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#3 コンテンツ制作に不可欠な「耕す」という視点(全2記事)

“描きたい”を支える仕組みづくり 「ジャンプ+」が作家と築いてきた信頼と挑戦の10年

【3行要約】
・「ジャンプ+」は、報酬の透明化などを通じて、作家が安心して創作できる環境を整備しています。
・「ジャンプ+」編集長の籾山悠太氏が、作家と編集者が長期的な信頼関係を築きながら、作品づくりに伴走してきた10年について語りました。
・紙とデジタルを横断しながら編集部が連携し、新人発掘や作家の成長を支える体制が明かされました。

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作家が安心して描ける環境づくり

冨山雄一氏(以下、冨山):2019年とかに、「ジャンプ+」は、漫画家さんにどれくらいちゃんとお金が入ってくるかを開示したと思います。ラジオでいうとあれはギャラを開示するようなものなのですが、収益を開示したのはどういう理由からなんですか?

籾山悠太氏(以下、籾山):「ジャンプ+」も『週刊少年ジャンプ』もそうなんですが、漫画家さんが安心して漫画を描き続けられるように、原稿料や印税をできるだけお支払いしたいと思っています。

冨山:「ジャンプ+」に持ち込めば、漫画家としてこういうキャリアプランが描けるみたいなところが、ちゃんと「出してるなぁ」という感じがしたんですよね。

籾山:そうですね。けっこうブラックボックスになっているところもあるし、ここ5年、10年、漫画アプリが増える中で、漫画を発表する場所がたくさん増えていて、お支払いするルールも本当に千差万別なので、「どうなんだろう?」と、心配をする作家さんもきっといるんじゃないかなと(思ったんです)。

「ジャンプ+」として、1番大事な作家さんに「こういうふうにお支払いしています」とオープンにすることで、安心もしてもらいたいと思います。できれば「ジャンプ+」に、才能のある作家さんがたくさん来てほしいなという思いもありますが、そういうことで発表しました。

『週刊少年ジャンプ』との関係性

冨山:『週刊少年ジャンプ』の紙のほうへの持ち込みもあると思いますが、そのあたりの棲み分けはどうなっているんですか?

籾山:今は『週刊少年ジャンプ』と「ジャンプ+」の編集部は、半分ぐらい同じ編集部という感じなんです。

冨山:あぁ、そうなんですね。

籾山:『週刊少年ジャンプ』の編集者、「ジャンプ+」の編集者、それぞれに編集者がいます。どちらの媒体、雑誌を目指すかによって持ち込む場所も違います。

もともと11年前に「ジャンプ+」を始めた時に、あまりにも別にしちゃうと、ケンカしちゃうかもしれないという懸念もありました。とはいえ、一緒にしても「ジャンプ+」の専任のスタッフがいないと、新しいメディアがなかなか盛り上がらないだろうということで、半分ぐらい一緒にしています。

なので『週刊少年ジャンプ』の担当編集者がついている作家さんが、「ジャンプ+」に漫画を連載することもできるし、「ジャンプ+」の担当と作家さんのコンビが『週刊少年ジャンプ』に連載することもできます。そこは行き来ができるけど、それぞれに編集者がいるみたいな感じになっていますね。なので最近はちょっとした緊張感がありますね。

1人の作家さんに両方の担当編集がいるケースもあるので、良くも悪くもライバル関係みたいな感じになってきていますね。

新しい視点と気づき

入江:冨山さんの本には、そういった才能発掘みたいな、「新しい若い世代を」というところには、課題がちょっとあるというお話が書いてありました。

冨山:そうですね。ラジオの場合だと、ディレクターやプロデューサーの「この人にしゃべってもらいたいな」みたいなところから、地上波のラジオの特番になるケースが多かったりします。社内にももちろん、『オールナイトニッポンPODCAST』みたいな、デジタルのオリジナルコンテンツがあるんですけど。

今お話ししていただいたような、それぞれの専任というよりも、もうちょっとパキッと部署も含めて割れちゃっているので、もう少し融合できたほうが可能性が広がるのかなと、今聞いてまさに思ったところですね。

籾山:「ジャンプ+」だと、新しい作家さんは比較的読み切りというかたちで試すことも多いのですが、『オールナイトニッポン』だったり、ニッポン放送全体の中で新しいパーソナリティの方が1回特番をやってみる場所ってあるんですか?

