2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会者1:みなさん、こんにちは。Climbersへようこそ。
司会者2:みなさん、こんにちは。どうぞ、よろしくお願いします。
司会者1:いよいよ始まりました、Climbers。ただ今より、ブレイクスルーを実現した10人による人生の特別講義「Brave LIVE」をお届けしてまいります。さてこのClimbersですが、名刺アプリ「Eight」とテレビ東京、そして『GOETHE(ゲーテ)』の3社が、日本のビジネスパーソンを応援したいという思いで立ち上げた、新しいビジネスライブイベントです。
司会者2:イベントのテーマは「乗り越える」。さまざまな壁を乗り越えてきたトップランナーたちはいったい何を目指し、何を糧にいくつもの壁に挑戦し続けることができたのでしょうか? 彼らを突き動かすマインドや感情を探り、今日この場にご参加いただいているみなさんとともに「乗り越える力とは何か?」を考えていきたいと思います。
司会者1:おかげさまで、ただ今1万3,000名を超える方々にご参加いただいております。きっと今日お集まりのみなさんの中にも、まさに今、苦しい状況や壁に立ち向かっている方々もいらっしゃるのではないでしょうか? そんな方々に今日の講義を聞いていただくことで「よし、明日からまた仕事がんばろう!」と思っていただけるようなパワーを、少しでもお届けできたらうれしいです。
司会者2:それでは人生の特別講義Brave LIVE、始めてまいりましょう! トップバッターは元メジャーリーガーで、現在はNYヤンキースGM特別アドバイザーであり、Matsui 55 Baseball Foundation代表理事の松井秀喜さんです。
司会者3:松井秀喜さんです。ようこそお越しくださいました!
松井秀喜氏(以下、松井):ありがとうございます。
司会者3:ありがとうございます。では、さっそくお座りいただきましょうか。ニューヨークから生配信でお伝えします。今、ニューヨークは夜の8時を回ったところで、日曜日の夜ですから、ちょうど夜ご飯を召し上がってから来てくださった……。
松井:先ほど食べてきました。
司会者3:ありがとうございます。このClimbers、初開催なんですよね。松井秀喜さんはこれまで4番バッターで打ってらっしゃいましたけれども、今回はトップバッター。どんな気持ちですか?
松井:ははは(笑)。野球では私は経験ないですからね。
司会者3:ないですよね。やっぱり。
松井:このあとたくさんのすばらしい方々が続きますので、いいスタートになるようにがんばります。
司会者3:お願いします。それではさっそく「乗り越える」をテーマにお話を伺っていきたいと思うんですが。まずは野球との出会い。始めたきっかけは?
松井:私、4学年上の兄がいまして。兄が野球が好きでね。いつも父とキャッチボールをやっていましたので、自分も物心ついた頃にはやっぱり自分もやりたいなということで。兄と父とのキャッチボールというのが、最初の出会いですね。
司会者3:それが何歳くらいですか?
松井:ほとんど記憶にないですけどね。父は「3、4歳くらいから入りたがって、よくやってた」と言ってましたけど。ほとんど記憶ないですね。
司会者3:そこで小学校1年生に上がりますと、いよいよチームに入るわけですよね。お兄様のチーム?
松井:そうですね。兄は5年生で、私は1年生で。チームには本当は3年生からしか入れなかったんですけど、私は体も大きかったですし、兄もいたということで特別に入れてもらって入ったんですけど。
司会者3:どうでした?
松井:最初は1年生なので、指導者の言ってることとか意図というものがほとんど理解できずに、どうしても練習の足手まといになるということで。入って1週間くらいですかね。指導者の方から、たぶん両親に「(チームに入るのは)もう少し待ってほしい」と言われて。私はそれを両親から言われまして。ほぼ強制的に辞めさせられたんですけどね。
司会者3:これはいわゆる、初めての挫折っていう感じですかね。
松井:野球ではそうでしょうね(笑)。
司会者3:どんな思いか、覚えてますか?
松井:覚えてますね。やっぱり辞めさせられた悔しさというかね。なんとも言えない寂しさ。やっぱり野球が好きだったのでね。それは今でも非常に覚えてますね。やっぱりまだ小さかったので、悔しさというのがずっとあったので。
3年生になったら入れたんですけど、辞めさせられた記憶っていうのはずっとあったので。その頃に両親からも「どうだ? やるか?」って言われたんですけど「やだ」って言って(笑)。
司会者3:え~、そうだったんですね。
松井:なんか反抗心というかね。抵抗があったので。
司会者3:小学校4年生で160センチで60キロ、中学校1年生では170センチで95キロ!
松井:まあ、太り過ぎだったんですけどね(笑)。
司会者3:いやいや(笑)。本当に体格に恵まれたというか、柔道もお相撲も頭角を表している中で、再びトラウマがありながら野球に戻っていこうっていうのは、なにかきっかけがあったんですか?
