2024.10.01
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2024年2月29日、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて衆議院政治倫理審査会が開かれ、岸田文雄首相が現職の総理大臣として初めて政倫審に出席しました。本記事は、岸田首相に対する審査の模様を全文書き起こしでお届けします。
鷲尾英一郎氏(以下、鷲尾):今回の派閥の政治資金の問題ですが、捜査の結果、刑事責任の有無については決着がついたとなっています。しかし、同義的責任、政治的責任は別だと。そしてそれを果たすために、総裁自らこうして説明責任を果たす場に出て来られています。
党総裁としての今般の問題の責任、また宏池会の代表だった時の責任もあわせて、ご表明いただけたらありがたいと思います。
岸田文雄氏(以下、岸田):自民党の派閥の政治資金パーティにおいて、宏池会を含めた政治資金規正法違反の不透明、そして不適切な会計処理が指摘されていることにより、国民のみなさまの厳しい目が注がれ、政治不信を招いている。このことについて、自民党総裁として強い危機感を感じ、お詫びを申し上げているところであります。
平成以来、先人たちが政治改革としてさまざまな取り組みを続けてきたにもかかわらず、今回の一連の事態が生じてしまったことを、あらためて重く受け止め、お詫びを申し上げる次第です。
宏池会の会長としての責任についてもご指摘がありました。今回、宏池会も厳しい指摘を受けていることを、宏池会の元会長として重く受け止めなければならないということで、お詫びを申し上げ、説明を続けてきているわけであります。その上で、当時の派閥の役員とも相談し、けじめとして宏池会自体を解散することを決断しました。
今、厳しい目が注がれているのは宏池会だけではありません。自民党全体に対して厳しい目が注がれているわけですから、自民党総裁として、再発防止策をしっかり実行するとともに、実態を把握し、説明責任を果たします。そして政治責任についても、党として判断していきます。
こうした取り組みを進めることによって、政治の信頼回復に努めていく。その先頭に立たなければならないと感じています。
鷲尾:国民のみなさま方は、どのようにして裏金作りが始まったのか、そしてそれがどう使われていたのか、大変関心をお持ちです。それを踏まえて、党総裁としてどう再発防止をしていくのかが極めて大事な点であります。この点についても、お聞かせいただきたいと思います。
岸田:今回の事件は、派閥の政治資金パーティを舞台として生じたものです。ですので、まずは党の派閥を資金と人事から完全に切り離すことが求められるということで、派閥の政治資金パーティを全面的に禁止するなどの取り組みを行ったわけです。
加えて、会計責任者のみならず、政治家本人の責任についてもしっかりと追及されるようにしなければならない。そういったことから、規約等の改正に取り組みます。すなわち、自民党としてまずできることを再発防止として具体化し、進めていくわけであります。
あわせて、法改正が必要な部分、政治資金規正法そのものの改正にも踏み込まなければならないという問題意識を持つ。そのために、まずはこの政治資金について、会計責任者だけでなく、政治家本人の責任をしっかりと追求・確認できるような仕組みを法律の上においても実現すること。
そして、会計に外部の監査の目をしっかりと導入すること。さらにはデジタル化等を通じて、政治資金の透明化・見える化を進めること。
以上3点については、法律改正でしっかり取り組まなければならない。こうした議論を進めているところであります。ぜひこれらを具体化し、実行することによって、政治の信頼に向けて歩みを進めていきたいと考えています。
鷲尾:今、ご答弁の中にも多少ありましたが「政治家は、いざとなった時に秘書に責任を押し付けて責任を取らないんじゃないか」という国民の疑念もあります。私は、国民のみなさまは怒って(いかって)いると思っています。
国家を担う政治家が、一大事に臨んで秘書に責任を押し付けるようでは、信頼が成り立たないと確信するものであります。そういう意味から、総裁から連座制についての考えを具体的にお聞かせいただきたいと思います。
岸田:はい。まず政治資金規正法によって、政治資金が取り扱われる、法律が守られる。これは当然のことであり、法律に違反した場合には厳正な対応が行われる。このことによって、違反の抑止力につながる。こうした考え方は、重要であると考えます。
委員のご指摘も、その部分であると思います。先ほども少し触れさせていただきましたが、党内の取り扱いは当然のこと、法律を通じて取り組みを進めなければならない。
すなわち一定の悪質な場面においては、会計責任者のみならず、政治家本人も責任を負う。こうした法改正を行うことが重要であると考えて、今、党においても具体的な制度設計の議論を進めているところであります。
法律改正ですので、各党のみなさまとも議論し、合意した上で実現していかなければならないと思います。自民党もこの問題の重要性をしっかり認識し、法改正を本国会のうちに実現できるよう、作業を進めてまいります。
鷲尾:総裁、信なくば立たずです。私どもも、生まれ変わらなければならないという思いは一緒であります。ぜひ私どもの先頭に立って、しっかりとリーダーシップをとって、有限実行の政治に邁進していただけたらと存じます。以上で質疑を終わります。ありがとうございました。
野田佳彦氏(以下、野田):立憲民主党の野田佳彦でございます。疑惑を持たれた議員が弁明をする場である政治倫理審査会に、内閣総理大臣が出席していること自体に、私は強烈な違和感を覚えます。悲しい気持ちであります。
なぜこの政倫理審査会に出るのか、昨日のぶら下がり会見を聞きました。ここでも違和感を感じたんですよね。どういう表現をされたかというと「与野党の駆け引きの中で、政倫審の見通しが立たないので極めて残念」と、与野党の駆け引きのせいにしているんですよ。問題認識が違うんじゃないですか?
