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高まる“個”の影響力とシナジーを生みだす、組織と従業員の関係づくりとは?(全4記事)

「いかに社員を大事にするか」が企業のブランドと直結し始めた リンクトイン・村上臣氏が語る、組織と従業員の関係づくり

企業を取り巻く市場は刻々と変化し、SNSや口コミサイトの発達により、企業の魅力は個人の発信にも大きく左右されるようになってきている、昨今。また、新型コロナウイルスの蔓延によって働き方に変化が起きたことで「日本の雇用形態も変化すべき」という動きが生まれています。このような変化のなかで、企業と従業員の関係性にお悩みの方もいるのではないでしょうか? そこで「社員を通じて会社の魅力を社内外に訴求する『新時代の社員名鑑』」のtalentbookが、オンラインイベント「高まる“個”の影響力とシナジーを生みだす、組織と従業員の関係づくりとは?」を開催しました。リンクトイン・ジャパン株式会社 日本代表 村上臣氏をゲストに迎え、株式会社PR Table 代表取締役 大堀航氏がお話を伺います。

「新時代の社員名鑑」としてのtalentbook

大堀航氏(以下、大堀):本日、リンクトインの村上さんをお迎えしております。まず両者のご紹介・ごあいさつをさせてください。そこからパネルセッション、Q&Aと進めさせていただければと思います。

まず私、株式会社PR Table 代表取締役CEOの大堀航と申します。大手のPR会社にいて、IT企業の広報コンサルティングを中心にやっていました。そのあとベンチャー企業に転職をしまして、PRチームの立ち上げから東証マザーズ上場というかたちで、社内広報・社外広報含めて広報全般を経験してきております。そのあと2014年12月に、株式会社PR Tableを創業しました。

当社のことについて、簡単にご説明させてください。(スライドを指して)当社のミッションです。「あらゆる関係性をフェアにする」。企業の中にいる個人、そして社会と関係性を築く力をその個人が身につけ、これまで当たり前とされてきた理不尽な機会格差がなくなる、そして誰もがフェアに本来の実力を発揮できる社会になる、というところを実現するためのミッションを、当社は掲げております。

当社は一スタートアップ・ベンチャー企業として、現在、製品づくりをしております。当社のサービス、talentbookというサービスです。「新時代の社員名鑑」というかたちで現在、大企業様を中心に、社内外への発信を含めた企業のカルチャー発信、コンテンツを通じてそれを実現していくためのサービスを、ソフトウェアとして提供しております。

社員のコンテンツを通じて、会社のカルチャー・戦略というものをインターナル、そして社外にも発信していくというところが、当社のサービスの大きな特徴となっています。企業の文化・戦略を発信するためのコンテンツの活用というところ、従来コーポレートサイト・採用サイト・社内報・イントラ・SNSというものを使っていたところを、よりそれを効果的に活用し、さらにコンテンツを作り、そしてまたそれを活用し、振り返るところ。という製品を提供しております。

本日は製品の話というよりは、村上さんと一緒に「企業と個の関係」という部分で「組織と従業員の関係づくりとは?」を本セッションのテーマとして展開していければと思っております。

世界中で7億600万人のユーザーを持つ、リンクトイン

大堀:本日、リンクトインの村上さんにご登壇いただいています。では村上さんから簡単に、自己紹介・ごあいさついただければと思います。よろしくお願いいたします。

村上臣氏(以下、村上):はい、ありがとうございます。リンクトイン・ジャパンの村上でございます。よろしくお願いします。

リンクトイン、我々のビジョンは「世界で働くすべての人に経済的なチャンスを作り出す」というものをグローバルのミッションに、ここ日本でもこれを浸透すべく、日々がんばっております。

現在、世界では7億とんで600万人のメンバー。2秒に1人増えているというプラットフォーム、世界最大のビジネスに特化したSNSでございます。日本では200万人以上の方にお使いいただいていて、近年、国内でもかなり日本語でのエンゲージメントが上がってきていて。リンクトインというと「英語でプロフィール書かなくちゃいけないのかな?」と思う方もいらっしゃるかもしれないんですけども(笑)。今は日本語でみなさん交流している、と。そういうことをやっております。

また我々は3年連続で、Business Insider Intelligenceのデータですけども、信頼できるソーシャルメディアということで。「もっとも安心できるSNSはどこですか」という質問に対して、ほかのプラットフォームよりも「信頼性が高い」と言われています。

社会人の方が自分のプロフィールを出しながら、建設的に議論をする場で。安心して、なんでもビジネスの話ができるようなプラットフォームになっております。

日本でも大企業を中心に導入事例が増えていまして、あとでご紹介しますソリューションを法人でお使いいただいていると。個人の方は自分のキャリアをより伸ばしたりとか、もしくは情報収集・ネットワーキングにご利用いただいているという現状になっております。

我々のプラットフォーム、いろいろ特徴的なプロダクトがあるんですけども、大きく分けて2つございまして。1つが人事部門の方々を全面的にサポートするような部門。この中には3つのソリューションで、タレントソリューションという、タレントを採用するのを手助けするプラットフォーム。また人材育成のためのEラーニング。もう一つが、パルスサーベイ、パルス調査ということで、エンゲージメントのためのグリント。この3つがございます。

