2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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小林あきら氏(以下、小林):まずは日本の休暇制度について、「超概要」ということで、簡単にご紹介させていただければと思います。
「日本の休業・休暇制度」は、大きく3つに分けられることがわかっております。1つ目は、法律で定められた「休業」です。労働者側もそうですが、使用者側、企業側のやむを得ない事由によって業務をできない場合に、どうすればいいのかを定めた法律です。
真ん中にありますのが、今日一番の話題になる、法律で定められた「休暇」です。みなさんもよく取られるかと思うんですが、年次有給休暇といった休暇があります。これらは労働者側の請求によって取得するもので、比較的短期間のものが多いです。
最後は一番右側です。こちらは法律ではないんですが、就業規則によって会社側が任意に定めた「休暇」です。よくあるのが、夏季休暇や年末年始休暇。こういったものは、昭和の頃からずっとあるものなんですが、基本的には企業の活動として福利厚生的に行われているものになります。
では、これらの全体をざっくりと説明いたします。まずは休業です。今もご説明しましたが、こちらはやむを得ない事由によって取得するものになります。「やむを得ない事由」というのは労働基準法にも記載があるんですが、基本的には業務ができない状態になることで、長期間のものが含まれております。
ポイントとしましては、やむを得ない事由があるのに休まないのはなんで? というところです。その背景として、そもそも自由に休めていない、休暇が取れていない状況があるからではないかと我々は考えております。
小林:「年次有給休暇制度」は、労働者の勤務期間によって付与されるものです。継続勤務期間が6ヶ月以上、その期間の労働日の8割を出勤しているという条件がありますと、年に10日以上の有給休暇を付与しなければならない。
これは法律で自動的に付与されるものですので、企業側が許可しているわけではないというところがポイントです。また勤続年数によって加算がありますので、私なんかは6年以上勤務していますので、1年間に20日が付与されます。
この年次有給休暇制度ですが、労働者側が取得の時季を指定できるものです。要は、「いつ取りたいですよ」と言ったら取れることが大原則になっております。ただ、こちらの資料にもありますが、同一期間に多数の労働者が一斉に休暇を希望されると、業務が回らないことがあります。
そういった時のために、使用者側には「時季変更権」というものがあります。ただし、この時季変更権にもけっこう制限がありまして、「代替要員の確保などを試みたのか」といった実績が認められなければ、時季変更権による変更が認められない場合があります。
また、年次有給休暇は取得の理由を問うてはいけないので、例えば「今日は何にもないんだけど、家にいるだけです」など(といった場合も)、休む理由を聞いてはいけません。もし聞いて、それを理由として不利益な取り扱いをしてしまうことは禁止であると、労働者側にかなり強い権利になっています。
小林:3つ目です。年次有給休暇制度は戦後からずっとあるんですが、なかなか取得が進まないところがあります。
つい最近、2019年4月から「年5日の年休を労働者に取得させなさい」ということが、使用者側、会社側の義務となりました。これは(対象が)年休が10日以上付与される労働者ですので、新入社員でなければほぼ全員となります。
では次に「その他の法定休暇制度」です。一番最初の資料にあったものなんですが、例えば生理休暇や妊娠・通院休暇が法律で決められております。ただしこういったものは、期間や日数をあらかじめ定めることが難しいところもありまして、期間や日数は企業判断になっております。
看護休暇や介護休暇は「期間・日数は年に何日」というのは(決まりが)あって、法律上「請求されたら休みを与えなさい」と言われるんですが、こちらも企業判断が残っているものなので、有給・無給はすべて企業判断となります。最後の裁判員休暇は、国の要請で休まなければならないので、これも法律で定められています。
大きく分けて3つ目が「特別な休暇制度」です。こちらは夏季休暇や年末年始休暇など、一般的にどの会社さんでもあったりするものかなと思います。55パーセントの企業に、何かしらの特別休暇があるというのが現状です。
小林:ざっと日本の休業・休暇制度についてご紹介いたしましたが、基本的にみなさんが「有給を取ります」と言って取る休暇は、真ん中に赤枠でくくっております年次有給休暇になります。やはり、これが取れていないのが問題ではないかなということで、少し調べたものがあります。
