2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
AIやChatGPTによって次の経済成長が始まる!?(全1記事)
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赤池実咲氏(以下、赤池):番組では、社会人のみなさんにアンケートをとりました。「知ったかぶりをしてしまったビジネスワードを教えてください」という質問に、5,641人の方にお答えいただきました。ありがとうございます。
ナレーター:こちらが、その上位10のビジネスワード。確かに、毎日のように耳にする言葉が並んでいます。
1位になったのは「SDGs」。簡単に説明すると、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標のことで、17のゴール・169のターゲットから構成されている目標のことです。
例えば、マイバッグやマイボトルを持ち歩くことはSDGsの身近な例。さらに企業では、従業員の働き方を定期的に見直すこともSDGsに当たります。
赤池:藤野さんが、この中でも注目するのは?
藤野英人氏(以下、藤野):全部が注目テーマであると思うんですが、やはり最近は2位の「AI」ですかね。
ナレーター:AIとは、人工知能のこと。人間の思考プロセスと同じようなかたちで動作するプログラム、あるいは人間が知的と感じる情報処理・技術といった、広い概念で理解されています。
ナレーター:そして最近、AIとともに登場する「ChatGPT」というワード。アメリカのベンチャー企業・OpenAIが開発した対話式AIです。
画面上に質問を打ち込むだけで、インターネット上の膨大な情報から、人間が書いたような自然な文章で即座に回答してくれるものです。
赤池:藤野さんは、ChatGPTをどう使ってますか?
藤野:本当に、公私ともに使っているという感じですね。仕事をしていてわからない言葉があると、全部ChatGPTに聞いています。
赤池:プライベートではどういう使い方をしてるんですか?
藤野:例えば、「今度、北海道に旅行するんだけど、帯広に遊びに行く時のモデルコースを作ってくれ」とか。
それから、北海道全域にいる「シマエナガ」というかわいい鳥がいるんですが、シマエナガの生態について聞くとか、とにかくわからないことをなんでも聞いてます。
知ったかぶりの逆で、知らないことがあったら全部素直に、わからないことは単語を(入力して)聞いてみることによって、うろ覚えの知識が再度しっかり整理できると思いますね。
藤野:あとは入社式の……(自分自身は)使わなかったですよ? でも、「入社式の社長のスピーチを作ってくれ」ということも(笑)。
「私は資産運用会社の社長です。4月3日に5人の社員を迎えます。なるべく未来に対して明るい見通しが持てるような、しかしユーモアも交えた社長らしいコメントを作ってください」と言うと、それらしいのができるんです。
赤池:どんな回答だったんですか? すごく気になるんですけど(笑)。
藤野:天気の話題とかをするんですよね。なぜそう思ったのかはわからないけど、「この晴れた青空のように、今、君たちは清々しい気持ちでいることに違いありません」みたいなこと言っていて(笑)。なんで晴れてると思ったんだろう?
内容的にも詳細に、「今、資産運用会社では新たな資産運用手法の多様化や世界の経済の混迷などがあり、運用会社のスキルが問われています」と書いてあるんですよ。
さすがに、ChatGPTで生成したものをそのまま読むわけにもいかないけれども、非常に参考になりますよね。だから、あらかじめ聞いてみるとか、意見を求めるのにはすごく良いツールだと思いますね。
赤池:Googleで検索するよりもChatGPTに聞く。
藤野:Googleで検索すると、そのことに関連する記事が出てくるわけですよね。
ChatGPTは「生成型」と言うんですが、ホームページやネットに広がっている概念や情報をまとめてくれて、かつわかりやすい言葉で伝えてくれる。
藤野:さらに、言葉のニュアンスも自分たちで示すというか、方向性に合うようにできる。
例えば、「関西弁で書いてくれ」と言ったら関西弁で書くし、「富山弁で」と言ったら富山弁で書く。もしくは「きつい口調で」「優しい口調で」と言ったらそのような口調で書くのも、すごいところだと思いますね。
赤池:へぇー……賢い(笑)。
藤野:そうなんですよ。だから、「(ChatGPT)すごく優秀な秘書がいるみたいだ」という話だけど、僕にとっては、どちらかというと秘書というよりは「しゃべる辞典」ですね。
赤池:「しゃべる辞典」。
藤野:なんでも聞いてくれて、もちろん間違ってることも吐き出すんですよ。明らかに間違ってることとか、少し誤解があることもあるんだけれども、よく考えたら三宅さんだって僕だって人間だから、たまに「ちょっと間違ってんじゃないかな?」ということがちょっぴりあるわけですよ(笑)。
よく、ChatGPTが吐き出したものを見て、「時々間違ったものがあるからダメだ、使えない」とか言ってますよね。
いや、君らそんなこと言ってるけど、みなさんの上司や部下は100パーセントのものを吐き出してるんですか? と考えると……。
(ChatGPTは)だいたい90パーセント以上は正しいことを吐き出して、それも5秒とか10秒で瞬時に答えてくれるんだったら、そういう面で見ればすごいと思いますよね。
ナレーター:ところで、AI時代になると人間の仕事は失われてしまうのでしょうか?