あとはこれを全般的にサポートするために、ブランディングや広報活動をサポートするために、マーケティングソリューションということで、リンクトインプラットフォームの中の広告とかスポンサードコンテンツを売っているような状況にあります。

いろいろ細かいところはたくさんあるんですけども、我々、一貫して人員計画から人材育成までを、ワンストップでサポートするようなソリューションを持っているというところが特徴でございます。

とくに最近はLinkedInラーニングが伸びておりまして、このコロナの前後で比較すると3倍ぐらいの聴取時間になっております。しかもそのほとんどが、日本語のコンテンツとなっています。

で、英語のコースに日本語字幕で視聴できるコースも8600ほどあるんですけども、日本でもスタジオ持ってますので。日本人の講師の方による、日本語による専門コースというのもですね、今は非常に多く取り揃えております。

やっぱりこの在宅の機会の中で、通勤時間がなくなったため、そのぶん人材育成に投資をしようという企業さんが増えていて。これは社員の満足度向上もそうですし、将来の会社としての力をつけるという意味で、ラーニングというのが非常に注目されている状況になります。とくに「学び直し」というのが。スキルの陳腐化が早いものですから、このスキルギャップをどう解消するかということが、今、非常にテーマになっているところです。

あともう1つは、グリントというパルスサーベイですね。こちらは、従業員の方に対していろんな質問を投げて、聞いてみるというのがあるんですけども。グリントの特徴は、けっこう細かく、簡単にシンプルな質問を頻度高く聞くということなんですね。これをピープルサイエンティストとか、AIエンジンとかを使って分析をしていくと。

なので、コンサルティング会社とか使って重めの年間計画やるようなパターンと、あとは1年に1回エンプロイサーベイみたいのをやってる方もいらっしゃると思うんですけども、そのいいとこ取りをしたようなプラットフォームであると言えると思います。

やっぱりこの在宅勤務で見えないような状況で、従業員の気持ちをどう知るのかっていうのが、エンゲージメントを高める上では必須になってきますので。今日のテーマでもある「組織と個人の関係性をどう築くか」「どうメンテナンスしていくか」というところには、こういったパルスサーベイというのは非常に使えるんじゃないかと思っています。

エンゲージメントの低い社員というのはやっぱり、高い社員よりも離職する可能性が約12倍高くなるというようなグローバルのデータもあるので(笑)。シンプルな話ですよね。やっぱりエンゲージメントが低ければ、どんどん心が離れていってしまうというところがあると思いますので。そういうところは今、非常に注力しております。

日本ではNEC様が全社員に対してLinkedInラーニングを導入いただいたりであるとか、あとはソニー様もグリントを全社導入していただいて。グローバルの社員の方のエンゲージメントを高める施策に役立っている、となっています。

ですので、こういうかたちで社員になる以前のところからリンクトインはリーチをして、そこから社員化していって、さらに育成して戦力化するところまでワンストップでサポートしています。このようなけっこう珍しいソリューションが揃っておりますので、よろしくお願いします。

大堀:村上さん、ありがとうございます。

村上:ありがとうございます。

大堀:僕もLinkedInラーニングのほう、見させていただいて。リーダーシップとか「チームを率いてまとめるには」「戦略的な計画を立てるには」「適切な意思決定をするには」みたいな、けっこう実践的かつ、マネージャー層がこれでラーニングして、しっかりスキルを身につけられるようなコースになってるなと思ってびっくりしました。こんなにコンテンツがあるんだ、というところで。

村上:我々はコンテンツ自体を自社で作っているので、Excelの使い方みたいなところから、管理職向けのリーダーシップ系のコースが多くて。我々「ソフトスキル」って言ってるんですけども、例えば効果的な1on1をするとか、あとリモートマネジメントをどうするかみたいな。今、旬なトピックがあるんですけども(笑)。

とくにアメリカとかヨーロッパだとリモートワークって普通なので、やっぱりリモートマネージャーっていう概念が普通に浸透していると。顔が見えず日々オンラインでやり取りするような関係の中で、どうお互い良い関係を築いてアウトプットを出していくかみたいなところは、やっぱりEラーニングで学べる部分が多いですね。

大堀:なるほど、ありがとうございます。今日のセッションでもまさに個人のスキル、企業としての提供する機会を含めたお話になるかなと思うので。そこらへんの話もぜひのちほど、絡めながらお願いしたいと思います。

村上:はい、よろしくお願いします。

withコロナ時代の企業・個人に必要な力とは?

