2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
『ウィニングカルチャー』出版記念対談「組織に心理的安全性は必要?」組織文化と心理的安全性の関係を探る(全9記事)
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司会者:ありがとうございます、お二人の話をまだあと2時間ぐらい聞いていたいんですけれども。
篠田真貴子氏(以下、篠田):いえいえとんでもない(笑)。参加している皆さんも、そろそろお風呂入ったりごはん食べたりする時間ですよね。
司会者:(笑)。質問も実は来ていまして、いろいろお二人に答えていただければと思うんですけど。先ほどのbeingのところで「口癖ではないですけれど、発する言葉を意識して変えることで、あり方(being)も変わってくるということもありますか」というご質問が。
篠田:めっちゃあるんじゃないですかね。今、自分の話じゃなくて、人がそれで変わったっていうすごい素敵なエピソードを思い出したんですけど(笑)。
中竹竜二氏(以下、中竹):ぜひ聞きたいです。
篠田:ご本人も本で書いたり言ってらっしゃるので、ぜんぜん又聞きっぽくても大丈夫だと思うんですけど。Zアカデミアの学長の伊藤羊一さん。
中竹:はい、はい。
篠田:彼はたぶん40歳ぐらいまでは、わりとただの真面目なサラリーマンだったそうで。「好奇心とかなかった」って言うんですよ。私みたいに「好奇心だけは一貫してます」っていう人間だと、その「ない」っていう状態がちょっとよくわからないんですけど、ご本人がそうおっしゃってるんですよね。
それがソフトバンクアカデミアに参加する機会があった時から、自分はただのつまらない大企業サラリーマンなんだけど、そこに参加してる人たちはやっぱりベンチャー系の人が多くて。みんなすごいワイワイ盛り上がってて「ああいうふうになりたいな」って思った。で、観察してるとなんかすごく新しいものに対して「すげー!」とか「やべぇ!」って言ってると。
まさにdoingから入って、自分にはまったく何が「すげー」か「やばい」かわかんないんで、とりあえず見たものすべてに対して「すげー!」「やべぇ!」って機械的に言うことにしたんですって。わかってない、心は動いてないのに。でもそうやって「すげぇ、これ!」って言うと、周りのそういう感度の高い人が「俺のこっちのほうがすごいよ!」って教えてくれる。そうすると「そこに目をつけるのか」って学ぶ。
まずそういう知識としてのインプットがあって、そのうち「すげー!」「やべぇ!」って言ってると、やっぱりその言葉が自分の耳に入るから、例えば目の前のこのつまらないコップですら「すげー!」って、いったん言っちゃったもんだから、どこがすごいか探すようになると。
中竹:(笑)。
篠田:そうやって数年かけて好奇心を育んできました、っておっしゃってました。
中竹:まさに今の話、自分の口癖で変わっていったケースですね。実は我々チームボックスもトレーニングを半年ぐらいやるんですけど、とにかく人が変わるのって、気持ちでは変わらないので。「言葉と行動を変えてください」ってはっきり、もうそれしか言わないですね。「口癖変えてください」って話と「ふだんのちっちゃな行動パターンを変えてください」って、これなんですよ結局は。
本にもちょっと書きましたけど、横浜DeNAベイスターズの中に、その頃みんながちょっと恥ずかしくて言えなかった「日本一」とか「優勝」とか、これを当たり前のように言うとかですね。
今もうベイスターズは本当に「感謝」とか「ありがとう」とか「幸せ」とかっていう言葉が、普通に言えるようになってきたので。これはやっぱり、言えるとそこを意識するんですよね。
プロ野球チームで「自分の幸せ」とか言えなかったんですよ、今もほとんどの球団言えないですけど。「そんなことより打てよ」とかって言われるんですね(笑)、ファンからも。
篠田:「お前の幸せはどうでもいいんだよ」みたいな、そういうイメージがあります(笑)。
