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「地方都市と企業の未来地図について考える」セミナー(全6記事)

大手町・丸の内で増えている「地方で複業したい」というニーズ 働き方の多様化で注目が集まる「ワーケーション」の魅力

「ワーケーション」や「働き方改革」など、いままさに地方の自治体・企業が直面している課題について議論し、よりよい地域づくりに貢献することを目的としたオンラインイベント「地方都市と企業の未来地図について考えるセミナー」が、静岡県の太田川ダムから配信されました。登壇者は『バリューサイクル・マネジメント』の著者であり「#ダム際ワーキング」を推奨する沢渡あまね氏、エコッチェリア協会 3×3Lab Future館長の神田主税氏、一般社団法人日本ワーケーション協会 代表理事の入江真太郎氏です。

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家でも職場でもない第3の場所「サードプレイス」

山崎啓輔氏(以下、山崎):ありがとうございます。続きまして、神田さんよりご紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。

神田主税氏(以下、神田):はい、よろしくお願いします。「大丸有」と書いてありますけど、デパートの大丸ではなくて、大手町、丸の内、有楽町の「大・丸・有」。

「東京駅の西側」というんですかね。皇居側で、私は三菱地所にも所属しているんですけど、そちらでやっているまちづくりのところと、あとはワーケーション。非常に今、大手町界隈の企業でも注目されていまして、そのへんの動きについてお話しさせていただきます。

今、沢渡さんからもありましたけど、私も「3×3 Lab Future」という交流スペース、インキュベーション施設の運営をやっていて。3×3 Labは「サードプレイス、サードギア」の略みたいなんですけど、サードプレイスはみなさんご存知のとおり、家でも職場でもない第3の場所。いろんな人が交流できる場所というところと。

16年の間、新幹線通勤を続ける神田氏

神田:サードギアは「環境、社会、経済」なんです。新しい働き方を元に社会課題を解決していこう、という場所なんですけど。さきほど挙げた大手町、丸の内、有楽町エリアって、すごくこういったサードプレイスが増えていて。今は何ヶ所ぐらいあると思いますか?

山崎:ええー?

神田:企業内のそういうサードプレイスも含めると。

沢渡あまね氏(以下、沢渡):20?

神田:なるほど。

山崎:100くらいあるんですか?

神田:ああ、なるほど。けっこう攻めましたね(笑)。 

山崎:攻めました(笑)。

神田:正確には数えていないんですけど、たぶん40以上はあるんじゃないかと言われています。ただ、今はすごく増えていて。やはりコロナで「働く」ということが、みなさん変わっていると思うんですけど。今までみたいにオフィスに行って作業するって、(同様のことが)家でもできちゃうから。

山崎:そうですね。

神田:サードプレイスってすごく注目されていて、シェアオフィスも含めて非常に今、いろんな働き方がトライアルで動いている。僕自身、静岡に住んでいまして、今、言ったとおり職場は大手町、東京なんですけど。16年間ぐらい新幹線通勤してて。

沢渡:はあー、長い。

神田:(オープンにするようになったのは)ここ2年ですかね。16年前はこっそり新幹線通勤していた。

沢渡:(笑)。

神田:「お前、(本業と別に)仕事しているのか!」とか「給料泥棒」みたいな話とかされたりして、けっこうつらかったんですけど。ここ数年で「働き方改革」みたいなことが叫ばれ始めてから、コロナでもまた注目されているなと思っていて。逆に移住の相談が来たりとか「そういう働き方っていいよね」という話もいただいて。

山崎:市民権を得たわけですね。

神田:そうです。時代が追いついてきた。なので僕、静岡の三島に住んでいますけど、三島に移住者がすごく増えてきて。(東京まで)新幹線で通えますし、みんなフルタイムで出勤しなくてもよくなったので。すごく今、時代が変わっているかなという感じがします。その中でワーケーションみたいなところも、非常に注目されているのかなというところで。

まさにワーケーションしている雰囲気の3×3 Lab

神田:3×3 Labについてはさらっと説明しますけど、大手町にあります。大手門って皇居の目の前にあるんですけど、わりといろんな方が集っていただける場所になっていて。来たことある人はなんとなく分かると思うんですけど、けっこう自然とか……こんな感じで森をビルの中に作っているので、木材を使って落ち着く空間にしています。