赤池:いつも言われるのは、「人間の仕事がなくなっちゃうんじゃないか」説が出てくると思うんですけど。
藤野:インターネットが普及してくると、すごく優秀な人は生き残るけれども、どちらかというと単純作業してる人たちの価値がなくなると思っていて。
だから、勉強しなきゃいけないとか、知的技能を持たなきゃいけないとか、ただ単純に作業をやるような人は価値がなくなると思ってたんですよ。でも、現実は逆かもしれないんですよね。
ひょっとしたら、弁護士や公認会計士、ファイナンシャルアドバイザーやコンサルタントとかが、ほとんどいらなくなっちゃうかもしれないんです。
金融のアドバイス、法律のアドバイス、経済的なアドバイス、家計についての相談とかは、たぶん普通のアナリストや普通のコンサルタント以上のことを瞬時に、ほぼタダで教えてくれるんですよ。(AI時代になると)むしろ知的な仕事が代替されるかもしれない。
でも、これは非常に大きな歴史的な変化で、このことによって産業構造が変わる、新しい産業が出てくる、人の生き方が変わる。あと、都市と地方のあり方が変わってくるんじゃないかなと思いますね。
赤池:三宅さんは、藤野さんの意見についてどうですか?
三宅一弘氏(以下、三宅):肉体労働を含め、今のところ人間にしかできないこととか、あるいは気持ちの問題は、まだ人間でやっていかなければいけないんじゃないかなと思うんです。
それともう1つは、こういったすごいものが出てくると、どうしても軍事や安全保障にも絡んできます。アメリカと中国の対立とか、東西新冷戦と言われるような状況ですから、その中で取り合いになってくる1つがAIになってきます。
その面では、我々の周りだけじゃなくて、地政学やいろんな国レベルの争いなんかにも、非常に関係してくるんじゃないかなと思うんです。
藤野:私、ChatGPTが出てきて楽しいことばかりだと思っていて。とにかく仕事がしやすくなったり、いろいろとわからないことを教えてもらえるようになった。
それから、たぶんこれ(ChatGPTの普及)によって大きな変化が出てくるから、投資家としてやれることがいっぱいありそうだとか、またいろんなベンチャーが出てくるだろうとか。
投資機会が夢のように広がりそうだという思いがあるので、これはもうチャンスしか見えない感じがありますね。
ナレーター:そんなAIやChatGPT、これからはどうなっていくのでしょうか。
藤野:ここ1週間ぐらいでも、「ChatGPTは倫理の問題や著作権の問題に抵触するんじゃないか」という話があります。10日ぐらい前のChatGPTはもっと自由で、そしてちょっと暴れん坊で、ちょっと嘘もつく、なんか楽しいやつだったんですよ。
赤池:愛らしいですね(笑)。
藤野:愛らしいやつ。でも今は、「僕はかなり間違ってる可能性もあるし、そのことをよく考えて聞いてくれたまえ」みたいなことを、最初にずらずらっと言うようになって。
赤池:そんな、免責事項みたいなのを言ってくるんですか(笑)。
藤野:免責事項をざーっと言うようになって、おそらくこれからは免責事項を1ページぐらい読むんじゃないかと(笑)。
赤池:えー……(笑)。
藤野:ただ、おそらくChatGPT以外のところでいろんな“味つけ”が出てくると思いますよね。
赤池:味つけ。
藤野:ちょっと悪いAIとか(笑)。「悪男くん」みたいな感じで、吐き出す内容もワルな感じがあったり。逆にすごく品行方正で、「絶対に間違えません。でも、そんなにおもしろくありません」という、超真面目な学級委員みたいな感じのものが出てきたり。
あとは必ず出てくるのが、「宗教バイアス」というものがあって。キリスト教の考え方に沿ったAIであったり、イスラムに沿ったものが出てくることで、宗教色も出てくるとか。要は、味つけがすごく変わってくるんだろうと思います。
ナレーター:そして、AI時代の経済はどうなっていくのでしょうか。
三宅:AIが発展するには、マーケットの視点だと、例えばハード面では非常に高度な・最先端な半導体がないと、なかなかスムーズに機能しないということです。
そのための半導体製造装置を作れるのは、日本のメーカー、アメリカのメーカー、オランダのメーカーとか、それぞれの工程で2~3社ずつぐらいに寡占化してきてるんですよ。
AIやChatGPTが広がってきて、確かにベンチャーも出てくるかもわからないけれども、これだけ複雑で、いろいろなことに応用するには、やはりお金や資力がなかったらダメなので。
法律の規制や独禁法の規制が変わらなかったら、どんどん寡占化が進む可能性がある。先々では、よりアメリカとかの企業が強くなっていくんじゃないかなと思うので、そこが要注目かなと思ってますね。
藤野:何が引っ張ってきたかというと、2000年から2020年ぐらいまではインターネットなんだけど、インターネットの中でもスマホが引っ張ってきたんですよ。
2022年、2023年、2024年と、なんとなく経済が一時の勢いがなくなって、GAFAMの株も上がらなくなってきた大きな理由は、携帯の普及がほぼ終わって、携帯のイノベーションが停滞してきたところにある。
それに今度は、ChatGPTとAIでバックエンドの計算処理に新たなおもしろみが出てきたところがあります。
携帯を中心としたところから、どちらかというと大規模サーバー・大規模処理システムにフォーカスが当たってきたということで、それを軸に次の経済成長が始まるんだろうなと思いますね。
赤池:ChatGPTのお話をしてきましたが、「(仕事が)取られる」とかマイナスな面ではなくて、自分が使う側になってどうワクワクできるかというところを、藤野さんも三宅さんも感じているように思います。ありがとうございました。
藤野・三宅:ありがとうございました。
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