中竹:そうそう(笑)。「そんなこと言ってるから負けるんだよ」みたいなことって、必ずスポーツ界では起こるので。けどやっぱりちゃんと口癖でいくと、それはもう自分のあり方も変わっているので。ぜひ口癖から変えていってほしいですね。
篠田:よく「自分が憧れる人の近くにいるといい」みたいなアドバイスって、そういうことなんでしょうね。そういう方の近くにいれば、やっぱり口癖が耳に入ってきて、いつの間にか自分もマネするようになって、自分の行動が変わったリ心の持ちようが変わってくるっていうことかもしれないですね。
中竹:そうですね。
司会者:ありがとうございます。じゃああと2つほどいきますね。「途中で中竹さんが『人は絶対に変われる』とおっしゃっていましたけれども、どうしてそこまで強く思えるのでしょうか。また社員の内発的動機を高める秘訣があれば教えてください」ということです。
中竹:はい。これ、別に科学的に「人が変わるかどうか」って誰も検証できないので。変わるって信じたほうがハッピーですよね。なぜかというと、可能性があるから。これも私自身いろんな失敗から学んだんですけど、監督やってる時に選手に常にディスられたりとか、文句言われたり舌打ちされたりして。あと「死ね」とかって言われた時も……それは一瞬ムカつきますけど、これは「今、言われただけ」であって。
未来永劫言われるか? といった時に、私も彼も必ず成長して、どこかで「いやぁ中竹さん、あの時は本当僕も若かったですよ。『死ね』とか言っちゃいましたけど、今となってはそう言ったことを反省してるし。けど今そういったことを言う若者と向き合って、がんばっていきたいです」……みたいなことを言って肩組んでるんだぞって、想像するのはタダなんですよ。
篠田:すごい(笑)。
中竹:そうなると、絶対ポジティブに考えてたほうがいいですね。もしそうならなくても、5年後そうならなかったら「絶対ここから10年後はなるんだな」みたいな、そう思ってた、信じてたほうが自分にとってヘルシーだし。この人がどれだけ変わるか、伸びしろって私が勝手に妄想で見てるだけなんですけど、この伸びしろの妄想を見てるほうが、そりゃ当然ハッピーですよね。
なので自分のために。チームボックスでは「YETMIND」って言うんですけど。「まだまだ」「yet」の概念があるんですけど「まだまだ伸びるぞ」というのを常に大事にしてますね。
中竹:で、その続きの「社員の内発的動機を高める秘訣」。これはいろいろありますが、今の文脈でいうと「本人が見てない可能性を私が伝えてあげる」ってことはよくありますね。伸びしろを。普通に考えて、私も選手とかいろんな人と面談しますけど、どう考えてもその人が考えている伸びしろよりも、私のほうが考えてるって自信ありますもん。
「いや、自分なんかダメだ」とか考えてる人は、(自分の)伸びしろを考えるのが下手くそなんで。人の伸びしろを考えるのは、私は誰よりもうまいと思ってるから。
篠田:(笑)。
中竹:その人の伸びしろを、そりゃ私のほうが語れるに決まってますよね。その自信があるので、それを語ると「ちょっとがんばるかな」みたいな人は、全員じゃないですけどいるかなと思います。
篠田:そういう中竹さんが近くにいない場合は、どうしたらいいんでしょう(笑)。
中竹:(笑)。けど伸びしろはやっぱり、考える場を設定したら。これも問いですよね。問いをお互いに掛け合うのが大事だと思いますね。
篠田:あとやっぱり内発的動機って、まさに伸びしろ……その伸びしろっていうのは「自分のスキルが上がるかも」っていう伸びしろと、あと「これは自分のためっていうよりも、チームのためになるかも」とか「世の中のためになるかも」っていう、そういう意味での伸びしろと、2つ今、伺いながらイメージしたんですよね。
自分の努力が、単に自分が得するっていうだけじゃなくて、より大きいものに貢献できてる可能性があるって思うと、やっぱり相当、動機が上がりますよね。
中竹:そうですね、うん。
篠田:動機って言った時に、実はちょっと対称で、2重というか2層構造になってる感じがあるなと思って伺ってました。
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