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2025.02.03
創業125年のロート製薬が、新たな「気づき」を見出し続けられるわけ トヨタのカイゼンにならった「改鮮活動」の実践法
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春山慶彦氏(以下、春山):ここから1個疑問として放り投げたいのが、林さんと一緒にWEを話す中で、僕はやっぱりいつも「逆だ」と思っていて。さっきの宮台さんの言葉で言うと、公共性。要はコミュニティとか公共性とか、こうありたいというコミュニティが醸成されて、ちゃんと価値規範がある程度できて、そうなったところでDAOとかに流すと、うまく回ると思うんですけど。
宮台真司氏(以下、宮台):賛成です。
春山:どっちかって言うとDAOような手段が先に立ってコミュニティを作ろうとするから、たぶん死屍累々になってくるというのが、僕の感想です。
もうちょっとコミュニティというか、同調圧力じゃない同じ悩み。別に統一教会で同じ被害を持った人たちが集まった時のコミュニティだとか同じ趣味を持った人たちのコミュニティだとか。
そこのレイヤーを丁寧に作っていって、共助や対話も含めてできた時に価値が入ってくると本当に回り始めるんだけど、そこの順序が逆になっているのが、僕は気になっているんですね。
社会システムを作るというのは、僕はコミュニティの考え方であり、僕らそのものの発想だと思っているので。そこははき違えないようにしたいなとは思っているところです。
林篤志氏(以下、林):ここはJoiさん、いかがですか。
伊藤穰一氏(以下、伊藤):そうですね。たぶんレイヤーが2つあって、今の経済の文脈の中で成功させようとすると、もうかなりやることが決まっていて。DAOを入れていく。
成功してるDAOを見ていると、けっこう小さなグループが設計してアイデアを作ってDAOを作っている。でも実はなんちゃって非中央集権で。例えば、Uniswapっていうベンチャーがあって、設計をしてUIをデザインして出している。
しかもガバナンスの中では1パーセント持ってないと提案もできないし、4パーセント持ってないと通らない。でも自分たちは40パーセントぐらいトークン持ってるので、ほぼコントロールしてるんだよね。ちょっとずつ成功してるDAOは、すごくコントロールしてるところから、ちょっとずつ緩めていってる。いいDAOはだんだん分散型になるロードマップがあります。
伊藤:僕がよく使う例だけど、iPhoneは分散型の組織ではできなかったんだよね。あれはやっぱりスティーブ・ジョブズのチームがあって、デザインしてバンって出して。でも(その後で)androidで、オープンソースと非中央集権型ができた。今のシステムの中の成功する設計もたぶんそうだと思うんだけれども。
僕がちょっと気になっているのは、新しい技術が出ると、例えばテレビができた時は、ラジオのアナウンサーがただブラウン管でしゃべるというのが続いてたし、最初の映画のカメラも、カメラを動かすのにもすごく時間がかかるので、舞台でただ人が歩いてるのを撮っていた。
だから、新しいDAOも表現できることが変わっていき、表現できることによって文化が変わって、違う文化の文脈の中だと、もう少し違うコミュニティの発展の仕方が生まれてくる可能性はなくはないと思うんだよね。
さっきの自然の中での遊びだとか、今の社会の中での遊びと同じで、今の経済の中だからうまくいかないものもたくさんある。だから、ここでDAOって何なんだろうと決め込むのもちょっと早いかなと思いながら、同時に、もっと短期的な話でDAOでマーケティングをすれば全部変わると思ってるのもまったく間違ってると思うので。
伊藤:さっきの文化の話につながってくるけど、文化って遅いから、ちょっと時間がかかると思うんだよね。画面シェアさせてもらうと、これはPace Layeringっていうアイデアを表したスチュアート・ブランドの絵なんだけども。
一番下に自然があって、この各レイヤーがお互いに影響するんだけど、だいたい今の短期社会だと、一番上のファッションのレイヤーに一番みんな注目しちゃう。
でもやっぱり自然のレイヤーが一番重要で、下のほうが変化が遅いし、なかなか変えられないんだけど、インフラとして一番重要だよねと。下から2番目のカルチャーも変えるのが難しい。
Donella Meadowsっていう人が、MITの複雑系自己適応型システムにどうやって介入するかという「Leverage Points」って論文を昔書いたんだけど。彼女の主張でおもしろいのは、システムがあると、一番みんなが変えるのはパラメーターで、次がこのフィードバックループとかいろいろあるんだけれども。一番上は簡単だけど、あんまり効果がないけど、一番下が一番難しいけど効果があると言ってる。