こちらは厚生労働省の調査結果なんですが、年次有給休暇の取得率は、ここ近年急増している状況です。これは年5日の有給取得が義務化されて以降なんですが、ジャンプアップするかのように急増しております。
直近の令和4年度の調査の結果では、(年次有給休暇の取得率は)62.1パーセントと、過去にはない高さになっている。この取得率は、企業規模や産業によって差があることがわかっております。
全体としては62.1パーセントなんですが、例えば1,000人以上の大企業ですと、そもそも付与日数が平均で18.3日、平均取得率は65.6パーセントと高い状況です。一方で30人から99人の小規模な企業ですと、付与日数も少ないんですが、その上平均取得率も57.1パーセントと6割を切っている状況になります。
また産業による差も大きくあります。電気・ガス・水道といったインフラに関わるところは、取得率が73.7パーセントとかなり高い状況になっています。
一方で、我々が休む時にお世話になる宿泊業や飲食サービス業につきましては、付与日数も13.6日と少ない上に、取得率が49.1パーセントと、50パーセントを切っている状況です。
小林:さらに取得率を海外と比較して調べてみますと、こちらの表にあるような状況がわかっております。年次有給休暇の付与日数は、今回お呼びしている髙崎さんのおられるフランスや、イギリスなどは最低付与日数で見ても日本よりは多い状況です。ドイツは取得率も93パーセントと、ほぼほぼ全部取っている状況です。
ですので年次有給休暇の取得は、年間で見ると日本が10.9日なのに対して、(ドイツとフランスでは)28日、21日という数字になります。これは最低付与日数ですので、平均ではさらに上回ります。
ですが、実は日本は祝祭日が多いという状況がありまして、(年間で)16日間の祝祭日があります。「週休日」というのは土日を意味しますので、有給の取得日数と祝祭日と土日、これら全部を合わせたのが一番右側になるんですが、西欧諸国とあまり差異がないことが見てとれます。
こちらはご参考までに、ということでまとめた資料なんですが、日本は祝祭日が16日あります。赤色をつけているのは「宮中祭祀関連」といってお祭りです。新嘗祭というお祭りが宮中で行われておりまして、古くからしきたりとしてあるので、国民みんなでお祝いしよう、お祭りしようということで、これだけの色がついています。
黄色は「天皇関連」ということで、天皇誕生日などに関わってくるところです。さらに(白色を)加えて、これだけの祝日がある分、日本は16日も祝祭日があります。
祝祭日が多いことも影響しているのかわかりませんが、日本は(有給を)毎月取得している人が多いことがわかっております。
小林:こちらはエクスペディアによる調査なんですが、日本では毎月取得している人が39パーセントもいることがわかっています。週休日や祝祭日等につなげて、連休にして休んでいる方もいらっしゃるでしょうし、例えば平日の学校行事に対応するために取っておくという人もいるかと思います。
では、ここまでのまとめです。年間休日数は、意外と(日本は)西欧と同じくらいです。また、日本は毎月分散して休暇を取っているので、連続休暇が短いことがわかっております。
この現状を踏まえて、なんで年次有給休暇を取っていないんだろう? 取りにくいんだろう? ということで、(取得を)ためらう理由の調査結果がございます。
「みんなに迷惑がかかると感じるから」が一番多く、こちらがだいたい6割から7割ぐらいになります。2番目に多いものが「後で多忙になるから」。おそらく休んでいる間の仕事を人に振ることができていないのか、「自分の仕事は休み明けにがんばろう」ということで、こういった調査結果が出ていると思われます。
小林:では、最後に2つ。我々が今、考えていることです。まずは「みんなが休む時にしか休まない」のではないか。国民の祝日、ゴールデンウィークやシルバーウィーク、お正月休みやお盆休みなど、周りのみなさんも休んでいるタイミングに合わせて休んでいるのではないでしょうか。
自分で取るというよりは、「与えられた休みでないと休めていない」というのが現状かと見ております。
次に「休むことを目的に取得していない」。年次有給休暇以外の法定休暇もございますけれども、日数や有給・無給が企業判断となっているため、実際には無給の企業が多い状況です。
そうなりますと、無給の休みを申請するよりは、まずは給料が払われる有給休暇で対応しようということで、自分や家族が病気になった時のために、有給休暇を残しておきたいという考えがあるのではないかと考えております。
先ほど介護休業などもありましたが、月に1、2回であれば休業するほどではないんだけれども、やむを得ない時のために取っておこうかなということで、保険的に扱っているんじゃないかというのが今の日本の現状です。
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