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姫野桂 × メンタルドクターSidow「精神科医と発達ハックについて考える」 『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)刊行記念(全6記事)

心理カウンセラーを選ぶときに注意すべきことは? 悪徳業者にだまされないための見分け方

日々なんとなく「生きづらさ」を抱えていたり、発達障害傾向のある人が増えていると言われています。つらさを解消するためにどんな方法があるのか、『発達障害かも? という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』の著者で発達障害の当事者でもある姫野桂氏と、登録者数3万人超えの医師YouTuberであるメンタルドクターSidow氏による対談でお届けします。本パートでは、相性のいい精神科医を選ぶ難しさや、カウンセリングの役割などについて語りました。(本イベントは本屋B&Bにてオンライン配信で開催されました)。

レジ締めが苦手だった学生時代のバイトの思い出

姫野桂氏(以下、姫野):ちなみに私は、お酒が大好きなんですよ。ちょっと今、アル中っぽいんですけどね。大学のときは、お酒のカクヤスで1年間バイトしていました。

メンタルドクターSidow氏(以下、Sidow):なんか、好きのベクトルが違わないですか?(笑)。

姫野:(笑)。

メンタルドクターSidow氏(以下、Sidow):そこに行くとお酒がただでもらえるとか、そういうのがあるんですか? 

姫野:そのときは未成年だったので、ないですね。とにかくバイトをやってみたかったんですよ。

高校がバイト禁止だったので何かないかなと思っていて、近所に「バイト募集中」って貼ってあったので、それで応募しました。レジとか品出しとかをやっていたんですけど、やっぱり私はレジ締めができなくて……。

Sidow:あれってやっぱり、お金の計算も含めてやらないといけないんですよね?

姫野:そうですね。あれがすごく苦手でした。だから、レジ締めが嫌で夜はシフトに入りたくなかったですね。

Sidow:締めの時間に入ると、お金を計算しないといけないからね。

文章を書くことは昔から得意だった

姫野:あと、手先がけっこう不器用なんです。お中元の時期にお酒を包装するんですよ。折り紙のようにして箱を包装するのが、何度やってもできなかったですね。そこは1年ぐらいで辞めて、あとは並行して家庭教師のバイトをしていました。それはすごく合っていました。

Sidow:何を教えていたんですか? 

姫野:小学生は全教科で、中高生は数学以外ですね。

Sidow:やっぱり数学は避けていたんですね。

姫野:避けていました(笑)。でも、中1だったら、なんとか大丈夫でした。しかもすごくお勉強ができない子に教えていて本当に基礎だったので、中1の子の数学は大丈夫でしたね。

Sidow:本にも書いてありましたけど、それこそ作文のコンクールとかでは毎回賞をとっていたりとか、それを初めて聞いて「さすがだな」と思っていたんです。

姫野:書くことは昔から得意でしたね。1回バイト先であったことですが、たぶんすごくいいおうちの子どもで、小学生だったんですけど「本を読む習慣をつけさせてくれ」というご注文がありました。

Sidow:小学生で?

姫野:小学校2年生ぐらいだったかな。「そんな注文をする人もいるんだな」と思って、文字の大きい絵本的なものから始めて、読む練習をさせていました。

Sidow:一緒に読むってことですか? 

姫野:一緒に読みましたね。「どう思った?」とか感想を聞いたりしていましたね。

地図が読めないことと性別には関係がない

Sidow:姫野さん自身は昔から本が好きだったんですか? 

姫野:そうですね。昔から本当に好きでした。たぶん、小学校に上がる前からもうひらがなは書けていたので、本で勝手に覚えたみたいですね。

Sidow:なるほど、じゃあどちらかと言うと、文字情報とか書くことというのはかなり長けていたということですか?

