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U-29 Career FES 20/04 by ヤフーアカデミア学長 伊藤羊一さん(全3記事)

「今の人生から逃れられるかも」で動いても、うまくいくワケない 伊藤羊一氏が振り返る"人生最悪の時期"からの脱出

ユニークな価値観を持つ29歳以下の世代のためのコミュニティ「U-29.com」および「ユニーク大学」が運営する、月イチイベント「U-29 Career FES」。第三回となる本イベントは、Yahoo!アカデミア学長として次世代のリーダーの育成や全国各地でのプレゼンテーション指導、著書『1分で話せ』『0秒で動け』の執筆など、多方面で活躍されている伊藤羊一氏をゲストに開催されました。モデレーターは西村創一朗氏が務め、伊藤氏のキャリア・半生に迫ります。

月1イベント「U-29 Career FES」

西村創一朗氏(以下、西村):みなさん、(伊藤)羊一さんも、改めて、おはようございます。

伊藤羊一氏(以下、伊藤):おはようございます。

西村:弊社が「U-29.com」という、10代20代向けのメディア、あるいはFacebookでのコミュニティを運営しているんですけれども。そこで「U-29 Career FES」という、コミュニティメンバー以外も含めて参加できるオープンなイベントを月1で開催していて。

もともとは渋谷にあるBOOK LAB TOKYOでリアルイベントというかたちでやっていたんですが、今月はコロナの影響もあるので、オンラインでのイベントにチャレンジするということで。今回はZoomで開催をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

まず始めに今日の流れについてお話すると。今はオープニングということで、今日の流れについて最初にお話しさせていただいて。

続いて、今日の本編ですね。羊一さん自身の半生に迫るということで。バトンタッチして、羊一さんのスライドで簡単に今までの略歴について自己紹介いただいて、そこに僕がいろいろと質問をさせていただくということをやらせていただきます。

最後はQ&Aとして、みなさんに投稿いただいた質問を拾って、僕が質問をするかたちになるので。

今日はオフレコトークも多数出てくる可能性があるかなと思いますので、みなさんのお手元での録画録音はご遠慮いただければと思います。ただ写真を撮ったりする分にはまったく問題ないですし『♯ユニキャリ』というハッシュタグをつけて、SNSでシェアいただいたりはまったく問題ないです。

それをnoteとかブログで書いていただくのも、もちろん問題ないです。ということでSNS拡散は大歓迎ということで、SNSもうまく活用いただければなと思います。

ということでオープニングはこの辺りにして、さっそく羊一さんの自己紹介パートに移りたいと思いますので、よろしくお願いします。

伊藤羊一氏のキャリア

伊藤:よろしくお願いします。みなさん、おはようございます。今日はいろいろ昔のお話を中心に「こんな状況からもろもろ変わってまいりました」という流れをお話しできればと思っております。

まず自己紹介させていただきます。私は伊藤羊一という名前で、ひつじ年の長男で「羊一」です。サンズイはつきません。現在53歳です。ちなみに私のおじいちゃんは、うま年の長男で「一馬」という名前でございまして。

いろんな仕事をやってきまして、いま足元でやっているのがヤフーのコーポレートエバンジェリスト、ヤフーの企業内大学、Yahoo!アカデミアの責任者です。

Yahoo!アカデミアは企業内大学で、コロナショックでリアルのデリバリーは全部なくしてオンラインで提供したり、あとは今後いろいろ会社の形態も変わってくると思うので、そこにどうやってフィットさせていこうかについて、いま考えているところですね。

もともと新卒で銀行員をやっていまして、そこからプラスという文房具、家具のメーカー、流通に転職しまして。5年前からヤフーに来ました。

そのちょっと前からなんですけれども、教育に足を踏み入れまして。そのきっかけというのも、ビジネススクールのグロービスの先生を2013年から始めていたんですね。

そこで先生をやっていたことが教育に足を踏み入れるきっかけということで、7年ぐらい経っているんですが、今もグロービスで教えています。

もともとオンラインクラスを数年やっていましたので、今はこのコロナショックで……。グロービスは、通学とオンラインがあったんですけど、通学の部分全てのオンラインへのシフトを数日でやったという対応をしています。

オンライン授業をやったことがない講師はいちから学んで対応していたんですけど、僕自身はずっとやっていたので、オンラインのクラスが増えたなくらいの印象で。まったく影響がなかったです。

もう1つやっているのが、株式会社ウェイウェイという自分の会社ですね。ここは講演、それから研修というところをやっています。今の状況はどうかって、足元の状況をお話しすると、3月4月で状況が大きく変わってきて。

