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マネージャーの新常識「リスペクティング行動」(全12記事)

古い論理で人を潰し、新人に冷たく、皆で仲良く苦しみたがる… 不健全な組織風土を抜けるため、満たすべき「3つの承認欲求」

メンバーの「強み」「特性」「やりたいこと」「事情」などを認め合い、期待し合う言動や振る舞い、およびそれらを促進する環境づくりための新たなアプローチ。これを「リスペクティング行動」と呼びます。本記事では、新刊『バリューサイクル・マネジメント』が5/1に発売された沢渡あまね氏と、Uniposカンパニー社長・斉藤知明氏の対談イベント「マネージャーの新常識『リスペクティング行動』」の模様を公開。コラボレーションを加速する組織スキルについて、両氏が語りました。

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「コラボレーションを邪魔する」意味でのアンチパターン

沢渡あまね氏:(「答えが中にない時代・過去に答えを求めにくい時代では、部分的にでもオープン&コラボレーション、オープンになって、つながっていくやり方をしていかないといけない」という話に続いて)繰り返しになりますが、決して統制型・ピラミッド型組織を、否定しているワケではないんですよ。「コラボレーションを邪魔する」という意味におけるアンチパターンを、バーッと示します。

「つぶし合う」「お互いの顔がわからない」。まさにみなさん、先ほどチャットでおっしゃったとおり。相互理解、自己開示できていないと、誰をどういう場面で頼ったらいいかわからないワケですね。コラボレーションできないですね。“妖怪カオナシ”と私はよく言っていますけれども、その状態になっている。

「同調圧力」。過去の論理や過去の気持ちよさで人をつぶそうとする。「減点主義」。ちまちま重箱の隅をつついて、ダメなことだけ指摘するんですね。「褒めない、認めない」。こんなのもありますね。

それから「新人や初心者に冷たい」。新しく入った人に何も教えないとか「習うより慣れろ」だけ。厳しく指導するのみ。

「厳しい上下関係」あるいは「みんなで仲良く苦しむ」。製造現場・生産現場はみんな出社しているんだから、事務職もテレワークなんてもってのほか。みんな仲良く渋滞に巻き込まれろ。満員電車に巻き込まれろ。これは誰も幸せにしないですね。

過去と今では変わりつつある、マネジメントの要件

アンヘルシー、不健全な状態を生みうるということですね。とりわけ、組織の風土を作るのは中間管理職あるいはリーダーですから。リーダー・マネージャー、こういった人たちがいかにリスペクティングを作っていくか。あるいはリスペクティング行動をしていくか。これはまさに組織のスキル、組織の要件の1つになってきていると思います。

中間管理職、まさにその統制管理・監視型のマネジメント一辺倒では勝てない時代において、いかにメンバー同士のコラボレーション、あるいは組織同士のコラボレーションを作って、それから問題解決あるいはイノベーションを起こしていくか。

これを引っ張っていくマネジメントの要件って、過去と今では変わりつつある。その前提で考える必要があると思うんですね。今日お話しするリスペクティング行動も、これからの時代に求められるマネジメントの1つとして位置づけています。

『マネージャーの問題地図』の本に5つのマネジメント、9つの行動を定義しています。その中の1つにリスペクティング行動も位置づけています、という全体像の紹介です。

リスペクティング行動の3要素

では、リスペクティング行動って、どういうこと? この後の斉藤さんとの対談も含めて深めていきたいと思いますが「3つの要素」の話をしていきたいと思います。

リスペクティング行動の要素は大きく3つです。1つめ「相手に関心を持つ」。2つめ「いいところを見つける」。3つめ「人として接する・認める」。

アンチパターンから見ていきましょう。「無反応・無愛想」。そうはいっても、もともとこういう顔だよ、無愛想だよという人はいるかもしれないですが、別にその表情とか、あるいは言葉だけでリスペクティングしなくてもいいんですね。この後、説明します。

「批判、否定しかしない」。あるいは「お前にはまだ早い」という言動。いろいろ問題があります。「お前」という言い方が、相手を人として対等に接していないワケです。まだ早い、まだ未熟者だ。これがまさに、相手を低く見る行為です。

「意見を聞かない」。具体的な話だと、こんな経験があります。大手製造業の現場で、ある部署とお取引先がミーティングをしていたんですね。初対面で名刺交換をすると思うんです。客先のその部署の部門長が、相手のお取引先と名刺交換するんですけれども、若手の人が出てきたところで「あ、あなたはいいよ」って言って名刺交換を拒んだ、と。

これ、どう思います? 私は人として最低だと思います。「なに、会社の肩書きに依存して偉そうにしちゃってるの……?」ですよね。

そういう人たちが、お取引先・お客さんに対して「いい仕事をしよう」と思うか? って話なんですよね。あるいは会議室を一歩出れば、そのお取引先・サプライヤーさんもお客様の側になりうるワケですから。個人の顔になった時に「こんな会社の製品、二度と買うか」と思うワケですよね。

まさにこのように、相手をリスペクトしていく行動。これがいかにエンゲージメント、相手の仕事に対するエンゲージメント、その会社に対するエンゲージメントに、社内外関わらず影響するか? という話だと思うんですね。

人間が持っている、3つの承認欲求

「人は3つの承認欲求を持っている」といわれています。1つめが、結果を認めてほしい「結果承認欲求」。2つめが、行動・プロセス・がんばりを認めてほしい「行動承認欲求、プロセス承認欲求」。

そして3つめが「存在承認欲求」。私はここにいていいんだ、私はここで人として認められているんだ。プロとして認められているんだ。この承認欲求を持っています。

これをどう満たしていくか? これは主にマネージャー・リーダーの行動にかかっていると言っても、過言ではないです。リスペクティング行動はメンバーのエンゲージメント、すなわち、その組織や職場や仕事に対する帰属意識・愛着・誇り……「私はここにいてもいい」という気持ちを高めるワケですね。影響するワケですね。

部下のみならず、協力会社の方も含めて、メンバーの一体感や仕事に対する主体性が芽生える。主体的なコミュニケーション、コラボレーション。「このメンバーだったら意見してもいいな。このメンバーのために俺、一生懸命考えよう」。こういう気持ちを醸成するワケですね。

リスペクティング行動、具体的に10の具体行動を今日は挙げていきます。この後の斉藤さんとの議論で深めていきたいんですが、バーッと一覧で示したいと思います。

具体的にここから斉藤さんと深めていければうれしいです。いったんここで止めます。ご清聴ありがとうございました。

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