松井:小学校5年生の夏頃に、その時はもう(自分をチームから辞めさせた)指導者の方は変わられていたので。(別の)指導者の方から「どうだ?」って誘われたんですよね。それで初めて「じゃあやります」っていうことで、小学校5年の夏くらいからまたチームに入って。
その時、柔道やってたんですけどね。「柔道もやる」という約束で。小学校終わるまでは両方やったんですけどね。
司会者3:練習の鬼だったという、数々の伝説がありますけれども。
松井:そうですかね(笑)。
司会者3:悔しい時も「練習が嫌だな」って思っている時も、お父さまの昌雄さんからそんな時に送られた言葉があると。
松井:小学校2、3年生だったですかね。「努力できることが才能である」っていう言葉をですね。普通の紙に毛筆で書いて「これ」って渡されて。まだ小学校2、3年生なので、あんまり意味もわからなくて。でももらったので、当時自分の部屋があったので、その紙をずっと貼ってたんですけど。
それはたぶんね、その頃は野球っていうよりも、ただ父がその言葉が好きだったっていう。石川の陶芸家の方の言葉だったらしいんですけど。それをずっと部屋に貼ってあって。高校卒業するまで、ずっと部屋に貼ってありました。
司会者3:やっぱり見ると「そうだな」って納得する部分はありました?
松井:父がわざわざそれを書いて渡してくれたっていうね。「なんか大事なものなんだろうな」っていうぐらいの感じですよ。それを見返して「う~ん、努力できることが才能だ」って、私はそんなできた子どもじゃなかったです。
司会者3:いやいや。でもきっと、なにかが植え付けられていたのかもしれないですよね。
松井:潜在的にね、その言葉は常にあったような気がしますけどね。
司会者3:その松井少年はすくすくと大きくなって、高校は星稜学園に進まれますけれども。高校1年から4番バッターを任されて。そして日本でも大きな話題になりました、高校3年生の時の5打席連続で敬遠。これは社会問題にもなったんですよね。
松井:でしたね。自分もそこまで(社会問題に)なるとは、その試合が終わった当時はまったく思わなかったんですけどね。自分のまったく予期せぬ方向にいったというかね。自分としてはただ負けちゃってね。高校野球の生活が終わっちゃったという、その悔しさだけだったんですけど。まさかそういうことになるとは、思いも寄らなかったですけどね。
司会者3:バッターボックスに立った時、どんな気持ちだったんですか? 次から次へと敬遠されていくわけですよね。
松井:自分の中では「ストライクゾーンに来た時は打とう」という気持ちで、打席では待っていましたね。敬遠っていうのは、1球目を投げた時点でわかるんですけど。「もし来たら打とう」っていう気持ちで、5打席とも立ってましたけどね。
司会者3:「悔しい! 嫌だ!」っていうよりも、もうちょっと冷静だったわけですかね?
松井:そのへんは冷静だったと思いますね。自分が敬遠で1塁に行って、あとのバッターが打ってくれればいいっていう。その気持ちでずっと試合中はいました。
司会者3:この敬遠は、自分の中ではどういう意味がありました?
松井:今、振り返ると本当に大きかったですよね。なぜかというと、それがすごく自分のエネルギーになったんですよね。高校時代というのは確かに注目されていたかもしれないですけど、自分の中ではそこまで自信はなかったです。
でもあの甲子園の大きな舞台で5回敬遠されたって、たぶん後にも先にもおそらくないと思うんですけど。そういうバッターであるということを、自分自身にこのあと証明しなくちゃいけない。
そのあとプロ野球のジャイアンツに入った時に「彼があの甲子園で5回敬遠されたバッターなんだ」ということを、やっぱり成績で示さなくちゃいけないっていうことは、心の中でどっかにあったと思うんですよね。常に考えてるわけじゃないですけど。それはやっぱり心の中にあった。そういう意味では、あの大きなできごとは非常にエネルギーになりました。
司会者3:前向きですもんね。それを長嶋(茂雄)監督もご覧になっていたからこそ、巨人への指名にもつながった……。
松井:監督は……あとから聞いた話ですけど「敬遠されたことよりも、敬遠されて1塁に走っていく姿がよかった」っていう。「姿がよかった」って褒めてくださったんですよね(笑)。
司会者3:それは?
松井:いや、わからないです。
司会者3:全力疾走?
松井:いや、全力というよりも……なんていうんですかね。「感情を押し殺して」というか。その姿がよかったと言ってくださっていたので。そんなところを見てくださっていたのかなっていうのはね。自分としてはまったく想像してなかったんですけど。
司会者3:一生懸命な姿をご覧になっていたんでしょうね。
松井:かもしれないですね。
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