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【テレビの企画力×データ分析力】元ダウンタウンDXプロデューサ西田二郎氏と語るYouTubeの未来(全6記事)

YouTubeがテレビ化して長尺動画が増えている理由 元『ダウンタウンDX』Pが語る、視聴環境の変化 [2/2]

スピード感と制作予算について

庄野:制作体制ですけど、まぁ、テレビのほうが当然ですけど(作業する)人間はかかりますよね。

西田:だからたぶんあれでしょ? 編集とか、仕上げていくところが、テレビとはまったくぜんぜん仕組みが違っていて。やはりYouTube側は、もう一気に(作っています)。

要はディレクターが編集もするし、編集する人がすべて。2人、3人でギュッとやるとしたら、テレビの場合はディレクターが編集で白(シロ)という、文字を入れる前まで作っておくけど。そこからは、いわゆる編集室で加工して。

その人が、どちらかというとレギュラーでできる人もおるけど、時々の方もいらっしゃる場合は編集室というところがある。そこで整音といって音楽を入れたりするし。ものすごくたくさんの工程を経て、最終的に放送になりますから。だから、そことYouTubeは、なんかできたら出せるというのは、ぜんぜん違うと思う。

庄野:だからスピード感でいうと、直前の予算と納期のところにもかかるかなと思うんですけど。まぁ、スピード感はYouTubeのほうが圧倒的に速いですよね。だから、速く出したほうがいいことは、YouTubeは得意かもしれない。

西田:まぁテレビでもやれんねんで? 素のままドーンと出したらいいとかもするわけやから、決してテレビが遅いというわけではなかったりするねんけど。要は、小回りが効くわな。

庄野:小回り。

西田:うん。YouTubeは、それをキュって変えられるやろ? だからそういった意味では何回でもいろんなものをリトライしながら、要は「ああちゃうか?」「こうちゃうか?」という答えを探していけるところもあると思う。

庄野:小回りが利くのがYouTubeということで、テレビとの共通点は別にテレビだって遅いわけじゃないよ? と思っているんですね。

西田:うん。そう思ってるよ。

コネクテッドTVで変化した視聴態度

庄野:視聴態度(について)。

西田:これやんか。これはコネクテッドTVが出たことによって、大きくYouTubeの見られ方が変わったと、俺は見とるな。

庄野:「見とるな」(笑)。見とりますか。

西田:あれよ? ホンマかどうかは別よ。たぶんもともとスマホとか、パソコンで見るのは、わりと積極視聴というかたちで、見ようと思うから見る方が多かったと思うんやけど。このテレビの大きいモニターが持っている意味って何かというと、積極的に見る箱では、実はないねん。

これが大きくドーンッと流した瞬間にどうなるかと言うと、リビングでワーッとちょっと洗い物をしてみたりとか。要は家庭の生活の動線の中にモニターがドンッと出ることになるやんか。だから、今見たみたいにYouTubeがコネクテッドTVで見られているということは、よりテレビに近い積極視聴じゃなく、もうレコメンドでずーっと流れてんねん。旅の動画だったら、どこかに行って何かやりました。次に勝手にポンッと。

庄野:関連動画が。

西田:関連動画が上がってくるけど、別にええがなみたいな。2時間ぐらいずっと旅のやつが延々と、ダラダラまわっていたらええからと思うから。あれは何ですか? ある人のチャンネルの中で1つのブロックが。

庄野:再生リストですか?

西田:再生リストみたいなところをポンッと押したら、ずっと流れんやから。

庄野:やってくれる。

西田:だから音楽でもそうでしょ? 音楽とかでも再生リストみたいなのがあったらさ、ずっとミセス(Mrs. GREEN APPLE)ばかり流れるんやろ?

(会場笑)

庄野:はい。ミセスがずっと流れてます。

西田:ミセス、ミセス、ミセス、ミセス……。やろ?

庄野:はい(笑)。

(会場笑)

西田:それでミセス、ミセス、ミセスって、そういうわけやろ?

庄野:ミス花子は来ないですね。

西田:(笑)。

2時間かけて1個の饅頭を食べさせるのがテレビ

西田:だからそういうことで言うと、こうやって(積極的に)見ているのとは違って、長時間見るようになればなるほど積極的な視聴は、たぶんなくなってくるねんな。

中川:確かに。

西田:積極的な視聴がなくなってくるということは、積極的な視聴がなくなってもええようなシークエンスの動画が、今度は求められるってなるやん。

中川:まさに最近やはりテレビでの視聴が増えて、長尺の動画がすごく増えているんですよ。90分とか、120分を作っている動画が増えていて、まさに今二郎さんがおっしゃったような、ながら視聴的に、とりあえず付けておく。

西田:これが、やはり実はYouTubeという動画配信の世界が、よりテレビ化していくきっかけになるのよ。

庄野:間違いない。

西田:これ、テレビはダラダラと見てもらうのよ。とにかく長尺を見てもらって、チャンネルを変えられんとこうと。だから「許してね」「許してね」というのがテレビや。

庄野:「お付き合いね」と。

西田:「お付き合いね」「お付き合いね」って。あまり言い過ぎると、ワーッと来ると、もう饅頭を2つ食べたら「もうええわ」みたいなのはあるやん。

庄野:口、パッサパサやん。

(会場笑)

西田:口がパッサパサになるやん。そうなると、もう次はお茶が飲みたいってなって、チャンネルを変えるねん。テレビって意外と、お饅頭があってもちょっとだけ切って「どう?」って言って、「おいしいです。もっと食べたいです」。「わかる! わかるけど、ちょっと待ってな」と言いながらも、2時間かけて1個の饅頭を食べさせるみたいなのがテレビなんです。これは視聴態度が変わってくると思う。ここでやろ!

庄野:はい。二郎さん!

(会場笑)

庄野:だから二郎さんが……。

西田:言うてくれんとあかんやん! ちょっと待って! 俺が自分で言うわけ?

(会場笑)

庄野:わかりました(笑)。僕が気づくのが遅かったかもしれないです。

西田:そうやろ!?

中川:(笑)。

庄野:今のは遅かった。

西田:MC!

庄野:すみませんでした(笑)。

(会場笑)

庄野:もう1回やりましょうか。そこが、二郎さんなんですよ!

西田:いやいや、そんなことないけど。

(会場笑)

西田:やめて、もう「俺が」っていうのもやめてくれよ(笑)。

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