姫野:そうですね。私は地図が読めないんですよ。でも、言葉で説明してあると行けるんです。「何駅の東口を出て、そこから100メートル進んで、右側にコンビニがあるのでそこを曲がって……」みたいな感じだと、行ける確率が高いです。

Sidow:なるほど。そうなんですね。

姫野:今日のここ、新しい店舗なんですよ。B&B。だから初めて来たんです。ここに私が着けたのは、ちょっとした奇跡なんですよ(笑)。

Sidow:それは文字情報で来たんですか? 

姫野:文字情報じゃなくて、Googleマップでなんとか来ました。

Sidow:ちなみに言うと、俺はめちゃくちゃ迷いましたからね(笑)。

姫野:(Sidow先生が)迷って、普通に電話が来ました(笑)。

Sidow:実を言うと、自分も地図を読むのがけっこう苦手です。世間的には「男性の方が地図を読むのが得意」みたいな……。

姫野:雰囲気がありますよね。

Sidow:そういう考えというか偏見があると思いますが、自分は本当に地図を読むのが苦手です。

「ここをまっすぐ行くと着くだろうな」というので5分ぐらい歩いて、途中でGoogleマップを見たらまったく別の方向を歩いていて、「またやっちゃった」と思いました。結局、近くまで辿り着いて建物の横まで来たんですけど、入り口が見つからず……。

相性のいい精神科に出会えるかどうかは運次第?

姫野:いや、でも、ここはわかりづらいですよ。しかも住宅街の中にぽつんとあるので、来られる方はびっくりすると思います。

今B&Bさんは休業中なんですよ。でも、コロナが落ち着いたらまた営業を再開されるということです(※5月15日より予約制で営業を再開)。

Sidow:そうですね。全体像を見せられないのが残念なんですけど、すごくおしゃれです。あっちにDJブースがあったりとか、バッグとかオリジナルグッズがあったりとかします。

姫野:おしゃれな本屋さんですね。

Sidow:しかもけっこう広いから、お店全体としてはインテリアのショップに来たような感じがすごくいいですね。素敵なレイアウトです。

姫野:そうですね。ちょっと会場のコメントを拾います。

「とくに精神科の問題は、医師との相性って本当に大切だと思います」。

これって、医師との相性はどうやって……。

Sidow:これは本当に難しいんですけど、けっこう皮肉を込めてよく言われるのが「精神科ガチャ」です。

姫野:言いますね。

Sidow:実際、自分が行ける範囲の精神科とかって、ある程度決まってきちゃうじゃないですか。例えば通学圏内にあるとか、自分の最寄り駅から近いとか、職場と近いとかですね。ただ、その範囲内に本当にいい精神科の先生がいるかどうかって、やっぱりわからないですよね。

かつ、それこそ精神科って相性が大事なので、いわゆる「名医」みたいな人たちが自分に合うとも限らないです。だからけっこう「精神科選び」みたいなところを聞かれるんですけど、自分でも答えがないかなって思っているんですね。

口コミの評価は平均だけでは測れない

Sidow:例えば自分が、「この先生はいい先生だよ」って紹介しても、その人と合うかどうかは実際、それこそわからないわけじゃないですか。

姫野:そうですよね。私もどこに最初に行こうか迷って、ネットの口コミで調べます。「食べログ」みたいな星がついているじゃないですか。

Sidow:確かに、まだ口コミとかは参考にしたほうがいいとは思います。

姫野:それで行きましたね。

Sidow:だから、精神科の先生を選ぶ方法というのは難しいところですよね。

確かに口コミとかのサイトも、いろいろあります。ただ、やっぱり相性があるので、多くの人が「すごくいいな」と思っても、一部の人が「合わないな」と思って、その人が低評価、例えば星1つとかをポンとつけたりすると平均的な評価が下がっちゃったりします。

