2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会者:では、戸舘先生お願いします。
戸舘圭之氏(以下、戸舘):弁護士の戸舘です。私は最高裁が上告棄却決定をした1980年に生まれまして、1999年に静岡大学に入学し、そこにいる小川秀世弁護士から袴田事件のことを知って、今日初めて無罪判決を聞いたということで、「被告人は無罪」というのをひで子さんと一緒に聞けたのは、本当に感無量であります。
1つ言いたいのは、マスコミの方で「弁護団が勝利した」とおっしゃっていた方がいますけれども、決して勝ち負けではないんですよ。「再審というのは検察官にとって負けではないんだ」と、ある学者が言いましたけれども。無実の人を救うということは勝ち負けではなくて、裁判官も弁護士も検察官も、共通の目的にしたがって、みんなで一緒に過去の先輩の誤りを是正しなければいけないと。
ですので、今日無罪判決という一定の結論を裁判所が出したということであれば、検察官はどうすれば袴田さんを速やかに自由にできるのか。これまでの過ちを反省できるかということですので。
勝ち負けで考えていたら、確かに検察官が批判されて、検察官の主張が通らなかったら負けと見えるかもしれないんですけれども、決してそういうわけではない。裁判所の判断が出て、袴田さんが無罪であると示されたんだと。
前向きに捉えていけば、検察官がすべきことはただ1つ。控訴をしない。もっと言えば、上訴権を放棄するというかたちで、一日でも早く(無罪を)確定させなければいけないと思っています。
ですので、先週からオンライン署名で「控訴するな」と(言っていました)。「判決が出てもいないのに気が早いんじゃないか」と言う方がいたかもしれませんけれども、そうではなくて、一日も早く確定させる。検察官は公益の代表者でありますので、スコミ等も含めて、みなさんの大きな声で「控訴するのはおかしいんだ」と(言う必要があります)。
検察官上訴自体が不合理であるというのは昔から言われていますけど、この事件に限ってみれば、こんなおかしな話はないと。検察官が控訴することが法的に可能だというのはやはりおかしなことですので、ぜひ大きな声を上げていきたいと。控訴するのは絶対に絶対に許されないんだと、強く訴えていきたいと思います。ありがとうございました。
(会場拍手)
司会者:どうもありがとうございました。
司会者:では水野先生から、一言ずつお願いいたします。
水野:水野です。今日は(無罪の判決が出て)良かったんですけども、これから刑事司法に関わるいろんな問題、取り調べの問題、捜査の問題、証拠は誰のものかという問題。本当にこれをきっかけに、私たちも考えていきたいと思いますし、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。また今後ともよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
司会者:じゃあ、伊藤先生、お願いします。
伊藤修一氏(以下、伊藤):伊藤です。ねつ造に関して、今回裁判所がかなり突っ込んで判断をしたのは良かったじゃないかという方もいるかと思うんですけど。私はひねくれているのか、「これはちょっとやばい」と。私が検事だったら、こういうことをやると、必ず控訴するなと思ってしまうわけです。それで裁判所はどうしたかというと、國井裁判長が「巌さんを自由にするのは裁判所です。私はあなたを無罪としました。このあと長引くかどうかは検事が決めることだ」と、裏で言わんばかりの内容になっているわけですよ。
なので、これから検事が控訴しないようにと、弁護団の活動もそうですけど、マスコミのみなさま方にもお願いしたいところがあって。これは再審のえん罪事件ですよね。死刑に絡む再審は5件目になったわけですけど、再審で無罪が出たのに、検事が控訴しちゃったら前代未聞なんですよ。そんなのは今まで1例もありません。
そういったことも踏まえて、今戸舘先生もおっしゃったように、勝ち負けの問題じゃなくて、間違ったことを正すというのは、法曹だけじゃなくて社会全体の目的ですから。そういった点を踏まえて、今後は活動もしていきたいですし、マスコミのみなさん方、なんとか検事の控訴を阻止することに向けて、ご協力やご助言をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
(会場拍手)
司会者:笹森先生、お願いします。
笹森:今日の判決は「自白調書は供述調書を実質的にねつ造するものだ」と、自白を取ったことをねつ造と言ったところから始めているんですね。それは検察官が一番嫌だったことです。彼らは「自白調書を使わない」と言いましたが、彼ら自身も「これはやばい」(とわかっていた)から使わなかったわけです。
それを傷口に塩を塗るように、こんなひどいことをしたと言って、なおかつ当時の検察官が連携して虚偽調書を取ったと言っていますから、それはどうしようもないことだと思うんですよ。この事実はどんな上に行っても変わらないですし、検察官はもう勝てない控訴はやめていただきたいということです。
それから、今まで袴田さんのお母さんが、共布の重要証人、有罪を立証した人として、確定記録には出ているわけです。今回の判決は、「袴田とも氏の証言は信用できて、端切れはねつ造だ」と言ってくれたわけです。これで、お母さんが巌さんを有罪にするのに手を貸したような確定審の状況を、きちんと直してくれたという意味では、私はとても感動しています。
