2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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質問者5:もう1つだけ、ごめんなさい。今回の5点の衣類の写真は、新聞やテレビでも報道されて、それが国民の理解を得るのにすごく役に立ったんじゃないかと思うんですけれども。そういう検察官の持っている開示された証拠の使い方ですよね。
それが今すごく制約をかけられているような状況ですけれども、やはりそういった証拠を国民が共有することについて、小川さんは今どういうふうに考えてらっしゃいますか。
小川秀世氏(以下、小川):今おっしゃった5点の衣類のカラー写真であるとか、それから、よく言われるズボンのサイズについての証拠。「B」という表示がサイズではなくて色の表示だったという問題とかですね。そういう隠されていた重要な証拠があったことは、もうはっきりしていると思うんですね。
ただ今回、その点もちょっと、私としては認定は不満なところではあるんですけれども。私に言わせれば、そういう袴田さんの無実を示すような証拠が隠されること自体が、非常に犯罪に近いような問題だと思っています。
だって、それはそうじゃないですか。もうこの事件は「死刑になるかどうか」という事件で、これ(ねつ造の証拠)が出たら無罪になるかもしれないということがわかっていながら、それを隠しているなんていうのは本当に犯罪的な行為だと私は思っています。
そういう意味では、少なくとも今の通常の裁判で証拠開示が認められているような証拠は、直ちにすべて出さなきゃいけないというのは、当たり前のことだと思っています。その点について即刻、法改正が必要なことだと思います。
(会場拍手)
間光洋氏(以下、間):若干私の思うところを補足させていただきますと、証拠は誰のものかという議論ですね。そういった証拠を今、扱うことに非常に制限があります。目的外使用の規定があるので、こういった再審事件で多くの人に訴えかけるようなものとして、証拠が非常に使いにくいんですね。
そういう法律自体、やはり変えていかなきゃいけない。再審法の改正はもちろんですけれども、証拠の扱いの問題も非常に大きなテーマだと思っています。例えば最近でも、取り調べの録音・録画の様子が証拠として使えないんですね。
刑事裁判で違法な取り調べが行われているような録音・録画データが自由に使えない。そんな制限あるか、って話なんですよね。取り調べられてる人が了承していてもですよ。どんな弊害があるんだという話で、やはりそういう議論もこれから大きくしていかなきゃいけないと思います。
それで、ちょっとだけずれるかもしれませんけど、今回の判決で捜査機関が作る供述調書について、用紙の57ページのあたりで非常に強く批判している部分があるんですね。
これは袴田さんのお母さんの証言供述の信用性の議論のところで少し出てくるんですけど。例えば、今の供述調書は供述内容と供述状況が切り離されているとわからないから、その供述調書自体から信用性を判断することが困難であるとか。
「特に現在において捜査慣行上多用されている一人称の物語風の記載様式の場合、取調官自ら供述者の供述を要約・録取した上、問いと答えが明確に分離されていないものであるから、このような供述調書のみで供述者の原供述がどれだけ正確に表現されているか、取調官の主観によって原供述の取捨選択や解釈に歪曲が混入していないかなどの証拠の信用性に関する評価を行うのは、甚だ困難と言わざるを得ない」。
というかなり強い表現で、供述調書の信用性があるという前提にした検察官の主張を批判してるんですね。さらにもうちょっとだけ言いますと、こうも言ってます。
「検察官のこの調査に関しての信用性の主張は、任意性を確保しつつ、その裏付け捜査等によって十分な証拠の収集・把握に努めて供述を吟味するという、捜査機関が自ら規律する取り調べのあるべき姿にも反しかねない主張だ」。
というふうにまで、強く検察官の考え方、調書の扱い方、取り調べに対しての考え方について批判しているような踏み込んだ内容もあります。これもやはり、今回の判決で注目されるポイントだと思ってます。
司会者:青いシャツの方。その後、こちらの左のほうの方。
質問者6:読売新聞です。2点ありまして、1点目は小川さんにおうかがいします。今回の判決の想定で、もちろん無罪判決は確信していたとは思いますけれども、その幅は広くあったのかなと思います。
3つのねつ造が認定されたことについて、想定の範囲内か想定外か、また具体的に予想外だったことがあれば教えてください。
小川:3つのねつ造というところに関しては、私はある意味、自白にあれほど踏み込んだかたちで認定をされるとは思っていなかったですね。
自白はもともと、検察官が「証拠とはしません」と当初からおっしゃってたところですから、それについて判断するようなことまでいかないのかなと思ってました。
それから、あと5点の衣類に関しては、先ほども言いましたけれども、血痕の色に関して非常に細かく認定しているところは評価してるんですけれども。
ただ例えば、先ほどのカラー写真の問題はもうあっさりと。僕は地裁の再審開始決定で、生地の色が白いものは白い、あるいは緑の色は緑だというところが1つ、「5点の衣類が長期間味噌に漬かっていたものではない」という根拠になってたと思うんですけれども。
