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それでもなぜ、イベントをやり続けるのかーコロナ下でも挑戦を続ける原動力とはー(全4記事)

コロナでイベントを「続けた人」「辞めた人」それぞれの理由 アフロマンス氏が考える、イベント主催者に共通する「思い」

新型コロナの影響により、大きな打撃を受けたイベント業界。新しいイベントのやり方や価値が生まれる一方で、今までに経験したことのない課題に対峙する場面も多くありました。それでもなぜ、主催者・表現者はイベントをやり続けるのでしょうか。今回は、コロナ下でも新たなイベントを仕掛け続ける体験クリエイター・アフロマンス氏と、オンラインで落語会を行う立川志の春氏のトークイベントの模様を公開します。最終回の本記事では、全国のイベント主催者から寄せられた「続ける理由」「辞めた理由」が紹介されました。

全国のイベント主催者に聞く「なぜイベントを続けるのか?」

藤田祐司氏(以下、藤田):気が付いたら、もう1時間10分が過ぎているんですけど、実は今日、このイベントに先んじてアフロさんがアンケートを取ってくださっています。

ソーシャルメディアで「なぜイベントをやり続けるのか?」というお題でアンケートを取ってくださって、今日のお昼ぐらいに出されてたと思うんですけど。けっこう集まっていますか?

アフロマンス氏(以下、アフロマンス):結果的に26件ですね。

藤田:26件!

宮田真知氏(以下、宮田氏):すごーい。

アフロマンス:けっこうみなさん長文でいただけまして、さすがに全部は多くて出せないので、いくつかピックアップしてご紹介します。

まず1つ目。「コロナだからやる・やらないではなく、いつでも『今何をやりたいか』で判断していきたい。外的要因でイベントの価値が変わるのではなく、オンラインオフライン問わず、人が集まることの根源的な喜びは何かを考える場を作るのが価値だと思いました」。これは「寶船」という阿波踊りのプロチームの子ですね。

「配信ライブをやったり、有観客とハイブリッドしたり、アーティストを集めたフェス型のイベントをしたり、いろんなことをやっています」。

コロナ関係なく、その時その時でやりたいことをやっていくのがいいんじゃないかということです。こんな感じで10個ぐらいピックアップしたんでパッパといきますね。

「かたちを変えればいいし、変えること自体を楽しめる」

2つ目。「かたちを変えればいいし、変えること自体を楽しめるから」。これは「森の映画祭」の主催の方です。まさに「森の映画祭」はそうですよね。もともと名前の通り森の中でやる映画祭で、2,000人~3,000人規模ぐらいのフェスなんですけど。

でも「森の映画祭」が今どうしているかと、オンラインでやっているんです。すでに森じゃないじゃないですか。

宮田:おうち(笑)。

藤田:確かに。

アフロマンス:そうなんだけど、でもすごく仕掛けとしておもしろいことをチャレンジしていて。例えば去年は、30日間毎日イベントという感じで、「この日は何を見るのか?」というのが手紙で届いたりするんですよね。

手紙で届いた(映画)を指定の時間にみんなで見て、それの感想をみんなでオンラインで言い合ったり。そういうイベントをやっていました。かたちを変えて楽しんでいるなという感じですね。

藤田:うんうん。

アフロマンス:次は「イベント主催やDJ・音楽が好きだから。自分や仲間たちのエンターテイメントなどのCLUBや音楽業界の活動の場をなくさないため。オンラインDJ配信、CLUBイベント、野外イベントなどをやっています」と。

ヒーボーくんは、群馬のDJ主催者ですね。僕はこれを見て、実はすごく大事なところだなと思いました。やる動機が「好き」って強いですよね。「辞めろ」って言われてもやれるやり方を探してやるし。

立川志の春氏(以下、志の春):うんうん。

アフロマンス:それが一番最初にきているのが、本音なのかなって思いました。

藤田:うーん。

やらない理由がある中でもやるのは、「強い原体験」があるから

アフロマンス:これはサイレントフェスの、あめみやくんですね。共感できるなと思ったのが、「まず前提として『今こそ必要』と思ったから。その次に、思いついてしまったから。やらない理由はいくらでもあったけど、それ以上に心臓に突き刺さった杭が抜けなくて」ということ。

