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自分と社会をアップデートするための倫理観と実践 ~クリエイティブ・エシックス~(全3記事)

社会のトレンドをつかむインプット 電通コピーライターが語る、ビジネスにも役立つ映画の見方 [2/2]

女子は5歳を境に大きな夢を抱かなくなる?

なつみっくす:ありがとうございます。この流れで左下の「キミのなりたいものっ展?with Baribe」について、少し解説いただいてもよろしいですか? これ、すごく反響もあったと思いますし、今日のテーマにも直結するお話かなと。

橋口:はい。今、チャット欄に辻愛沙子さんにコメントいただいていますね。辻さん、忙しい中ありがとうございます。この「キミのなりたいものっ展?with Baribe」は、2年前かな(2023年)。

外苑前の伊藤忠本社のすぐ横にITOCHU SDGs STUDIOっていう常設の展示スペースがあるんですよね。そこで定期的にSDGsの展示イベントをやっていて、その一環としてやったのがこの「バービー」の展示になります。

その背景としては、ジェンダー平等はSDGs目標でもあるので、みんな関心は高いんですけれども、調べてみると、5歳ぐらいの頃にジェンダーバイアスができてしまうというデータがあったんですね。実際の学校の成績とは関係なく、女の子は5歳ぐらいで男のほうが賢いと思い出すという調査があって。

例えば漫画の博士とかのキャラクターが中高年の男性だったり、総理大臣とか弁護士とか、そういう職業もだいたい男じゃないですか。子どもたちがそれを見て、「あっ、影響力の強い仕事は男のもんなんだな」と思ってしまって、5歳ぐらいから男のほうが賢いと思うようになると。

実際、ドリームギャップっていう言葉があって、5歳を機に女の子があまり大きい夢を抱かなくなるらしいんですよ。小さい頃は「総理大臣になりたい」とか、「スーパースターになりたい」って言っていた子も、5歳を過ぎると、小ぢんまりとしたことしか言わなくなってしまうらしいんですね。

なのでジェンダー平等っていうのは、経営層に女性を増やそうとかもそうなんですけれども、もっと小さいうちから始めないとダメなんだなって思いまして、バービーをモチーフに展示をやったんです。

なのでここは子どもたちと保護者に来てもらって、親子でジェンダー平等について考えるきっかけにできないかと。

“女の子のおままごと”の常識を変えた、バービーのコンセプト

橋口:バービーのすごいところは、もともと女の子(向けのおもちゃ)といえばおままごと遊びくらいしかなかった時代に、女性が将来大きくなったらどうなるのかをイメージして遊ぶために作られたという背景があって。なので昔から女性の大統領候補のバービーを出したりとか。

あと、バービーのおうち、ドリームハウスってあるじゃないですか。発売された当時って、アメリカでも女性は自分で銀行の口座を開けない時代だったらしいんですよ。そういう時代に、女性だって自立して、結婚していなくても1人で家を建てて生きていけるんだということを言うために作られたらしいんですね。

そういう非常に意識の高いブランドなので、そのバービーと組んで、女の子はもちろん、男の子も男らしさとかじゃなく、自分のなりたいものになろうよということを言いたくてやったのがこの展示ですね。

なつみっくす:ありがとうございます。我々も母親アップデートという団体をやっているので、親のジェンダーバイアスが子どもの可能性を狭めてしまうリスクがあると思っておりました。そういったところに自分自身が気づくのは非常に大事な観点かなと思っていますので、めちゃくちゃ大事な取り組みですね。

橋口:ありがとうございます。

なつみっくす:みなさんもチャットでいろいろコメントをいただいてありがとうございます。

橋口:この年はバービーの映画も公開されて、あれもめちゃくちゃ良かったんですよね。

なつみっくす:そうですよね。橋口さんはアカデミー賞の受賞作を全部見られているとおっしゃっていたじゃないですか?

橋口:はいはい。

なつみっくす:そのお話がすごく印象的で。よく「X」とかにも上げられていると思うんですけど、なぜそういったところに反応を上げられているかも、ちょっとみなさまに共有いただいてもよろしいですか?

アメリカの社会課題が映画に反映されている

橋口:あれは僕が言ったことというよりは、僕が仲良くしている映画解説者の中井圭さんという方がいて、彼に毎年アカデミー賞の受賞作を解説してもらう勉強会をやってもらっているんです。

要はアカデミー賞って、別に一番おもしろい映画が取る賞じゃないんだと。その年アメリカがどういう社会課題と向き合っているかが受賞作品に反映されると言われていて。

『バービー』だったらジェンダーとかですし、『オッペンハイマー』だったら戦争じゃないですか。『オッペンハイマー』の翌年に世界大戦が起きそうになっているので、本当にクリエイターの先を見通す目はすごいなと思うんですけれども。

なので、「アカデミー賞の作品賞にノミネートされるような作品を見れば、今の世界中のクリエイターがどういうことを社会課題として捉えているのかがわかるから、クリエイティブな仕事をしている人は見たほうがいい」って言われたんですよね。

それで毎年、見るようにしているんです。確かにそのとおりで、今は映画って正直、それほど元気はなくて、ヒットする映画ってアニメとか恋愛ものが多くて、洋画ってむちゃくちゃシュリンクしているんですけれども。

“知っておきたい社会課題のトピックが全部入っている”一作

橋口:やはりビジネスパーソンは洋画を見ると学べるところがすごくあって、だいたい値段もビジネス本1冊と同じぐらいじゃないですか。こういう言い方は中井さんに怒られそうですけれども、忙しい社会人が注目されている社会課題を効率良く学ぶためにすごく適したメディアだと思うんですよね。

なので本の中でも、わりと映画や海外ドラマを事例として多く取り上げているのはそういうことですね。広告よりアンテナを高く社会課題を捉える表現なんですね。広告はやはり、半歩遅れるんです。

なつみっくす:なるほど。最近のおすすめの映画とか、これはすごく印象的だったみたいなものってありますか? 

橋口:それこそ今(2025年4月)はアカデミー賞シーズンで、これも日本が良くないのが、アカデミー賞の受賞を待ってから公開するんですよね。3月の発表後に受賞作がバッと公開されるので、はっきり言って、とても見きれないんですよね(笑)。

なつみっくす:(笑)。確かに。

橋口:だから、今はアカデミー受賞作がだいたい劇場でかかっているので、『教皇選挙』とか、あと『ANORA アノーラ』とかもやはりすばらしいですし。

『教皇選挙』であれば、宗教による世界の分断とか、女性が社会で透明化されている問題とか。あの映画によると、カトリック教会って、女性は一切偉くなれないらしいんですよ。

あと、ネタバレになるので言えない要素があるんですけれども、「今の社会でこの問題を知っておかないとまずい」みたいなトピックが全部入っているので、そういう意味だとおすすめですね。

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