐらいだと思いますね。僕も起業家時代はそうだったんですけど、話すと気持ちいいんですよね。いろいろ俯瞰してもらえるし。ですが、僕はあまりお勧めしていないです。取材を受けるのも良くないと思っている。自分の複雑な事業を説明しちゃうからです。

言語化の過程で複雑な事業を単純化して伝えようとするのは良くないことだと思っているので、複雑なものを複雑な状態のまま一生懸命PMF、価値があるものに変換していく。そのための実験、仮説検証を繰り返すというのが最初の頃のすごく地味な取り組みなので、そのモードに入っているのをあえてノイズを入れて崩すのはすごく僕はもったいないなと思っています。

起業家は投資家の声より自分の直感を信じていい

有安:太郎さん(福山太郎氏)はそのへんどうですか。

福山:そうですね(笑)。

高宮:あっ、短い。

(会場笑)

有安:短い。なるほどね。

福山:僕はもうすべての投資家の方々にリスペクトがあるので、みなさんからインプットを受けたいタイプなんですけど、100人中7人って少ないですね。

有安:そうですね。

高宮:7人だったら今バイネームで言えちゃうんじゃないですか?

有安:ちょっと、やめて(笑)。

中村:誰がお勧めか(笑)。

福山:でも、特定の分野にすごく詳しいか、実際そのエリアで経験がない人たちからすると、やはり投資先が10社、20社いる中で、起業家が四六時中考えているより高い解像度を与えることは基本的にできないですよね。なので、起業家は自分のガット・フィーリング(直感)をもっと信じてもいいんじゃないかなと思います。

投資家やメディアはうまく活用してこそ意味がある

有安:あと、顧客と会ったほうがいいですよね。顧客と飲みに行くとかに時間を使うべきだと僕は思っています。

高宮:今の話、シードから(シリーズ)Aにバトンをもらう側の立場からすると、めちゃくちゃそうだと思うんですよ。本質的な話で言うと、「自分の事業のキーサクセスファクターを理解して、どこにリソースを投入すべきか。そこに経営者は集中すべきです」「それをシンプルにマーケティング文句として説明できるようになるべきです」というのはそのとおりだと思っています。

2個目の、メディアにしても投資家にしても全部マーケティングだというのもそのとおりだと思っていて、僕は「R」が付く活動って、全部マーケティングだと思っているんですよ。

中村:「R」?

高宮:CRMのカスタマー・リレーションズとか、IRのインベスター・リレーションズとか。

中村:あぁ、そうですね。

高宮:リレーションシップマネジメントって、マーケティング文句にストーリーを作って相手に刺さるようにコミュニケーションするのが本質だから、そこの本質は変わらないんだけど、相手に応じてマーケティングのチューニングをちょっとするという活動が2つ必要です。

有安さんみたいなハンズオンでやるシードの投資家が付いていない不慣れな起業家だと、「ボトムアップで始まった時0だったのが、今10になっています。0から10、すごいでしょ?」みたいな説明をしがちで、そうすると「10の先、100なの? 1,000なの?」みたいなのがわからない。

「その10に何の意味があるの?」みたいなのがわからないので、そこに対してちゃんと投資家向けにメッセージをパッケージングするのは大事なのかなと思っています。

中村:そこは、1番既存投資家をレバレッジかけて使えるポイントでもありますもんね。

高宮:そう、投資家は使いようなので、シード期であってもA以降であっても、めちゃめちゃ使えるところで使うべきです。気持ち良くなって余計なことを言ってきたら、話半分で聞いて無視すればいい(笑)。

中村:はいはい(笑)。

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