2月から状況がおかしくなってきていたんですね。2月は普通にリアルでやるギリギリのタイミングで、3月に20件登壇が予定されていたんですね。20件が実際に全部中止になったのかというと、そんなことはなくて。オンラインでやった数を数えてみたら、中止とか延期になったのは4件ですね。

16件はオンラインにバーッとシフトするというかたちで対応していたんですが、4月になったらいきなり中止・延期ということになって。

やっぱり「企業の研修とか今じゃないな」ということで、たぶん移っていったんだと思うんですけれども。4月はもう本イベントを含めて数件。3、4件しかなくなってる。そんな感じですね。

ただ、ご存じの方もいるかもしれないですけど。僕は来年の4月の開学に向けて、武蔵野大学のアントレプレナーシップ学部を作るべく、いろんな準備をしていますので。ちょうどよかったということで、この状況をフルに活かしています。

(自身の著書を指して)これはちょっと宣伝で、今紙だけで38万部まで来ました。電子も海外も含めると40万は楽に超えてくるという状況です。もし万が一今日おもしろいと思っていただけた方は、買っていただくというか、本屋で立ち読みとかしていただければ。

BOOK LABにも置いてありますので。あ、今は見れないか。どこかで見ていただければと。

ライフラインチャートで振り返る過去

伊藤:僕がYahoo!アカデミアでもずっと言っているのが「Lead the Self」。自分自身を導くという話をずっとしているんですね。僕はまさに若い頃、アンダー29の頃には自分の人生を生きていなかったんですね。他人の人生を生きていた。

別に自分の人生を生きたいとも思っていなくて。どう生きたらいいかわからないみたいな、そんな状態だったんですけれど。ここ10年ぐらいで「いやいや、自分で人生を生きるってこういうことだわ」みたいなことが、やっとわかってきたってことですね。

そこから振り返ってみると「あの頃は、本当にただおびえるだけで何もできていなかったな」「何も踏み出せていなかったな」と見えてくるんですね。

でも、それってそれなりの理由があって。「待てよ、自分はこういう特徴があるから、こういうところでちゃんと自分を見つめ直さなきゃいかんな」と、過去を振り返ることによって、見えてくることがあるのです。

なので、今回のこのイベントもそういう意味ではすごくいい機会です。というのも、西村さんもここら辺でよく「ライフラインチャートを書いてみましょう」というかたちでやられていますけれども。Yahoo!アカデミアでも必ずやっているのが、ライフラインチャート。

「自分の人生がこのときに盛り上がって、このときに盛り下がっている」と、上がったり下がったりする曲線で表現することによって、このときに何があったなとか、このときにつらかったなと振り返ることによって、過去を振り返ることをやっております。

26才で迎える、人生最悪の時期

伊藤:私のカーブでいうと、26のときに人生最悪の時期を迎えて、そのあとに上がったり下がったりしながら、ドーンと上がっていくと。こういう人生を送っています。

まず学生時代ですね。テニス部をクビになって大失恋というつらい時期があって、それから斜に構えて生きるようになるんですね。

斜に構えてるんで、別にそんなにつらくないんだけれども、楽しくもないというか。

そんな人生を送っていて、学生時代はただれているんですね。バイト、バンド、デート、バイト、バンド、デートっていって。

西村:(笑)。語呂がいいですね。

伊藤:韻を踏んでいるみたいな。もうなんなんだみたいな人生を送っていて。要は「無」だったということですね。チャレンジすることから逃げていた。なんもやっていない。

こんな人生を送っていました。学生時代はこれでいいんだけど、社会に入ると、この「無」の状態じゃやっぱり生きづらいんですよね。

それで、どんどん最悪の時期を迎える。何があったかというと、会社ってすごいバラ色の世界だと、斜に構えている人生から逃れられるって、勝手に期待して入っていくわけですよ。

でも「逃れられるかも」「助けて」みたいな感じで入ったって、うまくいくわけはないんです。なので入った瞬間「いやなんか普通に厳しいわ」とか「普通に勉強しなきゃダメだ」とか「ぜんぜんダメだ」とか。

でも俺、やる気もねえし、飲み会もいまいち……。みんなで「ウオーッ!」とかいって盛り上がって、体育会系の銀行だったんで馴染めないしみたいな。「こんな人生、嫌だな」みたいな。もう瞬間で、これ、嫌だと思った。