藤田:ほうほうほう。

アフロマンス:ちなみに、さっき言っていた「知ってしまったから」という話を前にイベントで言っていたのが、あめみやくんなんですけど。

藤田:あ、そうなんですね。「僕らは知ってしまったから」という。

アフロマンス:そうそう、それがたぶん「心臓に突き刺さった杭」なんですけど。知ってしまったから辞められないよねということですよね。まさに、やらない理由はいっぱいある中でもやるのは、何か強い原体験があるのかなと。

次は「1つは仕事としてやらないといけないという義務であり、責任感があるから。他方では『人が集まる場から生まれる偶発的な副産物』がイベントを通して生まれるということを信じているから」。RSさんという方ですね。

藤田:ほうほう。

アフロマンス:これも、イベントをやる人たちってチャレンジャーな人たちなんですけど、やっぱり仕事としてやっているんです。僕の周りにも、例えばハコの方とかは「ハコを続けていくためにはイベントをやっていかなきゃね」ということも当然のごとくある。

あとは「人が集まるから生まれる偶発的な副産物」は、本当にイベントならではですよね。なかなか今、デジタルだとセレンディピティを起こしにくい。そういう中で、ふいにパッと出会って新しいものが生まれるというのがイベントならではだなと思います。

根本にある「祭りバカ」のマインド

アフロマンス:次、「リアルイベント・オンラインイベント両軸で変わることなく続けています。イベントで共有できる熱気が世の中に必要だと思うこと、イベントで表明したいことがあること、イベントを楽しみにしてくれているお客さんがいることで続けていると思います。ただ、根本を突き詰めると『祭バカ』だからだと思います(笑)」。

藤田:「好きだから」みたいなところがありますね。

アフロマンス:回答者のきださんは「リアル脱出ゲーム」とかやっているSCRAPの方ですね。ちなみに「体験ジャンキー」の主催者です。僕が言いたかったことがだいたい書いてありますね。

藤田:(笑)。

アフロマンス:やっぱりイベントじゃなきゃ生まれないいろんなものがあって、それをわかっているから続ける。そこには「自分」が絶対にあるのと、お客さんの反響もある。両面あって続けられる感じですよね。

藤田:うんうんうん。

アフロマンス:と言いつつも、最終的には「祭バカ」だというところに共感するなという感じです。

次は、「軸として取り組み続けているインラインスケートの普及、振興、選手育成のため、参加人数や開催場所、運営方法で感染リスクを低くなるように継続している」。この方(小林賢太郎さん)は静岡の方で、「泡フェス静岡」を昔手伝ってもらった方なんですけど。

こういうスポーツとか、リアルの場じゃなきゃできない活動もあるので続けているということはありますよね。

藤田:みなさん、けっこうそれぞれの理由がありますね。

アフロマンス:すごいでしょ? 熱いんですよ、みんな。

藤田:熱いですよね。

お客さんの「ありがとう」という言葉が、次の原動力になる

アフロマンス:(次に答えてくれた)shigezoonくんは北九州で活動している子で、まさに「#楽しいが必要だ」にすごく共感してくれて、1年前ぐらいに「#楽しいが必要だ」の話をしてくれと言って北九州に呼んでいただいた方ですね。

藤田:すごい。

アフロマンス:「イベントがなくなるかもしれないという中で、自分が率先して開催しようという熱量が消えないからだ」「イベントを開催した後で、来てくれたお客さんから直接いただける『開催してくれてありがとう』という言葉や、後日SNSで見られる、まったく知らない人の『お疲れさまでした、ありがとうございます』という投稿が、またやろうという気持ちにさせてくれる」と。

彼は今、緊急事態宣言の合間を縫って、実際にアーティストを呼んでフェスをやっていたり、グランピング施設を立ち上げたりして、リアル体験を施設でやるという形と、施設でやるフェスという形の両方からやっている感じです。

あとたまたまなんですけど、僕が「VANLIFE DJ CAR」をやったら同じタイミングぐらいに「DJ CAR」を始めていて。

藤田:同じコンセプト。

アフロマンス:まったく同じではないんですけど、近い感じでやっていて。「あ、考えること一緒なんだな」って。

藤田:(笑)。根っこが一緒なんでしょうね。

アフロマンス:次は「オンラインやハイブリッド、無観客など手法はいろいろある。大事なのは工夫で、安全安心なイベントは可能だ。その工夫を考えることは新しい醍醐味に感じているし、主催、制作、観客すべてが感染症対策が当たり前となっている」。

