2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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坂東孝浩氏(以下、坂東):私含めてスピーカーの紹介をして、本編をスタートしていきたいと思います。私は坂東孝浩と言いまして、手放す経営ラボの所長をしております。
2017年の7月から、ブレスカンパニーという会社を経営しているんですが、そこで組織改革を始めて、給料を話し合って決めるとか、正社員を手放そう、オフィスも手放そうということを、実証実験みたいなかたちでいろいろ繰り返していまして。
その中で、私自身ももっといろいろなやり方を知りたいし、「どういう会社がどんな経営をしているのかをもっと知りたい」と思った経緯もあって、手放す経営ラボを立ち上げました。宮田社長のところにも見学させてもらいに行って、いろいろと根掘り葉掘り聞いては自社で試したり、あるいはそのやり方をいろんなかたちで情報発信していったり、という感じですね。
そして、もう1人のスピーカーの武井浩三さんですね。たけちゃん、ちょっと自己紹介してもらってもいいですか。
武井浩三氏(以下、武井):どうも、武井です。このコミュニティの方々は、もう顔見知りばっかりなのであれですが、日本でかなり初期の頃から、自律分散的な経営をやり始めた男でございます。2007年から、社長役員を選挙で決めるとか、給与を自分で決める、会社の……(ここで武井氏の自己紹介スライドが映る)はい、今からですね。
(一同笑)
坂東:すみません(笑)。今からです。忘れてた。
武井:会社の給与や財務情報を社外にも全部オープンにしたり、働く時間・場所・休み自由、稟議なし、上司なしとか。そういうのを、2007年からやってきた男でございます。
(従業員)30~40人ぐらいの規模ですが、そういうのを12年ぐらい、こねこねこねこねずっとやってきたので、だいぶパターンが見えてきて。それを僕らは「自然(じねん)経営」という言葉でまとめて、自然経営研究会という社団法人で活動もしてます。
そんなことをやってたら、「いよいよこれは組織だけじゃなくて、社会が変わらないといい会社は増えないぞ」ということに気づきまして。
今は創業したダイヤモンドメディアを手放して、地域通貨を作ったり、地域電力の会社を坂東さんと一緒にやっていたり、あとNPOでお祭りをやったりゴミ拾いしたり。最近は世田谷区から受託を受けて、空き地を畑にするプロジェクトを受託して。今、耕してます(笑)。
坂東:へぇ~。
武井:営利・非営利とかそういうのじゃなくて、どうやったら人間が人間らしく生きられる世の中になるか、ということを実証実験してます。よろしくお願いします。
坂東:よろしくお願いします。
坂東:(次は)株式会社宮田運輸の代表の宮田博文さんです。本(『社長の仕事は社員を信じ切ること。それだけ。』)も出版されていて、私たちのメンバーはこの本を読んでめちゃくちゃ感動して、ラボの中で「めちゃめちゃ泣けるから」と紹介して。
その後、『愛でいけるやん』という映画(宮田運輸のドキュメンタリー)があるんですが、映画を見てめちゃめちゃ感動したから、「会社見学に行きましょう!」みたいな感じで。それで今年の4月に、私たちのラボメンバー10数人で会社に押しかけて、宮田社長に会社見学させていただいたり、お話を聞いて。
お話を聞き出したら、10~15分でみんな泣き始めてしまったという、得がたい経験をさせていただいたんです。今日はこの宮田社長にお話を伺いながら、宮田社長の考え方とか、どんな思いで経営をされているのかについて、いろんな気づきを得られるといいなと思っています。ということで宮田社長、よろしくお願いします。
宮田博文氏(以下、宮田):こんばんは。改めまして、ご紹介いただきました、株式会社宮田運輸という運送会社を経営しております、宮田博文です。4月に坂東さんと武井さんに来ていただきまして、もう早7月ということで。
坂東:そうですね。
宮田:本当に早いな、というのが実感です。あの時、全国からたくさんお見えになられたので、どんな方々が来ておられるかって、まったくよくわかってなくて。
坂東:(笑)。
宮田:武井さんと坂東さんのプロフィールを聞いて、「わぁ。すごい人たちなんだな」というのを、改めて実感しております。
坂東:とんでもないです。
宮田:経営理論の最先端を行かれているということで、それを今、すごく認識させていただきました。
宮田:私自身も、いち経営者・1人の人間として、もがきながら苦しみながら発している言葉がたくさんありまして。
今日も、「答えがある」ということでやってることって、あんまりないんですが、確実に言えるのは、やっぱりどんな人にも優しい心、真善美、良心と言われるような、美しい心があるんだと。僕たちは、それを思う存分発揮できるような社会を作っていくことが、非常に大事じゃないかと思ってます。
なので、今の目の前の社会課題を解決しながら、国の未来を作っていこう、特に「人の心を信じていこう」という気持ちでやらせていただいています。今日は最初に、弊社の紹介の動画を見ていただこうと思います。よろしくお願いします。
【会社の紹介動画再生】
ありがとうございます。みなさん、トラックと言いますと、どのようなイメージを持たれますでしょうか? 危ないとか怖いというイメージ……。(Zoomの画面上で)これ、手が上がるということは、あれですか?