自民党内の身内同士の駆け引きはあったと思います。そのことによって調整が大変になり、政治倫理審査会の開催、あるいは公開するかどうかを巡って迷走したから、こういう状態になったんじゃないですか? 自民党のガバナンスの問題だと思います。党の総裁として、その責任はどう感じていますか?
岸田:先ほども申し上げましたが、政倫審の規則については本人の意思を尊重します。これは規則の中に明記されていますし、その規則に基づいて政倫審の開催が議論されていると承知しています。
「与野党の駆け引き」という言葉が適切ではないというご指摘ですが、与野党は今申し上げた点について、議論を続けておられたと私は認識していました。そして、結果として見通しが立たないということです。
今回、自民党の政治資金を巡る問題について、国民の疑惑が生じている。これはご指摘のとおりですので、私自身が自民党総裁としてこの政倫審に出席することによって、説明責任を果たす。そして、政治に対する国民の厳しい目に対して、政治の立場から応えるべく努力しなければならない。そういった思いで、今日の出席を決意した次第です。
野田:政治倫理審査会で説明責任を尽くすことは、国民に向けて説明責任を果たすことです。当然、全面公開だろうということで、私は(2024年)2月26日の予算委員会の集中審議で、そのことを自民党に指示するよう質問しました。
「『指示』の定義は何だ?」というところから始まり、なかなか「うん」と言っていただけなかった。働きかけをしたのか、指示したのかわかりませんが、結局、開催が1日ずれましたよね。
私は「後手に回って的外れな対応をしなければならない事態になったのは、自民党のガバナンスの問題」と言いましたが、総理の指導力の問題だと思いますよ。その点はいかがですか?
岸田:政倫審は、出席についても形式についても、規則の中で本人の意思を尊重する。これは明記されていますし、私はそのことを申し上げ続けてきました。
だから、例えば御党のルーツでもある政党の元党首も、政倫審に招かれた際にご出席されなかった。こういった歴史がありました。私は決してそれを非難しているわけではありません。政倫審とは、そういうルールに基づいて行われるものだと私も認識してきた。このように思っています。
しかし、それぞれの立場で「なんとしても国民の不審に対して、政治の立場からしっかり対応し、信頼回復に努めなければならない」といった思いで政倫審に出席していくことは重要であると思います。私自身も、そういった思いで今日の出席を決意しました。
このあと、5人の議員が政倫審で説明させていただくことになっていますが、自らそういった思いで政倫審に出席しているものだと思います。政倫審への出席を支持するとか、命令するといったものではないということは、私自身一貫して申し上げているところであります。
野田:働きかけをするにしても、直接ご本人が働きかければ、ご本人の意思を尊重しながらの対応の仕方があったと思いますよ。そういう意味でも、指導力不足があったことは間違いないと思います。
前の官房長官だっていらっしゃるんでしょう? そういう関係でこの事態を招いていることは、おかしいと指摘せざるを得ないと思います。
野田:もう1つ、ぶら下がりの会見で気になる表現があるんです。「志ある議員は政倫審をはじめ、あらゆる場において説明責任を果たしてもらうことを期待する」と。志というのは、世のため人のために尽くそうという気持ちです。裏金を作って脱税している人たちに志を求めるのは、そもそも間違っていますよ。
裏金で立件されて、刑事事件の対象になった国会議員は3人いましたね。辞められた方もいらっしゃいます。そして、説明責任を果たそうと、ようやく政倫審に出てきた方は、総理を除いて5人いますよね。
でも、その他の裏金にかかわった議員は、全員に重たい政治責任があると思います。刑事責任の対象にもなっていないし、説明責任も果たしていないけれども、間違いなく重たい責任はありますよね。
先ほどの弁明の中でも、同義的責任、政治的責任については言及されていました。だとすると、本人たちの説明責任のありようなどを踏まえて、党の処分も考えなければならない時期が来ているのではないでしょうか?
刑事事件にもならない、責任も問われない、説明責任も果たさない、税金も払わない、処分もない。何もないんだったら、また同じことが起こりますよ。そういう意味で、そろそろ党として・総裁としてのリーダーシップを奮って、処分を考えるべき時期ではないですか? お考えをお聞かせください。
岸田:おっしゃるように法律上の責任以外にも、政治家としての説明責任、政治責任、先ほど「道義的な責任」という言葉を使いましたが、こうした責任はあると私は思っています。
ですから今、党としてさまざまな実態把握に努めていますし、関係者もそれぞれ収支報告書の修正を行いつつ、さまざまな説明の場において説明している。こういった状況が続いていると承知しています。
また政倫審の場においても、これから説明が行われます。こうした説明責任の果たし方、事実の状況もしっかり踏まえながら、党として、処分をはじめとする政治責任についても判断を行ってまいります。
野田:私は、もうその時期が来つつあると(思っています)。いつまでも党の処分が下されないまま「あれもやりたい」「これもやりたい」とおっしゃっても、「きちんとけじめをつけるところから始めろ」というのが国民感情だと、私は思います。そのことは、ぜひ重く受け止めてほしいと思います。
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