先ほどの志の春さんの話じゃないですけど、できないというより、むしろ新しいことをやっていく機会でもあると。いろいろなやり方があってできるという、前向きな感じですね。

藤田:めっちゃいいですね。

コロナ下でイベントを「辞めた」理由

アフロマンス:一応、イベントをやらなくなった人にも欄を設けたんですけど、そっちのほうが人数が少なかったです。1人だけ挙げます。ちなみに、みねおかさんは「愛本店」の窓口だった方です。「志の春さんによろしく」というコメントも入っていました。

志の春:ありがとうございます。

アフロマンス:「イベントはキッパリ辞めてしまいました。ただ、状況が良くなったらまた再開したいと考えていて、イベントに向けていた熱量をビジネスに切り替えました。イベント集客がチケットノルマやフライヤー配りだった時代から、SNSでの集客やプロモーションに移り変わっていった中、私はSNS集客が得意だったのでSNSマーケティングを活かして起業しました。今まで出会えなかった人たちや新しい知識を身につけることで、イベントを再開した時に新しい景色が見えるように常に考えています」とのことです。

みねおかさんはもともと「愛本店」の広報で、「マグロハウス」というイベントをやったんですよ。マグロを解体しながらハウスミュージックをかけるという。

志の春:へぇー。

アフロマンス:それを「愛本店」に誘致してくれたのがみねおかさんでした。みねおかさんも(イベントが)すごく好きなんですね。

ちょうど1年半前ぐらいに、みねおかさんと「何かやれないかな」という話もしたんです。みねおかさんの中だと、今の状況だと自分が満足できるイベントができなさそうで。

だからそこは切り替えて、いったん違うもので、イベントに今後つながるようなこともあると思うんですけど、その中でも集客という意味で、今はSNSマーケティングの仕事をされているということです。

こういう選択肢も僕はすごくいいなと思っていて。まさに冒頭僕がお話したように、この「イベント続けようぜ!」ということはだれでもそうではないと思っているし、いろんなルートを通っても、イベントが忘れられない人は帰ってくると思うんです。それができる時になった時に、イベントの場で再会できたらいいなと思っています。

イベントは、いろんなジャンルのものが混ざり合って交流できる場

藤田:それこそ緊急事態宣言は今日(9月30日)までですし、ここから世の中に1回動きが出てくると思うので。

そうなった時に、みねおかさんのようにしゃがんで力を蓄えていた人たちがどんなジャンプをするのか? けっこういろんな人が出てくるんじゃないかなと思うと、それはそれで楽しみですよね。

アフロマンス:ほんとそうですよ。僕はいろんな企画でワイワイやっている間に、みねおかさんはどんどんSNSでファンを増やしていくので。

藤田:(笑)。そういう方達は、新たなかたちを見せてくれますもんね。

アフロマンス:イベントって本当にいいなと思うのが、いろんなジャンルのものが混ざり合えるじゃないですか。いろんなもののコラボレーションがやりやすい場だなと思っているので、またこうやって合流できたりするといいですよね。

藤田:そうですね。楽しみですね。(チャットの)コメントにも「元気出ますね」ってありますけど、今のみなさんの「なんでイベントを続けるのか」というメッセージを読むと、ちょっとグッときますね。

アフロマンス:そうですね。

「楽しそうにやっている姿」が周りに好影響を与える

藤田:みなさん「楽しいを届ける」とか「自分自身が楽しむ」も含めて、思いをすごく持ってらっしゃる方たちが全国にいらっしゃるんだなと思うと勇気をもらえます。

アフロマンス:そうですね。本当にみんなすごく熱量が高い文章を送ってくれて、ありがとうございます。アンケート取った側の僕が勇気づけられましたもん。

藤田:志の春さん、今アンケートのメッセージを見ていて感じられたことはありますか?