姫野:Amazonの書評、レビューと一緒だ。

Sidow:そうなんですよ。

カウンセリングの役割と向き・不向き

姫野:ちょっと(コメントが)増えましたね。

「人によりけりですが、精神科の先生に診てもらいながらカウンセリングは必要でしょうか?」。

私はカウンセリングを受けたことがないんですよね。先生が話をじっくり聞くタイプの人でカウンセリングしてもらっているような感じだから、いいかなと思っています。

でも別の、うつ系YouTuberの方はカウンセリングを受けているっておっしゃっていましたね。だからカウンセリングがすごくいいみたいな、おすすめという人はいるみたいですよね。

Sidow:そうですね。精神科の病院とかクリニックでも、カウンセリングをやっているところと、やっていないところがあるんですけれども、やっぱり患者さんによって合う・合わないはあります。

精神科というのは、薬を使うことで、いわゆる「出ている症状を抑える」というのが基本的な役割です。カウンセリングの役割はどちらかと言うと、「自分が病気とどう向き合うかというところを学ぶ」というような意味合いが強いのかなと思いますね。

姫野:この間、とある当事者の人に聞いたのですが、3分で診察が終わったと言っていましたね。

Sidow:そうですね。精神科で、カウンセリングを使わないで精神科のドクターの診察だけの場合というのは、やっぱり大きく変わらなかったら、結局お薬をそのまま出して終わりみたいなパターンもあります。

だけど、カウンセラーって基本的には30分単位とかでまとまった時間を取れるので、「しっかり聞いてもらいたいな」とか、あとは「こういう悩みがあってどう対処したらいいんだろう」というのがある人は、カウンセリングを使うのはありかなと思います。

姫野:カウンセリングって、保険がきかないじゃないですか。

Sidow:そうなんですね。お金がかかっちゃうのが、あれですね。

姫野:そうですよね。私が通っている病院に貼ってあるのには、50分6,000円とか書いてあります。たぶんそれぐらいが相場ですよね?

Sidow:そうですね。

姫野:なので、そこでちょっとハードルが高いということがありますね。

Sidow:日本だと、どうしてもカウンセリングは保険適用できなくて自費になっちゃうので、お金が少しかかっちゃいます。というのと、あとはやっぱり時間が長いので、変な話ですがコスパがよくないというか……。時間をかけざるを得ないというので、病院によっては「あえてやらない」というところもあるんですよね。

コロナが落ち着いたら精神科に行きたい

姫野:へー。そうなんだ。またちょっと、コメントを拾いますね。

「コロナが落ち着いたら精神科に行きたい」。

そうなんですよ。今は私も……。こないだ病院に行ったら、本当にスーパーのレジみたいになっていました。

Sidow:今は受付とかが……何ですかね。「すだれ」じゃないですけど、透明のやつ。

姫野:透明なのがかかっていて、なんかあまり来てほしくなさそうな感じで、「次の診察は1ヶ月後にしましょうか」と言われたんです。しかも、病院はいつもはすごく待つんですけど、すごく空いていました。なので、病院側もコロナをかなり警戒しているんだなという感じですね。

Sidow:そうですね。今は基本的に、やっぱり精神科だけではなくて病院自体の外来とかも、かなり人が減っていますね。

姫野:そう。こないだ叔母が何かの手術をして、お見舞いに行きたかったんですよ。そうしたら「身内は1人までしか入れない」って言われました。

Sidow:今はやっぱり面会禁止のところも多いですね。

姫野:そう。なので、旦那さんしか行けなかったんですよね。

精神科医とカウンセラーの違いは?

姫野:(次の質問は)「精神科医さんとカウンセラーさんの違いをよくわかっていないです」。

これは、どういう違いがありますか?

