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投資のチャンス到来!スタートアップは創造力と情熱の世界(全1記事)

個人金融資産2,000兆円強を動かすスタートアップの可能性 シナモンAIの加治会長が語る、日本スタートアップの現在地

レオス・キャピタルワークス株式会社のYouTubeチャンネル『お金のまなびば!』は、ふだんは語りにくいお金や投資、経済の話について、ひふみシリーズの最高投資責任者の藤野英人氏や、ひふみシリーズのメンバーと一緒に学んでいくチャンネルです。今回は、株式会社シナモン会長兼CSDOの加治慶光氏がゲストに登場。日本スタートアップの現在地やスタートアップ業界における自身の役割
について語ります。

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AIベンチャー「シナモン」の加治慶光氏が登壇

藤野英人氏(以下、藤野):株式会社シナモン(シナモンAI)会長兼CSDO(チーフ・サステナブル・デベロップメント・オフィサー)の加治慶光さんにおいでいただきました。今日はどうもありがとうございます。

加治慶光氏(以下、加治):よろしくお願いします。

ナレーター:加治さんは、銀行や広告会社勤務の後、MBAを取得。飲料メーカー、映画会社、自動車メーカーでマーケティングを担当。東京オリンピック・パラリンピックの招致にも携わりました。そして、世界最大級のコンサルタント会社に勤め、2019年から株式会社シナモンで現在の職に就いています。



藤野:とにかくさまざまな業界でマーケティングや経営戦略に関わっていた経験をお持ちですが、シナモンAIはどのような事業をされているんでしょうか。

加治:2016年に堀田(創)、平野(未来)、家田(佳明)という、当時30代の3人の若者が作った会社なんですけれども。AIOCRと呼ばれる、手書きの書類を読み込むような技術から始まりました。ナチュラル・ランゲージ・プロセッシングっていうNLP(自然言語処理)とか、ASRという音声認識をずーっと蓄えてきて。

今はRAG(ラグ)と呼ばれる生成AIと企業の内部の情報イントラネットをうまくつなげて、より精緻な結果を出すようなテクノロジーに力を入れているところです。

藤野:AIは(これまで)いくつかのブームが来ているわけですけど、今はもう大旋風みたいになっていますよね。

加治:そうですね。例えば計算機やスマートフォンが一般に広がっていったのと同じぐらいの使われ方をしていくと思っているので、まだまだスタートについたばかりだと思っています。

藤野:そうですよね。AIをバブルだとラベリングする人たちは多いようですが(笑)。今まで引っ張ってきたスマートフォンや携帯に(AIの進化のような)わくわくが起きなくなってきていて。このAIの世界には、インターネット初期や、スマホが伸びてきた時のわくわくを明らかに感じますよね。

加治:そうですね。いくばくかの脅威も指摘されていて、ちょっとだけそれも感じながら、圧倒的なわくわく感はあると思いますね。

日本の個人金融資産は2,000兆円強

藤野:会長兼CSDOに就任するまでには、どんな出会いとどんなきっかけが(あったんでしょうか)。

加治:それこそ今日のテーマにもなってくると思うんですが、ベンチャーキャピタルの友人からお声がけいただきました。私が非常にお世話になっている、長い付き合いの方に「相性がいいんじゃないの」と2019年にお声がけいただきまして。もう2週間ぐらいで判断してジョインさせていただきました。

藤野:最初の印象はどうでしたか。

加治:もともと平野さんという創業者を存じ上げてはいたんですけれども、なんといっても、彼女とチームの天才さ、やはり女性であることは、しばらくの間はとても象徴的になるであろうなと。お手伝いできるのにちょうどいいんじゃないかなと思いました。

藤野:これはいつもみなさんに聞いている質問なのですが、加治さんはずばり、お金は好きですか。

加治:大好きです。

藤野:いいですね。ズバッと言っていただいてありがとうございます。お金には、どんなイメージを持っていらっしゃいますか?

加治:私が思うのは、お金があることで、住む場所や選び取る教育であったりとか、人生の選択肢が広がることは、すごくいいことだなと思っています。その意味においては、我々の国はけっこう選択肢は多いんですけれども。そのことにまだ気づいていないのも含めて、日本のこれからの可能性にはすごく注目をしています。

藤野:そうですね、日本って個人金融資産が2,000兆円強もあるんですけど、1,000兆円以上がキャッシュで、実は何も使っていない。銀行とか郵便貯金に預けられているんですが、これがちょっと動くだけでもだいぶ変わると思うんですね。今日はそこらへんが大きなテーマかなと思います。

