2024.11.25
「能動的サイバー防御」時代の幕開け 重要インフラ企業が知るべき法的課題と脅威インテリジェンス活用戦略
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司会者:よろしいですか。じゃあ次は中日新聞ですね、お願いします。
質問者2:中日新聞から、ひで子さんに2点おうかがいしたいです。まずは本当に今日、完璧な勝利だったと思うんですが、帰宅されて巌さんにまずどのような言葉をかけたいですか。
田中薫氏(以下、田中):「お家に帰って、巌さんにどういう言葉をかけたいですか」って。
袴田ひで子氏(以下、袴田ひで子):今日起きてればね、今日話をするつもりなんですが。巌の状況が安定しませんので、やたら話すわけにはいきませんので。ちょっと顔色を見ましてね、今日か明日のうちに「無罪になったよ」と言いたいと思っております。
質問者2:もう1点。巌さんの無実を信じていた、天国にいるお母さまに何と伝えたいですか。
田中:「岩尾さんの無実を信じていた、天国にいるお母さまに何と伝えたいですか」。
袴田:死んだ人ですからね。天国の母親にっていうよりも、この裁判が終わったってことですね。ともかく無罪を勝ち取ったと言いたいと思っております。
司会者:よろしいですか。あとは質問を受けていきますけれども、挙手をお願いします。じゃあ、そちらの方からいきましょうか。
質問者3:カネヒラと申しますが、今日の判決はひで子さん、おめでとうございます。長い時間かかりましたね。これはひで子さんにおうかがいするよりも、小川さんか、あるいは田中さんにおうかがいしたほうがいいと思うんですが。
よくよく今日の判決を読んでみますと、3つのねつ造の中に、例えば5点の衣類について「捜査機関によって血痕をつけるなどの加工がなされ、それをタンク内に隠匿された」と断定してますよね。
普通の感覚の人が読めば、これ自体が犯罪行為じゃないですか。つまり、捜査機関が犯罪行為を行っていたってことですよね。そのことについて、ずっと(弁護を)やられていた小川さんとか田中さんは、どういうふうに考えてるんですか。
これは「判決が言ってくれたからこれでよかった」っていう話じゃ済まない部分なんじゃないですか。犯罪行為を捜査機関が堂々とやってたことが認定されたってことですよ。この点についてはいかがでしょうか。
小川秀世氏(以下、小川):率直に言って我々、特に私は「この事件は、捜査機関の犯罪によって作られた事件だ」ということは強調してきたとおりです。まさにその一部ですけれども、今回裁判所がその犯罪を認定してくれたということです。
そして、我々がそれによって課題を与えられたというのは、要するにこういう捜査機関の犯罪が行われたにも関わらず、まったくそれが明らかになっていなかった。
今日の裁判所も「捜査の密行性」という言葉を使いましたけれども。要するにそれは、私に言わせれば、捜査機関は密行性に隠れて犯罪が行われているんだということを、裁判所が指摘したというふうに理解してます。
そういう意味では、この密行性ということと、それから捜査機関の犯罪をなくすことを、我々の課題としなければならないというふうに思っています。
質問者3:田中先生はいかがですか。
田中:まさにこれは袴田さん本人が何回もとらわれの身の中から言ってきたように、この事件そのものが、袴田さんに対する「でっち上げ」だったと言われていた。
つまりそれは、人道を無視した恐ろしい自白を強要し、長時間拘束して、その中でぎりぎりと自分の身に危険が及ぶかもしれないと、命に危険が及ぶかもしれないと思い、やむなく自白に応じさせられた。
そして、付いていたこともはっきりしない血痕や油が付いていたと言って、パジャマを押収して、それを犯行着衣とした。その後、そこでの証拠が十分に立証できない段階になったらば、この5点の衣類をねつ造した。
