2024.11.25
「能動的サイバー防御」時代の幕開け 重要インフラ企業が知るべき法的課題と脅威インテリジェンス活用戦略
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司会者:では、これで最後にしていただけますか。
記者7:ジャーナリストのアワノです。ひで子さん、今日はおめでとうございます。ズボンの端布を、お母さまだけが1人でいるところを狙って、ねつ造しようとしたところの話をかなりしていました。お母さまのことや対応について思うことはなかったでしょうか?
袴田ひで子氏(以下、袴田):警察が来た時に母親1人だけだったというのは、亡くなった兄が一生懸命言っているんですよ。みなさんに聞かれるたびに、「おふくろが1人の時に来てこうだった」って、母が亡くなってからも言っておりました。
それよりも何よりも、兄は「30年も経てば、警察がわかってくれるかな」と言って亡くなりましたが、30年どころではなく、約60年かかりました。やっとえん罪が晴れたというか、60年かかってやっとわかってもらえたというのは、それこそがんばってきたからだと思います。
それこそ弁護士さんも一生懸命やってくれました。そのおかげでえん罪が晴れたということで、本当に私はうれしく思っております。母のことよりも、亡くなった人のことよりも、生きている人にお礼を申し上げたいと思っております。
(会場笑)
記者7:笹森さんに言われてしまったんですけど、今日聞いていて、確かに(東京高裁の)大善(文男)さんも(静岡地裁の)村山(浩昭)さんも言わなかった、「なぜ5点の衣類をねつ造しようとしたのか」ということを、(今回の裁判では)かなりはっきり言っていたので、僕も驚きました。それについてのご感想をお願いします。
もう1つびっくりしたのは、吉村検事はあそこまでやったかと。普通、裁判所は、非を認めても検察は守ろうとする傾向があると思うんですけど、警察と一緒に警察署に行って、連携して取り調べただけじゃなくて、あの日程で冒頭陳述を変更したのは、もう(ねつ造が)わかっていたからだということまで、堂々と言っていましたよね。
逆にあそこまで言うと、検察は引っ込みがつかなくなってしまうんじゃないかなと懸念もあるんですけど、そのあたりはどうでしょうか? 水野先生、お願いします。
水野智幸氏(以下、水野):まず、吉村検事の関与についてかなり深く認定したのは、やはりそこまで言わないと、説得できなかったということだと思います。それによって検察官は、感情的な反発はもしかしたらあるかもしれないですけども、言っていることは非常にもっともなことですし。
ぜんぜん知らされていないのに5点の衣類が見つかったとしたら、やはり検事としては別の反応をしたんだろうと思いますので、それはそれで、証拠上そういう認定をすることは当然だったかなと思います。
記者7:あと、「なぜそれをやろうとしたか」ということに、あれだけ言及したことについては(どうですか)。
水野:やはり説得性を持たせるためというか、単に論理的に「ねつ造したとしか考えられない」ということだけじゃなくて、今回の再審公判では検察官のほうが、「ねつ造するのは現実的じゃないんだ」という主張をしていましたから、それに対する答えということで、ああいう言及をしたのかなと思いました。
記者7:どうもありがとうございました。
司会者:これから各弁護人に一言ずつ、この再審公判を振り返って語ってもらう予定です。その後は日弁連の会見が控えていますので、いったんそこで終わりにします。ちょっと舞台の模様替えをしますから、その間にもしそれぞれの弁護人に聞きたいことがあれば、お聞きになってください。それでは一言ずつ、まず村崎先生お願いします。
村崎修氏(以下、村崎):まず1つは、先ほど小川さんたちと一緒に、地検の担当の検事2人に会ってきました。その2人は、控訴するかどうかは、「私の立場としては何も言えない」と。もっと上の上司がいるのかどうか知らないけども、担当なのに言えないという態度で、まったく情けないですよ。
何が言いたいかというと、現在進行形でえん罪が作られているということです。この袴田事件の他に、日本ではえん罪が嫌になるぐらいありますよ。それをまったく解決できない。裁判所も裁判官も、検察官も、弁護団の弁護士もそうだし、本当に司法が腐っています。
個々の事件を見れば、いかにでたらめな判決が日本中にまん延しているかと私は思っているんですよ。これは誰の責任かというと……日本は国民主権ということなんです。国民主権というのは、国民が本当に民主主義でやっていかなくちゃいけない。