大堀:本日のパネルセッションの内容は「組織と従業員の関係づくり」というところを大テーマに、実際リンクトインを通じてのサービス提供という中で、たくさんの大企業様の声を村上さんのほうでもかなり聞いてるかなと。あと逆にリンクトインの、グローバル企業の中で代表としてお仕事をされている村上さんの経験みたいなところも、今日はいろいろお聞きできたらなと思っております。

(スライドを指して)こちら、本日のパネルセッションの大きなキーワードを6つ挙げております。まず「withコロナ」。そして「雇用のカタチ」「多様性」「SNS」「生産性」「エンゲージメント」と。このようなキーワードを中心に、本日のパネルセッションは大きく3つの構成で進めていければなと思っております。

1つ目が「withコロナ時代の企業・個人に必要な力とは? SNSの利用価値とは?」。2つ目が「これからの時代の雇用のカタチは?」。今まさにニュースでもたくさん流れている、メンバーシップ型・ジョブ型というところのお話をできればと思っています。

そして最後に「“個”の魅力をどこまで企業は認めるべきか?」と。個人のネットワークというものを企業の活動、企業成長にどう活用できるかという、この3つの観点で村上さんにいろいろお話をお聞きできればなと思っております。ではさっそく村上さん、進めさせていただきます。よろしくお願いします。

村上:はい、よろしくお願いします。

大堀:まず1つ目のテーマです。「withコロナ時代の企業・個人に必要な力とは? SNSの利用価値とは?」というところで。まさにこのコロナ禍においてかなり、SNSの利用、インターネットの利用時間も圧倒的に増えてきているというデータもあります。

こちら、ネットの利用時間というところで、1月時点・5月時点で、やはり時間的なものは年代問わず上がってきていると。で、SNSの利用時間についても約3割の方は「すごく増えた」と言っている中で、企業のSNS利用についてもかなり「参加した」というところの比率も高まってきたりですとか。

あとは(スライドを指して)ここですね、このコロナ禍における企業イメージという観点で「従業員の安全を尊重している」ような部分も、かなり企業イメージという観点ではプラスに働き始めてきているというところが、調査データとしても出てきているという印象です。

実際、村上さんは多くの大企業の方々とも対話をされていると思うんですが、その中の個人というところの中で、今この環境の中でどういう企業、そして個人が、コミュニケーションの観点を含めて進めていくのがあるべき姿なのか。お考えはありますか?

村上:まずやはり、この日本社会がすごく変化しつつあるな、というのを肌身で感じているんですけども。これだけビジネスにおいてオンラインが重視されるっていうのは、今までの戦後の日本ではなかったわけですよね、基本的に。「名刺交換自体をバーチャルにしましょう」とか、もしくは「ハンコやめましょう」みたいな話っていうのは、今までもいろんな人がトライしてきて、屍が転がってる状況と(笑)。

大堀:(笑)。

村上:やっぱり文化に根ざした部分が多いところが、良くも悪くもできなくなっちゃったので。なんとか変えなくちゃいけないっていう圧力が高まったがゆえに、DXという観点だと非常に進捗をしつつあるというのは、この日本にとって非常に良いことだなと思っています。

で、オンラインの時間が増えるというのはそのとおりですけども、やっぱり会社がどれだけ従業員のことを大事にしてるかというところが、企業のブランドに直結し始めたっていうのが。リサーチにもありましたけども、すごく大きいなと思っています。

「ハンコ押しに会社に行かされる」とか、けっこういろんな出社に関するネガティブなニュースが流れたりとか。「うちの会社は私らのことをどう思ってるんだ」というところが、わりと命の安全レベルで、クリティカルなポイントとしてコロナ禍では出ているため、今までなんとなく「来いよ」みたいなので「しょうがないな」って行ってたのが、そういう問題じゃなくなっちゃったと。

そういう意味で、それによって会社の反応が自分が思うよりも思わしくない人は、たぶん転職を検討するっていうのも、けっこう見聞きしてるんですね。最近で言うと。

大堀:あぁ、それが転職のきっかけにつながってると。

村上:そう。そんな危険を強いるような会社にはもういられない、というのもやっぱり出てきているので。そういう意味だと非常に、会社にとっても従業員をどう考えるかって、考えるきっかけにもなりましたし。個人にとってもフラットな目でいろんな会社の対応を見て、自分自身のことを考えるきっかけになるというのが、とくにこの緊急事態宣言下の動きだったかなと見ています。

大堀:実際に村上さん、リンクトインのグローバルっていうところと、あと日本という観点で。どのような取り組みといいますか、この環境でチェンジしたこととかはあるんですか?

村上:我々はかなり、もともとリモートワークに慣れているので。

大堀:グローバルなやり取りとか、そうですよね。

村上:そうですね。私自身もやっぱり、上司も日本にいないですし。半分以上の仲間は国外にいるので、基本的にオフィスに出勤してリモートワークをしてるっていう状況でしたので(笑)。場所が変わっただけだよね、というのはありつつ。

リンクトインは中国オフィスもあることから、(コロナの状況を)察知したのがけっこう早かったんですよね。1月ぐらいから中国オフィスのほうでは「なにか起きてるぞ」となってきていて。で、北京・上海は1月中に在宅にシフトし始めて。日本でいうと2月の末ぐらいからオプショナルでワークフロムホームになって、3月にはもう全員基本在宅になりましたので。動き的には早かったですね。

大堀:じゃあめちゃくちゃスムーズに移行されてるというか、対処されてるって感じですね。

村上:はい。なので今も基本的に「いつまで」っていうのはなくて、しばらく在宅でやりましょう、という感じになってますね。

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