なので3×3 Lab自体が、まさにワーケーションしている雰囲気なんですよね。サードプレイスですし、いろんな人が来るし。本当に昔からそういうことをやっているんですけど、今まさにみなさん、いろんなところで働けるようになっているので。働く場所が広がっているのかな、というのはすごく感じています。

あとは、(スライドを指して)下にあるとおり。これまではリアルに集まるのが基本だったんですけど、今はオンライン上で。今日みたいにオンラインのイベントを200本くらい回していて、ワーケーションのイベントもたぶん10〜20本はやっていると思うんですけど。テーマとしては今、非常に熱いかなと思っています。

今、言ったとおり、社会課題解決っていろいろあるんですけど。ここ数年、やはり地方創生みたいなところに力を入れていて、いろんな自治体さんにうちの施設へ来ていただいてます。

「丸の内朝大学」と「丸の内プラチナ大学」

神田:そういったところでサポートさせていただいているんですけど、昔からやっている「丸の内朝大学」というのがありまして。これは12年くらい前からやっているんですけど、ここでも地域活性化というんですか。「地方創生コース」みたいなものを作って、大手町、丸の内、有楽町のワーカーが来て、地域のフィールドワークをやるみたいな。

山崎:へえ!

神田:あとは、6年ぐらい前から「丸の内プラチナ大学」というのもやっていて。左上の小宮山(宏)先生は、元東大の総長をやっていらっしゃった方で「プラチナ社会」というものを提言されているんですけど、それを実現するまでのコースですね。

それを作ってワーカーを集めて、セカンドキャリアとかリアルキャリアみたいなところも含めて、スキルアップしていただくというコースをやっています。その中でも「逆参勤交代」というのがあって。参勤交代の逆なので、要は江戸に行くんじゃなくて「大手町とか丸の内側から地域に行く」みたいな。

山崎:おもしろいですね。

沢渡:いいですね。「ダム際」に来てほしいですね。

山崎:(笑)。

神田:ダムにも送りたいなと思って。

山崎:大名行列で。

神田:はい。

(一同笑)

神田:そうですね。実は昔からこういう活動はしていて「ワーケーション」という言葉が広がる前から、ワーカーを地域に送り出すみたいなことはやっていたんですよね。

山崎:はい。

神田:だから今、(「ワーケーション」という)ラベルが貼られているだけで。昔から地域活性化で、地域で活動したいという方も非常に多くて。今だと複業解禁の流れもあって、僕もちょこっと複業していますけれども、大手町、丸の内の側に「地方で複業したい」というニーズもすごくあります。ここのワーケーションというのも、すごく相性がいいんじゃないかなと思っていたりします。

4つに分類されるワーケーション

神田:まず「ワーケーションってそもそも?」みたいな話は、みなさん、たぶんよく聞いていると思うんですけど、この4つですね。分類になっていて、1番目は個人で日常を埋める「(日常)埋込型」というんですかね。けっこうフリーランスとか、今までノマドワーカーみたいな人が動いていた世界ですけど。ここ、今は非常に働き方が変わっていて、けっこう今は「隠れワーケーション」が多いと思うんですよ。

会社に出張とは言わずに、いろんなところで働いているみたいな人も出てきているので、非常にここのマーケットが広がっているのかなと思うんですけど。我々がやっていたのは、どっちかというと1に近いところですね。

関係人口づくりですとか、個人でもいろいろ地域に行って活動してもらうみたいな。そういうのを後押ししてきたところで、このへんはワーケーションとすごく相性がいいのかなと思っています。

2番目の「休暇(活用)」型というのは、欧米でよく言われていますが。1〜2週間とか1ヶ月とかの長期間休暇を取って、その中で働くみたいなかたちですね。このへん、ちょっと日本ではなかなか馴染まないんじゃないか? と言われていますけど、そういう意味で「ブリージャー型」というんですかね。休暇と働く時間を混ぜ合わせたかたち。JALさんとかANAさんとかよくやっていますけど、こういうのも今、注目されている。

