2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会者:お待たせいたしました。それではイベントを開始させていただきます。まずは、ライツ社さんより『マイノリティデザイン』を刊行された、澤田智洋さんにご登場いただきます。澤田さん、よろしくお願いします。
澤田智洋氏(以下、澤田):よろしくお願いします。みなさんこんばんは。今日はお忙しい中、ありがとうございます。
最近、バーチャル背景をつけると体の輪郭がボワボワしてしまうんですけど、今日はこういうボワボワした状態でお送りしようと思っています。
ご紹介いただきましたとおり、3月3日にライツ社さんから『マイノリティデザイン』という本を出して、そこから今、いろんな企画が立ち上がっています。丸善丸の内本店さんとは「マイノリティデザイン・デイ」という、4日間に渡るイベントを開催させていただいてます。
毎回、僕が大好きかつ、マイノリティデザインをわかっていただけるんじゃないかと期待している方をお呼びして。実は、僕がただ単にすごくお話ししたいと思っているだけなんですけど。楽しくお話しして僕が学びたいと思っているだけなんですが、それを公開して、ぜひみなさんにもその学びをシェアしたいと思っているイベントでございます。
ほとんどの方はご存じだと思いますが、本日のゲストは作家の岸田奈美さんです。どうぞ。
岸田奈美氏(以下、岸田):こんばんは。よろしくお願いします。
澤田:よろしくお願いします。
岸田:いつも、しゃべる時はもうちょっとテンション高いんですけど、澤田さんとしゃべる時はなんかちょっとこう……。穏やかで、けっこう“凪”なんですよ。
澤田:(笑)。
岸田:前もそうでしたよね。
澤田:でも僕、そんなにみんなから「テンション低い」と言われないですけど、低いですかね? 岸田さんの周りが高いんですかね?
岸田:いや、なんかね。マイナスイオンって言ったら、今だめなのか?(マイナスイオン)的なものが出ている気がするけど。飾らないというかね、リラックス感が出ており、変に鼓舞しなくていい。
澤田:こういうところに出てくる方って、基本的にすごく成功している方じゃないですか。
岸田:そうなの?
澤田:こういうウェビナーとかに登壇する方って、すごく自信に満ちあふれてるじゃないですか。僕はそれを見るとけっこうへこんじゃうタイプというか、「なんて自分はだめなんだろう」みたいな。
岸田:あ〜、わかります。人様に教えられることなんてないんですよね(笑)。
澤田:まさにそうです。
岸田:失敗して軌道修正して、失敗して軌道修正して……。なんとか洞窟を手探りで進んでいる感じなんで。「じゃあ、洞窟ってどうやって抜けられますか?」と言われても、「さぁ……」みたいな(笑)。
澤田:(笑)。
岸田:そうなっちゃうんで、これは視聴者のみなさんの想像力というリテラシーに任せて、読み取っていただくしかない感じです。
澤田:今日はそういう意味で、隙間が9割ぐらいあるようなイベントになるんじゃないかと思っています。じゃあはじめに、「マイノリティデザインって何?」と思ってる方も多くいらっしゃると思うので。まず簡単に私から、スライドを使って5分ぐらいで説明をさせていただきます。
もしかしたら、岸田さんのTwitterは知っているけれども、バックグラウンドをあまり知らない方がいらっしゃるかもしれないので、その後、岸田さんにもスライドを使ってご自身の紹介をしていただこうと思います。ちょっと今、セミナー感出してます。
岸田:確かに。
澤田:確かに(笑)。
岸田:セミナー感ありますよね。
澤田:何かあったら茶々入れてください、岸田さん。
岸田:は〜い。
澤田:『マイノリティデザイン』という本を出させていただきました。このイベントを主催してくださっている丸善丸の内本店さんが、今(2021/3/23時点)こんな感じになっていて。
マイノリティデザイン・デイに登場いただく岸田さんをはじめ、みなさまの選書ですね。これを読むと「人生がきっと豊かになるよ」「なにかのヒントになるよ」という本も、このコーナーにぎゅっと詰まっている感じです。
僕はコピーライターをやっていて、映画のキャッチコピーの仕事をしていたり、チョコレートのCMを作ったり、広告会社っぽい仕事をいっぱいやってきたんですね。
岸田:ぽいですね。広告代理店の方のプレゼンっぽい。
澤田:本当ですか。
岸田:ここまではちょっと「ドヤ感」があります。
澤田:その「ドヤパート」はもう終わります。
岸田:ドヤパート(笑)。
澤田:僕はずっと、「広告の仕事って、強いものをより強くする仕事だな」と悶々としていて。広告会社に仕事を発注できる企業って、経営基盤がしっかりしていて、売り上げもすごくあって。
年間数億から、多い時には何百億とかの広告予算を確保している企業もあって、「めっちゃ強いじゃん」みたいな。「100のものを101にするような仕事なんじゃないか」と、一時期すごく悩んでいました。