そういう、本当にあってはならない犯罪行為が延々と続いていったので、最初から袴田さんには何も(罪は)なかった、ひどい事件だったと思います。
もう1つ申し上げれば、大変言いにくいんですが、そのやってきたことに対して、当時のマスコミ等が1つもおかしいと思わなかった。「なぜ今頃になってこんなものが出てきたんだろうか」「これが本当に本人のものなんだろうか」「こんな時期にこれを本人のものだというふうに言えるのだろうか」という疑問をお持ちになった報道は、あまりなかった。
むしろ「科学捜査の成功だった」というふうに持ち上げてですね。さらに、この捜査のあり方に対して、静岡県は副知事が金一封を持って警察を称えに行った。そういうことすら報道されている。
そういう中では本当にあってはならない、むしろ警察による明らかな犯罪行為だったと私は思っています。
ただ、それをどのように糾弾し、あるいはこんなことがなくなるようにするためには(どうすればいいのか)。それは、私たち一人ひとりが本当に警察のあり方や捜査のあり方に対して、あるいは検察庁のあり方に対して鋭い目を持ちながら、いつも「それは本当にそうだろうか」と思いながら、変えていく以外にはないのかなと思っています。
今さらこれを告訴したとしても、当時の人たちはもはやいないだろうし、二度と同じような人が出てこないようにするには、やはりその方法を考えていかなければいけないんじゃないかなと思っています。
(会場拍手)
司会者:よろしいですか。じゃあ次はその前の方。
質問者4:朝日新聞のモリシタと申します。今のお話とちょっとかぶってしまうんですけれども。取り調べとの関係で言うと、少なくとも今現在も、例えば大阪では特捜検事が審判に付されることになっていて、あまり昔のことだというふうに思えない現状があると思うんですけども。
現状の刑事司法の流れを踏まえて、あらためて今後どういうふうにしていかなければならないと考えるかという。ごめんなさい、かぶっちゃいますが、小川先生にお願いしていいですか。
小川:そんなに難しい問題ではないと私は思っています。それは要するに今、裁判員裁判対象事件等に、録画が導入されましたよね。かつては死刑4事件、そして袴田事件もそうですけれども、みんな自白して、自白によって冤罪が作られていたわけですよ。
それに対して今、録画が導入されたことによって、自白による重大事件の冤罪事件というのは、僕はなくなったというふうに思っています。
そういう意味では、録画によってもう圧倒的な力を発揮してるわけですから。それこそ日弁連も録画の範囲を拡大していくことで、うんと状況は変わってくると思います。まず第一はそこだと思いますね。
質問者4:ごめんなさい、田中先生も。笑われてたんですけど(笑)、いかがですか。
田中:自白による冤罪はなくなったと本当に言えるかどうか、それは私はわかりません。ただ少なくとも録音・録画に関してもすべての事件について、あるいは自白だけではなくて、いわゆる任意取り調べの際にまでそこがされているか。
あるいはほかの利害関係人、いわゆる証人たちの場合にもなされているかというと、全部にされてるわけではないということ。それから、取り調べの時間について制限が設けられているか。
あるいは、弁護人が取り調べ立ち合いをいつもできるかというようなことを含めて、やはりまだ必ずしも十分ではないだろうと。そういうことがどこまでできるのかということにもかかっているのではないかなと思ってます。
質問者4:ありがとうございます。
質問者4:ごめんなさい、もう1点。事実確認で恐縮なんですが。検察官調書なんですけども、これはあらためて、扱いとしては特に検察側としては証拠にはしないと。
これが引き継がれているというふうに今日の判決にもありましたけども。それこそまさに、職権で裁判所が判断材料にしたという扱いなんでしょうか。特に弁護団から無罪を示す証拠として申請したということではないんですか?