加治:それこそ藤野さんのお仕事のおかげで、少しずつ日本も変わってきてると思いますけれどもね。

藤野:そうですよね。でもまだまだなんですよ。

スタートアップに惹かれる理由

ナレーター:加治さんはこれまでどのようにスタートアップと関わってきたのでしょうか。

藤野:加治さんはけっこう早い段階からスタートアップに関わっておられて、ビットバレー(構想)の時も参画されていたと聞いています。これはどんな感じだったんですか。

加治:参画していたというよりは、キーパーソンの方たちの周りに漂っていた感じです。積極的にスタートアップを推進しようと思ったのは、日本政府で働いていた2011年から2013年までの時ですね。

藤野:でも、けっこう早いですね。岸田内閣が「スタートアップ元年だ」と言う、かなり前の段階ですね。

加治:そうですね。つかず離れずいろんなスタートアップの方とご一緒していましたし、一緒に会社を作ったりしたのが2008年ぐらいですから。スタートアップにはすごく興味を持っていました。

藤野:どのあたりに興味が湧いたんですか。

加治:やはり何か物事を作り出す情熱みたいなものに触れると、すごく影響を受ける感じがしました。そういう意味で言うと、自分で経営に携わるのは今回が初めてなんですけれども。主に今のシナモンのチームの情熱とか、世界を少しでもより良く変えていきたいという思いに、役に立てればと思っています。



藤野:さっき「いや、僕は漂ってただけだよ」と謙遜して言われていましたが、よく考えてみたら、クリエイティブ、広告、コンサルというのは、支えたりサポートする仕事ですものね。

かつ、ベンチャー企業というのは、何もないところに新たな価値を生み出していくという面で見ればクリエイター的な要素もけっこうあると思います。そういう面で言えばスタートアップが醸し出すクリエイティブマインドみたいなのに惹かれたのかもしれませんね。

加治:本当にそのとおりだと思います。新しいものを生み出そうとする情熱に惹かれました。うちの会社の最初のチームなんかは、本当に全部がスタートアップで。

平野は「私はスタートアップしかしたことがない」とよく言っています。それに対して私は一部なんですけれども、そういう人たちを脇で支えるのが、私なりの役割かなと思っています。

そういう彼らの成長のプロセスとか、経済的にも、社会的インパクトの大きさとかを見てるのがとても楽しいですし。最先端でどんどんアイデアが変わっていくんですよね。

スタートアップ業界の「ヨーダ」のような存在に

加治:我々の会社は、「誰もが新しい未来を描こうと思える社会を作ろう」というパーパスがあります。働き方を効率を良くして、日本の長時間労働をできるだけ変えたいというのが、もともとの会社の趣旨だったんですけれども。

それがこの5年間ぐらいですっかり変わりました。すでに我々が当時描いてた夢は実現されているので、新しい夢を描かなければいけなくなったと。

新しい未来をみんなが描きたいと思うことって、未来に対する希望だと思うんですね。そういうものをクリエイトしていくスピードと情熱が、すごく魅力的に見えます。常に何か新しいものを創造していくことへの飢餓感みたいなものが……。

藤野:ご自身の中にある?

加治:いや私はどちらかというと強いほうではないと思いますけれども、年齢もけっこう経てますので、横で手伝う感じですかね。



例えばGoogleではエリック・シュミットという方が途中で入って、ずいぶん精緻化していったとか、あと、『スター・ウォーズ』で言うとヨーダみたいな感じです。

藤野:スタートアップ業界のヨーダなんですね(笑)。

加治:意識したわけではないですけど。

藤野:ヨーダよりかっこいいですけど、そう言われてみるとヨーダっぽく見えるような感じがしますね。

加治:ハン・ソロと言いたいところですが、ちょっとそこまでではないです。

スタートアップに関わる人へのメッセージ

ナレーター:加治さんからスタートアップに関わる人へのメッセージは?

藤野:
これを聞いている人たちは、実際にスタートアップで働いてる人もいるし、スタートアップを作りたい人もいるし、仲間として働きたいという人もいると思うんですけど。そういう人に、どういう場所だとお伝えしますか?
加治:創造力と情熱が唯一のボトルネックだという感じがします。特に最近は、制度的にも非常に整ってきていますし。それこそ藤野さんの会社も、未上場株を扱えるような制度が整ってきてますので。

創造力と情熱と未来を描く力を発揮できるような世の中になってきた気がしますし。今はとてもいいチャンスが来てるんじゃないかなと思います。

やはりスタートアップがブームだからスタートアップを始めるというよりは、世の中のこういうところを変えたいとか、私が知ってるこの技術でいろんな人の生命が救えるとか。本当に心の底から出てくるような目標を描けるのはすごく原動力になる気がしますね。なんとなくブームだから乗っかろうというのは、確かに危険だと思います。

藤野:そうですね。

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