冨山:具体的に言っちゃうと、金曜日の24時からの『オールナイトニッポンX』とか、オードリーさんの後ろにある土曜日の27時という深い時間の『オールナイトニッポン0』があります。だいたいレギュラーになる方は先にそこでトライアルをしています。

籾山:なるほど。

冨山:変な言い方ですが、反響は見るんですけど1週間で聞けなくなってしまうんですよね。それでいうと「Podcastはいいなぁ」と思いつつ、ラジオの今の1番強いところは、生放送で、リアルタイムでオープニングトークをしゃべったら、リスナーがそれにウケて、リアクションメールが来て、ドライブ感を持って作っていくみたいなところで、Podcastって、どちらかというとストック型というか、収録したものをあとからいつでも聞いてもらうという便利なかたちです。

でも、「じゃあPodcastで生配信をすればいいんだ」と、今ちょっとお話を聞いていて(思いつきました)(笑)。別にPodcastだから絶対に収録じゃないといけないという決まりはないので、生放送っぽく生配信して、それでPodcastにすれば、ラジオの特番と同じような位置づけにできるなぁと。けっこう固定観念に固まっていたなと思いました。

入江:確かにそうですよね。長くやっていらっしゃる方だからこそ「こういうもの!」というのがありますが、今回お二人で話したことで、お互いに新しい視点が生まれたかなと思います。聞いていらっしゃる方もおそらく「あぁ、そういうのもあるのかぁ」って、新しい気づきがあったのではないかなと思います。

それぞれの本の紹介

入江:すごくおもしろくて、まだまだ聞きたいのですが、そろそろお時間なので最後にお二人からお知らせなどがございましたら、お願いいたします。じゃあ籾山さん、ございますか?

籾山:『王者の挑戦 「少年ジャンプ+」の10年戦記』という、てれびのスキマ、戸部田(誠)さんから「ジャンプ+」の10年間を取材していただいた本が発売したばかりです。今日お話しさせていただいた話も入っているのですが、「ジャンプ+」に少し興味を持っていただいた方がいたら、ぜひ読んでいただけたらうれしいです。

冨山:籾山さんは、10年間ずっと「ジャンプ+」編集部ということですか?

籾山:そうですね、最初から。この「ジャンプ+」を作るまでに2、3年ぐらい準備もあったので、そこからずっとやっていて、ちょうどそのあたりから10年目まで、(本には)ずっと入っていますね(笑)。

冨山:そうですよね。

籾山:はい。

入江:冨山さんは?

冨山:僕は今日何回かご紹介いただいたんですけど、クロスメディア・パブリッシングさんから『今、ラジオ全盛期。』という本が出ております。しかもなんと、どちらの本も帯を佐久間宣行さんが書いていらっしゃるという(笑)。

籾山:(笑)。

入江:そうですね(笑)。ちょうど目の前に並んでいるんですけれども。

冨山:そういう共通点がありますし。僕も『王者の挑戦 「少年ジャンプ+」の10年戦記』を読ませていただく中で「共有点が多いなぁ」と思ったので、ぜひ併せて読んでいただければと思います。

入江:2冊とも、みなさんに読んでいただいて。学びながら、楽しんでいただければと思います。この番組では、感想を寄せていただこうかなと思いまして。Xで、ハッシュタグ「混沌前夜」。漢字で混沌と、前の夜というので前夜。付けて投稿していただけるとうれしいです。初めての試みなので(笑)。「コメントが来るのかなぁ」という心配もちょっとあるんですけれども。

お二人の力というか「お二人のお話のおもしろさで来るんじゃないのかな?」と思うので、よかったらコメントを書いていただけたらいいなと思います。

次回の予定は、今のところ決まっていないんですけれども(笑)。また、どこかの夜でお会いできればと思います。今回はお二人、本当にありがとうございました。

冨山:ありがとうございました。

籾山:ありがとうございました。

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