研修で落第点の連続。これがどのくらいかというと、160人ぐらい同期がいるんですけれども、合格が156人で、不合格が4人だけという。その4人に入りまして。

そのあとに、通信教育をやることが求められたんですけれども、8科目中1科目しか終わらなかったと。そもそも8科目終わらなかったのが僕だけですよね。

西村:(笑)。すごい。

伊藤:レジスタンスでもないんですよ。やる気がないという。何のために働いているのかわからなくなるよって、尾崎豊みたいな状態になって飲み歩いて。

飲み歩いて、酒はあまり好きじゃないんだけれども、帰りたくないから1人で飲んでるんですよ。家に帰ってくると、終電で帰るので1時頃ですよ。

寝ればいいんだけど、メンタルつらくなった経験のある方ならわかると思うんですけれども、「寝ると明日になっちゃう」から寝れないんですよね。それがつらい。

とにかく寝落ちしないと寝れないという。だから朝も大変調子が悪いと。こういう日々です。

ただ「俺はまだ本気出してないだけ」みたいな、ちんけなプライドでなんとか持たせたんですけれども、最終的には会社にいけなくなっちゃう。

最初は謎の腹痛でいけなくなるんですけれども、結局それは病気でもなんでもないんですよ。土日になるとピンピンしているんで。

それが、ちょうど26のとき。

初めて感じた「俺、これやってみたい」

伊藤:たまたま「会社に来なよ」みたいな感じで気軽にいってもらって、その頃うつなんて言葉もないから、ちょっと俺も行かなきゃなという感じになって。

「お前、使い物にならないから。俺らが時々相手するから、遊んでなよ」みたいな職場だったもんですから、ボーッとしていて。

それで27のとき、ある案件が来て。それに応えたんですよね。「俺、これやってみたい」って初めて感じて。

そしたらみんなが寄ってたかって、助けてくれて。「いいか、こういう案件のときは登記簿謄本を持ってくるんだ」「登記簿謄本? なんすか?」みたいな。27でその状態だからやばいんですけど。

西村:(笑)。

伊藤:物件を見に行くんだと。「でも見に行くといったって、マンションだから更地しかないですよ」「でも更地でも見に行くんだ」と。「じゃあ、どうやって写真を撮るんですか?」みたいな。

そんなことをいろいろと聞きながら、そこをやりきって。案外仕事って、取って食われるものでもないし、みんな助けてくれるし、ちゃんとがんばれば俺もできないことはないし、みたいなことを理解してですね。仕事をちゃんとやれるようになりました。

それが僕にとっては働くことの原点になっていて。マンションの融資案件です。みんなに協力してもらって融資を実行したんです。そのときは、よかった、うれしい、レベルだったんですけど。

1年後にマンションができたんですよね。それで「できましたよ」ってマンション会社の人に言われて。ああ、じゃあ休日にでも見に行ってみるかって、何の気なしに見に行ったら、そこで衝撃というか忘れられない体験をしたんです。

何かというと、マンションに住んでいる人が出入りしていたんですよ。それ見て、ウワーッと思って。

そのときに、なんか忘れられなかったですよね。今でも忘れられないですよね。

西村:その光景。

伊藤:うん。それで、その映像というのは、今でも僕の中でブワーッと残っていて。それで自分の仕事の先にいる人たちの笑顔のためにサポートする。

金を融資して会社から喜ばれて、給料をもらうのは直接的に「仕事」なんだけれど、その先に社会ってこうやってつながっているんだって初めて知ったんですよね。そこからはやはり、そこにエネルギーを注ぐということが初めてわかった。

そんなところを27ぐらいに経験しました。そこから燃え始めましたね。その後バーッと盛り上がってプラスにいったりしながら、上下あったんですけれども。プラスを辞める頃、10年前ぐらいからドッパンドッパンと自分の中で盛り上がり始めて。東日本大震災震災以降。

今はなんか楽しいです。いろんなことが、グロービスからの、Yahoo!アカデミアからの、ウェイウェイからの、『1分で話せ』からの、武蔵野大学みたいな流れの中で、ドワーッと盛り上がっているという。

こんな感じですね。だから結論を申し上げると、盛り上がっているように見える。

「羊一さん、すごく素敵です」と言っていただくことがあるんですけれども、盛り上がっているところがあるとしたらここ10年ぐらいで。それまではグダグダ。

しかも「27の頃は会社に行けませんでした」って状態だったところから、きっかけを作って抜け出していったのが僕の人生かなと。そう、振り返って感じます。

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