坂東:拍手です(笑)。リアクション。
宮田:そういうことね(笑)。
宮田:今、大きな事故が取り沙汰されて、非常に危ない・怖いというイメージがあると思います。
私たちは今、トラックの背面に子どもたちの絵やメッセージをラッピングして走るという活動を、8年前に1台のトラックから始めさせていただきました。この、子どもたちのメッセージをラッピングするトラックを「こどもミュージアムプロジェクト」と称して、活動させていただいてます。これ、実際の子どもが描いた絵やメッセージなんです。
「危ない・怖い」って思われている、もっと言えば関心を持たれないトラックが、子どもたちの純粋な思いをラッピングするだけで、どんどん人の心が変わっていくんですね。乗るドライバーの心も変わりますけど、それを見る周りの人たちの心も変わっていく。
なぜそのような活動をしようと思ったのか。そのプロセスと、私たちがどのような夢を描いているのか。経営の方法が、180度と言ってもいいほど変わりました。そのきっかけをお話しさせていただければなと思います。
私、運送会社の経営者の4代目なんですが、徳島県で祖父が日本通運を定年退職した後に、大阪のトラックを1台持ってきて始めた会社です。
7人の子どもを食べさせていかなくちゃいけない、というのが目的でした。「儲けたお金はみんなで分けよう」というのが口癖でありまして。私は4代目なんですが、7人兄弟の一番末っ子の長男でして、まったく会社を継ぐ家系じゃないんですね。
宮田:ですが、トラックの車庫が家の近くにあったもんですから、幼少の頃、もうトラックが好きで好きでたまらないんですよ。とにかくトラックが大好き。日本中で一番好きじゃないかという(笑)。「いや、そんなことはない」と言われるかわかりませんが、本当に好きで。
トラックが仕事を終えて、帰ってくる姿を見ないでも、エンジン音で誰が帰ってきたかがわかるぐらい。配車表というものが、事務所のホワイトボードに掲げてあります。誰がどこへ行くかって、それを暗記するのが得意です。
「大阪から名古屋に行く」って書いてあると、夜中1時ぐらいに出発するんですが、小学校低学年の時にホワイトボードを見て、12時ぐらいにトラックの前にいて、トラックを磨きながら従業員さんが出社してくるのを待ちました。「おっちゃん連れてって」ということで、付いて行くのを何よりも喜びました。
坂東:(笑)。
宮田:そこの助手席から見た景色が忘れられない。これ、帰ってくると母親から叱られるんですよ。平日に学校に行かないで行くもんですから。
坂東:学校を休むんですか?
宮田:休むんです。母親からは叱られるんですが、トラックに乗りたい衝動が抑えきれずに、夜中に忍び足で家を抜け出して、もう何度も何度も乗せてもらいました。
坂東:そういう時は眠くならないんですね。
宮田:いやぁ、ならないですよ。もう、目ギンギンですよ。
坂東:ギンギン(笑)。
宮田:もう本当に、楽しくて仕方がない。
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