(会場拍手)
司会者:間先生、最後にあさっての報告を。
間光洋氏(以下、間):じゃあそれだけ申します。告知なんですけれども、今週の日曜日、9月29日13時30分から、静岡の労政会館で判決の報告集会を行います。弁護団は全員ではありませんが、参加して報告いたします。
また、再審法の改正の問題も取り上げまして、鴨志田(祐美)先生と小川秀世先生の対談も予定しております。ぜひご参加いただければと思います。よろしくお願いします。
(会場拍手)
司会者:あとは、加藤先生と伊豆田先生、一言。
伊豆田悦義氏(以下、伊豆田):弁護士の伊豆田です。私から言いたいことは1つですね。今日の判決を、ひで子さんと一緒に聞くことができました。巌さんは残念でしたけれど、もうお一方、西嶋(勝彦)先生とご一緒に聞けなかったのが、私にとっては最大の、今日一番悲しいことでした。
私は2002年に東京から静岡に登録換えして弁護団に入った時に、西嶋先生が主任でいらっしゃって、とにかくこの弁護団は、みなさんの想像どおりだと思うんですけど、まったく一枚岩ではない、言いたいことをとことん言い合う弁護団。
小川先生のねつ造論って、最初に弁護士が聞くと、「え、そんなこと言う人いるの?」というぐらいの話ですし、本当にねつ造論が真正面から取り上げられるようになったのは、第2次再審になってからです。
正直本当にそんな感じで、やはり弁護団の中でもいろいろ議論が対立したり、ばらばらになりそうな時に、常に支えてくださったのは西嶋先生でした。その西嶋先生がいたからこそ、今日の無罪はあると私は思っているので、みなさまにもそのことを共有いただきたいと思いました。ありがとうございます。
(会場拍手)
加藤英典氏(以下、加藤):弁護士の加藤です。今、西嶋先生のお話が出ましたけれども、私もだいぶ西嶋先生にお世話になりましたので、一緒に判決言い渡しを聞きたかったなということと。
今回、再審公判を準備する過程で、確定審ですとか、第2次再審請求審の記録をだいぶあらためて見直す機会がありました。その中で歴代の弁護人の先生方、西嶋先生の前の主任弁護人の先生ですとか。
今から見ると、いろいろと議論はありますが、当時の状況の中で、本当にできる限りのことをずっとやってきていただいたのだと、あらためて確認できましたし、そういった流れの中で、今回の無罪判決にたどり着いたんだと思います。
たまたま私は、本当に弁護団の最後のほうに加わって、今日のような場にいることができましたけれども。この経験や、特に今日の判決ですと、自白の問題ですとか、現在捜査の中で一般的に使われている一人称の供述調書のあり方とか、恐らく今後の刑事裁判に対してかなり影響があるであろう判断がありましたので、こういったことを踏まえて、今後の弁護活動につなげていきたいと思います。
(会場拍手)
司会者:矢澤先生、すみません。お願いします。
矢澤曻治氏(以下、矢澤):最後になると思いますけども。今日は平成5年に最終意見書というものを書かれた本を見ながら、今日の判決を聞いておりました。
第1次再審の時からがんばって、検事上がりの弁護士でしたけど、非常に精力的にこうした問題を取り上げてまいりました。今日は最後に1分ぐらいしかありませんので、みなさんと一緒に西嶋先生の功績に対して、みなさんで拍手をしていただきたいと思います。
司会者:じゃあ、西嶋先生の功績に対して、あらためて弁護団も含めて拍手をしたいと思います。どうもありがとうございます。
(会場拍手)
小川:関係ない話と思われるといけないですけれども。今日実は、私は裁判所を訴えました。なぜかというと、裁判所が判決の要旨を弁護団にはよこさず、マスコミの方だけによこした事実があるんですね。
正確に言えば、弁護団が聞いている間に、マスコミの方にはどんどん渡した。「15部以上渡しているんだから、1部だけコピーして弁護団にもください。うちの事務が取りに行きますから」と言ったら、最初は了解したんですけれども、やはり駄目だということで。
そういう事実があって、私と西澤(美和子)弁護士が訴えました。西澤弁護士はなんで訴えたかというと、今日は出頭できないけれども、早く判決を知りたいと言っているのに、弁護人であるにもかかわらず、マスコミのほうが先にもらって、弁護人である西澤先生はもらえなかったと。
そういう事態は、やはり僕は許せない。本当に『虎に翼』で憲法14条のことを言っているのに、マスコミよりも弁護人を低く扱うなんてとんでもないことですよ。一方で、今回の判決は評価に値しますけれども、やはりこういうことをやる裁判所は許しがたいと私は思っています。これは訴状がありますので、もしも欲しいというマスコミの方はどうぞ。
(会場拍手)
間:一応補足しますが、判決言い渡し後に弁護団はもらえたんですね。時間差があったと。
司会者:判決言い渡し後に弁護団はもらっているんです。ですから、報道機関の方が先に判決内容をご存じなんです。法廷で言われているので、同時と言えば同時ですが、書面は報道関係者のほうが先です。では終わりにいたします。どうもありがとうございました。
(会場拍手)
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