間光洋氏(以下、間):今の検察官調書は確定審で採用されている調書なので、手続きとしては、公判手続きの更新の手続きで、当然証拠とされている前提で審理は行われていたとご理解ください。特に検察官が、弁護人がという話ではなくて、確定審の証拠です。
質問者4:ごめんなさい、細かくてあれなんですけど。これまでのほかの再審の中でもそれは同様に扱われてきたのか、あくまで今回の裁判の判断としてはそうしたのかで言うと。
間:ちょっと、ほかの再審事件でどこまでというのはありますけれども。確定審の証拠を公判手続きの更新の手続きで引き継ぐという選択をした裁判所は、基本的にはそういう考えだと思います。
ただもちろん、証拠から外すという手続きもできなくはないんですけど、この裁判ではその過程で、「確定審の証拠は基本的には全部引き継ぐ」という前提で審理計画を立てましたので、それが引き継がれているということです。
質問者4:ありがとうございました。
司会者:あとは前の方をやって、後ろにいきたいと思います。
質問者5:エガワと申します、フリーランスです。よろしくお願いします。今日はおめでとうございました。
今、ずっと話されていたことの延長なんですけれども、なぜこういうひどい犯罪的なでっち上げが行われたのかについて、その経緯と責任の所在を明らかにする必要があるのではないかと思うんですが。
具体的にいうと、国賠(国家賠償責任)とかになるんじゃないかと思いますが、そういうことをお考えになっているのか。あるいはそれ以外のいろんなやり方をお考えになっているのかというのが1つと。
それからもう1つは、やはりこういうことが二度とないようにと、あるいは再審がこんなに長くかかって、本当に長いこと苦しめられるという状況を、なんとかしなきゃいけないということで。
立法機関に求めたいこと、あるいは立法だけじゃなくて、国によっては冤罪が起きた時にどういうことなのかという原因調査を立法機関がやるところもあるようなので。そういったことを求めるとか、お考えになっていることがもしあれば、お教えください。
小川:いい? 勝手に私、しゃべっていい(笑)? 1つは、この捜査機関の犯罪というところですけれども。残念ながらもう、犯罪行為と今日挙げられた方たちも、ほとんど亡くなられているという意味で、責任追求はもうできなくなっていると思っています。
ただ、さらに言えば今回の裁判所の認定は、3つの大きなねつ造については十分なんですけれども、そのほかの問題についてはまだ非常に不十分なところがあったと、僕は思っています。
小川:この事件は少なくとも私の理解では、当初からの複数犯、そして怨恨による犯罪が袴田さんのせいにされたという。ぜんぜん無関係である袴田さんが、犯人として作り上げられてしまった事件だと思っています。
それは先ほど言ったことと重なるんですけれども。やはり捜査機関の捜査が、私の表現で言えば、もう犯罪捜査というのは無法地帯で、捜査機関が好きなようにできる。それが犯罪であっても発覚しないようなかたちで、捜査機関が悪いことをしようとすれば好きなようにできる。そういうところが一番問題だと思っています。
そういう意味では、先ほどの取り調べの録画もそうですし。今のいろんな新しい機器を使えば、捜査をあとできちっと検証できるようなシステムを作ることは、僕は十分可能だと思っています。
そういう意味で、この事件を教訓にして、そういう方向でぜひ動いてもらいたいというか。動いていただけるように、私も努力したいと思っています。
質問者5:国賠は。
小川:ああ、国賠(笑)。国賠はですね、またこれもいろんな意見があると思うんですけれども。先ほど言いましたように非常に不十分なところがあると。それで、今日の判決がベースになって、いろんな調査をすることになってしまうと、その枠を今回の判決が作ることになると、私はちょっとそれは非常に心配な部分はあると。
だからやはり、もう少しこちらが十分に立証できる……。要するに、今回の公判ではいろんなかたちで、こちらはもう早く無罪判決をいただきたいということで。きちっとした立証ができないとか、あるいは刑事裁判特有の証拠の制限によって立証できない部分が、たくさんあったと認識しています。
そういう意味では、刑事裁判ではなくて国賠ということで、いろいろな捜査機関の犯罪も含めてですけれども、いろいろな問題を明らかにできる部分がまだまだ残っていると思っています。そういう意味では、私は1つは国賠の方向で考えています。
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