Sidow:そうですね。先ほどお話ししたのとプラスして、精神科はそれこそ医師免許を持った医者がやっていることがほとんどです。

あとは、いわゆるカウンセラーというのは資格があるのは公認心理師というもの、いわゆる心理師さんというやつですね。

姫野:国家資格ですね。

Sidow:そうですね。国家資格で心理師さんの資格を持っている人がカウンセラーとしてやっていることが多いです。「多い」と言ったのは、それ以外の民間資格でのカウンセラーというのがけっこういっぱいあるんですよ。最近は心理カウンセラーという民間資格があります。

姫野:私はあれがすごく悪用されていると感じています。

Sidow:あれがちょっと問題(笑)。逆に言えば、心理カウンセラーっていわゆるしっかりした資格じゃないので、誰でも名乗れちゃうんですよね。

だから別にちゃんと……。例えば大学院を出て臨床心理士などの資格を取るんですけど、そういうのがなくても、例えばオンラインの講座で取れちゃったりとかするんです。それで一応、心理カウンセラーを名乗っていいってことになっているんですね。

1回3万円の悪徳心理カウンセリング

姫野:実際にその心理カウンセラーの民間資格で、精神科を通してカウンセリングしている人っているんですか? 

Sidow:精神科では、いないですね。

姫野:じゃあもう本当に、個人的にやっているということですか?

Sidow:ただ個人的にやっている人は、どっちにしろ保険適用じゃないから何でもできちゃうんです。

姫野:この間、すごく悪徳なサイトを教えてもらいました。1回、そういう変なカウンセラーに引っかかったことがある人を取材したんですよ。

Sidow:それ、おもしろそう。……おもしろそうって言っちゃ、あれですけど(笑)。

姫野:たぶん、心理カウンセラーの資格は持っているっぽいんですよ。それでサイトを見たら、初診というか最初のカウンセリングが1回3万円とか……。

Sidow:はい。はい。

姫野:それで、カウンセリングの様子が写真に撮ってあって、なんかめちゃくちゃ胡散臭い。デヴィ夫人の家みたいなところでやっているんです。

Sidow:家だけすごくゴージャスな感じにして……。

姫野:そう。カウンセリングだけじゃなくって、何かの「お話会」みたいなので、「みんなでお話をしたあとは、こんな高級料理を食べに行きました」みたいなブログがありました。そういうのに引っかかってほしくないなという気持ちがありますね。

国家資格に認定された「公認心理師」が人気

Sidow:そうなんですよね。当然、心理カウンセラーとしてやっている人の全員が悪い人ではないんです。ちゃんと普通に……。

姫野:良心的な値段でやっているということですね?

Sidow:自分でやり方を考えてやっているという人もいるんですけど、一部そういう人はいます。だからカウンセリングを受けるとなったときも、その人たちがいわゆる公認の臨床心理士なのかどうなのかというのは、気をつけた方がいいと個人的には思いました。

姫野:私は一時期、公認心理師の資格を取りたいなと思って資料とかを取り寄せたんですけど、やっぱり働きながら勉強するのはちょっと厳しいなと思って、今は諦めたところです。

Sidow:そうですね。けっこう取るのが大変なんですよ。

姫野:ですよね。

Sidow:大学院を出て……。

姫野:そうですよね。院を出たりする必要があります。大卒なので途中からの編入でよかったんですけど、そこから実務経験を積まなきゃいけなかったりとかするので、なかなか大変なんです。しかも今、人気らしいですね。

Sidow:そうですね。それこそ最近国家資格になったのですが、それまでは臨床心理士の資格を取っても国家資格じゃなかったので、働き口とかに困る人も多かったんです。公認心理師が国家資格になってニーズも増えていますから、学校で働いたり、あとは企業で働くパターンもあるみたいです。

姫野:なるほど。

Sidow:そういうので人気になってきていると思いますね。

姫野:じゃあ、ちょっとまたコメントを読み上げます。「カウンセリングは、2ヶ月先まで予約が取れないところがありますね。今度、オンライン診療を受けてみます」。

そう。「カウンセリングの予約が取れない」というのはよく聞きます。

Sidow:やっぱり1回の時間が長いので、1日に診られる人数が限られちゃうんですよね。そうすると、人気なところだと「1日に何人まで」というかたちになってしまいます。なので、次に予約したらまた2ヶ月先になっちゃうということは、ありえますね。

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