志の春:最後のみねおかさんも含めてみなさん、得意なジャンルで今楽しみながらやられていますよね。「こうしたらいいんじゃないの?」ではなくて、「私はこうしています」というメッセージだったのがいいんですよね。

僕が去年アフロマンスさんが話されているのを見て感じたように、「やったほうがいいんじゃないの?」とか言われるよりも、その人が楽しそうにワクワクしながらやっているのを見るのが、たぶん周りで見ている人たちに好影響というか、「いいな、行ってみようかな」と思わせるものがあると思うんですよね。

藤田:背中で見せるじゃないけどね。

志の春:(北風と太陽の)太陽ですよね。もうどんどん脱がせちゃう感じ。

アフロマンス:脱いでいる人が見たら、自分も脱ぎたくなっちゃうってことですよね。

志の春:そうですね、そうかもしれない。

藤田:今日ずっと話をしてきて、最後はすごくパワフルでした。全国のみなさんの声が見えて、本当にありがとうございます。本来、主催側がやるべきことを(笑)。

(一同笑)

藤田:ゲストのアフロさんがお昼にやっていて、「おお!」って思いましたよね(笑)。ありがとうございます。

アフロマンス:僕も企画する人間なので、「やったほうがいいかな」と。

藤田:すばらしい。感激しました。

いろんな理由がある中で、それぞれに共通する「好き」の思い

アフロマンス:あとは、イベントをやる理由とか、なぜイベントをやり続けるのかって、良くも悪くも深いテーマじゃないですか。僕は僕の答えがあるんだけど、まさにさっき志の春さんがおっしゃったみたいに、それぞれの理由があるんですよね。僕の理由が正しいとかはないし......。

宮田:うんうん。

アフロマンス:その中で、それぞれに共通する「そうは言ってもお前、好きなんだろ?」みたいな感じは、みんなの文章の中からもするわけです。でもそこに、「僕はこの地元のこのシーンを絶やしたくないから」という思いもあるし、いろんな思いがあるんです。そこらへんはゲスト以外の声もぜひ聞いてみたいなと思ったので、アンケートを作ってみたんです。

藤田:本当にありがとうございます。あっという間に予定をオーバーしてしまって、すごく濃い1時間半になりました。ありがとうございます。

アフロマンス:このメンバーの会話を1時間に納めようと思ったのが間違いですね。

(一同笑)

藤田:そうですね(笑)。

志の春:無理無理。

アフロマンス:終わるわけないじゃん(笑)。

藤田:真知さんは、いろいろ話を聞いてどうでした?

宮田:そうですね。お2人がいろいろ工夫して「こんなことがあって、次はこれをやってみたいんだ」というお話をされているのを聞いて、志の春さんがおっしゃっていた「アフロさんのお話を聞いて、気持ちが前向きになっていった」って、私もまったく一緒の気持ちになりました。

私は自分でイベントをしたり落語をしたりはしないけど、いろいろチャレンジしていく気持ちって本当にいいなと思うし、そういう人って本当に素敵だなと思います。もう一度自分もポジティブな気持ちで楽しんでやっていきたいなと思いました。ありがとうございました。

志の春:落語をしちゃってもいいですしね。

宮田:いいですかね(笑)。

藤田:ぜんぜんいいですよね(笑)。

今回のイベントが開催されたきっかけの「一言」

藤田:今日は2つの巨大な太陽をゲストにお迎えしたわけですが、すごく温かい気持ちになって勇気づけられる時間になりました。見ていただいている方もそうなんじゃないかなと思います。またやりましょう。

アフロマンス:はい(笑)。Peatixは本当に気軽に呼ぶよね(笑)。

(一同笑)

藤田:気づいちゃいました? 志の春さん、実は前回の「イベントサロン」、アフロマンスさんをゲストでお呼びしてたんですよ。

志の春:ええ。

藤田:それで一番最後に、アフロさんが「でもさ、なんでイベントやり続けるんだろうね」って深いことを最後の最後にポンっと投げたんですよね。「それめっちゃいい問いかけじゃないですか」ってなって。

次回それでやっちゃいますよって言ったら、「やりますか」って言ったんで、真に受けて今回開催したんです。

志の春:それは投げたほうが悪いですよね。

アフロマンス:あ、僕のところにボールがきた!

藤田:コール&レスポンスですよ(笑)。

アフロマンス:ありがたいことです(笑)。

藤田:いやいや、本当にありがとうございました。すごい楽しかったです。こういった「答えのない談義」をしていければと思いますので、またお越しいただければと思います。志の春さん、アフロマンスさん、本日はありがとうございました。

一同:ありがとうございました。

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