2024.11.25
「能動的サイバー防御」時代の幕開け 重要インフラ企業が知るべき法的課題と脅威インテリジェンス活用戦略
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司会者:では、弁護団会見を始めます。まず新弁護人から簡単な判決内容の報告をお願いいたします。その後、主な争点の「5点の衣類」については、間弁護士から報告をお願いいたします。
小川秀世氏(以下、小川):弁護士の小川です。今日は本当にこんなたくさんの人がね、一緒に喜んでくださって、本当にありがとうございます。
(会場拍手)
小川:裁判所も、最後に(袴田)ひで子さんに前に出ていただいて、理解をしてもらえるように、本当にかみ砕いて判断をお伝えしていました。本当に良かったと思います。
今回の判決でやっぱり1つびっくりしたのは、最初に無罪……無罪判決は当然なんですね。無罪判決は当然です。そういう意味では、本当に僕は58年間はあまりに長すぎたし、非常に問題があるというふうには思っていましたけれども。やっぱり無罪という声を聞いて、本当に率直に喜ぶことができました。そういう意味では、よかったと思っています。
それに続けて、裁判官が3つの大きな論点について、ねつ造を認定したことも非常に画期的なことだったと思っています。
(会場拍手)
小川:いったい「ねつ造」という言葉が使われるのかということで、みなさん方も心配された向きもあったと思うんですけれども。はっきりとねつ造を認定され、しかも検察官と警察官がタッグしてですね。一緒になってねつ造してきたんだというところも、強くはっきりと認定をしたと。
そういうところが、今までの再審請求審の中の決定にはなかった大きな重要なポイントだったと思っています。そういう意味で、検察官あるいは警察がどんなふうに感じたのかはちょっとわからないですけれども。ともかく、その点について大きな成果があったことは間違いありません。
小川:あと、その他の論点についてはたくさんありすぎて、一つひとつ十分なお話は聞けなかったんですけれども。率直に言って、特に私なんかはこの事件が実際には複数犯であり怨恨の事件だということについては、書いてあるのかもしれませんが、簡単に否定されたのは納得いかないところもあります。
ですけれど、今言ったように「5点の衣類」を中心とした3つの大きなねつ造を認定したことによって、検察官はもうこれ以上、その証拠をカバーできない限り、有罪の認定はできないわけですから。そういう意味では、裁判所は十分な判断を下したと思っています。
いい? そんなところで(笑)。ともかくよかったです。ありがとうございました(笑)。
(会場拍手)
司会者:では、間弁護士のほうから特に、その……。
間光洋氏(以下、間):ひで子さんじゃなくていいんですか?
司会者:ごめんなさい。じゃあ、ひで子さん。
袴田ひで子氏(以下、袴田ひで子):袴田でございます。本当にみなさま、長い裁判でありがとうございました。無罪を勝ち取りました。
(会場拍手)
裁判長さんがね、「主文、被告人は無罪!」って言うのがね、神々しく聞こえましたの。あたくしはね、それを聞いてね、感激するやらうれしいやらで、涙が止まらなかった。1時間ばかり、涙があふれ出てきておりました。
(会場拍手)
それで後のことはね、ほとんど聞いておりませんでした(笑)。そういうわけでございますので、後のことの説明は弁護士さんにお願いいたします。本当にみなさま、長い間ありがとうございました。
(会場拍手)
司会者:では、間先生、お願いします。
間:いきなり各論みたいな話ですけど、よろしいですか。……じゃあ、私の担当の血痕の赤みの問題について、どういう判断だったかをご報告させていただきます。結論的には、弁護側の主張がほぼそのまま受け入れられた。ほぼ完勝と言っていい内容でした。
5点の衣類に付着した血痕の赤みが、1年以上も味噌漬けにされた場合に消えるのかどうか。弁護側は、「赤みが残るはずがない」ということを繰り返し主張してきました。検察官は、「血痕の赤みが残る可能性がある」という主張をしてきたというのが争点になります。
当時の5点の衣類を見た従業員の方、あるいは捜査官が見た内容が記載されているものによって、5点の衣類に赤みが残っていたということを前提にした上で、その赤みが消えるのかどうか。これがまず争点になったわけです。
まず弁護団、そして支援者のみなさんと協力して長年行ってきた味噌漬け実験。それ以外にも検察官が行ったような実験。そういった各種の味噌漬け実験によって、血痕の赤みが消えることが相当に推認されるということが、まず認定されています。
つまり、専門的な知見にかかわらず、これまで弁護団が行ってきた味噌漬け実験等によっても、血痕の赤みは消えるんだということが推認されると判示されています。
加えて、専門的知見については、弁護側でお願いした、旭川医科大学の清水(恵子)先生、奥田(勝博)先生、そして北海道大学大学院の石森(浩一郎)先生。この3名の専門家の知見によっても、1年以上味噌漬けにされれば赤みが消えることを認定しています。
検察官側の専門家証人の証言を検討しても、こちら側の専門家証言人の証言は揺らがないということで、信用性を肯定したということになります。
そうすると、血痕の赤みは残らないのに、実際の5点の衣類には赤みが残っているという状況ですので、これは発見される少し前に誰かが入れたものだと。さらに「これは捜査機関が入れたものだ」という認定までしたということになります。
間:また、そのねつ造の話は他の弁護人の方もお話しなさると思いますので、赤みの議論に関しては今のような報告になります。
じゃあ、この赤みの点と検察官控訴との関係性みたいなところで言いますと、結局、基本的にはこの赤みの論点で検察官が勝てるという道筋が見出せない限りは、控訴なんかしても意味がないわけですね。