そういうところもこの判決では取り上げていないところは、非常に不満ですね。だからそういう意味では、3つの(ねつ造の)ところに関しても、少し問題は感じているところではあります。
質問者6:もう1点。これは小川さんとひで子さんにそれぞれおうかがいしたいのですが、今回の公判においては、袴田巌さんご本人は出廷されませんでした。
事前に心神喪失の状態と判断されて免除されたわけですが、今回の判決を踏まえると、こういう「3つのねつ造」という捜査機関によるねつ造が、帰結として袴田さんがいない状況につながったと思います。その点について、無情さや罪深さなど、思うところがあれば教えてください。
小川:袴田さんが出頭できないというのは、本当に残念なことだったと私は思っています。当たり前ですが、袴田さんの体調はみなさんご承知のように、どんどんどんどん悪くなっています。
そして一方で、精神的な状況はぜんぜん変わらなくて、袴田さんは「健康に気をつけて」とか、あるいは「食べ物に気をつけて」「運動しなきゃいけないよ」という会話自体が成り立っていかないんですね。だから、本当にそういう意味では、袴田さんの状況をなんとかしたいと思っても、なかなかできないというのが率直なところです。
今日の認定に関して、どういうふうに結び付けて話をすればいいのか、僕はよくわからないですけれども。まさに弁護人が強くねつ造を打ち出す前に、袴田さんは取り調べに関しては本当に強い訴えをしていましたし、5点の衣類についても「あれは自分のものではない」「警察のねつ造だ」と、当初から言っていました。
そういうことに関して、袴田さんが本当にきちんとしたかたちで受け止めることができるような状態であれば、本当に良かったなとは思います。
質問者6:ひで子さんはいかがでしょうか。
袴田ひで子氏(以下、袴田):巌は妄想の世界におりますのでね、言葉がしゃべれないんですよ。言いたいことも言えないというか、何か言うけど、もそもそっと言って、何を言っているかわからないんですよ。刑務所の中に48年いたから、そんなふうになっちゃったんです。
袴田:もっと、はっきり物を言う時には言うような人間でしたけど、いつの間にか、48年というものは長い間ですね。私と話もほとんどしません。そういうものを裁判に出したからって、本人の気持ちを伝えられるということじゃないわけね。だから、裁判所でも免除してくれたと思っております。
それで、「裁判はもう終わった」と言って、本人はそういう妄想の世界におります。ですから今、こうしてみなさまとお話ししていることも、ぜんぜん知らないわけなんですよ。
だけどこれは、一区切りついたら絶対に言わなきゃいけないと思っているんです。言うっていうことも、巌の目を見て、ちょっと正常だなと思う時に言わなきゃしょうがない。妄想の世界に入っている時には、「あ、そう」って言うだけなんですよ。
そういう人間を裁判に出したからって、裁判に通用はしないと思っています。ですから、私が補佐人として請求人になっているわけなんです。
質問者6:ありがとうございます。
司会者:じゃあ、お二人のどちらかに。できれば、どなたの弁護人に質問するかをあらかじめ言っていただければ助かります。
質問者7:わかりました。静岡新聞のヨシダと申します。ありがとうございます。小川さんにうかがわせてください。細かいことで申し訳ないんですが、先ほど地検への申し出をされていたと思うんですが、具体的にどのような言葉を地検にほうにお伝えされたのかなと、ちょっと聞けたらと思いまして。よろしくお願いします。
小川:今日は判決後、すぐに地検に行きまして。それで、島本(元気)検事と丸山(秀和)検事、丸山検事は高検の検事でもありますが、控訴をするなという申し入れをしてまいりました。
これは特別に文書を持っていったわけではありませんが、あらためて私からは検察官に対して……検察官は2010年に決断して証拠開示をし始めたんですが、あの時は検察官が「検察官は公益の代表者であるから、審理に協力して証拠を開示するべきだ」というふうに考えて開示をしたんですよね。
その時と同じように、検察官は公益の代表者として、むしろ今の袴田さんの状態、それからみなさんが考えているのと同じように、もう控訴はしないで、この長い裁判に決着をつけることが公益の代表者としての検察官の本当に責任だと。そして、それが検察官の英断だということを私は強く訴えてきたということです。あと、いくつかありましたけれども。
記者2:ありがとうございます。
(会場拍手)
司会者:じゃあお願いします。
質問者8:静岡新聞のイワシタです。ひで子さんにおうかがいします。待ち望んだ無罪判決だったと思うんですが、先ほど「涙が止まらなかった」とおっしゃられました。どのような思いが湧き上がってきたのか、具体的に教えていただけますでしょうか。
袴田:私、涙なんてあんまり出さないほうなんですが、自然に出てきました。判決を聞いた途端に自然に出てきました。だから、1時間だから、めそめそ泣くわけにはいかんから我慢していましたがね、本当に嬉しくて泣いたんだと思います。
(会場拍手)
記者3:ありがとうございました。
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