特にみなさん方、あるいは弁護士もそうですけども、社会を変えていく気概を持たなければ、この国は変わらないですよ。今の裏金問題もそうだけども、そこのところに切り込むことを、ぜひマスコミの方たちにお願いしたいです。
(会場拍手)
村崎:本当にみなさん方のペンの力に懸かっているんですから。弁護団も一生懸命やりますけど、みなさん方も上司とけんかしてでも、「これはこうだ」と言ってください。検察官の情けない態度が、今のこういう堕落した日本になっているんですから。
司会者:あとは順に、再審公判を振り返って一言ずつお願いします。
角替清美氏(以下、角替):弁護人の角替です。今日の判決が無罪でとても良かったと思います。今日も朝から支援者のみなさん、本当にありがとうございます。今日の國井さんの判決は、本当にねつ造にものすごく踏み込んで判断しているところもあれば、正直「いやぁ、まだまだ普通の人の常識って、裁判官に通じないんだな」というところがありました。
具体的には、先ほどから話にも出ている写真なんですけど、例えば写真が色の比較に使えないとか、「あの血痕色ズボンは袴田さんが履けた可能性がある」とか、くり小刀が凶器だとか、裏木戸が通れたとか……。あと、血の付き方。「ステテコにあんなに付いていて、ズボンに付いていないというのは、おかしくないか」という判断とか。
再審請求の高裁の時のように、途中で犯人がズボンを脱いだとまでは書いてなかったですけど。そういうのを聞くと、まだまだ常識を通用させるのは、ハードルが高いんだなと感じました。
ただ、本当に(小川)秀世先生が最初の時に言ったんですけど、弁護人も反省するところがあります。ただ弁護人は何十年も前に反省して、態度を改めて、一生懸命無罪を主張してきました。裁判官は10年前に、村山さんたちの決定を契機に態度を改めて、袴田さんを釈放して自由にしてくれました。
だから今度は、この判決で自分たちの態度を改めるのは、検察官たちの番です。今度は検察官たちが自分の態度を改めて、遅くてもいいですから、ここで控訴を放棄して、袴田さんを本当に一日でも早く自由にしてもらいたいと思っています。
そういうことを今日、検察官に申し入れに行ったんですけど、検察官もここで行動を改めてくれると信じて待ちたいと思います。以上です。ありがとうございます。
(会場拍手)
司会者:じゃあ白山先生、引き続きお話ししてください。
白山聖浩氏(以下、白山):弁護士の白山です。無罪判決が出て良かったというのはもちろん率直に思うんですけど、今まで再審請求審をずっと支えてきた色問題が核にあると思っているんですが、判決を聞いて、録音テープがけっこういい役割を果たしていたのではないかなと、すごく思いました。
録音テープが当時の取調官とか検察官の操作の状況をすごくよく映し出していて、それを直接裁判官に聞いてもらう機会がありました。裁判官がそれを聞いて、「こういう捜査の仕方だったら、ねつ造することもあるかもしれないね」という具体的な思考というか、当時の捜査の状況に思いを馳せてくれたところはあるのかなと。
そういう意味で、もちろん不足だなと思うところもたくさんあったんですけど、そういう録音テープの果たした役割の中で、うまくねつ造を認定してもらえたところ、そこをバックアップして後押ししたところがあるかなと。そういう意味では、本当に再審請求審の中でやった証拠開示が、とても大きな役割を果たしていたんだなと、証拠の力は大きいなと思いました。以上です。
(会場拍手)
司会者:ありがとうございました。
じゃあ、佐野先生、お願いいたします。
佐野雅則氏(以下、佐野):弁護士の佐野と申します。まずは、この58年越しの雪冤(無実の罪であることを明らかにすること)が叶ったことについては、率直にうれしく思っております。ここで1つの区切りは来るわけですけれども、決してこれで終わりではないというところ。この事件を踏まえて、どんな教訓を我々は考えなきゃいけないのかが、今後の課題だと思っております。
問題のある事件が起こって検察のあり方を検証する機会は今までもありましたけれども、今現実に刑事司法は改められているかと振り返れば、まだまだ問題はまったく解決されていないと実感しております。
ですので、この事件を踏まえて、きちんと検察のあり方、警察のあり方、捜査のあり方を検証していく。こういう必要性があると考えておりますので、これからはそういった問題にきちんとみなさんと取り組んでいかなきゃいけない課題だと実感をしております。以上です。
(会場拍手)
司会者:どうもありがとうございました。
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