あとは一番下に「企業活動型」とありますけど、今までやっていた企業合宿とか、研修の延長みたいなもので。あと、企業単位でいろんなところでやってもらおうみたいなところがあって。これは三菱地所のワーケーション施設もこのあたりを狙って、今は動いていますけど。今まで企業は保養所や研修施設を持っていましたけど、これを手放している中で、地域でいろいろ活動しようみたいなところもあるのかなと思っています。

そういう感じで我々も今、いろんな自治体さんからワーケーションの相談がワーっと来ていて、けっこうサポートをしたりしているんですけど。さっき言ったとおり「丸の内朝大学」とか「プラチナ大学」ですとか、今まで付き合っていたところもありますし「新たにワーケーションをするので、ぜひ大手町・丸の内のワーカーさん、来てください!」みたいな自治体さんもいっぱいいますけど。

ワーケーションに行ったからこそ体験できるコンテンツというか、体験の価値ですね。だからダムだったら間違いないと思いますよ。

沢渡:もう全国に4,000基ぐらいありますからね(笑)。

(一同笑)

神田:広がりがあります。なので、そこでしか体験できないコンテンツというのが、すごく大事かなと。そういうのをうまく訴求していただけると、我々も送り出しやすいですし、一緒に活動もしやすいのかなと思っていて。

北海道から沖縄までやっていますけど、けっこう北海道、沖縄ってわかりやすいんですよね。海があったり、おいしいものがあったり。

沢渡:売りが多いですからね。

神田:そうなんですよ。なんですけど……本当に静岡もそうかもしれないですけど「地域にはなにもない」みたいなことを言う自治体さんもいますけど、実はあるんじゃないか? と思っていて。ダムもそうですけど、ただこういうコンテンツを1個1個持っていって、一緒にサポートしていくのがすごく大事かなと思っているというところと。

地域のワーカーのほうが、ワーケーションを進めるといい?

神田:あと最近思うのは、東京でワーケーションを推進しているのにアレなんですけども、ワーケーションって別に東京のワーカーだけがするものではないなと持っていて。

山崎:はい。

神田:僕も新幹線で通勤して三島に住んでいますけど、ワーケーションっていろんなところでやっていますし。むしろ地域のワーカーがワーケーションをどんどんしていく。もう周りにいろいろあるじゃないですか。

山崎:確かに。確かに。

神田:ダムに行って。

山崎:はい。

神田:車ですぐ来られるし、僕が住んでいる三島も伊豆とかすぐそこですし。あまねさんが言っているテレワークの推進も含めて、地域のワーカーのほうこそワーケーションを進めて、イノベーションを推進していくというところに、これから価値があるんじゃないかなと思っていて。

東京の大手町、有楽町、丸の内に28万人ワーカーがいると言われているんですけど。今はテレワークで、そんなにいないんですよ。僕もそうですけど、たぶん10万人ぐらいだと思うんですよね。地域にいるテレワーカーとか、地域に移住した人も含めて、ワーケーションを一緒に推進して、地域と地域をつなげていくとか。

あと、静岡県内もけっこう西部、中部、東部でバラバラだなと思っていて。

山崎:はい。

神田:僕、出身が浜松なんでなんとなくわかるんですけど、浜松の人は三島には行かないですし。

(一同笑)

沢渡:わかります。

山崎:そうですね。

神田:行かないからこそ、けっこう新鮮なんです。

山崎:ああ、わかります。確かに。

神田:僕もこの前、浜名湖でワーケーションしましたけど、住んでいる時はそんなに近いから行かないんです。だけど、敢えて東部から西部に行って浜名湖で仕事をするのって気持ちいいですし、ここで出会ういろんな人たちとの交流みたいなものにも、すごく価値があるので、そういうのを静岡県内で推進できるといいんじゃないかなと思って。

今日もけっこう静岡県内のワーカーの方、聞いてもらっていると思うんですけど。ぜひみなさん、そのへんを盛り上げていきたいなと思っています。ということで、私からは以上とさせていただきます。ありがとうございます。

山崎:神田さん、ありがとうございました。

(一同拍手)

山崎:ありがとうございます。先ほどの地域のワーカーこそ、地方のワーカーこそワーケーションを取り入れてみたらどうかというところですよね。確かに、ワーケーションというところの、言葉の誤解みたいなのってすごく感じることもあると思うので、またのちほどお話しいただければと思います。

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