このルールがあって、ルールはパワーによって変化して、パワーはゴールによって変化する。そのゴールは、マインドセットとパラダイムとカルチャーだってことなので、DAOを使って何かできるかなっていうのは、このへんのルールのレイヤーとかで。本当はこのマインドセットのレイヤーをいじんなきゃいけなくて。
ただ、このマインドセットは、バウハウスじゃないけれども、新しい素材と新しい科学によって、新しい美学は生まれてくると思うので。バウハウスは大量生産の美学を打ち出そうとしたんだけど、僕はなんとなく今度は新しいデジタルの美学を打ち出すタイミングかなと思っているので、素材と美学とカルチャーの関係が少し出てくるんじゃないかなと思うんですよね。ちょっとわかりづらかったかもしれません。
宮台:今バウハウスの話が出てきたので、社会学的には非常におもしろいと思うので、コメントさせていただくと、バウハウス、あるいは未来派とか表現主義の時代には、テクノロジーが眩暈の源泉だったんですね。それは宗教における「聖なるもの」とよく似たところがあります。
戦間期のフリッツ・ラングの映画を見ると、テクノロジーが僕の言葉で言うと、それを目にした誰もが「同じ世界で1つになる」ような場を与えていたんですね。
今世紀のクラフトワーク(ドイツのロックバンドでテクノポップの出発点)のライブは、テクノロジーの眩暈に思考停止で身を委ねることの危険と、テクノロジーが与える端的な眩暈を無視したテクノロジー批判の無効性の両方を表現しています。眩暈を与える科学的な探求への動機付けを人類から奪うことはできないということです。
さっきコンテクストを共有できる力として、最も大きな役割を果たすのが自然、例えば森だと申し上げました。それは焚き火でも、山で挨拶をすることでもいいけれども、自然によって我々は「同じ世界で1つになる」からですね。その意味で、バウハウスが示すのは、テクノロジーが、テクノロジカル・ランスケープを通じて、森の機能的等価物を与えることがあり得るということです。
「同じ世界で1つになる」ことは、抽象的にはコンテクストの共有なので、それによって人は寛容になれるんですね。ところが、昨今のテクノロジーは「同じ世界で1つになる」という可能性を消去する方向で進んできました。テクノロジーによる負担免除で、人々が助け合う必要がなくなったことが典型です。それがダイバーシティとかレイヤーという、もっともらしい言葉で擁護されてきた経緯があります。
テクノロジーを発達させるにしろ何にしろ、どういうかたちで「同じ世界で1つになる」ことによる、かつての享楽を回復できるのかという機能的な思考が大切です。それができなくなったせいで、日本を筆頭として、恋愛に踏み込めないという性的劣化が急速に進んでいて、同じように、友愛の絆もどんどん劣化しています。だから今の大学生にはどんな悩みも話せる親友がいる人は極く少数なんです。
その結果、人々はどんどん、言葉の自動機械、法の奴隷、損得マシーン、つまり僕がいう「クズ」になってきています。それはさっき言ったように、テクストの外に、共有できるコンテクストがなくなってきたという事実に起因します。つまり「同じ世界」に入れないので、神経症的に言葉に固執し、そのことによってお互いにコントロールし合おうとするわけです。
宮台:「同じ世界で1つになること」は言外・法外・損得外のフュージョンで、このフュージョンは、コントロールのような能動ではなく、あくまで中動です。つまり「気がついたら同じ世界に入っている」ということです。それが享楽を与えるだけでなく、そのことで与えられるコンテクストの部厚さのおかげで、かつてはテクストにさして固執しなくても済んだということです。
対照的に、「同じ世界」に入れない者がやることは、言葉によるコントロールです。「このテクストが見えないのか。テクストが見えるなら、この法に従い、損得勘定をしろ」というコミュニケーションになります。これは単純な摂理です。クズがテックをデザインすると、そうしたコントロールの量産に加担することになります。
林:これはすごくシンプルな質問なんですけど、共同体がデジタルであろうがリアルであろうが、コンテクストを共有するのに一番手っ取り早い方法は何だと思いますか?
宮台:たき火です。
林:(笑)。
宮台:冗談ではなく、僕らのゲノムに訴えるものを使うことが大切です。たき火とか花火の横撃ちで、人々がゲノム的に「同じ世界で1つになる」ことができるようになるというのは、今では学問的な真実です。僕らは、森のようちえんやキャンプの実践で、どうすれば子どもたちが「同じ世界で1つになれる」のかをつぶさに観察することができ、実際に僕は観察してきました。
だったら、そこに見出されるメカニズムを利用するんですよ。その意味で言うと「これで同じ世界で1つになれるはずだ」というような主観的な妄想には意味がありません。そこはもう完全に実証的にやるべきだと思います。
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