澤田:そんな時に息子が、先天的に目が見えなくて、知的障害があって、自閉症というトリプルで生まれてきて。彼が生まれてきて、(自分自身が)1回空っぽになりました。「仕事も手につかんぞ」みたいな。
「悩んでいてもしょうがないから、障害者に会いに行こう」と思って200人に会いに行って、障害者起点でいろんな発明が生まれてる話などを聞いて。
「医学モデル」と「社会モデル」といって、「障害は個人じゃなくて、社会のほうにある」と考えるのが社会モデルの考え方だよ、とか。この辺の考え方はめちゃくちゃおもしろいなと。
障害者って、社会的弱者や救済・庇護すべき対象だと思っていたけれども、ライターやカーディガンといった発明は、どちらも片腕の人でも使える・着れるようにという起点で生み出されたとも言われていて。社会モデルで考えると、その人たちから社会がアットホームになっていく動きが作れるんじゃないかと思って、「これだ!」と。
僕は誰かが抱えている「障害」や「苦手」を「弱さ」と定義しているんですけれども、いろんな弱さは社会の伸びしろだなと、どんどん思えてきて。あぁおもしろいな、みたいな。
強いものをより強くするんじゃなくて、「弱い」とされているものを強くする。そこから価値を生み出す仕事をしようと思いました。「マイノリティデザイン」というのは勝手に考えた言葉なんですけれども、これで仕事をしていくんだという。
端折りますけど、例えば6年前から義足女性のファッションショーをプロデュースしています。義足って福祉器具だけど、ある種それをファッションアイテムに再解釈してショーをやったり、視覚障害者用の忍者ロボットを作ったり。
岸田:かわいいですね。
澤田:あとは障害のある方を起点にスカートを作ったりと、いろいろやっていたら「自分もマイノリティだ」ということに気づきました。
澤田:僕はスポーツがめっちゃ苦手なんです。これは5歳ぐらいの時の僕なんですけど、あきらかに関節が曲がってないというか。ボールと仲良くなれなさそうな気配たっぷりの写真ですけど、そのとおりです。
岸田:その(スライド上の)文字をズラす演出、なんなんですか?(笑)。
澤田:いや、なんか今、深く考えないで(動かしていた)……。
岸田:この動きが、運動音痴感がちょっとありますよね(笑)。
澤田:そうですね。運動音痴だから、こういうカーソルの動きとかも苦手だと思う。
岸田:「どこに持ってくのかな」という気はすごくする。
澤田:そうですね。今、優柔不断(な動き)になってますもんね。
でも実は、日本人の45パーセントはスポーツをしていないことを知って、「これってみんなスポーツマイノリティなんじゃないかな」と思って。要は、障害者やLGBTQだけがマイノリティ・障害者じゃなくて、みんなマイノリティ・障害者なんじゃないかと思い立ったきっかけです。
なので、「世界ゆるスポーツ協会」を2015年に作りました。ずばりミッションが、「スポーツ弱者を世界からなくす」「スポーツマイノリティがいない世界を作ろう」という。「難民がいない世界を作ろう」と言っているような団体と視点は一緒です。
「人には人の地獄がある」と思っていて。僕は体育の時間が本当に地獄だったし、スポーツが苦手な人はみんな同じようなことを言うので。それは立派な社会課題だと捉えて、スポーツ弱者を世界からなくそうと活動をして、スポーツをいっぱい作ってます。
そんな感じで、障害のある方を基点に発明したり、自分の中にいるマイノリティ性からなにかを発明するようなことを「マイノリティデザイン」と呼んで、そんなことをいっぱいやっています。すごくざっくりですが、私からは以上になります。
澤田:そうか。こういうスライドを使って岸田さんに説明したことないですもんね。
岸田:したことないし、「私からは以上となります」が、もう完全にプレゼンっぽいです(笑)。
澤田:(笑)。
岸田:ちょこちょこ“プロフェッショナル感”が出てくるのは、いいですね。
澤田:プレゼン野郎なんで、隠しても隠しきれない。
岸田:いやぁ、仕事ができる。
澤田:いやいや。本当にロボットのようにプレゼンをしてるだけなんで。
岸田:わかる。私もそうです。
澤田:本当ですか!?(笑)。
岸田:あれですよね。急に舞台とかにひっぱり出されて、見たことも聞いたこともないスライドを5枚出されても、たぶんプレゼンできますよね。
澤田:できます。
岸田:できますよね(笑)。
澤田:見たことない写真1枚で、1時間話せます。
岸田:私も話せる。なんなんですかね。20代前半で仕込まれたスキルって、ずっと覚えてしまうというか。下っ端魂がやっぱり抜けないですね。
澤田:そうですよね、サービス精神というか。
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