調書の話は置いといて、「5点の衣類」のねつ造の認定の出発点も、この赤みの議論から始まっていて。検察官が仮にねつ造について、言われたことを受け入れられないということを考えても、この赤みの議論で勝てなければ、ねつ造の話だけをしたって意味がないわけで。
結論的には、もう差し戻しの即時抗告審で1回やって、ここでも専門家の議論をして、検察官は負けています。
今回、私たちは、これを再審公判で「またこれを蒸し返すのか」と批判しました。しかし裁判所は、その検察官の蒸し返しの議論を受け入れて、第2ラウンドをやったわけですね。証人尋問も行って、それで今回の結論(となりました)。また検察官は全面的に負けたわけです。
これでさらに控訴審で同じ議論を蒸し返すなんてことはあり得ないし、そんなことは現実的に不可能と私は考えていますので。控訴なんていうのは絶対にあり得ないと思っています。私からはとりあえず以上です。
(会場拍手)
司会者:それでは、他の弁護人の先生方で、何か。笹森(学)先生とか田中(薫)先生。特に田中先生、関わり合いが長いんで、一言語った後に幹事社からの質問に移りたいと思います。
田中薫氏(以下、田中):今日は当初の裁判所の無罪と、それからねつ造を3つの点で認めたことについて、大変心強く聞きました。
特に検察官の取り調べの経過に関して厳しく批判され、そして多くのねつ造の原因になったのが、この検察官の人道を逸した取り調べであったということが、きちんと書かれている点については大変良かったと思っています。
これまで検察官の調書は、ご承知のとおり、第一審の段階からこの1通だけが証拠として採用されていて。今回の再審公判では、検察官はこの調書も犯人性の証拠には使わないと言っていたので、本来は証拠としてはなかったはずなんですけれども(笑)。
裁判所は、この検察官の調書がいかに人道的に誤った、ひどいものだったかということ。そして、それは本来あるべき検察庁において取ったものではなくて、警察に出向いていって、長時間にわたる過酷な取り調べの中で、それに連続してそのまま同じものをなぞったようなものだったと。
それが次にねつ造につながっていったというので、当時の担当の警察官の所員について厳しく批判をされていた点については、今回のこの判決の中で大変特別なことだったなというふうに思っています。
司会者:ではみなさま、記者質問に移ってよろしいでしょうか。では、幹事社(記者クラブにおいて幹事役を担う加盟報道機関)から質問をお願いします。
質問者1:幹事社のテレビ静岡です。手短にすませます。ひで子さん、まずはおめでとうございます。
袴田:ありがとうございます。
(会場拍手)
質問者1:ちょっと重複する部分もあって恐縮なんですが、最後に國井(恒志)裁判長から謝罪の言葉があったと思います。手元にハンカチを持って涙を流しているシーンも見られましたが、あらためて今回の判決、どのように受け止められますか。
田中:(袴田ひで子さんに耳打ちをして)「最後のところでね、裁判長から謝罪の言葉があったと思うけれども」っていうこと。
弁護団の男性・田中:謝罪の言葉はないよ。
質問者1:申し訳なかったっていうふうに……。
弁護団の男性の声:謝罪の言葉はないです。
袴田:謝罪の言葉っていうか、謝罪みたいなことを言った。謝罪っていうか……長くかかったことが……。
質問者1:じゃああらためてすみません、判決の振り返りをお願いできますか、ひで子さん。
袴田:当裁判所は無罪を言ったけど……まあ、これから検察庁がどう出るかわからんからでしょうね。「まだ終わっていない」というようなことを言って、「それまで元気でいてください」とおっしゃってました(笑)。
そんなようなことを。あんまり聞こえませんでしたので、裁判長さんのおっしゃることも時たましか聞こえなかったんです、残念ながら(笑)。
田中:(笑)。ちょっといい? 代わりに申し上げますと、裁判長は公判のはじめに「ひで子さんが『真の自由を巌に与えて与えていただきたい』と言われましたが、裁判所に真の自由を与える役割は与えられていない」と。こう言ったんですね。
そうです。それで、確定しないと自由にはならないと。そして「時間が大変かかったことですけれども」というふうに言われて、「まだ時間がかかるかもしれませんが、どうぞ心身お健やかにお過ごしください」。そう言ったんです(笑)。
質問者1:もう1点、小川先生にちょっとおうかがいしたいんですが。以前、会見で「裁判所には踏み込んだ判決を期待している」というふうにおっしゃっていました。繰り返しになってしまいますが、今回ねつ造について裁判所が言及したことを含めて、あらためて判決の振り返りをお願いできますか。
小川:先ほど申し上げたことと重なりますけれども。大きな3つの論点に関して、ねつ造については随分踏み込んだ認定をしてるという印象を持ちました。
共布(ともぎれ)に関しても発見経過、あるいはともさん(袴田巌氏、姉・ひで子氏の母)の供述について細かな認定をしながら、ねつ造しかありえないんだというようなところも非常に緻密に、深掘りした認定をされていたと思います。
そういう意味では、3つの論点についてのねつ造は、さっき間さんもおっしゃっていたように、もうこれ以上反論ができないようなかたちで。もちろん新たな証拠もないわけですから、重要な証拠についてねつ造を認定し、かつそれについてもう反論ができないような状況ですので。
あと些末なことについていろいろ議論があったとしても、控訴しても何も意味はないと思っています。そういう意味では、確かに今回の判決は、控訴を断固させない、あるいは諦めさせるのに十分だったと思っています。
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